ハンター・ザ・ラッド(仮)   作:トッシー

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第一次試験開始

ザバン市。

船から下りた俺達は4人で協力しながら先へ進んだ。

船長同様ふるいに掛けに来た試験管達が行く手を阻む。

ドキドキ2択クイズ、魔獣キリコの罠を潜りぬけ、俺達はどうにかザバン市に辿り着くことが出来た。

そしてキリコの案内のもと俺達は試験会場に案内された。

俺達の目の前には予想外の試験会場があった。

 

「どうみても定食屋だな」

 

「そうだね」

 

俺達は訝しげに思いながらも中へ入る。

 

「らっしゃい!」

 

どうみても定食屋だ。

中は違うんだと期待してたんだけどな…。

気風の良さ気なおいちゃんが鍋を振るっている。

 

「ご注文は?」

 

とりあえず聞いていた合言葉を…。

 

「ステーキ定食」

 

「焼き方は?」

 

「弱火でじっくり」

 

「あいよー」

 

「お客さん、奥の部屋へどうぞ」

 

通されたのは何の変哲もない客室。

鉄板の上では肉や野菜が既に焼かれている。

店員がコンロのヒネリを回す。

すると部屋がガコンと動いた。

どうやらエレベーターになっていたようだ。

地下100階、どうやらかなり深いらしい。

折角だから焼肉を食いながら談笑して待つ。

 

 

肉も食べ終わったところで部屋の動きが止まった。

どうやら到着したようだ。

扉が開く。

外に出てゴンたちは言葉を失った。

そこには試験を受けに来た受験生達で埋め尽くされていた。

見たところ中々の手練達だ。

300人以上は居ると思う。

 

「此処は……地下道か?」

 

「薄暗いな…」

 

「何人いるんだろう?」

 

「君等で406人目だよ」

 

ゴンの疑問に答えたのは一人の中年男だった。

視線の先には少し太めの男が人の良さ気な笑顔を浮かべていた。

 

「オレはトンパってんだ」

 

よろしく、そう言って手を差し出す。

ゴンもその手を握り返している。

 

「これ、番号札です」

 

「あ、ども」

 

オレは何時の間にか来た係の人にプレートを受け取り胸に付けた。

なんか豆みたいな人だな…。

ゴン達も順にプレートを受け取っていく。

 

「ところで新顔だね君等」

 

「分かるのか?」

 

「まーね!なんせオレは35回も試験を受けてるからね」

 

「マジで!?」

 

「あはは、分らない事があれば聞いて!教えてあげるよ」

 

威張れることじゃないだろ。

35回も受けてハンターに成れなんじゃ…。

 

トンパは自分の知識、受験者の情報を次々と明かしてくれた。

オレが注目したのはヒソカという奇術師だけだ。

ぶつかっただけの受験者の腕を切り落としてた。

ありゃマトモな神経してないな…。

しかしどうも引っかかる。

確かにトンパの情報は役に立ちそうだ。

 

だが…。

オレは周りに視線を移した。

数名の受験者が遠巻きにコチラを、トンパを見て笑っているのだ。

オレはもう一度トンパに視線を移した。

どうも胡散臭い。

長年、向こうの世界でハンターをしてきた。

その時のカンが言っている。

コイツは信用出来ないと。

話を終えたトンパは自分の荷物からジュースを取り出した。

 

「おっとそうだ!近づきの印だ」

 

そう言ってジュースを進めてくる。

 

「ありがとう!」

 

ゴン達は疑いもせずにジュースを受け取る。

 

「どうした?アンタは飲まないのか?」

 

「ああ、喉乾いてねえんだ」

 

「おいおい、ソコは飲むところだろ?空気読めよ」

 

レオリオが茶化すように言う。

 

「トンパさん、このジュース古くなってるよ」

 

話している間に既にジュースを口に含んでいたゴン。

ゴンはジュースを吐き出して言った。

レオリオとクラピカはゴンに習ってジュースを捨てた。

古いジュース…、偶然だろうか?

トンパは済まないと謝っているが…。

オレの考え過ぎか…。

あまり人を疑うものじゃないんだろうけど…。

その時だった。

奇妙なアラームが鳴り響く。

視線を向けるとスーツを纏った紳士が入ってきた。

紳士はアラームの音を切ると、口を開いた。

 

「只今をもって受付時間を終了します。ではこれよりハンター試験を開始します」

 

紳士は俺達受験者の前まで歩くと背を向けて歩き出した。

 

「どうぞこちらへ」

 

俺達は紳士の背中を追う。

 

「第一次試験406名、全員参加ですね」

 

紳士はそう言うと再び歩き出した。

 

「…あれ?」

 

「どうしたのエルク?」

 

「なんか、移動が早くなってないか?」

 

「ああ、ペースが早くなっているんだ」

 

そう言っている間に紳士はグングンと歩幅を広くしていく。

 

「申し遅れました。私、第一次試験担当官のサトツと申します。之より皆様は第二次試験会場へと案内いたします」

 

「二次?ってことは…」

 

「はい、既に一次試験は始まっています」

 

サトツは受験者の疑問に答える。

 

「二次試験会場まで私についてくること」

 

どうやらそういう事らしい。

到着場所や時刻は教えてくれないらしい。

サトツが歩を止めるまで俺達は只管走らなければならない。

 

「さしずめ持久力のテストって事か」

 

「いや違うと思うぞ」

 

レオリオが一人で納得している所に突っ込む。

 

「はぁ!?どういう事だよ!」

 

「サトツって奴はついて来いって言っただけだ。持久力のテストですとは一言も言ってないぞ」

 

「ぐむっ!」

 

「まぁ確かに…オレらの移動手段は自分の足だけだから持久力がなきゃ試験に落ちるだろうけど…」

 

「だろーが!」

 

「でも一人足以外の移動手段持ってる奴がいるけど」

 

「ああん!?」

 

オレが指を差した先にはゴンと同じくらいの少年が通り過ぎていくところだった。

スケボーに乗ってスイーッと軽やかにオレらの横を通り過ぎていく。

銀髪の美少年だ。

 

「あ、てめガキ!それズリィぞ!」

 

レオリオが一番に反応する。

 

「なんで?」

 

少年は猫のようなつり目をコチラに向けてくる。

オレはレオリオをどうどうと押さえる。

 

「いや落ち着けよ、別に狡くないだろ?」

 

「どなるな体力を消耗するだけだぞ」

 

「そうだよレオリオ、落ち着きなよ」

 

「あ、ゴンとクラピカまで!

 お前らどっちの見方なんだよ!」

 

「……ねえ君」

 

レオリオがヒートアップしているのを無視して少年はゴンに声を掛けた。

 

「年いくつ?」

 

「12歳」

 

「ふーん、同い年ね…」

 

少年はスケボーから降りると走りだした。

 

「やっぱオレも走ろ」

 

「かっこいい」

 

「オレはキルア」

 

「オレはゴン」

 

「オッサン、名前は?」

 

「これでもオレはお前らと同じ十代だ!」

 

「ウソ!?」

 

「マジか?」

 

これは驚きだ。

てっきりオレは二十代後半かと思ってた。

あ、クラピカが離れて行ってる。そりゃないぜ。

とりあえず自己紹介はしておくか…。

オレは走りながらキルアに自己紹介した。

 

 

 

 

それから約3時間ほど経過した。

脱落者は一人も出ずに全員走り続けている。

多分フルマラソンの距離を過ぎたくらいか。

周りを見ると皆まだまだ余裕が有りそうだ。

しかし…。

 

「……ぜっぜっぜっ!!」

 

「大丈夫かレオリオ?」

 

どうもレオリオの体力がヤバそうだ。

すでに喉から出る呼吸は喘息みたいだ。

ゴンが心配そうに聞くが、空元気でサムズアップするだけだ。

そして遂に。

 

「レオリオ!」

 

「やめとけ遊びじゃないんだ」

 

足の止まったレオリオを心配してゴンが止まろうとするがキルアが止める。

ここでレオリオは脱落してしまうのだろうか?

オレも気になってチラリと見る。

すると。

 

「絶対にハンターになったるんじゃーーーっ!」

 

レオリオは叫びながら全力で走り始めた。

これは驚いた。レオリオの根性に素直に賞賛する。

オレも負けてられないな。

ゴンh嬉しそうに笑うと釣竿でレオリオの落としたカバンを引っ掛けて釣りのように引き寄せた。

 

「それ後でオレにもやらせてよ」

 

「スケボー貸してくれたらね」

 

ここで約60㎞通過した。

此処で漸く脱落者が1名だけ出た。

 

 

 

 

暫く走ると上に向かう階段が見えた。

かなりの段数が予想されるひたすらに長い階段だ。

レオリオは未だ走り続けている。

シャツを脱ぎ捨て身体中から汗を流しながら足を動かす。

なりふり構わずだ。

オレも、そしてクラピカもレオリオを見習い上着を脱いだ。

オレはピュルカの一族のクロークをカバンに突っ込んだ。

俺達3人は並んで走る。

不意にクラピカが口を開いた。

 

「レオリオ、聞いてもいいか?」

 

「無駄口叩いてもいいのかよ?体力を消耗するぜ」

 

「ハンターになりたいのは本当に金目的か?」

 

「…オレにもそうは思えないな」

 

「ああ、お前は軽薄だし頭は悪いが…決して底が浅い男とは思えない。金儲けだけが生きがいの人間は何人も見てきた。だが……、お前はそいつらとは違うよ」

 

それでも無言のレオリオにクラピカが自分の事情を話しだす。

 

「緋の眼…」

 

それがクルタ族が狙われた理由だった。

感情が激しく高ぶると瞳が燃えるような緋色になる。

その状態で死ぬと緋色は色褪せる事なくその状態を維持するという。

その輝きは世界七大美色に数えられる程で美術的価値は計り知れない。

 

「打ち捨てられた同胞の亡骸からは一人残らず眼が奪い去られていた…」

 

クラピカは強い決意を宿した眼で宣言する。

 

「幻影旅団を必ず捕らえてみせる。そして仲間達の眼も必ず取り戻す!」

 

その為にハンターに成るんだと強い意志を。

 

「悪いな…クラピカ、オレにはお前に答えられる立派な理由はねーよ。オレの目的はやっぱりカネさ」

 

レオリオは語りだす。

それでもオレの目的はカネだと。

カネがあればモノも心の人の命さえも。

 

「許さんぞ!撤回しろ!」

 

「おい落ち着けよクラピカ!」

 

「なぜだ!カネがありゃオレの友達は死ななかった!」

 

「……病気か?」

 

「決して治らない病気じゃなかった。問題なのは法外な手術代だ!オレは単純だからな!医者になろうと思った!友達と同じ病気に掛かった子供の親にカネなんて要らねえ。そう言ってやるのが俺の夢だった!」

 

しかし医者に成るためには更に大金が掛かる。

だからこそレオリオは金に執着していたのであった。

オレもクラピカも何も言えなかった。

ただレオリオの背中を追い掛ける事しか出来なかったのだ。

レオリオにしろクラピカにしろかなり危うい。

それだけは解った。

 

(コイツらから目は離せねーな)

 

オレは出来うる限り二人の力になってやろう。

せめて二人のような事情がない分そうしようとオレは決意した。

地上への階段中間地点、脱落者37名。

 

 

 

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