ゴン、クラピカ、ヒソカ、そして気絶したレオリオ。
全員が動けずに出いた。
オレは炎を掌に纏わせてヒソカに睨みつける。
ヒソカはオレの炎をそして周りの者の表情を見る。
そしてニタリと笑う。
「へえ◆その炎、『オーラ』じゃないね。『念』かと思ったけど違うようだ♥」
オーラにネン…。
その意味は分からないが、ヒソカはオレの炎を一瞬それだと思ったのか。
つまりヒソカも何かしらの異能力を持っているという事か。
「…ゴン、キミは知っていたのか?彼の能力を」
「うん、見せてもらった事あるけど、こんなに凄いのは初めて」
クラピカはオレの操る炎に驚愕している。
轟々と燃え盛る炎は深遠なる怒りを逆巻くように蠢く。
「天然物かと思ったけど違うね◆『錬』もせずにそれ程の炎を生み出す…。ぼくらの常識では有り得ない事だよ…」
「オーラにネン、レン…?」
「くくくく◆オーラを炎に変化させたんじゃない♥その炎はもっと別の…ボクの知らない未知の能力♠面白いよ♣」
ヒソカはオレの事を無視して一人で考察している。
ムカつく、本気でファイヤーストームでもぶち込んでやろうか。
そして急激にヒソカの殺気が高まる。
「さあ、魅せてくれ◆」
言うが早いかヒソカはオレに迫る。
その形相から放たれる殺意は凄まじく先刻よりも更に疾い。
「なろうっ!」
オレは槍の刃に炎を纏わせて迎撃する。
ザシュッ!
「っ!?」
割と本気で放った突きはヒソカに吸い込まれる様に突き刺さる。
ヒソカの腕に。
コイツ、自分から腕を捨てやがった!?
気づいた時には遅かった。
異様な圧力の拳がオレの腹に叩きこまれた。
ちぃっ!?少し反応が遅れた!?
「うおっ!?」
油断した!
腹に強い衝撃を感じた瞬間、オレは後ろに飛び威力を殺す。
大したダメージではないが、それでもダメージを受けた事が驚きだ。
「…ん?なんだこれは?」
その時だった。
オレは自身の体に違和感を感じた。
薄い湯気のような何かがオレの身体から吹き出していく。
ヒソカの仕業か?
奴を見ると、ヒソカの身体からもオレと同じような物が見える。
しかしオレとは違い、湯気の様なナニかは淀みなくヒソカの身体を覆っていた。
そして徐々に失われていく何か。
「目覚めちゃったか♥」
「…コイツは、もしかしてオレの生命力そのもの?」
失われていくのは間違いなく体力。
今はまだ全然大丈夫だがこのままではマズイ。
オレは本能でそれを悟った。
「くくく◆さてどうしようかな♥ボクとしては教えてあげても良いんだけど♠」
なんかムカつく。
ヒソカの得意そうな笑みにオレはカチンと来た。
要はヒソカの真似をすれば良いんだろ!
こういう異能の力は明確なイメージと気合で何とかなる!
たしかに鍛錬は必要だろうけど、抜け出ていく『コイツ』を留めれば良いだけだろ!
「…コイツ、もしかしてお前が言っていたオーラってやつか?」
「ご名答◆」
オレは槍を下げると自然体になってイメージした。
細胞の一つ一つから出て行くオーラに意識を集中する。
オーラが自身の頭の先から足の爪先までを覆い包みこむイメージ。
ファイヤーシールドのイメージに似ているかもしれない。
炎のエネルギーを全身に纏う。
「こんな感じか…」
抜け出ていく活力が止まる。
それをオレはハッキリと感じ取って安堵した。
「くくくく…アーッハッハッハ◆素晴らしいよキミは♥まさかハンター試験でキミの様な獲物に出会えるなんて♠キミはボクの物だ◆ 絶対に誰にも渡さない♣」
ヒソカが狂った様に笑い出した。
血を流し炭化した腕を気にする事無く笑う。
コイツ、本気でキモい。それに危険だ。
ゴンとクラピカはこの事態に着いて行けずに唯、戸惑うばかりだ。
「冗談じゃねえ!テメエは此処で脱落しろ!」
オレは一瞬でヒソカの死角を取ると、こめかみに向かって槍の柄を落とす。
「っ!?」
続け様に腕に追い打ちを掛け、顎を撃ちぬく。
げ、コイツまだ笑ってやがる。
「オララララララララァッ!!!」
ヒソカの狂気を孕んだ笑みに嫌悪感を全開にしたオレは思わずハルバードによる連突を叩き込んだ。
そして止めに流れるような動作で金属製の柄をヒソカの頭部に叩き落とした。
ドン!
ヒソカは地面に叩きつけられて動かなくなった。
完全に沈黙したヒソカを見下ろしてオレは溜息を付いた。
よし完全に堕ちてるな。
「エルク?」
ゴンとレオリオを伴ったクラピカが近づいてくる。
「大丈夫だ、こうなっちゃヒソカも脱落だろう」
「そうだね、腕が黒焦げだよ」
ゴンはヒソカの腕を見てうへぇと唸った。
「それよりもどうする?試験官とは随分離されてしまった。このままだと私達は確実に不合格だ…ヒソカのやつは余裕そうだったから策があると思うが」
クラピカは肩に寄りかかって意識を失ったレオリオを心配そうに見ながら言った。
この状況だと自身の合格も危うい。
しかしレオリオの事も放おってはおけないのだ。
「ヒソカを起こして試験官に追いつく方法を聞くか?」
「いや、ゴン」
「何?」
「試験官でも誰でもいい、匂いで追えるか?」
「うん!多分大丈夫!」
驚くクラピカに苦笑しながらオレは満足そうに頷いた。
そしてゴンを先頭に俺達は走りだした。
「いくぞ。ゴンに任せておけば大丈夫さ」
「わかった」
このままだと本当に不合格になる。
そう判断したクラピカはレオリオをしっかりと担ぐと走り始めるのだった。
「くくく◆」
エルク達が走り去って直ぐ、ヒソカはムクリと身体を起こした。
炭化した腕を指で摘み剥ぎ取る動作をすると綺麗な腕が顕になった。
「やっぱり便利◆ ボクの『薄っぺらな嘘』♥」
ヒソカが自らの能力で重症や気絶を偽っていた事についてエルクは知るよしも無かった。
「イタタ◆ でも大分傷めつけられたな♥オーラを纏ってないのに凄い威力だったよ◆まともに戦ってたら危なかったかも♠」
ヒソカは嬉しそうに笑うと大きく背伸びをした。
そしてエルクの走った方角を見る。
「くくく♥」
嬉しくなってくる。
まさか念能力者でもない相手に、ここまで圧倒されるとは。
先程の戦闘を思い出しヒソカの股間は猛り始める。
雄々しく粗反り勃ったモノを突き出しながら舌舐めずりをする。
エルクの一撃一撃は自分の知る最高クラスの使い手と遜色のない程のモノだった。
それに何よりも気に入ったのはエルクの『目』だった。
「いい♥いいよ◆エルク♠」
思い出しながら身体を抱きしめる。
自分を恐れること無く正面から真っ直ぐ向かってきたエルクの『瞳』。
ヒソカは自分の異常性と禍々しいまでのオーラを自覚していた。
大抵の相手は言うに及ばず、自身が知る強者達の中の殆どの者がヒソカと正面から向き合う事を拒絶する。
それほどまでにヒソカという男は危険なのだ。
だからこそヒソカはエルクに惹かれ始めたのだ。
ヒソカは携帯電話を取り出すと何処かに掛けた。
何時になく独り言が多いハイテンションな自分に酔いながらヒソカは相手が電話にでるのを待つ。
「もしもしイルミ?ボクだよ◆いまドコ?……よかった♥ え?ボクが嬉しそうだって◆わかる?それよりも…まだ2次試験会場に着いてないんだね♠……別にいいよ、携帯の電源を入れておいてくれれば♠」
ヒソカは携帯電話の画面を見ながら走りだした。
そして森を覆う霧の中に姿を消したのだった。
続く?