目が、覚めた。
「ッ——」
肌に馴染む蒸し暑さ。喉元に込み上がる吐き気に、純丘は咄嗟に己の口をてのひらで抑える。
歯を食いしばり、努めて呼吸はゆっくりと、嘔吐を気合で押し留めた。
古びた扇風機が部屋の隅で回っている。カーテンが閉ざされた窓、外はまだ薄暗い。夜も明けていない時間帯。
三畳間の小さな部屋だった。
純丘はそこに見覚えがあった。いつの記憶か——寝ぼけた脳みそを強引に撹拌するが如く、急速に、唐突な覚醒に思考が追いついていく。
……見覚えがあるわけである。
高校時代に住んでいた、古びて火災保険もついてないアパートだ。
とっくのとうに引き払ったはずの。
「……は……」
自らの口元から、てのひらを剥がす。薄明に透かしたてのひらは、経年で浮いたはずの静脈もまだ目立たない。若い証である。
パジャマを引き剥がし——十年近く前に捨てたはずの中学時代のジャージ——自らの太ももを凝視した。どんなに目を凝らしたところで、そこにはしみひとつなく、いかにも健康的な十代の肉体であった。
そして、あれだけ痛い思いをして彫ったはずの入墨がない。
この世で最も寿命の短い造花。花火の痕跡。
視界の端ではケータイが繰り返し点滅していた。メールの着信でもあったのか。見慣れて、使い慣れたガラケーは、しかし使い込んで相応に傷が生じていたはずの塗装が、やけに綺麗なままだった。
ともすれば震えそうな指先を、必死に操って、ディスプレイに表記された年月日はまったく見慣れていなかった。
〝04:36 7月31日 2003年〟
正確には、見慣れていた時期はあった。
しかし十七年も前の話である。
「うそだろ」
ひとりきりでこぼしたことばは誰に拾われることもなく消えた。
ふりだしにもどれない
——見た目は子供、頭脳は大人、その名も……
……二〇〇三年七月の純丘榎は十八歳なので、工藤新一よりも歳上である。見た目も頭脳も大人。
なんなら純丘自身はここ約二十年で自分がそんなに様変わりしたとは思ってもいない。自らの身体がずいぶんと軽いな、とは、感じたが。
「センセー鎌倉幕府は一一九二年でしょ〜? イイクニだよ?」
「え? ッあ〜そうだなそういや」
七月三十一日といえば夏休み。すなわち夏期講習だ。
ホワイトボードに記した〝1185〟を消していく。
「センセーでもそんな間違いすんだねー」
塾生のからかい混じりの声音に「実はセンセーはおっちょこちょいなんだ」「ウソじゃん」「マジのウソつき」「そんな言う?」純丘はまるで十七年前のいつも通りのように振る舞った。
もちろん、頭の中はまるでいつも通りではない。混乱に満ちていた。
純丘は、タイムリープを今まで経験したことは、ない。当たり前だが。
日向がそのような冗談を言うとも思えず、腑に落ちるところがいくつかあったから、純丘も許容したが、そうでなければとんだSFなど信じられるはずもない。
第一、花垣武道が時間遡行するならばまだしも、今回時間を遡ったのは純丘榎だ。タイムリーパーなんぞではなく、タイムリープなど今に至るまでお目にかかったこともなかった。
花垣も、純丘と握手を試みたところで過去には飛べなかったと言っている。実際、死にかけたときですらしっかりと明日を迎えたわけで、過去を垣間見ることはなかった。
いったい何故——
——関東事変を変えるときなんて、何度も殺されかけたみたいです。タイムリープの能力は、譲ったり、奪ったりもできるみたいで。
——奪う?
——……いまいち、ちゃん教えてくれませんでした。しまった、って顔してたから、私にもそこまで言うつもりもなかったのかも。
体感としてはたかだか数時間前の、この瞬間からはまさに遠い未来の記憶が、純丘の脳裏で反響していた。その意味を努めて考えないようにしていた。
労働のために頭を回し、ほかすべての思考をシャットアウトする。
「じゃーねせんせー」
「また明日な〜。気をつけて帰りな」
また明日という言葉がこれほどまでに白々しいことも珍しい。
純丘は他人事のように思った。
公民館の受付で鍵を返却し、丁寧に礼を述べたあと、彼もまた夏の日差しのもとに足を踏み出した。照りつける太陽とアスファルトの照り返しで、かげろうのように空気が揺らいでいる。
二〇〇三年の夏休みといえば——純丘は、かつての日々を思い返す。
塾は夏季休暇中ということで午前九時から午後二時まで。佐野道場でのバイトの回数を減らしているため、午後はほとんどフリーで、家庭教師のバイトを終えたあとは自宅に直帰し、大学受験に向けて勉強をしていた。特に七月下旬となると、真一郎からの手紙を渡すべく、イザナを探してあちこち駆け回っていたころでもあり、
……純丘の足が止まった。
蒸し暑く湿気った空気、額を汗が滑り落ちていく。混乱と高温多湿でぼやけた脳内で、自らの思考を反芻する。二〇〇三年の七月下旬、純丘は、真一郎のお遣いで奔走していた——つまり。
この時期であれば、佐野真一郎は、まだ生きている。
そして、もしかしたら、生かすこともできる。
「……」
純丘は汗ばむ額を自らの腕で乱雑にぬぐって、歩調を速めた。
一刻も早く、時を追うごとに爛々と圧を増す太陽から逃れたかった。
「——あ、」
「ン?」
偶然とはかくも必然の如く。
真一郎の生存に気づいてから、たった数時間後のこと。
振り返った顔はとぼけた優男のそれだった。つまりたしかに佐野真一郎だった。
純丘の記憶力でも、真一郎の具体的な造形は、十七年の間にすっかりと色褪せて、消えかかっていた。その擦り切れた顔立ちとほとんど同一だった。
「……なにしてるんですか、真一郎さん」
思ったより平然と、純丘は尋ねた。
がたんごとんと彼らの上部では電車が音を立てて走行していった。線路を支えるコンクリートはずいぶんと古びていて、落書きの痕跡も垣間見える。
「えーっと」
高架下の陰で、真一郎は頭をかいた。視線が若干泳いでいる。
……言葉を探しているように、純丘には感じられた。
「バイク屋の営業時間じゃないですかね」
このあたりは渋谷区の中でも端の方、新宿区付近に差し掛かる。真一郎が経営するバイク屋に戻るには少々時間をかけるだろう。
「ヤ今日は臨時休業ってことで……あー、そっかオマエ榎か」
「もしかしてアンタ俺だってわかってなかった?」
「そそそそんなことねえよ!」
わかっていなかったらしい。
純丘は内心首をひねった。この頃、別に純丘は真一郎と没交渉でもなく、むしろ佐野道場のアルバイトに加えてイザナの件があったので、かなり頻繁に交流していたはずだが。
「オマエこそなにしてんの? このへんなんもねえし治安も悪いだろ」
「家庭教師してるご家庭への近道なんですよね。帰るとこです」
「あー。そっか家庭教師……この世界でも頑張ってるんだなあ」
「急になんですか?」
——……この世界でも?
純丘は聴力も別に悪くはない。
怪訝に尋ねた純丘に「まあなんつーか」真一郎はもにゃっと(明らかに)誤魔化して、それからふと尋ね返した。
「帰り道ってことは、もう終わったのか? っていうか近道だから普段通ってる?」
「どっちも、そっすね。ここ通るのは隔週かな」
なお家庭教師先の純丘は〝麦芽糖〟をうっかりそのまま口にして、生徒に訝しむ目で見られていた。教科書の改訂になんとなく毎回目を通していた弊害がここにある。
「あーだったら、ちょーっと聞きてェんだけど」
「なんですか」
「ここで……ホームレス見かけなかった?」
「……ホームレス?」
あまりに頓狂な質問だった。純丘は思わず復唱した。
純丘にとって、生前の真一郎はしばしば突拍子もないことを言う印象が残っていたが、しかし再会の衝撃が別のインパクトで吹っ飛ぶ。
純丘は眉を寄せて、記憶を参照した。
十七年前の普段がどうかはさすがに細部まで覚えていないが、確かに浮浪者は度々いた。ちょうど歌舞伎町が近いポイントで、つまり、少し足を伸ばせば繁華街に辿り着けて、いろいろと入手しやすい環境だったからだ。
酒然り、日用品しかり、誰かが落とした(ことになっている)小銭や財布、打ち捨てられた新聞紙、使い終えた段ボール、あとはその日を凌ぐためのちょっと危ない日雇いのお仕事も。
「……なんかこんなこと言うと各方面に失礼な気がしますけど、ホームレスっぽい人なら誰でもいいんですか? それとも特定の誰か?」
「んー髪の毛縮毛ってかんじで黒もじゃでひげぼうぼうの、あと歯が溶けてた」
「……その曖昧さだと俺も自信ねえっすけどたぶん見てないですね」
少なくとも今日の行きも帰りも純丘はまるで見かけていない。
「でも今だと全然違うカッコしてっかも」
「更に特徴が曖昧に……」
「マ、ダメで元々だからな。べつにすぐ見つかるとも思ってねえし」
真一郎はあっけらかんと言ってのけた。
この人この時期こんなことしてたんだ、思いながら「そうですか」と純丘は頷いた。
「呼び止めて悪かったな!」
「まあどうも」
バイク屋のセキュリティ強化について、どのように切り出すか迷って、あ、と純丘は先に言うべきことをひとつ思い出す。
「そうだ真一郎さん」
「うん?」
「黒川くんへの手紙なんですけど、今月まだ渡せてなくてすみません。でもすぐに居場所は突き止められると思うんで」
真一郎の最後の手紙は、イザナを探しあてるのに手間がかかり、けっきょく渡せたのは真一郎が死んだその当日だった。
純丘の体感では十七年前の話だが、今はリアルタイムで捜索している最中。進捗状況は共有するべきだろう。
「え? 黒川く……イザナか?」
真一郎はきょとんと目を瞬かせた。
「手紙って、てか榎オマエ、イザナと知り合いだったっけ?」
純丘の思考は、数瞬、完全に停止した。
おかしい。
どころでは、ない。
兄弟間の、血縁と家族の複雑な確執を、純丘は部外者ながら関係者として感じ取っていた。近似でありながら全くの相違たる家族を持つ人間としても、シンパシーと、ちょっとの嫉妬を覚えていた。
だから手紙を仲介した。ゆえに彼らに配慮した。
——忘れている?
——いや、これは、そもそも、知らない?
イザナと仲違いしている今を。住所に宛てても届かなくなった手紙を純丘が仲介していたことを。
純丘とイザナが知り合いであることを。
呼吸をひとつ。
ふたつ。
「……榎? も、もしかして俺なんか変なこと言ったか」
純丘榎にすぐに思い至らなかった男。記憶が欠落しているのか。真一郎が記憶している〝純丘榎〟が全く違う容姿だったのか。
〝この世界でも〟という言い回し。全く別の環境で努力している純丘でも知っているかのように。
そして純丘は、連想のように、花垣の奇妙な言動を思い返す。
ディズニー行きをまるで記憶していなかった少年。純丘と稀咲の関係に真っ先に勘づいた少年。
——あるいは、タイムリーパー。
「いや、べつに?」
みっつめの呼吸と共に純丘はすらりと言葉を吐いた。
口角を上げて、揶揄うような表情をつくる。
嘘をつくのは下手でもない。人を騙すのは好きではないが、不得手でもない。
ましてや中身は高校生の頃の時分ではなく、より経験を積んでいる。
「あんなもん忘れられるもんなんだなーと」
「あんなもんってなに!?」
「焦ってて面白いですね」
「オマエたまにサドっぽくなるよな!?」
「マそんな大したことじゃないですよ。忘れてるくらいだし」
「そ、そっかなー?」
純丘の妄想にはまるで明確な根拠も証拠もない。星と星を繋げて星座を作るように、類似性からの連想でしかない。ほとんどこじつけに近しい。
しかし先入観がそのまま第一印象に接続するように、純丘にはもはや結論はひとつしか有り得なかった。
「そういえば真一郎さん」
「なんだよ今度は」
タイムリープ中の花垣の言動と、今しがたの真一郎の言動は、記憶の欠落や奇妙な情報入手まで、ずいぶんと酷似していた。
渋谷区内はそう広くもない。よしんば本当に真一郎がタイムリーパーだとして、この出現率が普遍的なら、それこそ都市伝説さながらに噂になるどころの話ではない。同一の能力だと仮定するにしても、真一郎が死ぬまで残り二週間——
花垣武道は橘日向や稀咲鉄太と同学年。
二〇〇三年なら、まだ小学生だ。
「こないだ知らねえ小学生となんか遊んでませんでした? あれ万次郎とかの友達じゃなかったですよね」
「……えっ、見てた?」
「ロリコンショタコンって通報されないようにしてくださいね」
「通報されかけてたの!?」
「ハハハ」
「誤魔化すなよ! てか遊んでたんじゃなくて真剣で」
「へー、真剣」
「なんか意味深に言うのやめろ!」
純丘は笑った。
もはや笑うしかなかった。
「いろいろ気をつけてくださいね、じゃ俺帰るんで」
「本当もう。おまえも気をつけて帰れよー」
真一郎は悪態混じりに手を振った。
純丘は頷いて、帰路を辿った。
一歩目で口角が下がり、二歩目で眉間に力を込める。三歩、四歩、どんどんと速足になる。
仮定、真一郎はタイムリーパーだった。花垣や日向曰く、タイムリープにはトリガーが必要で、同じ目的を共有する必要がある。
〝痛い目見てまで生かしたマイキーはけっきょく、二十歳にもならずに死んだ〟
「……なるほど」
万次郎をあれほど慕っていた三途が、しかし花垣の提案に全く乗り気でないわけだ。今更ながら得心する。
さて——純丘は、考える。考えることをやめない。
タイムリープの能力は譲れるらしい。奪うこともできるらしい。
それらの事実は、花垣が何度も殺されかけたことと関係していたらしい。
譲るとして。真一郎から花垣に、譲られたとして。
奪うとして。どのような方法で奪うだろう。
たとえば——タイムリーパーを、殺すとか?
かつての記憶を思い返す。純丘がどうにも限界だったとき、一家心中を止めたのは真一郎だった。他にも選択肢はあるだろうと諭した。
彼は殺人自体を否定はしなかった。追い詰められた末に走る凶行を否定はしなかった。
無論、それは真一郎が純丘を慮ったこともあるだろう。
あるだろう、が。
……ひどい悪夢を観ているような気分だった。
電車に轢かれかけた刹那の走馬燈であるならまだましで、しかし、純丘は自らの頭を信用しているので、観るにしてもこんなとんだストーリーは作らないだろうと勝手に確信していた。
実際、事実として、彼は二〇〇三年にタイムリープしていた。
カン、カン、カン、と古びた階段が音を立てる。アパートの階段は相応に劣化しており、純丘は、自らの住まうアパートで腐食した部分を踏み抜いて怪我をしかけたこともあった。無関係な思い出ばかりを今このときなぜか思い出す。
自らの部屋の前に辿り着き、鍵を取り出すことなくドアノブを捻る。
二階の自宅の窓に灯りがついているかどうかは、道路からもよく見える。こうこうと光る電灯は外出時には必ず消しているはずだ。
「ただいま」
「よォ社畜〜」
蘭がベッドの上でポテトチップスを貪りながら(ダニが湧きそうでいやだな……と純丘は思った)雑に返事をした。
もう片方の手ではぽちぽちとケータイを操っている。髑髏のストラップが揺れている。
「……竜胆は今日はいないのな」
「飲みだろ?」
「あっそう」
純丘はちょっと頭を掻いて、冷蔵庫と冷凍庫をそれぞれ開けた。タッパーには作り置きしていたカレーやご飯が保存されている。鍋によそい、火にかけて温めたのち、いただきます。
最近は切り詰めた極貧生活は送っていなかったので、三畳間のなにもかも、懐かしさと新鮮さが併存していた。自宅でまるで自室のように寛いでいる灰谷兄弟も含めて。
逃避のように考えていたら、思考でも読んだのか——単に暇になったのだろう——蘭の指が純丘の肩越しに伸びて、首にからみついた。
暇なペットとかこういうことするよな。という素直な感想は純丘もさすがに命が惜しいので口にしない。
「……ところで、君、暇なのか?」
これは訊いた。
「言うなあ? 六本木のカリスマがわざわざ時間割いて来てやってんのに感謝の気持ちもねえの?」
「ベッドを勝手に使われた挙句、急所を抑えられておいて感謝はだいぶ難しいな」
純丘は冷静に答えた。
絶妙に大動脈を辿られているので命の危険を感じる。
「……ちなみにさあ」
「うん?」
首筋に置かれた指先に不意に力がこめられた。
「——誰オマエ」
声音はぞっとするほど平坦に這った。
背後のベッド、蘭の表情は見えない。整えられた爪の先端が純丘の首に食い込む……感触から推察するに、親指の爪だ。
爪は人体の中でも歯の次に硬い部分で、磨き上げれば武器にもなりうる。天然の刃。
灰谷蘭は警棒を操るが、既存の武器では足がつくときのために爪を整えている。
「誰」
純丘は復唱した。
未だ蒸し暑さ蔓延る部屋。喉が渇いていた。
「あんさあ、フクブって、自分が言ったことはあんま覚えてねえくせ、人が言ったことは不気味なぐらい覚えてんの。竜胆が勝手に自慢してきた外泊予定とかもな」
その評価通り、純丘は直近で聞いていれば記憶している方だが、さすがに十七年前の事細かな他人の予定まで覚えてはない。
「それに、いつも俺らの法律違反が嫌いで、聞けばすぐに小言グチグチ言うか聞かなかったことにするワケ。振る舞いはよぉく似せてきてんのに詰めが甘ェな〜?」
蘭はケラケラと笑った。
二〇〇三年の灰谷竜胆は二十歳未満で、飲酒は法律違反である。
「でなにオマエ、あいつの親戚? 歳近そうだし従兄弟とか? そのツラはメイクかなんかァ?」
笑いながらもてのひらが首を這い、喉仏ごと覆ったかと思えば、力を加えていく。
「ったく防犯意識とか説くくせにテメエの周りの自称ナカヨシの従伯母とか家事まで世話してあげたいキメェ保護者気取りのセンコーとか屋根裏に住みついてたゴミとか気づかねえんだもんなあのアホ」
「おいちょっと待て俺は坂口さんと森川について君に教えた覚えがねえんだが君ら接触してたのか、そして屋根裏に住み着いてるのは本当になんだ? いたのか? いつ? 今もいるのか?」
命の危険よりとんでもない発言が飛び出して、純丘は思わず蘭の手首を掴んで振り向いた。
拍子に表皮がスパッと裂けて血がにじんだ。深くはなかったので見もせずに指でぬぐった。
蘭は面食らった顔をしていた。
「……今はいねえけど。なんなら前者二人は気づいてたのかよ」
「気づくだろあんな露骨なの。……いつからかすっぱり見かけなくなったのは君の仕業か!?」
「竜胆にコナかけようとしてきたからオハナシアイしたんだよ」
「……俺が巻き込んだ形だな? すまない」
「……ええ?」
蘭は頓狂な声を上げた。
手首を軽く振るので純丘が離せば、大人しく引っ込められる。
純丘としても、いくら気心知れた知己とはいえ、傷害致死の前科で少年院に入ったような少年に急所を捕らえられたままはさすがに冷や汗をかく。
「マジでオマエ、ホンモノのフクブ? っかしーな、俺こういうの外さねえタイプだったんだけど」
「……まァ君、目が悪すぎて、他人のこと半分くらい声色と全体的な仕草で識別してる節あるしな。いい加減眼鏡かコンタクトを買え」
「ヤだね。てか言った覚えもねえのに気味悪ィ観察眼……ハァ? いつものフクブじゃねーか、ホント警戒して損したワ」
蘭は大げさに嘆くようにベッドに寝転び直した——彼の警戒は、一部は正しかった。
純丘はあえて言うつもりもない。額ににじんだ冷や汗をこっそりとぬぐう。
「……ひとつ聞きたいんだが」
ベッドの縁に背中を預けて、純丘は独り言つようにつぶやいた。
独り言つような声色だったが、かたちは疑問形だった。
蘭は眉を上げて、寝返りを打った。
「ナニ?」
「報いってあると思うか?」
蘭は一気にうろんげな表情を浮かべた。
純丘の側からは見えないが、おおよそ彼が思い描いた後輩の顔と、実際は、合致していた。
「……ンだよいきなり、今日別人ってレベルで様子おかしいのソレか? てかソレ、俺に聞く?」
「君だから聞くんだろ」
「そーね、ったく……」
純丘の頭を雑に手のひらで押しのけて、蘭は天井を見上げた。古びた天井の黄ばんだ壁紙と、年季の入った蛍光灯が、彼らを見下ろしている。
「あるわけねえだろ。じゃなかったら、なんで俺ら兄弟は元気に生きてんの? 俺等の親御さんも、フクブの家族も、どうしようもねえクズ野郎も、逆に幸せなご家庭ってやつも、みぃんな、のんきなツラ引っ提げてそのへん歩いてんぜ」
「そうだな」
純丘は小さく相槌を打った。目を閉じて、そうだな、ともう一度つぶやく。
空になった皿を外の流しに持っていくのがなんとなく億劫だった。
「……おセンチちゃん?」
「……いろいろとな」
「フーン」
蘭の相槌は、心底どうでも良さそうだ。なんなら今にでもどうでもいいと言い出しそうだ。
「どーでもいいけど」
本当に言った。
「テメエの事情で蔑ろにされる俺に対して、ずいぶん失礼だと思わねえ?」
「君らの事情で蔑ろにされる俺についてはどう思ってる?」
「俺らは存在が無罪だから〜」
「ほざけ」
声を立てて笑ったのち、純丘はふと笑いを収めた。
「……嘘だよ。君ら、俺を蔑ろにすることはそうないだろ。嘗めてることは山ほどあるにしたって」
蘭は、今度は上体を起こして、純丘を見下ろした。
「マジで今日、なに? らしくねえぞ」
「……考えることがあった。いろいろと。人生の再現性、人が有するペルソナ、コミュニケーションの齟齬、罪……」
「アッソ。とうとう頭おかしくなったァ?」
いつものように嘲り、馬鹿にしくさるようでいて、蘭の目は無機質に純丘を見据えていた。俯瞰し、観察している。
純丘は気づいていない。背後を透視できるような能力は持っていないし、なにより、彼は今ひどく疲れていた。
「君と話しているのも、その発端を紐解けばかつて俺が顧問の提案を最初に承諾したからで、あのとき俺が断っていたとして君らとの縁が生じないだけで現実にほとんど影響はないんだろうなとか、」
髪の毛を乱雑に鷲掴まれ、純丘は強制的に上向かされる。何本かぷちぷちと、毛根が頭皮から剥がれる音。
「イッ……」
「今更俺らと関わったこと後悔してんの」
蘭の表情は笑んでいるが、目が笑っていない。
純丘の、校則に配慮した短めの髪が容赦なく引っ張られている。毛根が悲鳴を上げている。
「……そこは全く。俺としても意外なぐらいな」
「ならなんだ? あァ、なに、俺ら
頭皮に走る痛みとはべつの意味で純丘は顔をしかめた。
図星かよ、蘭がつぶやく。
「だとしてもきっかけが読めねえなァ、俺は最近ちゃんとお掃除してっし。竜胆は派手なやらかしはしてねえハズ。佐野真一郎とか? あぁそう、オマエわかりやすいね〜、半分くらいはコレか」
佐野真一郎はタイムリーパーだったらしい。
おそらくは万次郎を助けるために、過去を改変した。そしてこれもおそらく、人を殺した。それで当然のように振る舞っていた。
あなたはそういうことはしないひとだと思っていた。
そのショックで、あまりにも衝撃で、命の危険を伝えられたはずの機会を、純丘は一度ふいにした。
自分は——今更だ、今更で、幾度も思ってきたことだ——これほどまでに潔癖だったのか?
たったひとつの、それも疑惑だけ、確定もしていないような容疑だけで、恩人すら許せないような?
「あと半分はわかんねえけど、どうせ似たようなモンでも連想したんだろ。テメエのことだし」
花垣武道は心折れ、それでもタイムリープをと電車に飛び込んだ。
彼の心を折る決定打を突きつけてしまったのは、一生知らずにいられたかもしれない花垣に契機を与えてしまったのは、純丘だ。
躊躇う花垣を決意させてしまったのも純丘だ。あれだけ言い募って追い詰めたのも。
過失がもたらした死も、最終的な出力は殺人でしかない。そうは思わないだろうか?
殺人だったから、純丘の手に、タイムリープの能力が渡ってしまったのではないか?
後悔ばかりが蓄積される。
行動したことへの後悔。行動しなかったことへの後悔。
恩人の素行に対する衝撃。衝撃を受ける自らへの幻滅。
「フクブがなに考えてんのか知らねえし、俺らのことをどう見ようがテメエの勝手だけど、勝手に他人と重ねて俺らを決めつけんのはマジでやめろよ。虫酸が走る。あんまりしつけェと苛ついてうっかり殴り殺しちまいそォ」
「実際、君らは俺がいなくても好きなように生きていると思うけどな……」
「ああそりゃ俺たちは好きなように生きてくに決まってんだろ、テメエがいてもいなくてもな」
未だ足掻くようにつぶやく純丘を、蘭は嘲った。
「自意識過剰、悲観的、ニーチェの爺さんだってそこまで鬱じゃねえよ」
ニーチェもろくに知りもしない後世の人間に鬱と決めつけられるとは思ってもなかっただろう。
「テメエやテメエがだぁい好きな他人がどうだかは知らねえけどな。俺らは好きなように生きてっから、フクブをいじくってオモチャにすることを選んでんの、勘違いすんなクソ野郎」
傲慢で傲然、自分勝手な物言いだ。
全く以て、灰谷蘭らしかった。
純丘はしばらく沈黙したのち「……手を離せ、本気でハゲる」辟易したようにつぶやいた。
「いんじゃね? 一足先のハゲ、貫禄出るじゃん」
「貫禄は出ないだろ」
「出る出る〜」
蘭はぱっと純丘の髪から手を離した。
純丘は自らの髪の毛を整えたあと、ちいさく嘆息した。
「妄言に付き合ってくれてありがとう。君には二度と悩み相談はしないから安心してくれ」
「あ? オイこの灰谷蘭の慈悲に与っておいて言うに事欠いてンだよその敬意のない態度はよォ」
「二度としない」
純丘は頑なに繰り返した。
「ったくマジで恩知らずだワ、このクソセンパイ」
舌打ちした蘭が、ただでさえ窮屈なベッドの上に大の字に寝転んだ。我が物顔で他人のベッドを占拠する。本当にいつものことだ。
ベッドで寝られないことに慣れていた純丘は、大人しく敷布団を敷いてタオルケットを布団とし、寝転んだ。
いくら高校時代に返り咲いたからって今日ぐらいは受験勉強しなくていいだろ、そんなヤケクソな気持ちも含まれていた。
——というかこれ、シンプルにどうすればいいんだ……?
二〇〇三年八月一日。何事もなく朝を迎えてしまった純丘はちょっとだけ途方に暮れた。
戻る方法がない。トリガーいないし。タケミッチくんがタイムリープしてるかどうかもわからんし。
途方に暮れている暇がないスケジュールなので、さっさか朝ごはんを食べて支度をしたのち、塾開講のために出立した。
途中で蘭をうっかり蹴った(本当に故意なく足があたった)が、趣味が睡眠の男は健やかに寝ていた。
今日のアルバイトは佐野道場でのTAと、佐野家の家事手伝いだった。しかし、純丘は真一郎とは会わなかった——バイク屋の営業時間なので、それはそう。むしろ昨日鉢合わせたのがイレギュラーである。
今からS.S.MOTORを訪ねるには、なんとなく、勇気が湧かなかった。
どうせ戻るに戻れない。
「……そういえば……」
真一郎がタイムリーパーであり、つい先日戻ってきたばかりだと仮定する。仮定というかほぼ事実だろうが。
だとして……何故、わざわざホームレスを探していたのか、そういえば真一郎が理由を言わなかったことに純丘は遅れて思い当たった。
特徴はきわめて曖昧で名前もわからず、写真すらもなかったようだ。タイムリープ前に世話になった、などだろうか。
純丘は、自宅に直帰しかけた足を引き戻した。
目指す場所は昨日訪れた——通り過ぎた場所。寂れた高架下である。
真一郎は、今日はいなかった。
夏の日没は遠く、午後六時だというのに、未だに日が長く伸びて、高さが低く光の入りにくいコンクリート製の通路を、細長く照らし出していた。
「マ、そりゃ、そうか……」
真一郎も、もちろんそれらしきホームレスもいない。
そもそも昨日から純丘は思っていたが、段ボールや寝袋といった最低限の生活の痕跡もないので、ここを探すのは無意味かもしれない。
それと、他に高架下にあるもの——というか
手の甲には【罪】と書かれている。
「……あれ?」
「あ?」
インパクトが大きい特徴は、十数年経っても覚えているものだ。純丘の声に釣られて少年が威嚇した。
記憶よりも顔立ちはあどけないが、もう片方の手の甲には罰と記されていることだろう——半間修二だった。
この頃から死神を名乗っていたのだろうか。
現在地の高架は新宿区にほど近いため、純丘が半間と二度対面した歌舞伎町も、もちろん近い。
「いや、洒落た入墨だなと」
「……そーいうアンタは昨日と同じぐらいダッセェTシャツだな」
純丘はこのころ本当に金欠だったので、安さ重視コスパ重視のファッションセンスは壊滅的だった。
たとえるなら——東京タワーを極彩色に染めてUFOを添えてそれをピカソの絵柄で描いてみてほしい。純丘のTシャツにプリントされた絵は、だいたいそれと近似である。
「……昨日と同じ?」
「いたろ? イマドキ親父狩りで金持ち狙わねえでホームレスボコろーとしてんの、今日は連れがいねえなあ?」
「ボコろうとしてるわけじゃないけどな」
「ならなに? マグロ漁船にでも乗せんの?」
「正直俺も知らない。連れが探してただけで」
「だったらやっぱボコろうとしてんじゃね?」
たぶん違うんじゃないかなと純丘は思った。
「どっちにしろここ陣取ってたヒゲはこないだ救急車で運ばれてったぜ?」
「おや」
食中毒、熱中症、脱水症、栄養失調、要因は数多に思いつく。
夏は生の季節であり、死の季節でもある。
純丘としては他人なので、そうだったのか、という感想になる。
「戻ってこねえってこた、死んでんじゃねえの? それか治療費払えなくて飛んだか」
「かもしれないな。とりあえず、ありがとう」
純丘は素直に礼を述べた。
半間は細い眉をわざとらしく上げてみせた。
「……そんだけ? 謝礼は?」
「このTシャツを着ている人間からの謝礼は小銭百円とかになるが……」
「金じゃあなくても良いぜ〜? 愉しませてくれんならさァ」
へらりと笑って、少年は立ち上がる。
どこか振り子のように振れる長身。ひょろ長い背丈はしかしまだ純丘よりも小さかった。最後に会ったときの背丈を考えれば、これからも伸びるのだろう。
「……」
純丘は半間をしげしげと眺めた。
気圧されるようであれば、もしくは、気圧されてもわかりやすく態度に出すような人間であれば、灰谷兄弟はとっくに元副部長に興味をなくしていただろう。
「つまらないのか?」
怯えの代わりに、無遠慮に投げられた言葉に、半間は露骨に不快そうな顔をした。
「……あのさぁ、イマ聞ィてんのは俺なワケ、オッサン」
「オッサンかあ」
「加齢臭くっせえオッサン。立場わかってる?」
「修飾語が増えた」
中身はオッサンで相違ないが一応外見は高校生。
煽りなのか純丘が老け顔なのか中身の不相応な老成がにじみ出ているのか。
「あいにく俺は喧嘩には詳しくなくてな、本気でやるとしたら制圧術しか使えない」
「あ? 意味わかんねー、日本語で喋ってくんね?」
「ナイフも持ってない素人相手取るなら十五秒で制圧しなきゃ怒られんの」
「……誰に?」
「空手道場のヒト……」
主に佐野万作。
道場における純丘はきわめて真面目な優等生だったので、興が乗った万作にいろいろと叩き込まれてもいた。
「十五秒で終わるお遊びとか、面白くないだろ」
「……ハァ、マジ、つまんねェ。せっかくちったぁオモロくなるかと思ったってのに」
興が削がれたとばかりの口振り。
半間はコンクリートの堅い地面にも構わずあぐらをかいた。
「退屈で死ぬ」
「そんなに退屈か?」
「全部色褪せてんのに、逆になにが楽しーワケ?」
「知らないが」
色覚多様性というよりは、本人の心の持ちように近い物言いだ。
「友達とか?」
「つるむのはパンピーか雑魚のお仕事だろ〜ダリィこと聞いてくんな」
「君はそう思うのか」
純丘は無難な相槌を打った。
そのわりに、鉄太の話をする半間はずいぶん楽しそうだったが、と過去を顧みる。
全くまともそうな雰囲気ではないが、それでも、あの無愛想な弟がずいぶん慕われたものだと純丘は感心し、少し安心したものだった。
背後で進行していた計画を考えると、全く安心するべきではなかったものの——だとしても、彼が稀咲鉄太という少年を立てていたのは本当だろう。
「まァ、人生なにが起きるかわからない。いつかは君も楽しいと思えるようになってるんじゃないか」
「意味わかんねェこと言うんだなーオッサン」
「具体的には二年後くらい」
純丘がこのまま過去をやり直す羽目になり、ついでに鉄太の計画を阻止することにならなければ、の話だが。
現状未来に戻れないかもしれない以上、現実的な路線ではある。弟を止めるのは兄の義務ではないが、被害者を無意味に見過ごす必要もない。
「マジで意味わかんねーこと言ってんなオッサン。キメェ〜占い師かなんか?」
「塾講師」
「エ、それで塾のセンコー? キッツ」
半笑いの半間は、片方の膝を立て、自らの顎を乗せる。
「じゃそれマジじゃなかったら今度こそ取り立てってことでボコってい〜?」
「絶対イヤでーす」
笑顔で尋ねられた言葉に、純丘も笑顔ですげなく断った。
「ケチ」
「おかしいな、俺は全く悪くないと思うが」
「イタイケなガキ捕まえて戯言ほざくようなオッサン、一から百まで悪くて俺はヒガイシャだろ」
「中途半端な知恵をつけた人間こそが最も厄介だな……」
なんだか同じレベルで張り合っているのが馬鹿らしくなってきた。
純丘は半間との距離を二歩ぶん詰めて、少年の顔立ちを俯瞰した。
「取り立てに来ても構わないが、二〇二〇年の七月末までにしてくれ」
「あァ? 二〇二〇……何十年も先じゃねーか」
「十七年後かな」
何十年というほどでもない。四捨五入すればたしかに二十年だが。
「まァそれまでならいつでもどうぞ。その後になるとちょっと難しいだろうが」
「高飛びする予定でもあんの?」
「高飛びは……二年半後。いや、死ぬのってある意味あの世への高飛びか? 俺の意思でもないんだが……」
「オッサン、ヤクでもやってる?」
「やってません」
この世は理不尽と妥協の積み重ねだ。どこかでは無理が通って道路が引っ込み、どこかでは堅実な話し合いが実現する。
純丘榎は清廉潔白……かはさておき、真っ当な一般人として生きていたつもりだが、それでも過ちをいくつか冒している。
もしかしたらあるかもしれない知人の悪行に見て見ぬふりをしている。もしかしたら人を殺したのかもしれない。もしかしたら助けられるかもしれない命に尻込んでいる。
それは罪ではないだろうか。
純丘榎は罪人ではないだろうか。
この世に報いなどないのだと後輩は豪語した。不幸がこの先純丘に襲いかかるとして、それはただの理不尽か社会に必要な手順であって、報いではないのだろう。
完璧な勧善懲悪はおとぎ話で、神も仏もありえざる、因果応報は存在しない——それでも、純丘は思っている。
罪には罰が下るべきだ。
罪業には相応の天罰が下されるべきだ。
天罰など存在しないから、人々は社会をつくり、法を作り、罰則を定義した。
個人たる純丘は——もしかしたら訪れるかもしれない、罰を規定する。
「暇で、覚えてたら相手してやるよ。君のほうが忘れてそうだが」
「意味わかんねーオッサンと気色悪ィTシャツの組み合わせ、そう忘れねーよ」
「ハハハ」
とはいっても、純丘はそこそこ狡いので、曖昧で不完全な約束として。
「ところで道端に座りこむのはやめなさい、起き上がれないなら手を貸すぞ」
「ハァダル、説教くせ……」
半間は至極面倒そうに、差し伸べられた手を掴んで、引いた。
——バチッ、
見た目は子供、頭脳は大人
:名探偵コナン、実家のような安心感
1185
:早いところでは2008年から既に教科書が改訂されている
麦芽糖
:2016年頃からの改訂
目が悪すぎて
:最終展ネタ
ニーチェ
:ベタながらツァラトゥストラとかおすすめ
蘭
:「許しきれない」2 months ago を読み返すとより面白いかもしれない
喫煙
:このときは未成年者喫煙禁止法
成人年齢の引き下げに伴い、令和4年から二十歳未満ノ者ノ喫煙ノ禁止ニ関スル法律に改正されている
半間
:「贖いの価格」酉の市 を読み返すとより面白いかもしれない