「あけましておめでとう、ところで新年早々警察署に呼び出される俺のことどう思う?」
「たいへんだよなー」
「かわいそうになー」
「おい、酒」
ユニゾンで揶揄ってくるのが灰谷兄弟で、傲岸不遜に要求してくるのは彼らの王様だ。仲が良いのはなによりだが、何分彼らは親睦を深めるついでにいろいろやらかすのが度し難いところ。
警察署を出て三歩目でする会話として、正しい例を捻り出すのは難しいが、間違ってもこのやりとりがおかしいことだけは確かである。
こいつらマジで相変わらず反省とかねえな。
純丘は彼らを半眼で見返して「俺は未成年なんだよ」と努めて冷静に述べた。
「アルコール類は購入禁止だ」
「俺らも未成年だぜ」
「そうだよな、それなのにどうして未成年飲酒で補導されてンだろうな……」
「そりゃ成人が酒飲んでたところで補導されねえだろ」
「……」
新年
答えた武藤の顔は極々真顔だった。極々まじめにふざけているときの顔とも言い換えられる。
武藤泰宏、そういうとこある。
純丘は少しだけ反論を考えて……口にするのはやめた。
懐かれていると称するべきか嘗められていると称するべきか(たぶんどころではなく後者の比重が大きい)構えば構うだけ減らず口が増えるのは知っている。経験則だ。散々苦労しましたとも。
「……君らさあ、暇か? というか新年早々飲んだくれてるあたり暇だろ?」
「ウワ〜、偏見」
「違うなら謝るが」
「違わねえけど」
「揚げ足取りが好きだよな」
大概まじめに聞く気がなく、純丘の方もまじめに取り合うつもりがない。つまり彼らのいつもの会話だ。
「ちょっと内職する気あるか? バイト代は出せないがおせちぐらいならご馳走できる」
「内職?」
鶴蝶が疑問形で復唱する。その斜め後ろを歩く竜胆が、なんかあったっけ、と言わんばかりに首をひねった。
「実は俺は学習塾を個人で経営しているんだが」
「知ってる」
「……言ってたっけか? 言ってたかもな。まあともかく学習塾やってるんだが」
別に言われてないが把握する方法はいくらでもあるというだけだ。これはちょっとした怖い話。
そんなことは露知らず、特に誰が教えることもなく——そして万一教えられたところで内心どうあれ「へー」で流す——純丘は言葉を続けた。
「チェーン展開できる程度の規模の塾なら、教材は塾自前のとか、市販の教材を使うとか……授業をする各教員の個性はあるが、まあ基本的には指定された同じテキストを使う場合が多い。ただウチは小規模なのもあって、個人個人専用に作ってる」
「……それが?」
「塾生合計百人弱な」
「気ィ狂ってる?」
「他にもっとマシな表現あるだろ」
さすがに純丘もそろそろ限界を感じている人数ではある。
生徒一人につき、少なくて月一回、多くて週数回程度なので授業準備もかろうじて間に合っているが、軽い大学の講堂授業の規模だ。
長期的な対策は後々ひねり出すとして、今は短期で足りない人手について。
「マアお手製っつってもさすがに問題はある程度使い回してるけどな。問題組み合わせてコピーするまでは俺しかできねえにしろ、ホッチキスで留めるのは他人でもできる」
「なるほどな、クソ作業か」
「もっとマシな表現あるだろ……」
「……ア? 組み合わせてコピー?」
とここで声を上げたのは蘭だ。
いったい何に引っかかったのか、眉をひそめた彼は「まさかフクブ」と純丘をじろりと見据えた。
「紙、直に切り貼りしてねえよな?」
「直に」
「紙に手書きの問題鋏で切って貼っつけたり剥がしたりしてねえよなって」
「……なにか問題か?」
「……オマエ、前に竜胆から型落ちしたデスクトップ押し付けられてたよな? 普通に動くだろ、使ってねえの?」
「ああ……」
雲行きが怪しいのは薄々察していたが、かといって嘘をつくにも言い訳にもネタがない。
純丘は素直に答えた。
「なんかつかなくなったからそのままにしてある」
「ボケナス」
「ただの罵倒」
こちらのシンプル罵倒は蘭ではなく竜胆の発言。
型落ちしたパソコンをわざわざ買い換えるタイプの少年は「ボケナスで充分だろ」心底呆れ返った様子で、首を横に振った。
「型落ちっつったってアレも買って一年経ってねえし入ってるOSはXPだぜ、早々動かなくるわけあるかマジでなにした?」
「本当になにもしてないんだが……」
「なにもしてねえのに壊れたとか、まず言ってることがボケナスっつかボケ老人なんだよ……てかガッコで習わねえわけ」
「習っていたら俺は死ぬ気で克服してるな」
「義務教育ってなんのためにあんの」
今回ばかりは純丘も返答に窮した。
なんのためかと聞かれればいろいろあるが、俎上の話題が些か不利だ。
二〇〇〇年前後、コンピュータは迅速に一般家庭に普及した。しかし世情が追いついているかといえばそうでもなく、高等学校でも専門学校でも、パソコンについてまともに習うことは——それこそプログラミングないし工学の専門にでも進まない限り——まず、ない。
確かにパソコンに触ることは触るが、深い機能はほとんど教わらない。もちろん、教えないところも多いだろう。
結果がご覧の有様です。
「てか、扇風機は直せるくせに!」
「たいていの家電はドライバーあればなんとかなるんだよ」
軽い構造の扇風機程度ならば確かにそう。
そしてハードウェアとソフトフェアはかなり勝手が違う。どちらかが弄れるからと言って、もう一方も弄れるとは限らないもの。
ただIoT家電が流行り出した瞬間死ぬタイプの思考回路なことも間違いない。
「……そもそもパソコン直ったところで、俺のタイピング遅いから、普通に切り貼りしたほうが早いと思うが」
「フクブさ、スキャンって知ってる?」
「よくわからない機能には手を出さないことにしている」
「マジで行動がボケ老人……獅音センパイ〜! コイツなんとかしてください〜!」
「なんとかっつったってよォ」
都合のいいときだけ調子がいい。
竜胆は斑目をめちゃめちゃ嘗めているので、本人がいないところでは呼び捨てにしている。斑目の側が気づいていないのは……ある意味幸せなのかもしれない。
一方斑目が呼ばれたことに、一拍置いて、えっ、と純丘は声を漏らした。
「斑目くん、もしかしてパソコン使えるのか?」
「えェ? そりゃ適当に……」
「獅音センパイ、パソコンのカスタムとかもできんの」
補足が本人よりも早い。
「え、カスタムってパソコンでもできるのか? ほんとに!? すごいな!」
「まァ難しいコトは俺も無理だけどよ……」
「いやいやいや俺はまずただのパソコンですらまともにわからねえからすごいまじでほんと」
「そ、そっすかね!」
「おいフクブあんまおだててんじゃねえよ」
心底うんざりとした声色が水を差す。首に手を当てた蘭が、見下すように彼らを睥睨していた。
「所詮そいつ獅音だからな」
「所詮ってどういう意味だコラ」
「てかフクブが雑魚ってだけだからなマジ」
「各方面に失礼かましてる自覚はあるか?」
「……事実を言うのって、なんか失礼なわけ?」
「君は知らなかったかもしれんが、実は俺、腹立つこともあるんだよな……」
失礼かどうかはTPOと言い方と本人の意図によりけりだが、たぶん今のは本気で失礼。
さて彼らの大将たるイザナは、会話を眺めてなにやら思案するように黙りこくっていたが「いいぜ」と、つんとした素振りで言い放った。
「内職、あと獅音貸してやるからパソコン直しとけよ。なァ?」
「ア、うーっす、ヨロシャス」
背中で腕を組んでスッと頭を下げる仕草が堂に入りすぎている。そろそろ見慣れてきたものの、やはり気持ち的には複雑な純丘、そっと視線を逸らした。
そういうの求めてない。
「直してくれるのは願ってもないが……君が許可を出すんだな」
話題も若干逸らした。
「ウチの人手を貸してやるんだから、もちろんまともなメシ出すだろ」
「食えねえようなものはそら出さないが。……腹減ってんの?」
尋ねた純丘に、そうでもねえけど、とイザナは述べる。
「おせち食ったことねえから」
「……ああー、そうなんだ? 施設ってそういうの出ないのか」
「そいや出たことねえな……」
「他ンとこは知らねえけどナ。母親ンとこにいたときも食ったことねえよ」
黒川カレンは、子ども二人がそれなりに腹を満たせる程度の食事は出していたが、年中行事にまで手を回していなかった。振り返ってみれば食事が出てただけマシかもナ、イザナは俯瞰的にそう考える。
だからイザナは、道路ですれ違った同い年くらいの子どものはしゃぎようでクリスマスを知ったし、ハロウィンは施設に入ってからその存在を把握した。
昔は何某かの感情を抱いたかもしれないが、過ぎたことだ。
今はおせちの話。
ちなみに鶴蝶はというと、両親が存命なときに一応食べたことがある。
なんか……美味かったことだけ覚えてる……のレベル。
「わざわざ取り寄せようとも思ったことなかったけど、くれんなら寄越せよ」
「本当にもっとマシな表現あるだろ。……いいけど、そうだな、てことはおせち初めてか」
一瞬思案する素振りを見せた純丘は、続いてぐるっとメンバーを見渡した。
「望月くん、ちょっと蘭つけるからおつかい頼めるか?」
「は?」
突然の要請に当然の疑問符。
「オイ俺の意思は?」
こちらも当然の抗議。
「卵一パックと車海老十匹と鶏肉五キロと人参ごぼうだいこん各五本蓮根三個芹一パックあとこんにゃく好きなだけ頼む」
「いっぺんに言われてもわかんねえよ」
「てか聞けよ」
わりと早口に指折り数えるのでそもそも聞き取れない。
自分より身長の高い輩二人に威圧されても、飄々とした様子である。これは持ち前の胆力というより単なる慣れ。
「この人数だとおやつ程度にしかならん量しか作ってないんだが、おせち初めて人間がいるならも少し豪華にしてやろうかなと。君らもなんかリクエストある?」
「おせちって作れんすか!? すげえ!」
「……そりゃあ、料理だからな……?」
先程とは立場が逆転した。人は己のできることに関して自認が甘かったりする。
とここで挙手が一人。
今に至るまでやり取りを静観していた(放置していたとも言う)武藤だ。
「メシのメニューじゃねえけど、三途呼んでいいか」
「手伝ってくれるならいいよ」
「あと料理やるとこちょっと見せてくれ」
「それも手伝ってくれるならいいよ」
三途春千夜と名乗る少年とは、純丘は初夏の件以降会ってはいない。ただ少なくとも武藤は、東京卍會でもそれなりの関係性を築いているようだ。
「……リクエスト、なんでもいいんすか」
「できる範囲ならな……鶴蝶くんはなにか食べたいものでも?」
「鶴齢の熱燗が」
「聞かなかったことにするから迅速に撤回してほしい」
十代前半の少年に日本酒のリクエストをされても純丘としては応えられない。そも純丘もまた未成年なのでできる範囲外です。
些細なトラブルは変わらずにたくさんある。知らぬふりと諦め多分な妥協と通したい我は通す、ごった煮こそがコミュニケーション。
すなわちこれまた日常ということ。
「フクブくん!」
キッチンの煮沸音に負けない声を張り上げたのは斑目だ。
言われたとおりデスクトップパソコンの様子を見た——すぐに原因がわかった。
「これスリープ状態なだけっす!」
少しの間を挟んで、純丘の返答には困惑が滲んでいた。
「スリープ……?」
「エそっから? えーと、ケータイ閉じてるときみてェなモン」
「あ、ああ〜……?」
曖昧な母音、言葉として成り立っていない。文章の語尾のイントネーションが上がる場合、基本的に疑問形を示す。
わかりやすくわかってない相槌に、斑目はああこれわかってねえなあの顔をした。
キッチンからは表情は見えないが、沈黙にいろいろと察した純丘は「……本当に詳しくないんだ」となんとなく弁明した。
「国大最高峰合格できたの、実は妄想だったりしねえ?」
「オベンキョできんのと頭いいのは話が別ってマジなんだなって俺思うワケ」
「そこ二人は隙を見つけてはすぐ揶揄うのやめろ、ちびっ子でもなかなか許されねえ挙動だからなそれ」
「パソコンも使いこなせねえポンコツがなんか言ってんな」
「壊れたのとスリープ機能の違いもわかんねえとか最近のガキのがまだマシだろ」
「なに言っても俺が不利かよ……」
灰谷兄弟はそのコンビネーションを売りにしているが、べつに人を揶揄うときに発揮しなくてもよろしい。暇潰し代わりにちょっかいを出しているのは明白だ、なんせ脇では望月とイザナと三途が揃ってスマブラをしている——純丘の自宅にコントローラーは三つしかない。
スマブラならどうせ誰かあぶれるし。
とはいえ純丘とて揶揄いへのレスポンスはいろいろと片手間だ。彼は実は(と言うほどでもなく)わりと人情がある方なので、初めて食べると言うならそれなりに気合が入る。
言い出しただけあって驚くほどまともに手伝う武藤と、料理は得意なんでと宣言した鶴蝶——言葉通り、回を重ねるごとに明らかに手際が良くなっている——を携えて、筑前煮、伊達巻き、昆布巻き、芹の汁物を使った雑煮、と品数が増えていく。
ちょうどフライパンが空いたタイミングで、既に下処理をしていた鰤の切り身を冷蔵庫から取り出す。油を引かずにフライパンにイン、両面に焼き目をつけて、更に予め作っていたタレをフライパンに投入。熱されたタレの臭いは換気扇をかけていても周囲に伝播する。
数の子や酢の物は既に野菜室で漬けてある。黒豆に栗きんとんその他多くの品々も完成品がタッパーに小分けに保存されていた。
「……腹ァ、あとどんぐらいー!?」
「……呼ばれてるの俺だな!? あと十分もないから人数分の割り箸と取皿出してくんねえ!?」
「三途」
「ッス」
武藤が短く呼べば、短く応じた三途がコントローラーを竜胆に渡して立ち上がった。「さすがにそれぐらいやらせろよ」純丘のぼやきに、イザナが鼻を鳴らした。
「使えるもんは使うんだろ。正しくなくても賢くってヨ」
「言ったな〜そんなことも……」
過去の発言が揚げ足取りとして返ってくる図。意外と覚えられているものだ。
正しくはないが賢い返答だったので、純丘は大人しく口を噤んだ。
ちょうどそんなタイミングだった。
「部長、パソコンの話で俺思ったんだけどよ、アレもしかして電源はついてて——」
インターホンは鳴らなかった。もちろんアポイントメントもなく、ただこれはいつものこと。
前触れもなくがぱっと開いた玄関に、ぱっと視線が向いた。
場地圭介なる少年は、喋りながらも靴の踵を足先で踏んで脱いで——目を上げたところですべての動きが止まった。
台詞も止まった。
「……は」
「……あっ圭介!? 君今日初日の出見に行ったんじゃなかったか?」
「いやフツーに見て帰っ……待て待て待てなんか顔ぶれおかしくねえ!?」
純丘榎は進学を機に、風呂ナシキッチン共用の三帖間から、ユニットバスつき六帖間の寝室と四帖間のダイニングキッチンの1DKに引っ越した。
本日訪問人数は計八名。寝室とダイニングの仕切りが引き戸なので、全開にして結合することで広さをとっており、ただそれはそれとして玄関からは直にダイニングのほぼ全体が見渡せる。
なにが言いたいかって、ダイニングでスマブラ続行するイザナと望月と竜胆と、紙皿に割り箸を並べていた三途の四人が場地の視界にばっちり映ります。
「ケイスケェ?」
「あ? トーマンの場地じゃね、コイツ」
怪訝に眉をひそめた面々。振り返って、場地の顔を確認した三途が、数秒考えるように視線を落として……〝まあいいや〟と言わんばかりに皿と箸を並べていく。
一方「……イザナ、あれ」「よそ見してていいのかよ」「ッア!?」イザナに目をやった——つまり一瞬画面から目を離していた望月は、ぱっと画面に視線を戻した。
クッパがミュウツーにボコボコにされている。
「テメェこンッ」
「喧嘩の最中に目ェ離してんのが悪ィよなあ」
邪悪に笑う大将様、やっぱりこいつが悪の親玉。クソッと悪態をついた望月がコントローラーを持ち直す。
ちなみにクッパをボコボコにするのには竜胆のピカチュウも一役買っていた。
望月クッパが反撃を始める直前、しらっとした顔で距離をとった後、今度はイザナのミュウツーに背後から攻撃を叩き込む。
「テメェリンドー?」
「いや俺よくわかんね、イッダァ!?」
結局王様に引きちぎらんばかりに耳を引っ張られる迂闊さは、つまりそういうところ。リアル大乱闘に傾かないギリギリの均衡を生きている。
さておき眉をひそめた蘭が、のっそりと(勝手に占領していた)純丘のベッドから身を起こし、ぼりぼりと頭を掻いた。
「おい
「純丘の客だろ」
武藤はあっさり切って捨てた。フライパンを前に真剣な表情、額には汗をにじませている。
「だいたい俺は今鰤焼いてんだよ」
「鰤の一匹二匹テメェがなにしようが変わんねえだろうが」
「……灰谷まさか、オマエ生で食いてェのか……?」
「勝手に偏見で決めつけんなよな〜文脈読めねえの?」
「ハ?」
「はァ?」
「おい喧嘩すんなら外に出てやれー」
室内は途端に騒がしくなった。一瞬の硬直が解ければめいめいやかましい。
黙っていられないのはいつものことだが、さすがに室内格闘技は家主として見過ごせない。純丘はキッチリ釘を刺す。たぶんリアル大乱闘寸前の方もちゃんと釘を刺した方がいい。
ところで部屋の中に充満するのは、魚の脂が焼けるいい香りだ。
テーブルには既に完成したおかずも並んでいる。わりと張り切った純丘とヘルプ人員武藤と鶴蝶の手でところ狭しと。
ぐぅう……
場地の腹が鳴った。
「……ちなみに圭介、君、ご飯食べてくか?」
「……食う」
東京卍會の一番隊隊長が玄関で靴を揃えるさまに「行儀、よ……」竜胆があからさまに引いた声色でつぶやいた。
行儀が良いことに引くんじゃない。
「つうか、いつから知り合いなん」
「ええ? ……いつだ?」
「俺らが五年前、イザナたちが三年前」
「だって」
「だってじゃねえだろ」
なんであの灰谷兄弟に注釈つけさせてんの? の顔をする場地はかなり正しい。箸で豚肉をひとかけらつまんでなかったらもっと良かった。
雑煮に入れていた豚肉だ。小間切れのものを買ってきたので、具体的な部位はわからない。
「灰谷たちと会ったのが、たぶん君が小四上がったぐらい。黒川くんとかはそれよりあと」
「あー……
「今んとこたまに身柄引き取って飯食う程度の仲。灰谷は週三でうち来てるが、さすがに教室開講してる前の日は準備ってわかってっから避けんだよな」
「……部長の家、週三ペースでで灰谷兄弟が来てんの?」
「……そう言われるとなんだかすごく変みたいに思えてくるな……」
「実際変なんすよ」
斑目がぼそっと言った。純丘は微妙に首をかしげた。
反論しないあたり、正直薄々わかっているところではある。
場地は場地で、そんなやりとりを胡乱気に眺めている。斑目獅音——つまり、
「……斑目は?」
「黒川くんのトモダチ」
「犬」
すかさず訂正が入った。
なんとなく、視線が発言者に集まった。
ここまで黒豆を延々とつついていたイザナは「犬」ともう一度繰り返したのち、やはり豆をひとつ摘んで咀嚼する。
「……だそうだ」
場地に視線を戻して、純丘は再び、これは真顔で言った。真顔以外の表情が考え付かなかったともいう。
そーかヨ……と返す場地も、正直、それ以外の語彙が思いつかなかっただけでもあった。
斑目は百は反論したそうな顔でやっぱり黙った。
王様の言葉は? ゼッターイ……。
「そーいや羽宮元気かよ?」
そしてこの空気の中、そんな問いを投げ込めるのはイザナぐらいだろう。あらゆる意味で。
望月などはもはや関わりたくねえの顔を全面に出して、炊き込みご飯を吸い込むように掻っ込んでいる。
「……元気っちゃ、元気だけど」
「フーン」
慎重に返した場地に素気なく返して「そりゃいいナ」イザナは続けた。
「死にそうになってたら俺が殺しに行ってやるとこだったワ」
「言っとくが、羽宮くん、まだ退院してないからな」
「てことはぶち込まれて一年経つだろ、長くね?」
「大将さァ、さすがに強盗先で頭ぶん殴って殺したらそんぐらい入るだろ。教唆でも傷害でもねえんだし」
「ああ、そーかもな。で、純丘」
「なに」
「コイツなんで最近オマエんちに定期的に来てんの」
イザナの目は純丘を無機質に見据えている。
「……観察力高くね?」
純丘は溜息をついた。
勝手知ったる様子で上がり込んだのはもちろんのこと。
デスクトップパソコンの近況を把握していた、灰谷兄弟は純丘が開設した塾の開講日前日には来ないと説明した、という二つの言動により〝最近〟〝定期的に、具体的には塾の開講日の前日に〟〝場地は純丘宅を訪問している〟は確かに、推理ぐらいはできるだろう。
——しかし耳聡い上に頭の回転が早い。
学校で測れるような学力は確かによろしくないとしても、なにかと察しがいいのはさて持ち前の地頭か、それとも野生の獣に類似した鋭敏な本能がそうさせるのか。
なんとなくかっこいい感じで煙に巻けたかもしれないところで話を進めよう。
「塾の準備と進行軽く——あくまで軽くな?——手伝わせる代わりに、一個席設けてんの。バイト代がてら無料塾生コース。範囲外のことをやらせたらお小遣い程度なら出すが」
「現物支給は労基違反だろ」
「竜胆はよく知ってるな〜そも中学生を雇うのは原則として違法だよ」
おちょくるような口調からの落差が激しい。
純丘は淡々と説明しながらも、紅白なますの人参大根を一本一本丁寧につまんで、取皿に取り分けている。
「例外で認可が降りる場合も、親と学校長の同意書が必要だ。まァ一応同意は取ったが、本気の労働契約するよかコッチのがいいよなって話でまとめた」
「フゥン」
簡素な相槌。純丘が喋っている間に黒豆を食い尽くしたイザナは、数の子に箸を伸ばす。傍らでは、武藤がこれも食っとけと三途の取皿に昆布巻きを乗せている。ッス、三途は小さく頭を下げた。
なお鶴蝶はカッカッカッと勢いよく音を立てて筑前煮と白米をかっ食らっていた。ターボ掃除機もかくやの食事スピードだ。
「族やめんの?」
「……やめねえ、まだ」
「三者面談か?」
「純丘いっぺんぶん殴ってわからせた方がいいよなァ?」
「俺は君の今の拠点を躊躇なく万次郎にチクれる人間だ、という事実を心した上で殴ってくれ」
「ハーやりづれ……」
音高い舌打ちをひとつ。見るからに苛つくイザナを純丘は意に介さず、今まで淡々と集めていた紅白なますを、すべてまとめて蘭の取皿に乗せ直した。
無言ながらも雄弁な視線が灰谷兄弟の兄の方から注がれているが、こちらもまた意に介さない。君がさっきから海老しかつついてないの知ってるんだからな。
ちなみに竜胆はそのへん自分で執拗なまでに気を遣うので、純丘も手は出さない、余計な世話を焼くと場合によっては乱闘に発展したりする。
これについては前科があります。
「族やめろって言いてえのかよ」
「ア? なんで俺がテメェが族やるかどうかなんざ、口出さなきゃいけねえワケ。喧嘩売ってんのか」
「売ってねーよなんでは俺が聞きてェんだけど!?」
めちゃくちゃ逆ギレしてくる。勢いに合わせて場地も軽くキレる。
立ち上がり、アァ? ァアン? とメンチを切り合う貫禄は立派だが、片方は十四歳、片方は十七歳の争いだ。到底そうは見えない。
いつ仲裁すんのがいいかなあ、家主はおせちをつつきながら、彼らのやり取りをじとっと眺めている。下手を打ってマンションから苦情が来れば困るのは純丘だ。
周囲は野次を飛ばすかこの隙におせちを食べきろうとするかの二択、アテにしてはいけないし元からアテにしたことはない。野次は飛ばすなマジで。
どう足掻いても不良行為少年たち。基本的によろしいならば暴力だの世界で生きている。
ごくごく自然な(?)動作で胸ぐらを掴もうとしていたイザナは、しかしふと止まって、すとんと腰を下ろした。利き手に割り箸を持っていたせいだ。さすがに武器——に、できるもの——を持っていたら本当に殺しかねない。
喧嘩のセンスと、躊躇わない思い切りの良さ。喉笛を刳り込むだけでも重傷までは追い込める。
イザナは、もちろん、気にしない。
ただ、ここで流血沙汰をやらかせばうるさい輩が約一名。
殴って済むならまだしも、寝床を抑えられているのが面倒だ。
「やっぱやーめた」
「……なんだよマジで……」
唐突に戦闘態勢を解いたイザナを、困惑もあらわに、場地は見下ろした。
「まァせいぜいガンバレヨ」
イザナは、素のフローリングに片膝をついている。膝の上に肘を乗せ、馬鹿にするように、目を細めて笑う。
「テメェやテメェらがなにしてようと俺は心ッ底どーでもいいし興味ねえけど。ナマやってたら俺がブッ殺してやっから」
目が爛々と輝いていた。馬鹿にするように笑みは歪んでいた。
冗談だと笑い飛ばすには、馬鹿にする
ふん、と鼻を鳴らす音ひとつ。
「テメェのケツはテメェで拭くんだよ。横から口出させるわけねえだろ」
「だとイイナー」
……丸く収まったのかもしれない。
しかしマジでヤンキーわからねえ。しみじみと思いながら、純丘はもそもそと車海老の頭を食んでいた。
一触即発までシームレスに移行するくせ、そこから談笑に至るまでもやはりシームレスだ。暴力行為に忌避感がない文化独特のコミュニケーションといえば確かにそう。
……なのだろうか?
「……てか俺らが九十九里行くとき、呼んでも来なかったじゃねえかよ、武藤クン」
さておき、まだ場地の心持ちはいろいろと納得行ってない様子。
刺々しい口調に「ああー」納得の声を上げたのは斑目だ。
「
「あ〜そいやあれで店まで
「てか車どうした? 三軒目? 四軒目? くらいから歩いてったらフツーに忘れてったよな」
「俺も署出てから思い出して三途呼ぶがてら回収頼んだ」
「とりあえずいつものガレージ入れてきました」
無免許運転、未成年飲酒、飲酒運転、いやはやトリプルコンボである。純丘は死んだ目で紙コップの麦茶を飲み干した。
つーかよくもまあ今まで死んでないな、君ら。
「いや、車出すのダリィっつってたよなオッサン!? 自分は飲みかよ!」
「オッサン」
そしてそこじゃねえだろのツッコミにそこじゃねえだろの復唱。
やべしまったの顔で場地は着席した。
たぶんだいぶ手遅れ。
「ぶふっ、
「テメェら同い年だろうがよォ……」
途端に蘭は、ばしばしと机を叩いて笑い転げる。一番わかりやすく決壊した他にも、仲良く少年院出身メンバーはけらけらゲタゲタまあうるさい。
低い声で唸る
「隊長まだ十七だぜ、確か」
一方、ぼそっと言ったのは三途である。これ自体は曲がりなりにもフォローの意思が垣間見えた発言だった。
「……いや十七はオッサンだろ、合ってんじゃねえか」
「は?」
ただ一瞬で雲行きが怪しくなった。
なんだかんだ場地と三途は同い年。あまり知られてないけどついでに幼馴染。思考回路は似通うもの。
場地の言を受けて、ちょっと首を傾げたかと思えば。
「マァそーだな」
「だろ」
「はァ〜?」
雲行きが怪しいでは留まらず、不穏が一気に立ち込める。ニアピン十六歳の竜胆は、さてどこ味方するのが一番面白いかなの顔で静観している。
盗んだバイクで走り出す十五歳にすらまだ届かず、大概無敵のお年頃。気概だけはと注釈がつく。
王様御一行よりも、十四歳組のが歳が近い鶴蝶は、実はこっそり同意していた。ただ里芋と筍を頬に詰めていれば喋れまい。
命拾いしたな。
「喧嘩すんならほんとに叩き出すからな?」
純丘はげんなりとそう述べた。
すかさずビッと親指で示してくる指先を、億劫ながらも振り払う。
「俺らがオッサンなら純丘はなんだよ」
「巻き込むな」
「確かそろそろハタチだよな? ジジイじゃねえか」
「黒川くん、君も二年後には今の俺と同い年なことを忘れるなよ」
「え〜じゃあ俺永遠の十七ってことで」
「なら俺永遠の十六」
「軽々しく永遠を語るな」
楽しそうでなによりだ。これは皮肉。
首を横に振って、純丘はぐるっと周囲を見渡した。まあ食べ散らかし放題の有様、掃除が大変なのでそろそろ動き出さねばならない。
「ゴミ分別して片すからもう飯食わねえやつは手伝ってくんねえ」
「食う」
「まだ食う」
「片付けしたくねえからもうちょい食う」
「左様でいらっしゃる……」
「なあコレつまみにいいよな、酒どこ?」
「俺は未成年です」
「……だから?」
「うん言い方が悪かったな、酒のストックはないし俺の前で酒を飲もうとするな」
たぶん成人したとしても、しばらく純丘は自宅に酒を置かないと心に誓った。絶対見つかるので。週三で家に上がり込んでるどこぞの兄弟とかに。
純丘が住まうマンションのゴミ捨て場は屋内なので、二十四時間ゴミ出し可。これは明確な利点だ。傍若無人の権化たちをいなしつつ振り回されつつ、純丘は望月を助っ人に大量のゴミを持ってやってきた。
貸し借りを引き合いに出せば比較的言うことを聞いてくれるので、非常に助かると純丘は思っている。着々と苦手意識を築かれている事実には気づいている。
「純丘」
「ん? ぜんぶ燃えるゴミだからここに重ねてくれ」
「それは見りゃわかる」
「なによりだ」
紙皿と紙コップと割り箸と生ごみ類を詰めたゴミ袋。三ヶ日にゴミ収集車は訪れず、結果住民たちのぶんが集まって山と重なった可燃ゴミの上、更に乗せる。
純丘は律儀にペットボトルのカバーを剥いで、キャップとともに一緒に持ってきていたゴミ袋に突っ込んでいく。容器のペットボトルはまた別の袋へ。
1DKに体格のいい少年十人以上詰めていると、さすがに分別するためのスペースがゼロだった。今のタイミングだとゴミ捨て場に人がいないからこそできる所業だ。
「あいつら会わせてよかったのかよ」
「どの組み合わせだ」
「イザナと
「ああ。知らね」
出し抜けに投げられた問いに、純丘は首を横に振った。
「俺もあのへんがどう決着ついたのかはよくわかってない。ただ、なんか話してたのは知ってるから、最悪にはならんと踏んだ」
「お気楽だな」
望月はつぶやいた。
「そーかもな」
純丘はゴミ袋の口を巻くようにして紐状にし、きゅっと固結びにする。
「でも俺がいろいろ口出す話か?」
「違ェわな」
「だろ」
ペットボトルのキャップとカバーが詰まったゴミ袋は、プラスチックごみのコーナーへ。本体はリサイクルごみのペットボトルコーナーに。
「けっこう気ィ遣うよな、望月くんは」
「似合わねえってのかよ」
「イメージになかったのはそうだけど。気遣いは、似合う似合わないの話じゃないし、咎められることでも、馬鹿にされることでもないと俺は思う」
これにて任務完了。二人ともエントランスの方へと踵を返す。
マンションの構造上、室外より室内の気圧は低くなりがちで、扉の動作はそのぶん重く手応えを与える。
「俺は、君らの考えがいまいちわからないことのが多い。だから失礼なことを度々言ってるだろうし、これからも言うだろうとは思うが、ただ、君らを馬鹿にしたいわけじゃねえのよ」
エレベーターは一階に止まったままだった。開いた自動扉の片方をてのひらで抑えて、純丘は慎重な様相で述べた。
なんとなくそういう気配は感じ取っていたので「そーかよ」と望月は短く応じた。
既に背を越した頭は目線も少し異なる。
「まあわからないからこそ、言われないと気づけねえし、そのへん教えてくれると助かるが」
「灰谷にやらせろ」
「あいつら俺に要らねえって勝手に判断した話、勝手に弾くからあんま信用ならねえの。望月くんそのへん俺への忖度より自分とか仲間内の優先してくれるだろ」
望月は辟易とした顔で純丘を見下ろした。
純丘は傍らの反応などどこ吹く風。軽快な手つきで、エレベーターの階数ボタン、閉ボタンを押す。
ドアが閉まります。とは、マンションのエレベーターは言わないところも多い。
「オマエら、なんなんだよ」
「俺もちょっとよくわかってない」
先輩と後輩。元同じ部活のメンバー。
そう題するにしては性質の異なる関係。
ただし、強いて名前をつける必要も、実はない。
「竜胆」
「ん」
隣に滑り込んできた鶴蝶を、竜胆は一瞥した。画面の中ではミュウツーとピカチュウが死闘を繰り広げている。
竜胆の左隣にはもちろん鶴蝶がいるわけだが、右隣はイザナが陣取っていた。
イザナは、膝の上で栗きんとんの入ったタッパーを独占しており、時折スプーンでたっぷりと掬っては一口で食べるのでハイスピードで中身が消えていく。
確かそれフクブの計量スプーンだよなあ、デカい方の。竜胆は思ったが、持ち主にバレたところでクソデカい溜息を吐かれる程度だとは予想がつくので、指摘はしない。
イザナの機嫌を損ねる方が面倒だし。てか絵面が面白いし。
そんなかんじ。
「蘭なんだが」
「……あー。あんまちょっかいかけねえ方がいいぜ、今」
「……マジでだいぶ機嫌悪いな」
鶴蝶が様子を窺うその先、話題の人物が、武藤や場地や三途といった東京卍會のメンバーと、わりと和やかに談笑している。
最近鶴蝶がカチ込みした事務所の話とかクラブで流行ってる
談笑自体は和やかに成立している——が、S62世代および、王様に連れられて彼らと深い交流がある鶴蝶には、さすがに付き合いを数年続けているだけの経験値がある。
髪の毛警戒色の男は、珍しいほどに神経をささくれ立てていた。
蘭の様相を警戒して、武藤もいつにも増して会話運びに慎重で、口数が減っている。普段から饒舌ではないのでわかりにくいけれど、確かに、明確な差だ。
「まあしゃあねえんじゃね。兄貴、縄張り意識強ェし、場地が入ってきたの寝る寸前ぐらいだったから神経立ってんだよ」
さっぱりとした口ぶりで竜胆は言う。コントローラーを叩く指は軽やかに、ピカチュウが技を繰り出す。
画面内ではミュウツーが踊るように対抗。両者のアバターが空中でぶつかり合う。
「いや、蘭もだけど」
「ん?」
「オマエも結構イラついてんだろ」
ピカチュウがステージから吹っ飛んでいった。空中ジャンプが一歩間に合わず、そのまま落ちていく。
勝者、イザナ操りしミュウツー。
「鶴蝶、ナイス」
「狙ってねえ……」
己の下僕をご機嫌に褒め称えるイザナに、鶴蝶の訂正は届かない。
しばらく沈黙していた竜胆は、不意に、ゆらり、立ち上がる。
「獅音センパイ獅音センパイ、そろそろ俺交代しますよ」
「あマジ?」
「まじまじ。てか獅音センパイ、メシ食う以外だいたい機械音痴の尻拭いやらされてたでしょ。息抜きした方がいいっすよ」
「っぱ竜胆わかってんな」
イザナと鶴蝶は、しばしの間、しらっとした目で竜胆と斑目の会話を眺めていた。それからどちらからともなく画面に向き直った。
「鶴蝶次相手しろよ」
「良いけど……」
「ヨッシーでな」
「ドンキーコングがいい」
「ハー? 我儘な下僕だな」
「ドンキーコングにするぐれェ、いいだろ!?」
「ゴミ出し行ってる間にオマエらだけで楽しんでんじゃねえよ」
「喧嘩はマンションの外まで出てからやってくれ」
ゴミ出し組も帰宅した模様。本当に悔しそうに望月が言う一方、サンダルを脱ぎ捨てた純丘はそのように釘を刺す。
「……というか黒川くん、まさか栗きんとん君が食い尽くしたのか?」
「なんか問題ある?」
「ないが、なんで大さじで食ってんだろうと……」
「お玉突っ込むには皿が小せェだろ」
「そういう問題なんだな」
XP
:二〇〇五年なので
パソコンのカスタム
:あえて斑目獅音ができると一番いいなって思った
おせち
:あくまでも捏造
自分より身長の高い輩二人
:灰谷蘭183㎝
望月莞爾192㎝
見上げたら首ヤバそうだな……と思います
鶴齢
:日本酒の銘柄
音と字面が似てたので言わせました
スマブラ
:大乱闘スマッシュブラザーズDX
二〇〇一年十一月二一日発売
コントローラー
:純丘榎
灰谷蘭
灰谷竜胆
占めて三つ
初日の出
:25巻223話
オッサン
:25巻223話