何で二次創作でもヒーロー側ばっかりなんでしょうね。偶には敵側メインの作品があってもいいと思うんですよ。
という訳で「言い出しっぺの法則」に従い書いてみました。
四月。季節は桜舞い散る春。
世界人口の八割が「個性」という特殊能力を持つ時代の日本の中心部、個性を活かした「ヒーロー」という職業を目指す者が集う教育機関の最高峰・雄英高校の校門を、新品の制服に身を包んだ一人の少女が潜る。
沈む太陽の如く燃えるオレンジの髪に、この世全ての輝きを詰めた様な琥珀の目。
同年代に比べやや落ち着いた雰囲気を纏う様に感じる少女──藤丸立香は、どこか愉快気に口角を歪めながら口を開いた。
「うーん、何度目かの学生生活。合計したらそろそろ百年行くかなー?」
『ふふ、そうかもしれませんね』
『しかしマスター、先ずは御入学おめでとう御座います。私も貴女のサーヴァントとして誇りに思います』
『そう感動するでないセイバー。我等のマスターなのだ、この程度出来て当然というものよ』
『英雄王、折角のムードに水を差さないでもらおうか』
『贋作者、貴様我に意見するのか?』
「はいはい、ママも王様も喧嘩しないで下さい」
『私はママではない!』
『......マスター。何かあれば、いつでも』
『私達を呼びなさい。私達は貴女の仲間であり友、家族だけれど、同時に剣であり盾なのだから』
『左様に御座いますマスター。それに此度の場、ある意味アウェーと言って差し支えない。用心に越した事はないかと』
『■■■■■ーーー!』
「ありがと。その時が来たら遠慮無く呼ぶから」
立香は脳内に響く声達に返事をしながら、傍目には独り言にしか見えないやり取りを繰り広げながら進む。
「それじゃあ探そうか。私が三年間お世話になる、雄英高校普通科の教室を」
「おっはようございまーす。一番乗り~......じゃなかったみたい」
辿り着いた一年C組の教室、誰も聞いていないだろうと思い少々ふざけた挨拶混じりに扉を開いた立香だったが、そこには先客の姿があった。
自分と同じ制服に、紫のツンツン髪、眇る様な目付き。デフォルトで不機嫌と思われる様な面構えの少年だ。無愛想なランスロット(セイバーの方)に見えない事もない......かもしれない。
立香は「なんだコイツ......」という視線を向けられつつ、少年に歩み寄って手を差し出す。
「やぁやぁ初めまして、私は貴方のクラスメイト(予定)の藤丸立香。宜しくね? それで貴方のお名前は?」
「...よろしくしねぇよ」
「はぁ~? そこは社交辞令でも宜しくって言うところでしょう? 名乗ったんだからそっちも名乗る、コール&レスポンス。OK? それとも何、君はそんな社会常識すらご両親から習わなかったのかな? あ、もしかしてご両親も頭すっからかん──」
「だぁー!! うるせぇし失礼な奴だな!? 心操人使だよ宜しくなっ!!」
「よろしい。これから宜しくね人使君?」
立香の怒涛の様に捲し立てられる罵倒と煽りに耐えきれず、つい名乗ってしまった少年こと心操人使。
立香は勝手に人使の手を取り、乱暴に握手しながら振り回した。
そして暫く。強引な自己紹介の後にぞろぞろと他の生徒達も教室に入り始め、立香も自分の席に着く。
それからチャイムが鳴ると共に担任教師が入室し、最初のホームルーム──即ちクラス全体の自己紹介が始まる。
五十音順で一番から起立・名乗り・拍手・着席を繰り返し、後半の始めである立香の番がやってくる。
立香は意気揚々と立ち上がり、明朗に自己紹介を始める。
「イギリスのアニムスフィア天体学園中等部からやってきました、藤丸立香です! これから宜しくお願いします!」
立香の紹介に拍手が鳴り、それが収まってから担任がやや驚いた様に口を開いた。
「そうか、君があの......」
「? "あの"って、どの...?」
担任が何の事を言っているのか分からず、立香が疑問を返す。すると担任は......
「我々教師陣の間では有名だよ君。だって──」
「"ヒーロー科の推薦・一般の両方の入試を首席合格しながら、両方蹴って普通科に入った異端児・藤丸立香"。君の事だよね?」
「あっはい、それは私ですね」
立香が何でもない様に肯定すると、一拍して......
『はあああぁぁぁぁぁぁあああああっ!?』
人使も含め、立香と担任以外の全員が絶叫した。
※重要事項
英霊召喚、限定召喚、夢幻召喚等々は個性ではなく、本人の技能です。