K月s日『今日も平和である』
昼食に都市の大衆的なパスタ店でカルボナーラを食べてから、この日記を書いている。
なんというか、他の転生者がこの世界で広めた料理って、ハンバーグとか唐揚げみたいなメジャーな物が大半で、こう…痒いところに手が届かない。このカルボナーラとかがまさにそれだ。
ピザはあってもパスタは種類が少ない。炒飯があっても回鍋肉が無い。
前世ではサバゲーイベントに参加する傍ら、道中で食べるグルメも楽しんでたからか、そういう「同ジャンルで一番最初に浮かび上がるってわけじゃないけど2、3番手ぐらいにはメジャーな料理」が少ないと感じてしまうんだよなぁ…
まぁカルボナーラはともかくとして、回鍋肉は仕方ない部分もあるか。あれにはキャベツやピーマンなど、この世界では各地をビュンビュン移動する傍迷惑な野菜が使われてるのだから。
というか、ホントになんでこの世界の野菜は飛んだり凶暴なのばっかなんだろうか…よく壊血病とかにならなかったよな。新鮮な野菜や果物を摂取できないと、わりと怖い病気だが。あとビタミン摂りにくそうなのに肌荒れしてる人がまっったくいない。運動するからか?わからん。
「本当に
「言っただろう?領主であるアルダープ卿の政策で、アルモーダンとアルダープ領の各主要都市との間で、且つ冒険者のアルモーダンへの依頼受注の場合のみ、テレポート屋の代金は税で賄われるようになっているんだ」
アルモーダン、西ゲート。
東西南北に設置されている通行ゲートに併設されたテレポート屋から、カズマたち四人が出てきた。その足で、四人は通行ゲートの歩行者用カウンターの前に向かった。
「ようこそ、技術都市アルモーダンへ。この街は初めてですか?」
「私以外の三人は初めてだ。悪いが、説明を頼めるか?」
「はい」
受付嬢の問いかけにダクネスが答えると、受付嬢はスラスラと手慣れた口調で話し始めた。
「まず、この都市では治安維持の関係上、武器・防具・魔道具の類いは全てこの通行ゲートでお預かりさせていただきます。こちらのカウンターに、皆様が所持している該当の品をお出しした後、こちらの書類にお名前と預ける物をお書きください」
「ああ。皆も出してくれ」
そう言って、ダクネスは自分の鎧と剣をカウンターに置く。顔を見合わせたカズマたちも、それぞれの武器や杖をカウンターに置き、書類に必要事項を書いた。
「…サトウカズマ様の短剣と弓矢、アクア様のロッド、めぐみん様の杖、ダクネス様の剣と鎧…ですね。たしかにお預かりしました。では、こちらのプレートをお渡ししますね」
カウンターに置かれたそれぞれの武器に、各自で書いた書類が貼り付けられて、男性の職員複数人がカウンターの奥へ持っていった。それを確認した受付嬢は、カウンターの下から4枚の鉄製の小さな板を取り出した。
「こちらのプレートは、皆さんが武器を預けた証明書のようなものとなっています。アルモーダンからお帰りの際は、必ずこの西ゲートへ、このプレートを持って来てください。都市内でこのプレートを紛失された場合、面倒な手続きが必要な上に再発行の手数料もかかりますのでご注意を。また、他の3か所のゲートでは、このプレートは無効です。必ずここのカウンターに、このプレートをお持ち込みください。それでは、長々とした説明を聴いていただき、感謝します。是非、アルモーダンをお楽しみください」
「皆、プレートは持ったな。では行こうか」
受付嬢が会釈すると、ダクネスの先導で四人はゲートをくぐった。
「おぉ…」
「ほぉぉぉ………!!」
ゲートの先に広がっていたのは、アクセルのような町並みとはまた違った異世界、所謂スチームパンクな異世界とでも言うべき光景が広がっていた。
舗装された石畳には鉄製のレールが埋め込まれ、ガタンゴトンと音を立てて蒸気を吹き出す、二両編成の路面鉄道がその上を走っている。大通りは見晴らしが良く、両端には雑多な種類の店が延々と街の中央へ向かって並んでいる。
商品を手に取って客に説明する店主や、店を指差して中に入る数人のグループ、小物屋と思われる店から買った商品を大事そうに抱える子供の姿を暖かい目で見る親…まさに『大都市』というべき光景が広がっていた。
「カズマカズマ!」
「カズマです」
「あの店から紅魔族の琴線にビシバシクる何かを感じます!行きましょう!」
「今日はこっちの冒険者ギルドに用があんだろ。行くにしてもある程度稼いでからだ」
「…しかし、相変わらず賑やかな街だな」
何やら黒を基調とした怪しげな店を指差して子供のようにはしゃぐめぐみんを抑えるカズマは、ふとどこか懐かしげな顔をしているダクネスの方を向いた。
「そういやダクネス、この街に来たことあるんだよな?なんか懐かしんでるけど」
「ん?あぁ、父う…ん"ん"ッ!今回受ける依頼とは別の依頼を受けるために、何度かな」
「へ~…で、アクアはどうしたんだよ」
ダクネスの横に立つアクアは、どこか不満げに顔を歪めて腕組みをしていた。
「…アタシここキライ」
「は?」
「思い出したのよ!ここの領主はね!この街から私の可愛い信徒たちを、あろうことか教会ごと追い出した外道よ!人でなしよ!?」
「………それぜっったいお前らが原因だろ」
「はぁ!?カズマまで私の信徒たちが悪いって言うの!?この裏切り者!」
「そもそも俺はアクシズ教じゃないんだよ!」
「皆。まずはアレに乗ってこの街の冒険者ギルドへ行くぞ。こっちだ」
ダクネスが指差したのは、カズマたちが出てきたゲートから見て右の方から走ってくる路面鉄道だった。
「は?…アレって……どう見ても路面電車…いや、蒸気で動いてるから路面機関車…?まぁいっか。ほら、さっさとダクネスに続くぞ」
四人は走って路面鉄道に近づいていく。そして、ダクネスは後部車両の手摺を掴んで走行中の路面鉄道に飛び乗った。
「さぁ、こっちだ」
「ほぃっと」
「よっ。おいめぐみん!」
「はぃ!っとと…ありがとうございます」
ダクネスに続く形でアクアが飛び乗り、カズマは飛び乗った後で最後尾のめぐみんの手を掴んで引き寄せる。こうして、四人は無事に乗車した。
「四人分だ」
ダクネスは運転席に座る運転士に声をかけ、ドアの横にある縦長の箱に懐から出した硬貨4枚を見せ、箱にある穴にいれた。運転士はそれを確認すると、被っている帽子のつばを持って軽く会釈し、運転席の左側にあるカウンターのボタンを4回押した。
「この路面鉄道は、アルモーダンの名物でな。どこまで、誰が乗っても、一回一人100エリスなんだ。この都市の交通の要とも言える」
「へ~…」
「気に入りました!この、ろめんてつどう?なるもの、是非紅魔の里にも造ってほしいです!」
「それは無理だろうな…領主のアルダープ殿は、こういった技術の流れ…特に都市からの技術の流出に関しては特段厳しい方なんだ。この路面鉄道も、魔王軍などの手に渡れば、改造されて都市に突撃する兵器にもなりかねないからな。銃器も、ゴブリンやコボルトのような、比較的弱い下級兵士の強化に繋がるとして、都市からの持ち出しを禁じているんだ」
「なるほどな…なんだかんだでそこら辺はしっかり対策してるってわけか」
『間もなくー北西冒険者ギルド前ー。北西冒険者ギルド前ー。お降りのお客様は、お忘れ物の無いようご注意ください。北西冒険者ギルド前ー。北西冒険者ギルド前でございます』
「ここだ。皆降りるぞ」
やがて、四人を乗せた路面鉄道はゆっくりと簡易的なホームに停車した。
「ここがか。アクセルのとは違う感じだな」
「ああ。この都市は広いからな。冒険者ギルドは北西・北東・南西・南東の4ヵ所に分割されていて、どこでも共通で依頼を受けられるんだ」
そうして四人は、アルモーダンの冒険者ギルドへ足を踏み入れた。
冒険者ギルドに入った四人は、ダクネスを先頭に進んでいく。
壁の中に建設されてるとは思えないほど高い天井に、三階まで造られた吹き抜けの内部にダクネス以外の三人がキョロキョロと見回していると、一行は受付嬢が立つカウンターの前にたどり着いた。
「ようこそ、アルモーダン冒険者ギルドへ。本日はどのような御用でしょうか」
「ゴミ収集と地下水道清掃の依頼を受けに来た。用意をお願いしたい」
「かしこまりました。では、まずはこちらを」
そう言った受付嬢は、カウンターの下からよっこらせと四つの細長い円柱状の籠を纏めた背負い袋と、何かのパーツが付いた掃除用具をそれぞれ二つずつ取り出した。
「依頼って、ゴミ拾いと下水道掃除のことだったのか…」
「それぞれお二人ずつの受注でよろしかったですか?」
「ああ」
「では、内容の説明をしますね。こちらの籠には都市内のゴミを、可燃ゴミ、生ゴミ、鉄くず、瓶の四つに分別して回収してください。その後、ゴミを都市内の再生工場へ持っていっていただき、精査の後に報酬が確定します。また、地下水道の清掃は、必ずこちらで用意した道具で清掃してください。浄化魔法では報酬が大幅に減額されるのでご注意を」
「なんで浄化魔法がダメなのよ!そっちのほうが綺麗になるじゃない!」
受付嬢の説明に、アクアが噛みつくように文句を言った。それに対し、受付嬢は苦笑いしながら答える。
「…以前、他の冒険者の方が清掃した箇所を「浄化魔法で清掃した」と偽った事件や、他の冒険者の方が清掃しようとした場所を浄化して横取りした、といったトラブルがありまして…それ以降、虚偽の報告などを防止するために、浄化魔法での清掃は大幅な減額を課すことになっているのです。ご了承ください」
「知らないわよそんなの!アタシたちと関係ないじゃな「お前は一回黙れェい!!」いっだあぁぁ~!カズマがぶったあぁぁぁ!!またぶったあぁぁ!」
「………あの…いつもこんな感じですか?」
アクアとカズマの取っ組み合いを見て、受付嬢も苦笑いの奥に少し呆れたような様子を見せ始めた。
「あぁ…騒がしくてすまない」
「苦労されてますね…では、依頼の方、頑張ってください」
「アクア。すまないが、私と地下清掃を頼む。カズマはめぐみんと都市清掃を任せてもいいか?」
「ん~、まぁ仕方ねぇか。わかった」
「了解しました。そちらは頼みますよ」
「なんだお前ら、ゴミ拾いに行くのか?」
カズマたちが二組に別れてそれぞれの依頼に向かおうとすると、少し体つきががっしりとした冒険者が話しかけてきた。
「ゴミ拾いだよ。悪いのか?」
カズマが顔をしかめながらそう返すと、冒険者は一瞬「ん?」といった顔をしたが、カズマの反応の理由を悟って手を振って話し始めた。
「…あぁ、
「マジか…悪かったな」
「いいんだよ。俺も言い方が悪かった。よけりゃ、これ持っていきな」
そう言って冒険者がカズマに差し出したのは、手書きのような地図だった。
「何だコレ…地図?」
「ゴミがこの都市のどういう所に集まりがちかを描いた地図さ。ここの冒険者たちは皆持ってる。ただし、あくまでよく落ちてるってだけだから…まぁ、目印程度にゃなるはずだ」
「おぉ…ありがとな!」
「頑張れよー」
そう言った冒険者は、軽く後ろ手を振って街の外へ繋がる門の方に歩いていった。
「………なんだろう、此処に住もうかな…」
普段クセの強いメンバーたちやチンピラ冒険者(主にダスト)に囲まれているカズマが、久しぶりに人の暖かみを感じた瞬間である。
さて、いかがでしたか?
アルモーダンは領主本人のジョブが冒険者であることや、色々と冒険者を助ける法令を整備したことで、わりとマトモな冒険者が多い(という設定)
次回から本格的に綺麗なアルダープを主人公たちと絡めたい…
いつになるかはわからんけども。
ということで、いつになるかは未定ですが、また次回。
連載すべき?
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是非してほしい!いやしろ(豹変)
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過労死されちゃいそうなのでしないで
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晩御飯おいちい!!