【完結】ロリコンハゲトレーナー(仮)に拾われたら地獄でした   作:シェーク両面粒高

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最終話 はじまり

「──っとと!」

 

 崩れた体勢から足を地面に伸ばし、何とか着地に成功しました。しかし加速する余裕はなく、流れていく体勢を立て直しに終始しました。

 間一髪、転倒には至らなかったようです。ギリギリセーフでした。あの廊下の時みたいに地面と幸せなキスはもうしたくないです。

 

『2番、転倒せずに踏みとどまりました! 故障はないでしょうか!?』

『しっかり足底から着地していたし、膝も曲がって衝撃を吸収できていたようには見えたが』

 

 聞こえてくる実況は私の体を心配しているようでしたが、脚には痛む箇所も感じませんし、大丈夫なようです。こんなところで故障して勝負に負けるなんてお笑い種になること間違いなしなので、ひとまずは良かったです。

 

 2バ身半差まで縮めていたワル子と私の差はまた少し離れ、4バ身ほどまで開いていました。ここでこれ以上離されるわけにはいきません。再度加速して、ワル子の背中を追っていきます。

 すべての障害はクリア、あとは急坂を超えてゴール板を目指すだけです。

 

「はあっ! はあっ!」

 

 聞こえてくるのはワル子の喘ぐような息遣い。さっきよりも離されたとはいえ、もうワル子の体力はありません。すでに急坂を上り始めているワル子ですが、目に見えてめちゃくちゃ遅いです。

 

(飛越でミスしちゃったけど、ワル子があんなならイケる!)

 

 急坂に差し掛かる直前、勢いをつけて上るために足を強く踏み出す──

 

 ──がくっ

 

(……なっ……!)

 

 踏み出した右足の膝が折れ、かくんと前にバランスを崩します。

 ならばと次に出した左足も──

 

 ──がくっ

 

 左足も、踏ん張ることができません。

 両足に力が入らなくなっています。つまり──

 

(私も……スタミナ切れ──!?)

 

「っぐ、かはっ……はっ、はっ」

 

 そこで聞こえてきた苦しそうな息遣いは、自分の口からでした。

 

『2番も大きくスピードを落としています! 故障ではないとすると、こちらもスタミナ切れでしょうか!?』

『2人とも障害初挑戦だからな、無理もない。障害数11の3350m、よくここまで明らかな失速なく来れたものだ』

『1番2番ともにスタミナ切れのまま最後の急坂へ! 果たして勝負はいったいどうなるのか!?』

 

 いつの間にか、私もスタミナが切れていたようでした。ここまで順調にレースを運べていたのに、ここへ来てなんで……

 

「はあっ、はっ、はっ……ぐぅう」

 

 耳に聞こえる呼吸の音がうるさい。

 体の中心で鳴る心臓の音がうるさい。

 酸素を求める肺が煩わしい。

 力の入らない両足が煩わしい。

 両腕を振ることさえ苦痛に感じる。

 体と顔を起こして目を開くことさえ苦痛に感じる。

 

 そして、ワル子との距離は縮まらなくなっていた。

 

(ここまで……なの……? これで終わり、なの……?)

 

 もう、自分の身体にスタミナが残っていないことは明らかでした。

 負けてワル子の命令を聞かなきゃいけないとか、今はもうそんなことはどうでも良くなっていました。ただ、このまま負けてしまうことへの悔しさで、体はいっぱいになっていました。

 

 担当トレーナーを見つけらず、トゥインクルシリーズにデビューさえできず無為な学園生活を送り、同級生が進んでいくのをただ見ているだけ。ハゲ男にうまく唆されて、挙句の果てにカンニングまがいの特訓をしたうえでの模擬レースにさえ負けてしまう。

 

 なんてくだらないレース人生なのでしょう。我ながら本当に救えない。

 

 ふいに、脚が緩んできました──

 

 ◇

 

 急坂を前にして体力が尽きた様子のレオをトレーナーは真剣な面持ちで見ていた。普段の気楽な調子はそこにはなく、1人のウマ娘を客観的に分析している中央トレセンのトレーナーの姿があった。

 その横に、神妙な面持ちでレースを眺めるサクが控えていた。

 

「レオさん……」

「あ~……なんでそこで諦めるんや。勝てるのに……もったいない」

「トレーナーさん……しかし……」

「……まあ、元はと言えば、俺が無理やりやらせたようなもんやったからな。……サクだって分かるやろ、スタミナが切れた()()()で諦めるウマ娘は障害レースなんて走れん。あの娘には無理やったってことや」

「……」

 

 サクは彼の言葉に言い返せないでいた──『スタミナが切れたぐらいで諦めるウマ娘は障害レースなんて走れん』──その意見自体には、彼女も賛成だったからだ。

 

「身体のわりに跳躍力は目を見張るもんがあっただけに残念やな──」

 

 そんなトレーナーの話を聞いていたのか、彼の前に躍り出る幼い影がみっつ──

 

「もうっ、トレーナー! すきかっていわないの! おねえさま、がんばりなさーい! レースはかたなきゃいみがないのよっ!」

 

 ──ひとつはストロベリーブロンドの三つ編みをしたウマ娘、ハニーサックルだった。優雅な彼女に似合わない大声を出して、レオにエールを送っている。

 

「トレーナー! ひどいよ! おねえさん、あんなにがんばってるのに! おねえさーん、あとちょっとだよーっ! がんばれー!!!」

 

 ──ひとつはピッグテールの黒髪をした快活なウマ娘、エナーギュメンだった。両手を口に添えた放つ大声はコース中へ響いている。

 

「おねえさんっ! あきらめちゃだめだっ! いけっっ!!! させ──っ!!!」

 

 ──ひとつは黄色のベレー帽を被ったいつもはおとなしいウマ娘、シシュキンだった。普段の彼女からは想像もつかない、力強い声でレオに呼びかけている。

 

 そしてそれは、全てレオに届いていた。

 

「……お?」

 

 トレーナーが声を上げたのは、脚が止まりかけていた彼女の様子が変わってきていたからだった。

 

 ◇

 

(ハニー、エナ、シユー……!)

 

 3人がコースギリギリまで出てきて、私に向かって応援してくれていました。彼女たちの一語一句、全て私の耳に届いていました。

 がんばりなさい、勝たなきゃ意味がない、あとちょっと、がんばれ、諦めちゃだめだっ、いけっっ、差せ……全部聞こえてるよ! みんな! 

 

 そうです。ここで諦めたらそれこそ何の意味もありません。さっきまでの私は一体何を考えていたのでしょうか。くだらないレース人生だとか、救えないとか……ほんと、しょうもなさ過ぎて笑えてきます! どんだけ暗いんですか! 

 私もワル子もスタミナ切れ、これで完全に条件は両者イーブンです。なら、最後に勝負を決めるのは──? デジーが……デザートオーキッドが言っていたでしょう!? 思い出すんです! 

 

『障害レースで一番大事なのは根性と闘争心よ☆』

 

「はあっ、はあっ、こんじょう……っ……と、とっ……とうそうしん……!」

 

 急坂を上りながら口にしたそれが、この勝負に勝つために必要なこと! スタミナが無いのなら、根性と闘争心だけで何とかするしかありません! ええ、失うものなんてハナからありません! 

 

 このちっぽけな体の底力、見せてやろうじゃありませんか! 

 

「ふっ……くうううああああああ!」

 

 根性と闘争心から絞り出して、急坂を上っていきます。ターフに叩きつける足は相変わらず頼りなくて、今にも膝折れを起こして倒れてしましそうです。

 でも、絶対に膝なんてついてやりません。私はワル子を抜かして絶対に勝ってやるのです! 私の根性と闘争心、存分に踏ん張りやがってください! 

 

『息を吹き返したか2番!? 1番との差を再び詰めていきます! 4バ身から3バ身! 3バ身から2バ身! ここで1番が急坂を上り終えました! あとはゴール板まで70mですっ!』

 

 一足先に急坂を越えたワル子の後に私も続きます。ワル子の背中はすぐ目の前! 残り70m、私の全てをここにぶつけてやります! 

 さあ、ワル子、勝負です! 

 

「ぜえっ、ぜえっ……くはっ、はっ……! クソ、チビ……!」

「ワル、子……ま……はっ、はあっ、ま、負けないんだからあああああああ!」

 

 ワル子との差が1バ身まで縮まります。

 すぐ近くまでゴール板が迫っています。

 

 もう残り30mもあるかどうか! こんな訳の分からない模擬レースではありますが、ここで死んでもいいです! 私の脚、ちぎれるまで動いてください! 

 

「うあああああああああ!」

「!? な、にぃ……!?」

 

 ワル子に並びかけ、彼女の横顔が見えます。必死に回している脚の感覚なんてどこかに行ってしまったように感じます。

 

『2番猛追! 交わすのか!? 交わすのか!? 2人並んで……いや!』

 

 全く横一線に並んだ私たちは、お互い肩で息をして、酸素を求め水面呼吸する魚のように顔を空へ向けて喘いでいます。

 一縷だけ残った冷静な頭で思います……ふふっ、なんて不格好なんでしょう。最後まで前傾姿勢でスパートをかける平地のカッコいいウマ娘たちとは違います。ラスト1ハロン11秒、12秒……いやいや、それより圧倒的に遅い、見ようによればジョギングのような走りをしていることでしょう。

 

 ここにいるのは完全にガス欠になったヘロヘロのウマ娘。だけれど、ガス欠のウマ娘が差せないどおりはありません。

 

 一歩、ワル子より先へ踏み出した先は──

 

『2番がゴール前で差し切りましたっ!!!!! 勝ったのは2番です!!!』

 

 ──ゴール板でした! 

 

 私が、マイネルレオーネが勝ったのです! 

 

「や、や、やったあああああああああ……ぐうっ、げほっ、げほっ……おえっ」

 

 喜びのあまり歓喜の声を上げましたが、酸欠だったのを忘れてむせてしまいました。勢いよくターフへと倒れこみ、仰向けに寝転がります。

 

『後方からレースを運んだ2番、アタマ差抜け出して見事な勝利です!』

『いいものを見せてもらった。いいレースだったな。な、先輩?』

『こんな面白いレース見せられると私たちも走りたくなっちゃうね!』

 

 仰向けで見上げた空は雲ひとつなく、ただただ澄んだ青と太陽が視界に拡がっていました。

 

「はっ、はっ…………負けた……!」

 

 ワル子の悔しそうな声がどこかから聞こえてきます。そして彼女の足音と思われる音が段々と遠ざかっていきます。負けたから、この場から去ろうとしているのでしょう。

 私はワル子のことなんか気にするよりも、今は勝利の余韻に浸っていました。しかし正直、ワル子の方を気にするほど体力が残っていなかったのも確かなのです。

 喘ぐ息はまだまだ落ち着きません。

 

「はあっ、はあっ、あぐっ、はっ……はっ……」

 

 限界まですべてを絞り出した体が酸素を求めているのと同時に、脚をはじめとしたあちこちに疲労が今になってのしかかってきます。故障のような嫌な痛みはないのですが、体の節々が痛いです。それに、散々障害をかき分けた脚の皮膚に痛みを感じます。決死の力を振り絞って脚を軽く上げると、生垣や竹柵で擦ったところ切り傷になっています。ところどころ血が出て流れています。乙女にあるまじき脚ですが、それを見るとなぜか達成感のようなものを感じずにはいられませんでした。

 

「……ん?」

 

 そうしていると、どたどたと、複数の何かがこちらに駆け寄ってくる音がします。軽快に駆けるその音が私のすぐ近くまで来たかと思うと──

 

「おねえさま、やったわね!」「すごいすごい! かっこよかったよおねえさん!」「お、おめでとう……」

「わっ!? みんな!?」

 

 ──仰向けに寝ている私にハニー、エナ、シューが重なるように飛び掛かってきました。私の胸に飛び込んできた3人の笑顔がこれまで見た何よりも眩しいです。

 

「はっ、はっ……ん、ありがとうみんな!」

「さいご、ゴールまえでかわしたとき、ほんとうにかっこよかったあ!」

「さいご、まけるかとおもったけど……すごかった」

「ふんっ、わたくしはさいしょからかてるとおもっていたけどね! これもわたくしのおうえんのおかげね! ねっ、おねえさま?」

「うん、はあっ……はっ、ハニーちゃん、エナちゃん、シューちゃんの声、みんな聞こえてたよ! はっ、はっ……あの応援なかったらお姉さん負けてたよ」

 

 それは事実です。あの応援によって弱気な私の目を覚ましてくれたおかげで最後のスパートに繋がったのです。あれがなければくだらない言い訳をしたまま絶対に負けていたでしょう。

 

「ちょっとレオ! 大丈夫!?」

「レオちゃん、怪我とかは~?」

 

 そして友人であるクロとプロンも心配そうにやってきました。空しか見えなかった視界が、今はウマ娘たちでいっぱいになっています。

 

「はっ、ふぅ……大丈夫……まだ呼吸するのしんどいけど、怪我とかはしてないよ」

「良かった~。もうっ、心配かけないでよ。でも、いいレースだったよ。やるじゃんレオ!」

「ほんとうだよ~。でも素敵だったよレオちゃん!」

「2人とも、はあっ、ありがとう……!」

 

「いや~、まさかここまでやるとは……一瞬疑った俺は反省やな。でも俺の見る目は間違ってなかった」

 

 そしてそのウマ娘たちの向こうからハゲ男の声が聞こえてきました。私に近寄って来た彼は私の頭元に立ち、真上から私を見下ろしていました。ロリウマ娘や友人たちは私から一歩離れました。

 

「よくやったな! どうや、今の気分は?」

 

 なんかニヤついているハゲ男でしたが、不思議と腹は立ちませんでした。

 

「はっ……はあっ……今の気分、ですか……? クソ疲れてます……よ。まだ息も苦しいし、体もあちこち痛いし……地獄に肩までどっぷり浸かってる感じです…………でも」

「……でも? なんや?」

 

 ハゲ男から目線を外して、小さくなった真っ青な空を見上げながら、今の正直な気持ちを答えてやります。

 

 

 

「んぐっ、はあっ……でも、地獄にしては悪くないです。むしろ最高の気分……です」

 

 

 

「……くっくっく。そうか、地獄にいるのに最高の気分か……いや~100点満点の答えやな。そう思わんか、サク?」

 

 いつの間にか彼の傍らにサクが控えていました。

 

「ふふっ。そうですね。私も障害レースを走った後は同じようなことを思いますよ。苦しいのに、どうしてこんなにも清々しいのだろう、と」

「やろ? なあレオ、そのままでええから聞いてくれ」

「……なんですか?」

 

 ハゲ男は私の傍らに移動し片膝をついて屈みました。そして得意げな笑みを浮かべながら、倒れた私に向かって手を差し出しました。

 

「改めて、俺のチームに入らへんか? 障害レースも悪くないやろ? この最高の地獄、何度でも味わえるで」

「…………」

 

 その誘い文句はどうかと思います。普通、地獄を何度も味わいたいなんてウマ娘がいるわけないでしょう。

 

 でも──

 

「…………」

「おっ! ……よし、いいんやな?」

 

 ──私は彼の手を取っていました。

 

「ようこそ、生命(いのち)と誇りをかけた最高の舞台……障害レースの世界へ!」

 

 

 

 ◇

 

 

 

「ふんふふ~ん♪」

 

 あの模擬レースの翌日、私はあのハゲ男のトーレナー室へ鼻歌を歌いながら向かっています。

 

 その場の勢いで彼と契約を交わしたましたが、今になってもそんなに後悔はないです。確かに平地を走れないということに全く未練がないと言ったら嘘にはなりますが、それよりもこれから始まる私のレース人生への楽しみの方が大きいのです。やっと、トゥインクルシリーズで走ることができます。

 

 トレーナー室の前に立ち、一度深呼吸してからその扉を開きます。

 

「こんにちは! 今日から────え?」

 

 そこで私は固まってしまいました。だって、トレーナー室の中にいるはずのないウマ娘がいて、ハゲ男と話しているからです。

 

「ほんまにええんやな?」

「はい。前のトレーナーには話をつけています」

「書類があるし、前任が言ってるならまあ……ま、ええやろ。ようこそ障害レースの世界へ! えーっと、ワル子やったっけ?」

 

「わ、ワル子!!!???」

 

 ワル子がなんでここにいるんですか!? しかもこの会話から察するに──

 

「ワル子もこのチームに入るってことですかあ!?」

「おうレオ、お疲れさん。そうや、この娘もウチに入りたいってな。前のチームと契約解消して来てくれてたんや」

「…………」

 

 ワル子は黙ったまま振り返りこちらを見たかと思ったら、私に近づいてきて目の前に立ち塞がりました。

 

「な、何を考えてるのワル子! それに、昨日の模擬レースの賭け忘れてないよね!? 私の命令なんでも聞いてもらうんだからね!」

「…………」

「な、なに!? 今更なしって言っても遅いんだから!」

 

 ワル子は顔を俯けるようにして下を向いていました。そして──

 

「今までいじわるしてごめんね。レオちゃん」

「──はあ!?」

 

 顔を上げたワル子はいつもの目つきの悪い顔でなく、頬を赤く染めて目をうるうるさせて私の方を見ていました。

 

 ごめんね!!!??? レオちゃん!!!??? 

 

 普段のワル子とは明らかに違う表情と雰囲気、そして言葉遣いに鳥肌が立ちます。はっきり言ってキモいキモすぎます! 鋭い目つきは女の子らしいまるまるとした優しいものになっています。

 なんですかこれが新手の嫌がらせですかあ!? 

 

「実は私、ずっと前からレオちゃんとお友達になりたかったんだけど……でも素直になれなくていじわるしてたの。ごめんね?」

 

 小首を傾げてこちらの目を捉えるワル子。鳥肌はおさまることはなくマシマシに立っています。

 私ぃ!? いつも俺って言ってたじゃないですか!? 

 素直になれないからだあ!? 嘘言わないでください、そんなことあるわけないでしょうが!? 

 

 ワル子は屈んで私の手を握ります。まるで、初対面のときハゲ男が私にそうしたように。

 

「私、素直になるって昨日負けてそう思ったの。レオちゃんの言うことならなんでも聞くよ。ねえ、命令して……?」

「ひいいいいい! 手を握って私に迫ってくるなああああああ!」

 

 ハゲ男にされた時とは比べ物にならない気持ち悪さが体を駆け巡っていきます。前までのガサツな声じゃなく、甘い乙女な声を出さないでください!

 悪い夢なら覚めてくださいお願いします。

 

「おお、なんや仲良かったんか! てっきり犬猿の仲やと思っとったわ。良かった良かった!」

「何もかも良くないんですうううううう!」

 

 そう悲鳴を上げてる私の背後でガラッと扉が開かれました。

 

「こんにちはーおねえさん……と、あれ? きのうおねえさんとはしったひとだ!」

「ごきげんよう。にぎやかね」

「こ、こんにちは……」

「あら、レオさんと、えーっとワル子さんでしたっけ? どうしてここに?」

 

 やって来たのはロリウマ娘3人とサクでした。扉を閉めて4人ともトレーナー室に入ってきます。

 

「おう、後から説明するわ……あれ? サク、デジーは?」

「デジーさんなら、『にげしす』というウマドルグループとのレッスンがあるとか……」

「そうか。プロモーションのために連れてきたからええんやけど……うまくやってるみたいならええか」

 

 そこで再びトレーナー室の扉が勢いよく開かれました。

 

「トレーニング前からなにはしゃいでんだ」

「おう、オジュウお疲れさん」

「ああ……あん? なんでウマ娘どもがこんないっぱいいるんだ……ん? お前は確か……」

 

 入ってきたウマ娘は以前追いかけ回されたウマ娘でした。鹿毛のポニーテールに水色のリボンとチークピーシーズを着けたオジュウと呼ばれた彼女は訝しむような眼で私を見ています。

 

「お前もこのチーム入ったのか。そりゃご愁傷サマだな」

「マイネルレオーネです。ご、ごしゅうしょうさまですか」

「どうせそこのハゲにうまくやり込められたんだろ……オレは先にコース行ってるぞ。あんたも早く来てくれ」

「ええ、すぐに行きますよ」

 

 オジュウはサクに声をかけすぐにトレーナー室を出ていきました。

 

「ではトレーナーさん。私は行きます……ほら、3人も行くよ。今日は3人のトレーニングも私が見てあげるからね」

「わかったわ!」「やった! サクさんがみてくれるんだ」「お、おねがいします……」

 

 次はサクとロリウマ娘たちが出ていきました。

 

「よし、俺たちも行くか! まずは部室に案内するわ! 行くで~」

 

 ハゲが立ち上がります。

 私もその後に続こうとして歩き出そうとするところで、未だにワル子が私の手を握っていることに気が付きました。

 

「ちょっと、いつまで握ってんの!?」

「きゃっ!」

 

 彼女の手を振り払って扉へ足を向けます。

『きゃっ』って何です『きゃっ』って! いつからそんな女子っぽい声が出せるようになってんですか!? 

 

「レオちゃん待って! 一緒に手つないで行こ?」

「んなことするわけないでしょ! キモいキモいキモい! 嫌がらせにも程度があるよワル子!」

「はっはっは! ほんまに仲が良いんやな!」

「どこをどう見たらそんなことがいえるんですかあ!」

 

 何ですか……もしかしてこれが本当の地獄ですか!?

 

 ワル子の魔の手から逃れながら、私はトレーナーの後をついていきます。

 

 

 私の歩みはまだ始まったばかりです。

 

 

 

 

fin.




工事完了です……(達成感)
Foo↑(完結)気持ちい~!

あとはキャラ紹介という名の元ネタ馬の紹介だけして終わります。
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