【完結】ロリコンハゲトレーナー(仮)に拾われたら地獄でした   作:シェーク両面粒高

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実は主人公のモデルとなった馬が本日(10月16日)出走していました。
10着だけど完走! よく頑張った!

障害の高さは実際の2倍程度の設定です。


第8話 はじめてのしょうがい

「イチから飛越の基礎やってる時間はないから、実際に障害飛んで慣らしていこか。ボトムアップよりアップダウンや」

 

 ハゲ男とサクと一緒にコースを回る形で障害を飛んでみることになりました。本番ではこのコースを使うとのことです。

 ちなみにロリウマ娘たちはコースの中央にある角バ場で比較的低い障害をつかって遊んでいるようです。

 

「まずは一番オーソドックスな障害、生垣障害や」

 

 これまでは遠くから目にしたことがある生垣の障害が目の前にそびえ立ちます。生垣は丁寧に手入れされているのか、真ん中の方が多少へこんでいるものの綺麗な直方体になっています。高さは3mほど、幅は2mほどありましょうか。高さ3mといえば、ヒトがやるバスケットボールのゴールの高さぐらいとのことです。近くに来るとそのスケールに圧倒されます。ちなみにマサキというニシキギ科の植物らしいです。

 

「とりあえず助走つけて飛んでみ。向こう側にはマット敷いといてあげるから」

 

 ハゲ男はどこからか持ってきていた、厚くてクッション性のあるマットをサクと一緒に生垣障害の向こうへ運んでいきました。

 

「レオさん、脚の使い方ですが──」

 

 そして戻ってきたサクが障害飛越の脚の使い方をタブレットで動画を見せながら説明してくれました。片足は伸ばし、もう片足は畳む……障害を見たことがない方に説明するなら、ヒトがやるハードルを越える方法と言えば分かりやすいでしょうか。

 

「飛越する前の足を着く位置とステップのタイミング、それを意識しながらやってみましょうか。最初は危険ですから、生垣をかき分けるなんて考えずに、触れずに飛ぶよう意識してくださいね」

「……わかりました」

 

 後ろ向きに歩いて生垣障害から距離をとります。にわかに緊張感が募ってくるなか、意を決して走り始めました。生垣障害の前にて片足で踏み切り、助走による前方の勢いを上方への勢いに変換。すると体が浮いて視点が一気に高くなります。今、私は飛んでいます。

 そしてサクのアドバイスで言われた通りに脚を動かして、生垣障害の上を通過します。飛んでいる最中は真下の生垣や辺りを見渡す余裕はなく、ジャージのズボンに生垣が擦れる感触に肝を冷やしながら向こう側にあるマットを探していました。

 

(あそこに……!)

 

 生垣を超えた前方にはちょうどその白いマットが見えました。そこに向かって着地を図ります。重力に抗えなくなった体が沈み、視点が急激に降下します。

 前のめりになった上体を立て直しながら、すぐ目の前に迫ったマットに片足を着地、それに続いてもう片足も着地します。柔らかいマットが沈み込み、ほどよい反力が足底に伝わります。

 

「おっとっと」

 

 勢い余って2歩3歩と前に進んでから立ち止まることができました。

 

「……あれ? これってもしかして……」

「おお! 上手く飛べたな!」

 

 マットの方で待ち構えていたハゲ男が満面の笑みでそう褒めてくれます。

 私……今、飛べたんですよね……? 

 

「レオさん、踏み切るときの足の運び方、良かったですよ。今の感覚、忘れないようにしてくださいね」

 

 生垣を迂回して姿を現したサクも私を褒めてくれました。2人とも褒めてくれて妙に体がくすぐったく感じます。

 また、今になって飛んだ時の身体の感触が甦ってきました。助走から踏み切るときの体のパーツが全て連動するあの気持ち良い感覚、飛んでいる最中の浮遊感、飛越が終わり着地した後の達成感……それらが心地よく心と体を満たしています。

 

(なんか……障害飛ぶの、案外悪くないかも……!)

 

 自然と心の中でそう思っていました。

 

「よしじゃあ次は竹柵障害にいくで」

「はいっ!」

「お、やる気やん」

「そ、そんなことないですよ」

「そうか~? ま、ええわ」

 

 ハゲ男の誘導に従い、次に向かったのは彼が今言っていた竹柵障害。横一線に竹が並んでおり、向こう側に傾くように設置してあります。高さ的にはさっきの生垣よりも少し低いです。

 

「竹柵は生垣よりも低くて幅も狭めやけど、そのぶんかき分けにくいから足が引っかかったら注意やで。さっきサクが言っとったけど、かき分けんと完璧に飛越するようにな」

「やってみます!」

 

 先程と同じように助走をつけて飛越に臨みます。竹柵障害の直前で踏み切ってジャンプし、この身を竹柵への上空へと導きます。

 飛越に慣れたのか、辺りをちらっと見渡す余裕ができていました。それは普段見る景色より少し高いだけだったのですが、どこか世界が広がったように感じて、なんとも不思議な気分になりました。

 

「──よっと」

 

 竹柵に触れることなく飛越を終えて、バランスを崩すことなくマットに着地します。ひとつ息をつくと、またもやハゲ男とサクが褒めてくれました。

 

「上手いわ。サクはどう思う?」

「初めてでこの飛越は素晴らしいですね。フォームも綺麗ですし、何より飛越することを強く意識しておられるように感じます」

「そうですか? えへへ」

「いや、ほんまに上手いわ。最初の頃のオジュウより上手いんちゃう?」

「あの娘は速くクリアできればいいと思ってる節がありますからね。かき分けてスピートを落とさず障害をクリアするのはテクニックのひとつではありますが、もう少し綺麗に飛越してほしいものです。天性のボディバランスと運動神経に頼りすぎです」

 

 オジュウ……多分、私たちを追い回していたあの気性難のウマ娘のことですよね。あの人より私は飛越が上手いだなんて……正直、嬉しいです。

 

「ほなこの調子でコース1周しよか。模擬レースはこの生垣と竹柵だけ使うから、他のサイズが違う障害も試しに飛んでみたらええわ」

「はい! お願いします!」

 

 そうして、ハゲ男とサクに見てもらいながら飛越の練習を進めました。

 

 ◇

 

「一通りやったな。一回休憩しよか」

「は~い……疲れた~」

 

 コースを一回りし、模擬レースで使う障害の飛越を全てこなしました。最初の生垣と竹柵クリアしたときは体力も有り余っていたのですが、同じ生垣や竹柵でも幅や高さが異なるので、それに合わせた飛び方や力の入れ具合を身に着けるために何種類もの障害を何度も飛んでいるとさすがに疲れました。

 

「俺はあいつらの相手してくるわー」

 

 ハゲ男は私とサクを残してロリウマ娘たちの元へ向かいました。そしてどうやらコースに出て比較的低いハードル障害……竹柵を使った幅の狭い障害を使って飛越の練習をしているようです。3人が順に飛越する姿を見て、彼はなにやらアドバイスしているようでした。

 

 ターフに腰を下ろしてドリンクを飲んでいる私の横で、サクは立ったまま黙ってその様子を見ています。偶然にもこうして2人きりになったので、彼女に何か話しかけようと思いました。なんとなくではありますが、彼女のことを知りたかったのかもしれません。

 

「サクさんって、ヨーロッパの障害ウマ娘なんですよね?」

「はい。そうですよ。短距離のチェイスを中心に走っていました」

「ちぇいす?」

 

 以前ハゲ男が同じ単語を言っていた記憶がありますが、ちぇいすとは何なのでしょうか。日本で言う障害と何が違うのでしょう。

 サクは私の隣に腰を下ろして話を続けました。

 

「日本では障害レースとして一括りにしてありますものね。海外では大きくハードルとチェイス……スティープルチェイスに分けられるのです」

「ハードルと、スティープルチェイス……」

「簡単に言えば、高さが低くて幅も狭く、脚を引っかけても倒れやすいものを使っているのがハードル、高くて大きい生垣や竹柵などを使っているのがチェイスです。チェイスの方が障害の数も多いですね」

「……じゃあチェイスの方が凄いってことですか?」

「凄い……確かに飛越の難易度は上でしょうね。でも、ハードルは飛越がチェイスに比べて簡単な分、平地のスピードがより必要になっています。私のように、ハードルを経てチェイスに挑戦するウマ娘も多くいますが、どっちかが上だとか、そういう話ではないと私は思いますよ。ハードルでもチェイスでも、それぞれ名ウマ娘がたくさんいます」

「へえ、なるほど……」

 

 サクの説明でハードルとチェイスについては少し分かった気がします。彼女は短距離のチェイス……短距離ということは、中距離も長距離もあるってことでしょうか。

 

「サクさんって短距離のチェイスって言われましたけど、チェイスの短距離ってどれぐらいの距離なんですか?」

「短距離は2マイル……3200mぐらいですね」

「さ、さんぜんにひゃく、ですか!?」

 

 思わず大きい声が出てしまいました。障害レースの距離が長めだと何となく知っていましたが、天皇賞春の距離を短距離と言うのには、平地しか見てこなかった私にとって中々のカルチャーショックでした。

 

「ええ、逆に長距離……例えばチェルトナムフェスティバルという障害レースの祭典の最終日に、チェルトナムゴールドカップというチェイス長距離路線のGⅠがあるのですが、その距離は5000mを超えますからね」

「ご、ごせん……」

「国によっては6000mを超えたりするものもありますし、7000m以上のものもありますよ」

「ろくせん……ななせん……」

 

 俄かには信じ難いことです。想像を絶するとしか言いようがありません。そんな距離を障害を越えながら走るなんていったいどんなスタミナをしているのでしょうか。

 

「スタミナ……」

 

 そこで唐突に思い出したのは海外の障害レースとして私が唯一知っていたグランドナショナルというレースのことです。一度か二度映像をネットで見て、どのウマ娘もヘトヘトになりながら走っているのを覚えています。あれはどれくらいの距離なのでしょうか。

 

「そういえば、グランドナショナルというのはどれぐらいあるんですか?」

「今のグランドナショナルは6900mですね」

 

 やはり凄まじいものでした。

 

「サクさんはグランドナショナル出たことあるんですか?」

「私はありませんよ。グランドナショナルって少し特殊なレースでして、あのレース場特有の障害は普通のチェイスで使われるものとは別物で飛越の難易度が物凄く高いんです。なのでその障害に対応できるウマ娘で、なおかつ7000m近い長距離を耐えられるウマ娘しか走れません。格付けはGⅢですが完走するだけで名誉なレースですから、グランドナショナルのためだけに研鑽を積んでいるウマ娘だっているぐらいです。2マイルチェイスが主戦場の私は適性外でした」

 

 3200mを走るサクでも体力が足りない……考えてみれば、単純に距離は2倍以上です。

 

「障害ウマ娘の体力って、すごいんですね……平地と全然違います」

「平地に比べるとペースが違うので一概には言えませんよ。同じ3200でも平地はほぼ全力で道中を走りますから」

「いやーそれでも……」

「日本だって、障害のレースは最低でも2000m後半ですし、重賞は全て3000m以上ですからね。それに、今回の模擬レースは3350mで行う予定でしょう?」

「ええ!? さんぜんさんびゃくごじゅう!? 私、学園内のレースでも2600までしか走ったことないんですけど!」 

 

 衝撃の事実を耳にして声がひっくり返ってしまいました。ていうかなんですかその中途半端な距離は……

 

「障害レースで距離が短いと、ウマ娘がスピードに乗りすぎて飛越が危険なんです。だから仕方ないのですが……トレーナーさん、言ってなかったのですか……全く」

 

 スピードに乗りすぎると危険だと言われると、確かに納得できることではありました。でもその距離を聞いて自信を無くします。初めての距離を障害レースで走れだなんて……

 自分で言うのは嫌ですが、こんな小さい体に3000mを超えるレースを走れるスタミナがあるのでしょうか……

 

「なんや、呼んだか?」

 

 その声が聞こえて顔を上げると私とサクの前にハゲ男が立っていました。

 

「トレーナーさん、レオさんに模擬レースの距離のこと教えてなかったんですか?」

「言ってなかったっけ? スマンスマン、距離は3350mな!」

 

 軽くそう謝るハゲ男に内心少しイラっとしましたが、それより自信を無くしかけていることに私の意識が行っていました。

 

「はあ……」

「ため息ついてどうしたんや?」

「私、2600までしか走ったことなくて、3350なんて本当に走れるのかなって……それに走るだけじゃなくて、ワル子にだって勝たないといけないのに……体だって、こんなに小さいのに……」

「なんや自信無くしてんのか。喧嘩してた時の元気はどこ行ったんや。……体なあ……レースに体が小さいとか関係ないと思うけどな」

「……トレーナーさんに、なにが分かるんですかっ……!?」

 

 このハゲ男に何が分かるのでしょうか。ずっとこの体をコンプレックスに感じていて、チームの選抜試験を受けたりトレーナーに逆スカウトに行っても身長のことを言われて断り続けられきたことが一気に頭の中でフラッシュバックしました。

 

「……申し訳ない。怒らせたんなら謝るわ。でもなレオ、体の小ささが関係ないって言ったのは本心や。ちょっと待てよ……あった。これや」

 

 ハゲ男は手元に持っていたタブレットをいじると、それを私に渡してきました。画面にはレースの動画が映っています。

 

「それ、ニュージーランド最大のスティープルチェイスのレースや。距離は6400m。後ろの方に赤地に黄色の水玉模様の勝負服着た小さいウマ娘おるやろ。そいつ注目して見とき」

「……! この娘、私と同じくらい……いや、私より小柄かも。しかもすごく細い……」

 

 その勝負服を着たウマ娘は周りより一回りも二回りも小さく、華奢を体現したような背格好でした。彼女は最後方から前の集団を追走し、私が今飛んでいる障害よりも多彩で大きな障害を順調に飛んでいっています。

 シークバーの時間が7分を過ぎたころ、他のウマ娘がスパートをかけ始めたのと合わせてそのウマ娘が後方から進出し始めました。右回りの内側を通って障害を飛越しながらどんどん前のウマ娘を交わしていき、最後の障害を越え、直線で加速した彼女はついに先頭に抜け出して、そのまま1着でゴールしました。ゴールした彼女は小さい体を飛び跳ねさせながら喜びを表現しています。

 なんというスタミナとスピードでしょう……あんな距離を走って、障害をたくさん越えて、そして後方からぶち抜いていくその姿はとても感銘を受けるものでした。

 

「こんな……ウマ娘が……」

「な? こういうウマ娘もおるんや。だから体が小さくたって卑屈になることはないで」

「私もそう思いますよ、レオさん」

「トレーナーさん……サクさん……」

 

 どうやら私は彼らに元気づけられたようでした。励まされて嬉しいとともに、あんなウマ娘の姿を見せられれば、やってやろうという気持ちが湧いてきます。

 ……単純だなんて言わないでくださいね。

 

「私も、頑張ってみます……ワル子に勝ってみせます!」

「おう、元気になったな。よし、もうちょっとしたらトレーニング再開な」

 

 ハゲ男はそう言うと再び3人の元へ戻っていきました。彼の背中がこれまでより頼りがいのある背中に見えてきました。

 

「……サクさんって、あのトレーナーさんの担当ウマ娘なんですよね?」

「違いますよ」

「そうですよね……って、え!?」

 

 あれ、違うのですか!? トレーナー室で会ったときそう言ってましたし、今だってトレーナーさんって呼んでるのに……どういうことでしょう。

 

「私の本当の担当トレーナーはイギリスにいるんです。その担当トレーナーがチーフを務めている、私の所属していたチームに留学という形で日本からやって来たのが彼だったのです」

「んー……つまり、どういうことなんですか?」

「確かに名義の上では彼の担当ウマ娘でもなんでもないのですが……ある出来事を境にして、実質的に彼のウマ娘になってしまった、という感じなんです。変な話でしょう?」

 

 サクは微笑みながらそう言いました。とっても素敵な笑顔でした。

 

「ある出来事って……?」

「お恥ずかしい話ですが、私、過去にケガや心臓の病気で荒んでた頃がありまして……」

「し、心臓の病気ですか!?」

「ええ……それで周りのヒトやウマ娘に当たり散らしていたのです。そこにやって来たのが彼だったというわけです。彼は私の担当でもなんでもないのに、暇なときに私を見つけてはずっと話しかけてくるのです」

「それは……」

 

 なんか、考えるだけで鬱陶しそうです。それが顔に出ていたようで、サクはまた笑顔になりました。美人なのにふんわりと笑う彼女がとても眩しく見えます。

 

「ふふっ、レオさんの考えている通り、鬱陶しくて最初は他の方より強く当たっていたんです。でもトレーナーさんは嫌な顔をするどころか、余計に距離を詰めてきて……まあ、そこから色々あって、私はトレーナーさんの担当になったんです」

 

 その色々あったことを訊きたいのですが。今は話してくれなさそうです。きっと、彼女にとって大事な思い出なのでしょう。彼女の笑顔を見れば分かります。

 

「彼がいたから……彼が私を信じてくれたから、きっと2度目のあの光景を見られたのだと、今でもそう思います」

「……?」

 

 大事なものを確かめるようにサクはそう言いました。2度目のあの光景……意味はよく分かりませんが、忘れられない何かがそこにはあったのでしょう。

 

「よーし、トレーニング再開や! ……って、どうした?」

「いえ、なんでもありません♪」

 

 またいつの間にかハゲ男が近くまでやって来ていました。

 サクは普段のお淑やかな口調とは変わって弾んだような声でそう言いました。

 

「なんやそれ、怪しいでサク……怖いわ」

「……失礼ですね」

「まあええ。よし、今から最後のトレーニングや。ほれ、こっちこい」

 

 ハゲ男が背を向けて再びコースへ足を向けました。立ち上がった私とサクはそのあとを追っていきます。

 ……最後に、今まで気になっていたことを訊いておきます。ウマ娘にしか分からないと思いますが、これって結構訊きづらいことなのです。

 

「サクさん」

「なんでしょう?」

「サクさんって、重賞勝ってたりしますか? もしかして何勝かしてたり……?」

 

 気になっていたのは彼女の戦績です。すごくお淑やかな彼女ではありますが、その雰囲気や言動から只者ではないことぐらいは感じていました。なので、彼女は重賞を勝ったことのある凄いウマ娘ではないかと思ったのです。ハゲ男の話によると、障害レースの指導をしているみたいですし。

 しかし、さっきも言いましたがこれって結構訊きにくいことなのです。ヒトに例えるなら「で、学歴は?」って言うのと同じだって誰かが言っていました。

 

「重賞ですか? 重賞なら13勝してますよ」

「じゅうさん!?」

 

 重賞を13勝!? 意味不明な数字が出てきました。多すぎです! ……今日は数字を口にして驚いているばかりな気がします。

 13勝って……もしや、その中にGⅠが含まれてたりするのでしょうか!? GⅠウマ娘なんて私みたいなパンピーもといパンウー(一般ウマ娘の略語)には雲の上の存在で話せるだけでも光栄なことなのに……もしかして目の前にいるサクがそうなのでは? 

 

「……もしかして、GⅠも勝ってたり……?」

「はい。GⅠは9勝ですね」

「────」

 

 きゅうしょう。わけがわからないよ。なんですか9勝って、名ウマ娘じゃないですか! 

 サクのまわりに神々しいオーラが見えるようになりました。気のせいではありません。

 

「お前ら何してんねん。トレーニングやるで」

「──あっ、はい」

 

 ハゲの声で意識が引き戻されました。こっからは気合を入れ直していきましょう。

 

「レースに勝つための秘策を授けるで」

「秘策?」

「せや!」

 

 ハゲ男はそう言って不敵に微笑んでいました。

 

 

 

 

 そしてその秘策を授かった私は、明日のレースを迎えることになるのです。




小柄なウマ娘が優勝したニュージーランドのレース
 →2016 Great Northern Steeplechase(グレートノーザンスティープルチェイス)

"2度目のあの光景"
 →2016 Queen Mother Champion Chase(クイーンマザーチャンピオンチェイス)

〇サク(??????サク?)
 英国障害ではクッソ有名な馬です。11話あたりで戦歴など解説っぽいこと入れます。ちなみに12話完結です。

 2016年の障害競馬、個人的にすごく面白かったんですよ……あの劇的なグランドナショナルとか、牝馬が勝ったチャンピオンハードルとか(チャンピオンハードル勝てる牝馬とかもう10年20年出てこねえだろって思ってました)。
 日本ならオジュウの連勝が始まった年ですね。
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