麦わらの一味「歌姫のウタ」   作:さとね

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久しぶりです。
ちまちま書いてはいたのですが、どこかキリが悪くて書きづけてたら今年が終わりかけてました。
びっくりです。
今年もありがとうございました。
ふとみたら、評価のバーももうすぐ赤で満ちるようで。ありがたい限りです。
来年もよろしくお願いします。


第五十五話「開戦」

 

 

 それはまさに、身を削る攻撃だった。

 

「ヤハハハ! 健気だな、動物(ゾオン)の女よ!」

「負け……ない……ッ!」

 

 エネルの雷撃は、ビビの反応速度では避けることができない。

 ウタのような『先読みの力』があればよかったのにと、ビビは唇を噛む。

 

「もう、ボロボロではないか! まだお前を殺す気はないぞ!」

 

 ビビの身体の至る所が、黒く焦げていた。

 今、彼女がエネルへ向かって攻撃をできているのは、動物(ゾオン)としての治癒力によるものだった。

 傷ついた箇所から治していき、強引に距離を詰める。その度に体力がなくなっていき、身体がどんどんと重く感じてくる。

 そうして得られたのは、数カ所の小さな擦り傷。

 

「面白いな。今までは避ける必要すらなかったが、心網(マントラ)を応用するとここまで狂暴な力になるとは」

 

 返事をする余裕など、ビビにはない。

 エネルは強い。

 さらに、中途半端な強者でないが故に、油断も慢心もない。

 ビビの力を適切に見積もり、万が一にも負けないように攻撃を避け、巧みに反撃をしていく。

 会話をする余力など、あるはずがない。

 

「ふむ。今後のためにも、雷撃以外の攻撃手段も持っておくべきだな。お前の仲間も、同じような力を持っているのだろう?」

「……ッ!」

 

 油断がない、どころではない。

 エネルの握る黄金の棒——のの様棒が、黒い膜で覆われ始めたのだ。

 その意味を知ったビビは、息を呑む。

 

「合っているようだな! こうして力を使えば、より強固で強靭な武器と化すのか!」

 

 素早い突きがビビを襲う。

 翼を持っていなければ、腹部に強烈な一撃を喰らっていた。

 前に進む瞬間に本能的に危機を感じ取ったビビは、大きく翼を羽ばたかせて強引に後ろへと下がったのだ。

 しかし。

 

「知っていると思うが……こちらは、自然(ロギア)だぞ」

 

 本来のエネルのリーチが、さらに伸びる。

 腕の関節部分がバリバリ、と音を鳴らしてその形を変え、長く伸びた。

 そして、避けたはずの攻撃がビビに直撃する。

 

「ぐ、ぁ……っ!」

 

 メリー号の上から吹き飛ばされたビビは、大木の幹へと突き刺さった。

 神の島(アッパーヤード)の砂埃が舞う。

 ビビの元へ移動をしたエネルは、動物(ゾオン)の変身が解けたビビの髪を掴む。

 

「ビビ……!」

 

 あまりにハイレベルな戦いの中に混じることすら出来なかったナミは、涙を流しながらビビを見つめる。

 

「安心しろ。ここに来たのは、殺すためにではない。戦ってやったのはほんの余興だ」

 

 エネルはメリー号にいるガン・フォールへ、告げる。

 

「六年かかった……が、その大仕事ももう終わりになる。その別れを、先代神に伝えようと思ってな」

 

 戦闘不能となったビビの身体を、エネルはメリー号へと投げ飛ばす。

 隠れていたカルーが飛び出し、その身体を受け止めた。

 その様子を視界にも入れず、エネルは続ける。

 

「それにしても滑稽な事だ。スカイピアの連中は、この島をただの大地(ヴァース)の塊だと思っている」

「どういうことだ……!」

「遠い過去に青海で栄えた黄金都市シャンドラ。その存在も価値も、知ることない愚かさを、滑稽だと言っているのだ、ヤハハ……!」

 

 戸惑いの表情を浮かべるガン・フォールを嘲る。

 と、その笑みがピクリと動く。

 

「……ん? また神官が一人落ちたか。まあ、仕方ない。あの小娘を相手取るにはそこらの神官では荷が重い」

 

 一人でぶつぶつと呟くエネルは、思い出したように声を上げる。

 

「そうだ。我はサバイバルゲームをしていてな。黄金をかけた生き残りゲームだ。そこの獣の女が楽しませてくれた礼だ。お前たちには、参加権を自由に行使してよい」

 

 エネルは指を二本立てる。

 一つは、このまま黄金都市を目指し、エネルと戦う道。

 もう一つは、このまま逃げ出して青海へと帰る道。

 

「ちなみに、だ。我は予想を立てていてな。このサバイバルゲームで、あと三〇分後に立っている人数を考えていたのだ」

 

 言葉を失う皆の顔を見下ろして、エネルは右の手のひらを広げた。

 それはつまり、五本の指を見せつけてるということ。

 

「五人だ。我はそう予想をしたし、その予想を実現させるつもりでいる」

 

 圧倒的な恐怖で威圧するエネルは、ナミたちを見下ろして、

 

「それでも向かうというなら、来ればいい。我は寛大な神だ。お前たちの挑戦は受け入れよう」

 

 それだけ言って、エネルはバリッ! という弾ける音とともに消えていった。

 それから、一〇秒ほど重たい沈黙が続いたのち。

 

「生き残った……」

 

 ナミが息を吐きながらヘナヘナと崩れ落ちた。

 そして、思い出したように背筋を伸ばす。

 

「そうだ。みんなの手当をしないと……!」

 

 サンジとウソップは丸焦げ。ビビも激しい戦闘でボロボロだ。

 チョッパーがいない以上、ナミがどうにかするしかない。

 

「手が足りない……! 空の騎士さん、手伝って!」

「承知した!」

 

 しかし、それでも二人と一匹(カルーはビビに対して励ましのエールを頑張って送っているだけ)では、人手は足りない。

 焦りで息が上がる。

 航海で得た知識を頭の中でフル回転させ、記憶に任せて身体を動かし続ける。

 それでも、足りない。

 

「せめて、あと一人でもいれば……」

 

 ナミは決死の治療を施し続ける。

 そんな中、緊迫した空気を吹き飛ばす軽快な音が響く。

 

 パラリラパラリラ〜!

 

 軽快なラッパの音が響き渡る。

 振り返れば、雲の道を快走する貝船(ダイヤルせん)が見えた。

 

「ナミさ〜〜ん! へそ!!」

 

 手を振るのは、スカイピアに上陸して初めて出会った空の者、コニスだった。

 そして、運転するのは貝船(ダイヤルせん)のエンジニア、パガヤ。

 さらに、その後ろには年端もいかない少女が座っていた。

 

「コニス! どうしてここに!」

「いても立ってもいられなくて! どうにか皆さんを青海まで送り届けようと思いまして!」

雲貝(ミルキーダイヤル)で新しく道を作りました! これを通れば、白々海へと直行できます!」

 

 そう二人が話している間に一人の少女がその後ろで、船から降りようとしていた。

 それを見て、パガヤが慌てて引き留める。

 

「ちょっと待ってください! これ以上奥に進んでは生きて帰れませんよ! ここもすぐに出ると約束したでしょう!」

「離せ〜!」

「アイラさん! 落ち着いてください!」

 

 バタバタと暴れるのは、初めてみる少女。

 アイラと呼ばれた少女の背中には翼が生えているため、空の者であるのは違いないが、ナミの顔を見るや否や、手に持った棒を構える様子を見る限り、スカイピアの住人ではなさそうだ。

 

「青海人! 排除してやる! アタイはシャンドラの戦士だ!」

「そんなのことをやってる場合じゃないのよ! 仲間が死にそうなの!」

「まあっ! 大変です! すぐに手当を!」

 

 コニスはすぐさまナミに救急道具の位置を聞き、メリーの船内へと入っていく。

 だが、アイラは依然として敵意を剥き出しにしたまま、

 

「青海人なんか出ていけ! 出てけ!」

「痛っ!? コニス、この子どうしたのよ!」

 

 棒で攻撃をしてきたアイサを押さえつけながら、ナミは叫ぶ。

 

「空魚に襲われていて助けたのですが、シャンドラの子のようで、仲間のところへ行くと行って聞かなくて……」

「シャンドラって、何度か話をしてたゲリラのこと?」

「そうだ! みんな、この神の島(アッパーヤード)を取り戻すために戦ってるんだ! 私だって……!」

「だからって、あなたが行っても何も変わらないわよ!」

「それがですね、ナミさん……」

 

 コニスは説明を始めた。

 アイサは気配を読み取る心網(マントラ)に長けており、それによって倒れていく仲間の声が頭に届き続けるのだと言う。

 

「ラキ……みんな……」

 

 説明が終わる頃には、アイサは膝を抱えて座り込んでいた。

 ナミやコニスが話しかけても、じっとしていられない。何かしたいの一点張り。

 と、ナミがビビの手当をしようと手を伸ばしたところで、その身体がピクリと動いた。

 

「いてて……」

「ビビ!? 気がついたの!?」

「ええ。私は大丈夫だから……サンジさんとウソップさんを……」

 

 さすが国宝である動物(ゾオン)系幻獣種か。桁外れた治癒力は、気を失ったとしても健在だったようだ。

 よろめきながらも立ち上がったビビは、神の島(アッパーヤード)を睨みつける。

 

「あれが、エネル……」

 

 圧倒的な力。

 驕りも慢心もない、絶対的な強者。

 自らが神だと言って、その事実がまかり通るほどの確かな実力があった。

 誰もが負けることは普通だと思っていた。

 むしろ、エネルの機嫌が良くなり、一味もメリー号も無事で彼が消えたことが僥倖すらあった。

 それでもなお。

 

「…………悔しい……ッ!」

 

 ビビが噛み締めた唇から、血が流れた。

 瞬き一つで簡単に落ちてしまうほどの涙を必死に堪えて、ビビは呼吸を整える。

 

「次は、絶対に負けない」

 

 そう言い切ったビビを見て、アイサは困惑していた。

 先ほど、手当を始めたタイミングで経緯は聞いている。エネルに完敗したことも、当然知っている。

 

「なんで、戦おうとするの……!」

 

 今この瞬間にも、アイサは消えゆく声を感じ取っている。

 仲間が倒れ続ける中で、アイサは疑問があった。

 勝ち目がないのに、どうしてここまで命を懸けようとするのか。この神の島(アッパーヤード)を取り戻すというシャンドラの意志に疑いはない。

 この地を守りたいという皆の気持ちに、アイサは全面的に同意をしている。

 しかし、死ぬ必要はないではないか。

 

「みんな、死んじゃうかもしれないんだよ! 神の島(アッパーヤード)を手に入れたところで、みんながいなかったら意味なんて……」

「私は、分かるわ。少しだけ」

 

 ほんの少し前に、自らの国を守るために命をかけた人々を見てきた。

 その意志を、その心の気高さを。

 ビビは理解していた。

 

「あなたたちは、ここで生まれたんでしょう?」

「…………!」

 

 ただ、この地で生まれたから。

 自分たちの帰る場所が、この土地だから。

 

「その誇りを守る意志を、私は決して笑わない。倒れていく人々を、愚かだとも思わない」

「でも、あたいにはみんなを助ける力がない……!」

「なら、力を持つ人を頼りなさい。そして、自分にしかできないことを見つけるの」

 

 泣きながら訴えかけるアイサと目線を合わせて、ビビは穏やかに伝える。

 しかし、アイサは唇を噛み締めて、

 

「そんなの、いないよ! ワイパーたちぐらい強い人なんて、どこにも——」

 

 と、アイサが振り絞ろうとした瞬間。

 

「ほっほほーう!!」

「ほっほーう!」

 

 膨らませた風船のような身体をした神官が二人、メリー号へと飛び込んできた。

 

「おれ達は副神兵長! よくもサトリの兄貴を〜!」

 

 問答無用で、二人の神官は一味へと襲いかかろうと迫ってくる。

 ナミとガン・フォールが武器を構えようとするが、それをビビは手で制す。

 任せて、と目で伝えると、一歩前へ。

 

「あなたのいう仲間がどれくらい強いのか知らないけれど」

 

 エネルに敗北して変身が解けていたビビは、再びその身体を蒼い体毛で覆う。

 空の者よりも大きな白翼が、悠然と広がる。

 ビビの強靭な爪から、蒼い焔が溢れ出す。

 そうして行った動作は、向かってくる敵に対して、ゆったりと右腕を横に振る、ただそれだけ。

 ほんのそれだけでの動きで、猛炎が、二人の神官を焼き尽くした。

 数秒とかからず敵を圧倒したビビは、アイサへ優しく微笑む。

 

「私は、強いわよ」

「………………」

 

 アイサはあんぐりと口を広げたまま、目の前の景色を見つめる。

 言葉を失っているアイサの頭にビビはポンと手を置いて、

 

「どう? 一緒に神の島(アッパーヤード)に行かない?」

「え……?」

 

 その言葉に動揺をしたのは、ナミだった。

 

「ちょ……! ビビ! 危ないわよ! あのエネルってやつとまた会ったら、今度こそ殺されちゃう!」

「大丈夫。次は負けない」

「そんなこと……!」

「それに、ルフィさんもウタも、みんなもいるじゃない。問題ないわ」

「…………はあ。これじゃあ言っても聞かなそうね」

 

 ナミは頭に手をあて、やれやれと首を振った。

 麦わらの一味というのは、どうしてこう一度決めたら頑固として譲らないのか。

 良さでもあるが、さすがに呆れる。

 

「絶対に、生きて帰ってきなさいよ!」

「もちろん!」

 

 ビビとナミは、笑顔で拳を合わせる。

 神の島(アッパーヤード)へと向かうことを決めたビビは、もう一度アイサへ問いかける。

 

「あなたは、どうする?」

「あたいも、行きたい! みんなの役に立ちたい!」

「じゃあ、一緒に行きましょう。シャンデラと麦わらの一味の共闘ね」

 

 アイサと握手をしたビビは、今度は目線を合わせずに背筋を伸ばしたまま、

 

「じゃあ、あなたにしかできないことを教えて」

 

 あくまで、対等に。

 アイサの子守りをするために握手をしたわけではない。

 その意志を尊重して、ビビは子どもではなく仲間としてアイサへ問いかける。

 その意志に恥じないように、アイサは必死に頭を回す。

 

「そ、そうだ!」

 

 アイサは周囲を見回す。

 そこには、先ほどビビが瞬殺した二人の神官が落とした(ダイアル)が転がっていた。

 それを拾い集めたアイサは、何やらそれをガチャガチャといじり始める。

 そして出来上がったのは、棒の先に捻れた二つの貝をつけた簡易的な武器。

 

 一見すると、ただ(ダイアル)をつけただけのように見えるが、

 

「あたい、何個かの(ダイアル)を一つにまとめられるんだ」

「それって、どういう……」

 

 皆が首を傾げたところで、タイミングよく大きな空魚が飛び出してきた。

 アイサは飛び出し、大きく振りかぶった武器を空魚の頭へぶつける。

 

炎の斬撃を生み出す貝(フレイムアックスダイアル)!!!」

 

 ドァア!! と。

 斬撃の形をした炎が飛び出した。

 ただ焼くのではなく、ただ斬るのでなく、焼き斬る。

 ここの一同が知るよしもないが、ワイパーの持つバズーカも、アイサが手掛けた最初期の(ダイアル)武器だった。

 

「これなら、役に立てるかな……!」

「ええ。その力、私に貸してくれるかしら」

 

 二人の戦士は、神の島(アッパーヤード)へ進み始める。

 

 

 

 

 

 

 そして、その決意と前進を感じ取った者が、神の島(アッパーヤード)に一人。

 

「急ぐよ、ワイパー! エネルも今、南へ向かってる!」

「おい! 急に走り出してどうした! さっきから止まったり走ったり……!!」

 

 ワイパーは怒鳴りながらウタの背中を追いかける。

 心網(マントラ)を使えないワイパーは、エネルがメリー号へ現れ、ウタの仲間を攻撃したことに気づいていない。

 ウタはいち早くそのことに気づいて立ち止まり、わずかに思考を巡らせた。

 メリー号へ向かい、ビビたちに加勢するか、黄金郷を目指して走り続けるか。

 ほんの数秒だけ考えて、ウタは黄金郷へ向かって走り出した。

 

「エネルがあっちこっちに飛んで回ってるみたい! そこかしこで敵の数を減らそうとしてる!」

 

 ウタは真実で真実を上書きする。

 仲間が戦っているのはワイパーも同じだ。仲間が何人倒れたとしてもエネルを倒す。その決意を持っているワイパーに対して、仲間が心配で立ち止まったなど口が裂けても言えなかった。

 

「エネルは神の社にいるんじゃないのか……!?」

「分かんないけど、一つの場所にとどまってはいないみたい! でも、きっとあいつも黄金郷を目指してる……!」

 

 進むべきは、変わらない。

 ビビともう一人、おそらく幼い誰かが一緒に神の島(アッパーヤード)へと足を踏み入れている。

 彼らも南へと向かっている以上、これから先の合流を考えても同じ場所を目指すべきだ。

 

「なら、このまま神の社へ向かう! おそらく黄金郷も同じ場所のはずだ!」

「うん! …………って、あれ。この声は……」

 

 ウタは集中力を広く浅くから、狭く深くへと切り替える。

 彼女の『聞く力』は、範囲を広げれば広げるほどその精度が落ちる。いま島の約八割ほどまで意識を広げ、人の位置を大雑把に知る程度。その中で、判別をできるのは、よく知る麦わらの一味だけだ。(ルフィは原因不明のノイズによって位置を把握できないまま)

 

 その意識を約五〇メートルほどまで狭める。この範囲であれば、かなりの精度を持って位置と状況を把握できる。

 

「——ロビンだ!」

 

 わずかにウタは走る方角を変えた。

 

「おい! どこへ行く気だ!」

「私の仲間と神官が戦ってる! 同盟、なんでしょ!」

「……すぐに倒して進むぞ!」

「そうこなくっちゃ!」

 

 ウタとワイパーは、走る速度をさらにもう一段階早める。

 そして、視界に神官と戦うロビンが映る。

 

「あいつは……神兵長のヤマか」

「強いの?」

「見れば分かるだろ。雑魚だ」

「りょーかいっ♪」

 

 二人は一気に距離を詰め、互いに攻撃の準備する。

 ウタは鼻唄を歌い、黄金の槍を生み出す。

 ワイパーは島雲を移動するのに使うスケート靴、シューターを振りかぶり、仕込んである風貝(ブレスダイアル)で蹴りの威力を底上げする。

 

「いつまでこんな枯れた都市をかばい続ける気ですか!」

「あなたには、先人の足跡を尊ぶ気持ちが全くないようね」

「私は過去にこだわらない質なのだ!」

「……そう。なら、不意打ちだって、水に流してくれるわよね」

「何を——」

三十輪咲き(トレインタフルール)!」

 

 神官長ヤマの身体から生えた無数の手が、彼の身体をその場に縛り付ける。

 だが、ロビンの数倍の質量はあるだろう巨軀を縛り付けられるのは、良くて数秒。

 

「こんなもの、すぐに……!」

「ええ。数秒で充分だもの。そうよね、歌姫さん?」

 

 瞬間。

 

「どりゃあぁああ〜〜!!!」

 

 猛烈な突きと蹴りが、神官長ヤマの意識を一瞬で刈り取った。

 

「ロビン、大丈夫!?」

「ええ。助けてくれてありがとう。歴史的に価値のある物を壊さないように立ち回っていたから攻めあぐねていたの」

「へえ〜! そんなにいいものがあるの?」

「ええ。とても興味があるわ。それに、おそらく黄金郷はもうすぐ近く」

「本当! じゃあすぐ行こう! 冒険冒険〜!」

「おい、ウタ! エネルを倒す同盟だろうが!」

「そういえば、ゲリラの人と一緒に行動してるのね」

「そう! 仲間になってくれたの!」

「一時休戦、および同盟だ! 間違えるな!」

「そんなこと言ってぇ〜!」

「ふふふ。なんだか楽しそうね。麦わらくんは?」

「逸れちゃった! なんか不思議なんだよね〜。声もなんだかボヤけてどこにいるのか分からないし……」

「そう。それで、まずは黄金郷へ?」

「うん! ルフィなら絶対、黄金郷へ辿り着くから!」

 

 満面の笑みで親指を立てるウタを見て、ロビンは微笑む。

 やれやれ、と何を言っても無駄だと観念したワイパーは先へと進み始める。

 そして、歩くこと数分。

 

「見ろ。あの巨大豆蔓(ジャイアントジャック)の上にある遺跡と、そのさらに上にあるのが、エネルのいる神の社だ」

「すっご〜い! おっきなツル!」

 

 広大な島雲から逞しく上へと伸びる、超巨大なツル。その先にはいくつかの島雲がついており、そこにも遺跡のようなものがちらほらと見える。

 とすれば、あれこそが。

 

「黄金郷、見つけたぞ〜!」

「そのオーゴン……とやらは分からないが、カルガラの故郷はあの地のはずだ」

「………………、」

 

 しかし、ただ一人。

 ロビンだけは上を見上げず、周囲をキョロキョロと見回していた。

 

「どうしたの? あそこに行けばいいんじゃないの?」

「少し……気になるの」

 

 ロビンは周囲に偏在する遺跡の残骸を眺める。ウタから見れば、ただ小規模な瓦礫の積み重ねにしか見えないが、ロビンは全く別の感想を抱いていた。

 

「ここに来る途中、慰霊碑をいくつか見かけたの。そこにはこの都市の地図もあったのだけれど、少しその地図との食い違いがある」

「……? 空まで飛んできたんでしょ? バラバラになっちゃったとか?」

「いいえ。広さも地形も、全くの別物。バラバラになっただけでは、説明がつかない」

 

 カツンカツンと、ロビンは遺跡の残骸の間を抜けながら、メモを取って状況を整理していく。

 巨大豆蔓(ジャイアントジャック)の根本へ近づいた辺りで、ロビンはぴたりとその足を止めた。

 

「やはり、おかしいわ」

「どうしたの?」

「この遺跡は、青海で栄えたシャンディアの跡地のはず。それなのに、こんなにも島雲に覆われているなんてあるのかしら」

「……? 空島だったら、あるんじゃない?」

 

 ワイパーはよく分からんという顔で首を振る。

 それに対して、ロビンが一つの説を提唱する。

 

「この都市は、おそらく突き上げる海流(ノックアップストリーム)によってこの空島へとやってきた。つまり、島雲をかき分けて上へと飛んできた」

「俺が伝え聞いているのは、四〇〇年前に突如として大地(ヴァース)が現れ、鐘の音と唄が響いたということだけだ」

「やっぱり、突然現れたのね」

 

 ロビンは頷く。

 かつてジャヤであった神の島(アッパーヤード)は、このスカイピアを突き抜けて、この島雲に着地した。

 

「この島雲よりも高い位置まで島が飛んで、ここに落ちたのなら、たとえ島雲といえど深く島雲にめり込むように落ちたはずよ」

「待って、ロビン。まだちょっとわからない」

「八〇〇年前に栄えた黄金の都市の規模が、こんなものであるはずがない」

「……おい、待て、女。それじゃあ、俺たちの故郷は、あの上じゃなくて……」

「ええ。おそらく、この島雲の下が、本当のシャンディアのはず」

 

 すぐさまワイパーがバズーカを下へ向け、ためらないなく引き金を引いた。

 轟音とともに足元の島雲にぽっかりと穴が空き、そこを飛び降りる。

 

「本当に、遺跡の奥が……!?」

 

 島雲の層を一つ下へ降りると、そこはさらに遺跡の中へ入り込んだような空間へと繋がっていた。

 四方はツタが巻き付いた石造りで、それを島雲が蓋をしているような形。

 

「すっごい! 遺跡だぁ! わくわく!」

 

 ぐるぐるとその場で回りながら飛び跳ねるウタを微笑ましく眺めながら、ロビンは遺跡の奥へと進んでいく。

 心なしか、ワイパーの表情が強張っている。

 四〇〇年もの間続いた因縁に決着をつけるためにこの地へ足を踏み入れたが、それまではカルガラの話は伝え聞くだけであった。

 大戦士カルガラ。

 かつて英雄ノーランドとともにこの地の歴史を変え、空へと飛んだシャンドラの灯を灯すために命果てるまで戦い続けた誇り高き戦士。

 そんな夢物語のような存在が生まれ育った場所が、すぐ目の前にあるのだ。

 そして。

 

「…………これが、」

 

 ワイパーは声を震わせながらも、それでもはっきりとこう口にした。

 

「これが、おれ達の故郷か……!!」

 

 ポロポロと涙を溢しながら、ワイパーはその景色を目に焼き付ける。

 堂々と、雄大に。

 その繁栄を滅びた後も誇るように力強く。

 シャンディアは、そこにあった。

 

「すっごーい! でっか〜〜い!!」

 

 と、はしゃぐウタだったが、周囲を見渡して不思議そうに首を傾げる。

 

「あれ? でも、黄金郷じゃないの?」

 

 ウタの違和感は、遺跡の全貌にあった。

 確かにここにあるのは栄えたはずの都市。

 しかし、それは全て石造りで、黄金の欠片は微塵も見当たらない。

 

「いいえ、歌姫さん。ここは確かに、黄金郷だったはずよ」

 

 すぐそばで答えたロビンは、ウタには読むことのできない文字が書かれた壁を眺めていた。

 

「こんなところに無造作に歴史の本文(ポーネグリフ)があるなんて」

 

 そこに書かれた言葉を、ロビンは読み上げる。

 

「真意に口を閉ざせ。我らは歴史を紡ぐ者。大鐘楼の響きと共に……」

「大鐘楼って……!」

「ええ。ノーランドの日誌にあった、巨大な黄金の鐘のことを指しているはずよ」

「すごいすごい! やっぱり本当にあるんだ、黄金の鐘!」

「おい、ノーランドの日誌とはなんだ! お前たち、持っていたりするのか!?」

 

 ワイパーがやたら興味津々に聞いてくるが、残念ながら期待に応えることはできない。

 青海にあると伝えると、少ししょんぼりとしていた。

 

「それにしても……」

 

 ロビンは遺跡の中を散策し、現状を把握していく。

 

「町の書物の類は全て燃やされていた。都市の歴史は絶やされていた。加えて、歴史の本文(ポーネグリフ)が運び込まれているということは……!」

 

 ロビンは遺跡を飛び出した。

 慌ててウタとワイパーがその後ろについて走り出す。

 

「戦ったんだわ。黄金都市シャンドラは、歴史の本文(ポーネグリフ)を守るために戦って滅んだ……!!」

「どういうことだ。カルガラたちよりも前の先祖が、何者かと戦っていたのか……!?」

「ええ。空白の百年に位置する八〇〇年前。そこで何が起こり、滅んだ。それでもなお、栄華を示す黄金は残り続けた。なら、四つの祭壇の中心に……!」

 

 ここに辿り着くまでに散見した痕跡を思い出し、ロビンは巨大豆蔓(ジャイアントジャック)の根本で足を止める、が……。

 

「ない……。なら、黄金の鐘はどこへ……」

「え!? 鐘、ここにないの!?」

「シャンドラの灯は……!」

「もしかしたら、ここへ飛んでくる間に落ちたか、そもそもそんなものなんて存在しなかったか……」

「そんなことないよ! 黄金の鐘は、絶対にあるもん!」

 

 ウタはバタバタと暴れて、ロビンへ訴えかける。

 だが、その動きをピタリと止めたウタは、慌てて後ろを振り返った。

 

「何やら、興味深い話をしているようだが……私も混ぜてもらえるだろうか」

 

 ウタの視線の先に座っているのは、上半身に衣類をまとわず、肩甲骨辺りから羽根ではなく四つの太鼓が連結されている。

 さらに特徴的なのは、胸元まで伸びた耳たぶ。

 普通の人間とは異なる特徴を持つその男を見て、ワイパーは低い声を上げた。

 

「……エネル…………!!!」

 

 突き刺すような殺意を、エネルは一蹴する。

 

「まあそう慌てるな。今、私は会話をしに来ているのだ」

「貴様の都合など、関係あるか……ッ!」

「いいのか? その気になれば、上層遺跡へ辿り着いたお前の仲間をここから倒すこともできるのだぞ?」

「でまかせだ」

「ワイパー。本当だよ。このツルの上に、私の知らない気配がいくつかある」

「……ほう。そのレベルの心網(マントラ)ということは、お前か。私に宣戦布告をした女は」

「うん。そうだよ」

 

 ウタの表情や立ち振る舞いに、恐怖はない。

 だが、この場で襲いかかろうという勢いもない。

 

「でも、戦う前に聞かなきゃいけないことがある」

「いいだろう。聞いてやる。端的に済ませろ」

「黄金の鐘は、どこにあるの」

「…………黄金の鐘、か」

 

 エネルは手に持っていたリンゴにかぶりつき、咀嚼しながら答える。

 

「この都市の黄金を集めたのは私だ。だが、鐘は知らんな」

「やっぱり、何かの拍子でどこかへ……」

「そんなわけがあるか! シャンドラの灯はあるはずだ!」

「シャンドラの灯……? そうか。そういうことか」

 

 エネルはピンとこちらを指差した。

 

「四〇〇年前。神の島(アッパーヤード)が現れたときに島の唄声が響いたと老人たちは話していた。それがお前のいう鐘なら、この空島へ来ているはずだ」

「じゃあ、鐘はどこに……!」

「おそらく、上だな」

 

 端的に、エネルは答えた。

 

「これだけの大地(ヴァース)が崩壊せずに形を残しているということは、一部だけがどこかへ消えたということ。なら、その可能性は限られる」

「そうだわ……! この遺跡の中心は……!」

「さすが、スカイピアに来てすぐにこの遺跡を見つけるだけあるな」

 

 まだその答えに辿り着いていないウタヘ、ロビンが説明する。

 

巨大豆蔓(ジャイアントジャック)に大地が突き刺さったときに、上へと飛び上がったのよ」

「じゃあ、鐘は遺跡の上……!?」

「そうなるな! ヤハハ! 良い話を聞いた!」

 

 リンゴを食べ終えたエネルは、ゴクリと全てを飲み込んで立ち上がる。

 

「直にゲームも終わる。あと二十分……! ついでに探しに行こうではないか!」

「…………!! エネル! 待って! あなた、一体どこに……!」

「ヤハハハ! 鋭い心網(マントラ)だ! なに、島の端のウジ虫を一匹処理するだけだ!」

「ふざけないで! そっちは——!」

 

 ロビンとワイパーはウタとエネルの会話についていけず、発する言葉を探し続けていた。

 事実、この場の誰にもエネルは攻撃していない。

 しかし、ウタの目には涙すら浮かんでいて。

 

「この、声……! あなた、パガヤさんを……!!」

「そいつが誰だか知らんが、想定してない人間まで巻き込んでしまったようだ! まったく、空の者は皆どんくさくて敵わんな! ヤハハハ!!」

 

 ウタは、血が滲みそうなほどに拳を握りしめる。

 

「……なんで、笑えるの…………?」

「滑稽だろう? 力を持たぬ者が慌てふためき、怯えている様は」

「人の命を、なんだと思ってるの……!!!」

 

 許さない、とウタはエネルを睨みつけた。

 

「ワイパー。覚悟はいい?」

「問われるまでもない」

「エネルは絶対に、ここで倒す。こんなやつに、あの鐘を渡すわけにはいかない」

 

 ウタとワイパーは前に出る。

 両者の間に火花が散っているとロビンが錯覚するほどに、彼らの敵意は鋭い。

 エネルは圧倒的であり絶対的な強者だ。

 ウタとワイパーの実力を認め、手を抜くつもりはないという表情で彼らの敵意を受け止めている。

 しかし、それでもエネルの表情には笑みがあった。

 

「ヤハハハ……! 面白い! サバイバルゲームも最終局面だ! 最後の戦いを、始めるとしようじゃないか!」

 

 エネルは手を上げ、光り輝く円柱を真上へ放った。

 誰かを狙った攻撃ではない。だが、その狙いは明らかだった。

 

「上部遺跡を……!?」

 

 既に戦闘が始まっていた遺跡の中心を巨大な円柱で貫いたのだ。

 当然、周囲にいたもの全員が、黄金都市の跡地へと落ちていく。

 

終曲(フィナーレ)だ! 思う存分、踊るがいい!」

 

 瓦礫の雨が降る。

 たまらず、ウタとワイパーはその場を離れるが、その瓦礫の中にそれぞれが見知った人間を見かけた。

 

「ラキ!?」

「ゾロと、チョッパー!?」

 

 既に激しい戦いがあったのか、傷だらけのゾロのチョッパーと、無数の神官が落ちてきていた。

 ウタは咄嗟に鼻唄を歌い、緩衝材となるクッションを生み出す。

 

「ゾロ! それ使って!」

「——ウタか!? 悪い、助かる!」

 

 身体をひねりながら、チョッパーを抱きしめる形でクッションへ背中から落下し、反動で跳ねた直後に空中で体勢を整え、無傷のまま着地する。

 その横でワイパーも髪を結んだゲリラの女性の元へ走り、その身体を受け止めていた。 そして、この遺跡への更なる来客が現れる。

 それは、どうやら上部遺跡から落下してきているわけではないようだが……

 

「「うぎゃあああ〜〜〜〜!!??」」

 

 穴の空いた雲の隙間からやってきたのは、青い翼で空を飛ぶビビと、その背中に捕まるアイサだった。

 

「ビビ!?」

「アイサか!?」

 

 だが、その様子はまるで何かから逃げているようだったが、その理由はまもなくわかった。

 

「ジュララララ〜〜!!!!」

 

 それは、ワイパーと出会う前にウタたちが遭遇し、はぐれるきっかけとなった大蛇(ウワバミ)だった。

 どうやら、なにやら酷く怒っているようで、荒ぶる大蛇からビビとアイサは逃げてきたらしい。

 

「やばいやばい! あたいたち、食われちゃうよ! もっと速く飛んで!!」

「ちょっ、そんなバタバタしないで! 誰かを乗せるのは慣れてないから、上手くバランスが取れなくて……」

「ぎゃああ〜〜!! 目の前! 目の前だってばァ!」

 

 グラグラと空中で揺れるビビを、大きく口を開いた大蛇が見つめる。

 そして。

 

「マズい……!」

 

 咄嗟に、ビビはアイサを放り投げた。

 泣き叫びながら落ちていくアイサの視界の端にとらえながら、ビビはウタを見つめる。

 

「その子、お願い!」

 

 直後。

 パクリと、大蛇はビビのことを食べてしまった。

 あまりにもあっけなく姿を消したビビだが、ウタに心配する様子はない。

 

「任せて! ほら、出番だよ、ゾロ!」

「人使いが荒れぇな!?」

 

 文句を垂れながらも、ゾロは地面を強く蹴り出して宙に飛び、アイサをキャッチして見事に着地する。

 

「おい、ウタ! ビビは大丈夫なのか!?」

「うん。多分、平気だよ。すぐに死んじゃうなんてことは、ないと思う」

「そうか。なら、ビビが戻ってくる前に、ケリつけておくか」

 

 ゾロが睨みつけるのは、ともに上部遺跡から落ちてきた神官。

 一目で強者と分かるその佇まいは、チョッパーが気絶し、ゾロがボロボロな理由をウタが推測するのに充分だった。

 空気が、どんどんと張り詰めていく。

 ピンと空気が張ったところで、エネルが呟く。

 

「これで、ほぼ全員……か?」

 

 黄金都市跡地に集ったのは、十人

 麦わらの一味は、ウタ、ゾロ、チョッパー(気絶中)、ロビン(仮仲間)、ビビ(大蛇が捕食)、ルフィ(行方不明のため人数から除外)。

 ジャンディアは、ワイパー、ラキ、アイサ。

 そして敵は、エネルとゾロと睨み合う大神官の二人のみ。

 この中から、一〇分後に立っているのは五人だけだと、エネルは宣言した。

 

「ふむ。想定よりも些か多いな。貴様たちの力量的に、大神官以外では歯が立たないとは思っていたが、よもやここまで情けないとは」

 

 エネルはそっと、右手を軽く上げた。

 そして、その指をこちら側へと向けて、

 

「仕方なし。私の手で、少しずつ減らしていくとするか」

 

 その気配にいち早く反応したのは、ウタだった。

 

「ゾロ、ロビン!」

 

 ほんの数瞬遅れて、アイサが叫ぶ。

 

「ワイパー! ラキが——!」

「——!? く、そッ!」

 

 ワイパーはアイサの言葉を聞いてからすぐに地を蹴るが、間に合わない。

 

「ふむ。悪くない心網(マントラ)だが、お前自身に力がないのが悔やまれるな」

 

 瞬間。

 雷鳴が轟く。

 

 最初の犠牲者は、ワイパーの仲間である、シャンディアの女戦士。

 長い黒髪を結んだ美形の彼女が、瞬く間に黒く焦げ、その場に崩れ落ちる。

 

「エネルッッ!!!」

 

 ワイパーのこめかみに青筋が走る。

 開戦に、狼煙もゴングもなかった。

 しかし、ウタは一切の遅れを見せない。ワイパーがエネルへと走り出した時には、既に彼へと向かっていた。

 

「やるよ、ワイパー! エネルは、私たちがここで倒す!」

「ああ! 足を引っ張るなよ、歌姫!」

「こっちのセリフだっての!」

「ヤハハハ! かかってこい! 貴様らの誇りも、全て我が野望の養分だ!」

 

 両手を広げ、高らかに笑うエネル。

 対して、向かうはウタとワイパー。

 ゾロはチョッパーとロビンの前に出て、大神官との睨み合いを続けている。

 

 四〇〇年の時を超えた因縁と約束に決着をつけるための戦いの火蓋が、ついに切られた。

 




書くことは決まってるので、次の話のサブタイだけ書いておきます。
第五十六話「ちょっとムジカ」です。
お楽しみに!
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