買った玩具が本物だった話 作:うぉっ、でっか…
作中の必殺技音声や変身音声の『!』だとかはその場のノリで勝手に弄る事があるので、誤字修正は基本受け付けません。
何故今更言ったかと言うと、言い忘れていた事を思い出したからです。
でも修正版の方を見て「こっちの方が良いな」ってなるときもあるので「自分はここで区切ってほしい」「自分はこれくらい『!』が欲しい」などの要望があれば試しに誤字修正送ってみてください。
もしかしたら採用される、かも?
「あ、やっと来た。いやぁ、てっきりゴブリン達の苗床にでもされたのかと思っ―――んん?一般人?」
ドアを開けると、不気味な色をした空や、色褪せた土が目に映る。少し離れたところには、シルクハットに燕尾服といった出立の男。
奴が魔人だろう。俺たちをあの迷路に閉じ込め、リヴィの命を、尊厳を奪おうとした張本人。
俺の存在は予想外だったようで、首を傾げる素振りを見せたが、すぐに何かに納得したかのような顔をして普通に話を続けた。
「なるほどねぇ。リヴィアリー・フラスベルが学校に通うなんて一体何があったのか、と思っていたが、どうやら原因は君だったみたいだね、神器持ち君。大方、君を仲間に引き入れる……或いは引き入れたかのどちらかで、行動を共にしていたんだろう?あーあ、予想外の出来事はこれだから嫌いだ。僕があの数のゴブリンと、そいつら全員の欲求を最大限まで不満にさせるために使用した増強剤。どのくらいの時間と金をかけて用意したと思ってるんだい?」
「……アナウンスだと、リヴィがここにいるかどうかはあまりわかって無かった口ぶりだったがな」
「あんなの作戦に決まってるだろう?『戦乙女』は皆バカだからね、嘘を嘘と見抜けないんだよ。少しでも僕が知らないふりをしたら、対策を全くされていないって思い込む。―――戦場を舞う銀雪を倒すためだけの校舎の異界化に性欲増強ゴブリンだったけど……やれやれ、その様子だと君が大半殺してくれたみたいだね。全く腹立たしい」
「リヴィのがずっと殺してたと思うけどな」
「まさか。仮にリヴィアリーが数体でも殺していれば、性欲増強剤の効果が返り血と共に彼女を襲い、一定の時間が経過すると同時にまともに歩く事すらできない程の快楽を与えるはず」
そこまで話して、男は俺をじっと見てきた。何らかの違和感を感じているのだろう。
その視線は、着崩した制服の隙間から覗く俺の肌……そこに沢山ついている、キスマークへと向かっている。
「待て。君のその痣に、リヴィアリーが平常を保ったままな事……何よりここに来るまでに、明らかに時間をかけすぎている事―――まさか」
「
リヴィを抱き寄せると、彼女はよくわかっていない様子ながらも、表情を柔らかくしてそれに応じた。
それを見て、魔人は口惜しそうに歯噛みし、威圧感を増す。
「その様子だと、俺の予想通りみたいだな。本命がゴブリンだったのは間違いねぇだろうが、仮にゴブリンを殺し尽くすのが発情するよりも先だったとしても、血を浴びれば発情するのは確実だし、自分だけじゃ鎮めきれない事はわかってる……つまりお前は今まで、足腰砕けきったリヴィを楽しむか、ゴブリンの苗床にされるリヴィを楽しむか、そのどっちかを期待してたんだろ?結果は、その場に居合わせたイレギュラーの一般人に全部滅茶苦茶にされた、だがな」
「……僕はねぇ、君のような、計画を乱すヤツが一番嫌いなんだ」
シルクハットを投げ、ワックスで整えられていたであろう髪をグシャグシャと掻きむしる。
最初の道化のような雰囲気はどこへやら。自分が想定していた事が全てダメにされてしまったストレスからか、今にも爆発しそうな震え方と共に、小さくブツブツと喋っている。
「リヴィアリーを反転させ、僕の一団に加える……その為に態々ここまで準備したってのに、ソレを……見せつけるみたいにリヴィアリーの肩なんか抱き寄せちゃってさぁ。間男気取りかよ、劣等種」
「別に。付き合ってるわけでもないし、本当の意味で惚れたわけでも惚れさせたわけでもねぇさ。―――けどまぁ、お前よりは好かれてる自信あるぜ」
「……はぁ、仕方ない。リヴィアリーは諦めるとしよう」
「あん?」
さほど悩む素振りを見せず、男はあっけらかんと呟いた。
そして、髪の毛を軽く整えてから、大量の魔力を放出する。
なるほど。これだけの結界を貼るだけあって、凄い量だ。
「君の言う通りさ。ゴブリンに犯させるか、僕が犯すか。そのどちらかを期待。いや確信していた。だから元々、僕が戦うつもりは無かった。第一、僕は戦闘が苦手だからね。この大量の魔力も、結界を貼るだとか、そう言った事にしか使えない。はっきり言って、勝ち目なんて無い
「……なのに、俺とリヴィを同時に相手にするって?」
「あぁ。それが可能になるモノを、つい最近手に入れたんだ。あまりに強力な力なんで、リヴィアリーには使わない予定だったが……もう彼女に用はない。君諸共死んでもらうよ」
そう言って、奴は懐から取り出した。
―――
「君は神器持ちなんだろう?なら、僕の神器と君の神器。どちらが上か試そうじゃないか!」
『メガロドン!』
天面のボタンを押し、奴はバイスタンプを自身の体に押印した。
瞬間、ヤツの体を覆うように脈打っていた魔力がうねり、何かの形をとるように集まりだす。
シルエットが見え隠れし、色が付き、形が固定化され、そして明確に
折り紙のような外殻に、ドクロを思わせる顔。
ソレはまさに、仮面ライダーリバイス本編に登場した『
「コイツは僕の魔力を媒介に顕現する獣。どうやら押印された対象の悪感情を元に生まれるらしいから、悪意と魔力とを組み合わせて『悪魔』という呼び方をしているよ。中々良いだろう?この歪な見た目も、まさしく『悪魔』と言える。我ながら良いネーミングセンスだと思うよ」
「……的確だな」
色んな意味で。
悪魔……この場合、メガロドン・デッドマンか。ソイツを愛おしそうに撫でると、男は自慢げに話を続けた。
「どうやらこの神器、普通の人間に使っても大抵は悪魔を生み出すのではなく、白黒の人型の何かを生み出すだけに留まるようでね。僕のように悪魔を生み出せるのは、ほんの一部……一定以上の魔力を持った存在だけらしい」
白黒の人型の何か……恐らくはギフジュニア。
俺の知っている、仮面ライダーリバイスの設定通りだ。魔力云々のところは別として、殆どがリバイスにおける悪魔の実体化の話と同じだ。
というか、試したのか。あの口ぶり。
悪魔を実体化させると寿命が縮むとかそういう話は無いと思うが、それでも利用された人達が一定数いるって事は事実だろう。
―――戦う理由が増えたな。
「仮にリヴィアリーと対面した時に、まだ余力が残っていた場合を想定して、一先ずは
指を鳴らすと、周囲から大量のギフジュニアと、三体のデッドマンが出現した。
一気に敵が増えた事で、俺もリヴィも離れ、それぞれ武器とドライバーとを構える。
「驚いたかい?だけど、まだもう一つあるんだよッ!!」
男の言葉に反応したかのように、メガロドン・デッドマンの体から一枚の紙が飛び出す。怪しげなオーラを纏うそれに、ヤツは迷いなくバイスタンプを押印した。
そう。フェーズ2のデッドマンになるための方法―――上級契約を、行ったのだ。
「ソレもできるのかよっ!?」
「ハハハハハッ!!これがこの神器の真の力!まさに、悪魔との『契約』!僕に不足している力を、全て与えてくれるのさ!」
メガロドン・デッドマンの姿が歪み、半透明になる。ソレが両手を広げた魔人の体を包み、形を変え、新たな鎧へと変わる。
コイツ、マジか。フェーズ2だと自分の意志で元の姿に戻れないって話じゃ無かったのか。それも、これがただのバイスタンプじゃ無くて『神器』だからなのか、それとも。
「別の人間で試したってのか?ソレを」
「んんー。君はどうやらバカじゃないらしい。『戦乙女』と違って会話しやすいが、やりにくい相手だなぁ。その通りだよ。この『契約』のシステムは、適当な人間を使って発見した。本当はソイツも連れて来る予定だったんだけど、襲ってきたから殺したよ」
「……最低」
リヴィが呟く。鋭い視線と抜き身の刀が、彼女の殺意を視覚的に伝える。
無論、俺も同じ思いだ。
『魔人』全員が悪人だと、最初っから決めつけたいわけじゃないが……アイツは明確なクソ野郎だ。
キメラドライバーを腰に巻き付け、リヴィに耳打ちする。
「多分、お前の攻撃じゃ通らないだろ、アイツには」
「うん。だから、任せる。その代わり、周りの白黒は……」
「あぁ。ギフジュニアは任せた」
「……ギフジュニアって言うんだ」
「俺の知識が確かならな………よしっ、行くぞ!!」
『ツインキメラ!!』
「ほう、君の神器も同じタイプだったか!!」
俺のバイスタンプを見て、男がテンションを高くする。
どうせ、俺を倒した時に自分の凄さがより浮き彫りになる……なんて思ってんだろうな。
バイスタンプを装填し、いつもの変身待機音を響かせて、ポーズをとる。その隙にリヴィが動き、ギフジュニアを目にも止まらぬ速度で倒していく。
『キング!ダイル!Come on!キメラ!キメラ!キメラ!』
「変身」
『スクランブル!』
カニのハサミ、ワニの顎。半透明のソレらに挟まれ、俺の姿は変わる。
仮面ライダーキマイラのモノへと。
『キングクラブ!クロコダイル!仮面ライダーキマイラ!キマイラ!』
「……名前も知らねぇけど、テメェはわかりやすく『敵』だ。お前が殺した人間と、実験とやらに利用した人間に詫びながら死ねッ、クソ野郎ォぁああああああッ!!」
「それなりに考える頭はあっても、品は無いみたいだねぇっ、
リヴィが高速で動き回る校庭の中。
※―――
『キングクラブエッジ!』
「ぜりゃああああッ!!」
「はははっ、凄いな!この神器には、そういう使い方もあるのか!」
次々とギフジュニアが倒れていく戦場の中を、必殺技を連発する真と、余裕な態度で攻撃を躱し、いなしていく魔人が動き回る。
まるで周囲に目を向けない二人の戦闘は、魔人を援護するべく動いた悪魔たちを無造作に蹴散らす程だった。
「恐らくはその腰に付けた神器が、もう一つの神器の力を引き出すためのアイテムになっているのかな?はははっ、なら君を殺して、その神器を奪わせてもらおう!!」
「俺が勝ったらテメェを殺してそのバイスタンプを貰うけどなぁッ!!」
『クロコダイルエッジ!』
クロコダイルの幻影と共に足を振るう。魔人は自身を援護するべく近寄って来たフェーズ1のメガロドン・デッドマンを掴み、盾代わりにした。
蹴りつけられたデッドマンは、悲鳴に似た叫び声を微かに響かせながら、爆発した。
「随分簡単に捨てるな」
「いいや、苦渋の決断だともっ!!」
赤黒いオーラを両手に迸らせ、ファイティングポーズをとるデッドマン。
言葉とは対照的にイキイキとした様子で拳を振るう姿は、まるで「次は自分のターンだ」と言っているかのよう。
真はその拳を回避しつつカウンターを少しずつ当てて行き、消耗を狙う。
オレンジと銀のオーラを両手に纏い殴る姿は、素人ながらも様になっていた。
(……凄い。真も魔人も、神器の力で底上げされているからだろうけど……私が援護に回れないレベル)
最後のギフジュニアの首を斬り落としたリヴィアリーが、少し離れた場所から二人の戦いを眺める。厳密には二人と悪魔一匹なのだが、彼女は既に自身の刃が悪魔に通らない事を確認したので静観するのみにとどめている。
リヴィアリーは実力者ではあるが、一定以上の魔力や堅牢さを持ち合わせた相手には滅法弱かった。
とはいえ、かつてはそんな強敵でも自身の肉体を痛めつける程の速度で連続攻撃を行い倒していたのだが。
ガン、ゴン、という重厚な音を幾度も響かせながら、互いの体を殴り合う。真は上位ゴブリンの一撃でしか受けた事の無かった
片や体、片や精神と、ギリギリの戦い。リヴィアリーが間に入ったとて、大して戦局は変わらないだろう。
彼女の一撃は、素早い分軽い。フェーズ2のデッドマンにダメージを与える所か、ノックバックすら狙えないのだ。
「クソッ、さっさと死ねッ!!」
『クロコダイルエッジ!』
「僕のセリフだよッ!!」
足ではなく腕に必殺のオーラを溜め、身代わりをさせる間もなく殴りつける。見事なクリーンヒット。クロコダイルの幻影が確かに魔人を噛み砕き、その体に紫電を迸らせた。
……しかし、傷ついたはずの体は即座に再生し、損傷した部分には新たに鋭利な棘が生えた。
真はようやく相手がいつまで経っても倒れない原因に気づき、舌打をする。
「チッ。メガロドン・デッドマンの再生能力が、歯だけじゃ無くて体全体に作用してるのか」
「メガロドン・デッドマン?なるほど、この悪魔の名前か。君は神器の扱い方だけでなく、名称まで知っている……もしかしてだけど、君の生み出した神器なのかい?」
「な訳あるか。俺は本当にただの一般人だよ。―――
リヴィアリーの方を一瞥し、そう答える。
戦闘前に彼女と肌を重ねたことが、真にも微かな心境の変化を与えていた証拠だった。
だがそれに魔人が気づく事はなく、興味なさげに声を漏らし、すぐに戦闘を再開する。やる事は先程からずっと変わらず、拳を振るう、蹴りを繰り出す。ソレだけである。
だが、再生する事を知った真は、カウンターではなく回避と防御に専念し始めた。
その事をすぐに理解した魔人は、来ないならばと攻撃をより苛烈なモノにする。暴虐の嵐ともいうべき連撃に、見かねたリヴィアリーが助太刀すべきだと動き出そうとしたその瞬間。
『ツインキメラエッジ!』
「ッ!!」
キングクラブのハサミが、魔人とその背後のデッドマンとを挟み動きを封じ、それを真はクロコダイルを纏った足で蹴った。
上位ゴブリンに使った時と違い、二種の最強生物の力を一つずつ組み合わせて使ったのだ。
回避と防御に専念したのは、コレを使うタイミング……魔人とデッドマンを同時に仕留められる瞬間を狙うため。
同時に爆破したデッドマン二体に、真は気を抜く事無く再びバイスタンプを横に倒す。
倒したのでは、と疑問を抱くリヴィアリーだったが、爆炎の中から傷を再生しつつ出てくる魔人を見てすぐに考えを改める。
それと同時に、真はバイスタンプを三度横に倒した。
『ツインキメラエッジ!!』
「終わりだぁあああああッ!!!」
今度は、二種の最強生物を混ぜ合わせた一撃。既に先程の一回で尽きかけだった体力のまま、気合だけで放った一撃は、無防備な体に見事突き刺さる。
「ゴッ、ぶ、ぐぅっ……はははっ、今のは効いたよ、流石にね……けど、君もそろそろ限界のようだね」
腹部に巨大な風穴を開けたまま、魔人は嗤う。対する真は、敵がまだある程度の余裕を見せているにも関わらず、荒い息を隠そうともせず四つん這いになっていた。
明らかに体力切れ。変身解除していないのが不思議なくらいだった。
「はぁッ、はぁっ、ヒュゥッ……」
「いやぁ、凄いね。元一般人にしてはかなりの強敵だったよ。君は。だけど体力。再生能力という点で僕に敵わなかった。惜しかったね。瞬間的な火力なら僕が劣っていたけど、総合的には僕が勝っていたようだ。―――じゃあ、終わりにしようか」
掲げた右手に、大量のオーラが流れ込む。それは『ツインキメラエッジ』と同等程度のエネルギーであり、今の真が喰らうにはあまりに致命的すぎた。
慌ててリヴィアリーが駆け出し、その攻撃を妨害しようとするが、遅い。
神速の異名を持つ彼女ですら、腕を振り下ろす速度にはギリギリ追いつけない。
攻撃的なエネルギーに満ちた手刀が、キマイラの装甲を斬り裂く―――。
かに、思われた。
「ッ、何?」
「……真?」
振り下ろされる腕を、真が掴む。プルプルと震えていながら、しかし拮抗している。
まさか気力だけでここまで、と軽く戦慄する間も与えず、彼は無言のままバイスタンプを横に倒した。
「ゼロ距離で神器の解放を行ったところで、既に回復を終えた僕を倒せるわけが」
『マッドリミックス!』
喋る体力すら惜しい、と、真は無言のまま天面のボタンを押す。
すると、リヴィアリーですら今まで聞いた事の無い音声が響いた。
「マッド、リミックス?」
彼女が小首を傾げると同時、バイスタンプが横に倒される。
すると、キマイラの装甲が
無機物の鎧が脈打つはずがない。しかしキマイラの装甲はドクン、ドクンと一定のリズムを取って鼓動している。
そして、次第にシルエットがより鋭利に、より生物的に変わっていく。
キングクラブと、クロコダイル。そして身を包む鎧。
ライダーのモチーフをより強く前面に出した造形。それが今のキマイラだった。
『必殺!カオス!ツインキメラチャージ!!!』
「文字通り
そして後書きで書きますが今回オリジナル設定が出る回です。
キマイラのリミックスってなんだろうと考えた時、リバイスが「自身の悪魔と協力してモチーフとなった最強生物の姿を取る」だったので「自身の装甲がより最強生物の意匠が強くなったモノになる」にしました。
イメージ的には、S.I.Cのフィギュアみたいな感じです。龍騎なら西洋の騎士甲冑的要素が強く出ていたり、オーズならより生物的な要素が強く出ていたり。
あんな感じです。