買った玩具が本物だった話   作:うぉっ、でっか…

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あんな引っ張り方をしておいて終わり方はあっさりなのです。

今回叫びが多いかも。


勝利の後の誤解

オレンジと銀。自然界で決して見られることのない二色が混ざり合い、ジグザグの軌跡を作る。

それはまさに、リヴィアリーが戦場を駆ける時のように。

 

喉を裂くような絶叫と共に、足を、拳を振るい、真はデッドマンの肉体を破壊していく。破壊とほぼ同時に再生する体は、剣山のように棘だらけのモノへと変貌を遂げていた。

 

(私と同等……って程じゃないけど、それにしても速い。今までの『解放』とは違う方法での力の引き出し方……)

 

離れた場所から二人の戦いを……真による一方的な蹂躙を観察しつつ、リヴィアリーは目を細める。

先程の真は、明らかに満身創痍だった。それこそ、後もう一回神器の解放を行えば、命を落としかねないレベルでの衰弱っぷりだったはず。

 

だというのに今の彼はリヴィアリーすら驚くレベルの速度で、衝撃波が離れた場所にいる彼女にすら届くほどのパワーで拳を振るっている。

 

「あの神器、一体……?」

 

呟いた瞬間、彼女の真横に魔人が落ちる。巻き上がった砂埃の奥で、ゆっくりと立ち上がるのが見える。

 

「なんなんだ君は……なんなんだその力はぁあああああああッ!!!」

「さぁな、俺もよく知らねぇよ」

 

トンッ、という軽い音と共に着地し、空気を振動させるほどのエネルギーを身に纏った真が歩み寄る。

砂埃の中で叫ぶデッドマンに対し、キマイラは酷く落ち着いていた。先程まで裂帛の気合と共に拳を、足を振るい続けていた男と同一とは思えないほどの静かさ。

 

「……リヴィ、離れてろ」

 

バイスタンプが横に倒れ、必殺待機音が鳴り響く。同時に、これ以上増す事は無いと思われていた真のオーラが増幅し、リヴィアリーは彼が言い終わるよりも先にその場を離脱した。

 

「その出力ゥッ、なお欲しいッ、欲しいぞその神器!!」

 

魔力を滾らせ、迎え撃たんとするデッドマン。真の放つオーラに比べれば微々たる物だが、それでも膨大。

言葉どおり命を削って神器の力を解放しているキマイラ()に対し、魔人もまた命を削って魔力を精製したのだ。

 

数瞬、必殺待機音のみが響く。どちらが先に動くか。

先手を、或いは後手を、誰が何を取るかという読み合い。

 

直接戦闘を得意としない魔人と、戦闘に関しては未だに素人の真の実力は、ちょうど拮抗している。

だからこそ、達人同士の戦いのように、無言で見つめ合う間が生じた。

 

『ツインキメラエッジ!!』

「っ!」

 

先に動いたのは、真だった。最小限の動きでバイスタンプを倒し、神器の力を解放する。

その動きに、魔人はピクリと体を反応させてから、一歩前へと踏み出した。

 

避けるでも逸らすでも、防ぐでもなく。

 

―――確実に、仕留める為。

 

「終わりだァッ、神器使いィいいいいいッ!!」

 

右足を上げ、蹴りつける真。その足裏に、魔人の拳がぶつかる。

両者ともに命を削っての一撃。その余波は、結界内で魔人によって生み出されていた仮初の景色を崩壊させていく。

それはまるで、現実という完成したパズルから、ピースを一つ一つ抜き取っていくように。

 

「うぉぁああああああッ!!」

「はぁぁああああああッ!!」

 

二人の叫び声と、空間が崩壊していく音が響く。

 

永遠のように感じられた拮抗状態は、実際十秒で終わりを告げ、その一秒後には、完全に決着が着いた。

 

だが離れた場所で見ていたリヴィアリーは、どちらが勝ったのかを知る事が出来なかった。

決着が着くよりも先に、空間が完全に崩壊してしまったのだ。

 

彼女の視界を、純白の閃光が塗りつぶす。

 

(まこ、と……――――)

 

自身が心を開く数少ない人間。

勝利してくれる事を希う少年。

 

その名前を小さく呟いた記憶を最後に、彼女の意識は眩い白の中へと溶けていった。

 

※―――

 

「……あれ、ここ……」

 

目を覚ました私が最初に見たのは、見慣れない天井。そして視界の端に見える、薄ピンクのカーテン。

リラックス効果がありそうな落ち着いた音楽が微かに流れているこの部屋は、今まで来た事は無い物のなんとなくどこかわかる。

 

保健室だ。保健室の、少し硬いベッドの上。そこに私は横たわっていた。

 

おかしい。さっきまで結界の中……異界化した学校の、校庭に居たはず。

いや、真と魔人の戦闘で結界が崩壊した記憶はあるけど……結界が崩壊したからって、なんで保健室に?

 

「わからないけど……まずは、真を探さなくちゃ」

 

結界に取り込まれてから、私はずっと真に頼りきりだった気がする。

大量のゴブリンを……私が処理しきれない分を全部倒してもらって。上位ゴブリンに至っては全部任せた。一息ついた時なんかは、(媚薬のせいで仕方なかったとは言え)戦場でエッチな事をしてもらって。

最後の魔人との戦闘も、ギフジュニア(というらしい)比較的弱い敵を排除しただけで、後は傍観者だった。

………役立たずにも程がある。いくら()()()()()()調()()()だからって、この体たらくは無い。かつての私がこの惨状を知れば、穴を掘って埋まってしまうだろう。

 

まぁ、今は反省している場合じゃない。何故保健室に居るのかとか、真がどこにいるのかとか、色々調べなきゃいけない事が山ほど―――。

 

カーテンの外に出ると、私の最初にすべきことはすぐに終わった。

気づいていなかっただけで、隣のベッドで寝ていたのだ。真は。

 

「真!……真?」

 

名前を呼ぶも、返事は無い。まさか死んでいるのでは、という最悪の想像が脳裏をよぎるが、彼の体は上下に微動していた。つまり、息はある。

 

良かった。胸を撫でおろしながら、静かに眠っている彼を改めて眺める。

少なくとも、見える範囲に目立つ傷は無い。まるで戦闘なんて無かったと言わんばかりだ。

 

だが彼のすぐ隣には、あの魔人が持っていた神器……バイスタンプが置かれている。

 

「………勝ったんだ」

 

真の頬を手で撫でる。あまり感情に乏しくない、と自分でも認めている私だが、口から出た声は驚くほど柔らかい声音だった。

 

私の手が触れると、彼は少し顔を顰めながら寝返りを打った。悪い事をしてしまっただろうか、と手を引っ込めかけた時、寝返りを打った影響で布団がズレて衣服が乱れた為に見えるようになった彼の胸元が視界に映った。

 

いや、厳密には彼の胸元に見える、いくつかの()()というべきか。

 

「―――――」

 

あざ。蚊に噛まれた痕にも見えるが、これをつけたのは私だ。

媚薬で発情して、彼にその興奮を鎮めてもらった時。何度も絶頂を迎える中、感情が高まってしまって、でもキスはダメだと拒まれて、我慢しきれずに付けたキスマーク。

 

それを見た途端、私は彼に対する申し訳なさだとかを全て忘れて、彼の隣に横たわった。

胸の奥に、モヤモヤした不定形の塊がつっかえているような感覚を覚えながら、自分の咄嗟の行動に驚く。

 

おかしい。彼が自分から起きるまでは黙って待っているつもりだったのに、どうして私は同衾なんかしているんだろう。彼と同じ布団の中に、どうして迷う暇も無く入ってしまったんだろう。

 

「………やっぱり、わからない」

 

私が真に向ける気持ち。それが恋愛感情なのかそれ以外のモノなのか、改めて考えてもわからない。

今まで人とまるで関わらなかったからだろう。ただ敵を殺す事だけが人生だった私には、恋なんてわかるはずも無かった。

 

ノソノソと近づいて、彼に抱き着いてみる。ちょうど真正面から抱き合う形だ。体温を感じられて、心地よい。

直ぐそばで聞こえる彼の吐息は規則的で、改めて彼が無事である事が確認できた。

 

その事に安堵しつつも、心音は何故か大きく、加速していく。

頬が熱い。制服姿で同衾なんかしているから?それとも―――。

 

「おいーっす、真、起きてるか?」

「!!」

「っ、んんー……?」

 

ドアが開く音と共に、男子の声が聞えて来る。聞き覚えのある声だ。確か、真の友人の満田。

 

他に誰かが寝ている事を気にもしていないのか、と説教の一つしてやりたくなるような声量に、真がついに目を覚ます。ゆっくりと瞼を開き、数秒ぼーっとした表情を見せてから、すぐに目を見開く。

 

「ッ、なっ、なんでお前ッ」

「いやー、昼休みン時はビビったぜ?いきなりリヴィアリーさんと消えちまってさぁ。ま、俺達がぼうっとしてたのか何なのかで、その隙に移動しただけだったのかもしれねぇけどさ」

 

真が小さく声を荒げる。囁くような声量なのは、今入って来た彼に気づかれたくないからだろう。

 

カーテンの向こうでは、満田がケラケラと笑いながら話している。ドサッ、という音が聞えたから、恐らくはソファに腰かけたのだろう。

 

「つか、フラスベルさんと一緒に五限以降サボるとか何やってんだよお前。探しても見つからねぇし、どこ隠れてたんだよ。放課後になって三国(みくに)先生が保健室で二人一緒に寝てるの見つけるまで、誰もお前らの姿が見えなかったっていうけど」

「あっ、あー……フラスベルが午後の授業よりも校舎探索の方に興味をもっちまったもんで」

「あー、確かにこの学校、他に比べて珍しい所がいくつかあるしな。それに午後はあの光崎と寺島の授業。どっちを優先するかっつったら校舎探索だろうな」

 

良くわからないが、真の説明で納得したらしい。顔も授業の仕方もわからないが、光崎と寺島という教師には同情する。コレで納得されてしまうくらいつまらないと思われているのは、流石に可哀そうだ。

 

……それはそれとして、どうしても気になる点が一つ。

真にも事情はあるのだろうが、こればっかりは譲れない。

 

「フラスベルじゃ無くて、リヴィ」

「バカッ、お前…!!」

「え?その声、フラスベルさん?先帰ってんのかなぁって勝手に思ってたけど、なんだ一緒にいたの―――待て、一緒だと?」

 

見るからに真の顔色が悪くなっていく。満田の声が剣呑な雰囲気を纏い、ツカツカと音を立てて近づいてくる。

 

真が無言で私に布団をかぶせようとしてくる。隠れていろ、と口の動きで伝えてきたが、正直隠れる理由が見当たらない。

別に私が真と一緒に居て、満田に何があるわけでもないだろう。

 

良くわからずに首を傾げる私の耳に、カーテンが勢いよく開けられるジャッ、という音が聞えた。

そして、息を呑む声が二つ。真と、満田。

 

「ぁっ、あっ、あぁあッ……そんな」

「う、うわぁ待て誤解だ満田!多分お前の考えているような事じゃ」

 

真が必死に満田を抑えようと手を伸ばすが、遅い。届かない。

 

「あ、天谷とフラスベルさんが、じ、事後だぁあああああああああああああッ!!!」

「だから違ぇえええええええええッ!!!」

 

二人の絶叫が、校舎中に響き。

その後二人は養護教諭らしき人が来て仲裁するまでの間、ずっと口論になるのだった。




因みに蹴りと拳が拮抗しているシーンは仮面ライダーあるあるです。普通は蹴り同士拳同士が多いですけどね。


最初はもっと文章が長くなる予定でしたが、一万字を超えた辺りでリヴィのキャラがブレッブレになっていた事に気づき大幅に修正した結果駆け足気味になりました。
少なくて申し訳ない……けどこれ以上書くとリヴィが面倒くさいウザいキャラになってしまうのじゃ……。

キメラドライバー関連以外のアイテムで登場させたい物があるのですがよろしいでしょうか

  • 良い
  • 悪い
  • 分からない(好きにして良い)
  • たぶん良い部分的に良い
  • たぶん悪い出すべきではない
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