買った玩具が本物だった話 作:うぉっ、でっか…
「リヴィ、準備終わったか?」
「ん。大丈夫」
カマキリバイスタンプを手に入れ、魅御音先輩(名前で良いと言われた。だが年上な上、俺達と同じ学校に通う事になった事もあり、先輩呼びになった)とも協力して街を守る様になったあの日からまた数日が経ち、ついに春休みが終わりを迎え、高校二年生としての生活がスタートした。
というか、これからスタートだ。
既に雪の殆どは溶け、スズメなんかが元気よく鳴いている。アイツ等可愛い見た目して害鳥なんだとか。満田が「頭の良い男はモテる!」と言って豆知識を仕入れていた時に聞かされたのを未だに覚えている。
俺もつられて豆知識だとか雑学だとかを覚えようとしたが、知れば知る程生きにくくなった(所謂知らない方が良い系の雑学が原因)ので止めた。
「……なんつーか、久しぶりの学校となると気が重いなぁ」
「私は正直、少し楽しみ。真と会うまでは、それこそ学校なんて通う事は無いと思っていたし。―――それに、真と一緒ならどこでも楽しい」
「………お前さぁ」
はぁ、とため息を吐く俺に、何てこと無いように相当な発言をしてくれたリヴィは小首を傾げる。
本当にわかっていないらしい。天然でとんでも無い奴だ。俺じゃ無きゃ何度勘違いしていると思っている。
いい加減説教でもしてやりたいが、コレがコイツだ仕方ないと何とか飲み込み、違う話題を探す。
ああそうだ。二年生になるという事は、アレがあるはず。
「そういや、クラス替えだな。今回も同じクラスだと良いが」
色んな意味で、と内心で付け足す。
すると、俺の隣を歩いていたリヴィが、あからさまに硬直し、立ち止まった。
「……クラス、替え?」
「おう。高校って普通、一年ごとにクラス変わるもんだぜ?あー、お前以外なら満田とか、神城とかが一緒だと良いな。やっぱ慣れ親しんだ連中がいると学校生活も全然違う」
「まって、真と私、違うクラスなの?」
「かもしれないし、同じままかもしれないな。こればっかりは学校が決めるもんだし、俺らに何かできる事でも」
「それはいつわかるの?」
「そりゃ張り出されてるんだよ。多分学校入ってすぐの所に掲示板でも立ってるんじゃねぇの?」
俺の言葉を聞くや否や、リヴィの姿は消えた。リヴィとの戦闘訓練で動体視力が鍛えられた俺には、彼女が高速で走るあまり見えてしまったパンツもしっかり記憶に残せたが、正直何がそんなに焦る事に繋がるのかわからなかった。
別にクラスが一緒でも、席が違う可能性はある。そもそも俺は授業だけ真面目に受けて家で一才勉強しないスタイルをとっているのだ。だから授業中に何か話をしたりとかは原則するつもりはないし、クラスが一緒でも、席が隣でも、関係ないのだが。
相変わらずの『神速』だな、と呟いてから、時間に余裕もあるしと俺はゆっくり歩く。
俺が仮面ライダーになった去年……昨年度の冬は終わり、暖かい春が訪れた。魔人もヴィヴィアンの後は特に何が来るという事も無く、偶に街に出てきた魔族をキングクラブエッジするくらいしかする事は無かった。つまり、再び平和が訪れたわけだ。あの時あの女が意味深なことを言っていたのが嘘のように。
そして、俺に何かドラマ的な何かがあったかと言われればそういう事も無く。リヴィの距離感バグった勘違いさせムーブやマリアさんのセクシー攻撃(二人きりの時には露出の高い服を必ず着用していたり、リヴィ同様に距離感がおかしかったり……勘違い上等な女って感じだ)に心乱されながらも、仮面ライダーとして戦う為の特訓をリヴィや魅御音先輩につけてもらいつつ、今まで以上の筋トレなんかを行い、ついにトライキメラバイスタンプを負荷無しで装填できるようになった。
……のは良いが、バイスタンプを横に倒す操作を行なっても変身が完了せず、まだ一歩足りないという状態に落ち着いてしまったのだが。
ここ最近の出来事を思い出し、少し憂鬱な気分になる。春先から縁起の悪い。我ながらもっと明るく行くべきだ。
例えば、そう。あの小道を曲がる時、突然可愛い女の子が飛び出してきて、恋に発展したりとか………!!!
「ま、今時そんなコッテコテな事ある訳ねぇよなぅあっ!?」
「きゃっ」
ドンッ、と、曲がると同時に何かにぶつかり、情けない叫びと共にすっ転ぶ。
俺はもう「そんなのあり得ねぇよ」とか考えるのやめよう。そう反省しながら、慌てて立ち上がり、ぶつかった相手に手を差し出した。
「わ、悪い!怪我とか………っ」
「いてて……あ、はい。特に、怪我とかは無さそうです……?どうか、しましたか?」
「あ、あぁ、いや。なんでも、ない。けど……」
言えない。言えるわけがない。
ぶつかったのは、桃色の髪の少女。俺の通う高校と同じ制服を着ていて、いくつか髪飾りをつけている。制服の上はサイズが大きいようで、いわゆる萌え袖に。スカートは短く、後もう少しでパンツが見えてしまいそうだ。やや太めの太ももで隠されているから、ギリギリ見えないが。
すっげぇ可愛い。
俺が押し黙ったのはそのせいだ。リヴィやマリアさんと一緒に過ごす内、美人には慣れてきたと思っていたが……あの二人は妖艶。どちらかといえばセクシー系だ。
だが今俺がぶつかったのは、圧倒的な可愛い系。転けた後の一挙手一投足が全部計算し尽くされているかのような可愛らしさで、そっちの耐性を持っていない俺には刺激が強すぎた。
ち、畜生。こんな使い古された出会い方でここまでドキドキするとか、俺大丈夫なのか?チョロすぎやしないか?
「ふぅん?……もしかして、見ちゃいました?」
「っ、な、ななな、何を!?」
「っふふ。わかってる癖にぃ。スカートのぉ……な・か♡ですよぉ」
口元を手で隠し、クスクスと笑う。挑発するようなその態度に、俺の心臓は早鐘を打ち始めた。
甘く蕩してくるかのような声に、知らず生唾を呑んでしまう。彼女はそんな俺を煽るように、足をゆっくりと動かした。
ッ、見え―――!
「ふふっ、ふふふっ!見過ぎですよ、みーすーぎ♡」
「あ、あぁ、いや、えっと、その、ご、ごめん」
「そう言って、全然目を逸らさないんですからぁ。……見てみたい、ですか?」
「はぁっ!?」
やはりギリギリ見えない。なんだろう、あまり恥ずかしがらないリヴィと違って、こうも誘惑するような態度をとられると、調子が狂う。
雰囲気は大事なんだなと、頭のどこかの冷静な部分で思った。
しかし現状、俺は彼女のスカートと足から目が離せない。冷静になりきれていない証拠だ。息は荒いし、もしかしたら目が血走っているかも。
情けないが、だがここまで煽られて無関心を装えるかと言われれば無理だ。
彼女はそんな俺の様子を見ると、愉快そうにクスクスと笑い、口角を上げた。
「良いですよぉ。特別に、見せてあげちゃいま〜す」
「っ、いやいやそんな、そんなの……」
すす、とさらに足が動く。後一センチ。後一センチで、ソレが微かにでも見えるだろう。
そんな状態で、目を向けずにいられる男が果たしているだろうか、いや居ない。恐らく戦乙女では無いだろう(どこで判断したかは言わないでおこう)はずなのに、リヴィや魅御音先輩やマリアさんレベルの美人。そんな子が、蠱惑的に笑いながらスカートの中を見せようとしている。
現実離れした、ファンタジックな状況に、俺は口で止めるようなことを言いながら、しかし確かな期待感をもってそれを見つめ―――。
「はい、見せましたぁ♡」
「ちょ、ちょっと待てソレありかよ!?」
パンツが見えないように動きながら、素早く立ち上がった。見せました、とか言っているが、俺の動体視力は一瞬たりとパンツが覗いていない事を見抜いている。
やられた。そう思いながらも、俺は釈然としない思いを口に出した。
すると彼女は、スカートの裾を摘み、ひらひらと揺らしながら笑う。
「あれあれぇ〜?もしかしてぇ、見逃しちゃったんですか〜?あーあ、勿体なぁい」
「いや今のは見えねぇようにしてたろ!絶対スカート押さえてたし!」
「しょーこ、あるんですか〜?っていうか、必死すぎですよぉ。そんなに見たかったんですか?」
「うぐ……そ、そりゃあそこまで煽られたら、見たくもなる……だろ」
「ふぅ〜ん?私のせい、ですか?ひどいですねぇ。責任転嫁、なんて。全部、あなたが変態さんだっただけでしょ?」
「だ、誰が変態だ!見たいですかぁ?とか煽っておきながら!」
「変態さんですよぉ。あなたはへんたいで、よわよわです♡女の子にちょっと揶揄われただけで、鼻息荒くして見つめちゃって。かわいかったですよ〜?」
顔を逸らした俺の耳元で、囁く。吐息と声とにゾワゾワと背筋が震え、でもソレが妙に心地良くって、何も言えなくなる。
へんたいで、よわよわ。そんな事を言われたのに、言い返せない。完全に相手のペースだ。
「お名前、何て言うんですか?」
「………言いたくねぇ」
「じゃあ、へんたいさん、って呼んじゃいますよ?」
「天谷真!高校二年!現在16歳!」
「へぇ〜、真
「先輩って事は、やっぱり年下だったか……お前の名前は?」
こっちも答えたんだから良いだろ、と聞き返すと、彼女は再び俺の耳元で囁いた。
「
………。
助けてリヴィ。俺やばいかもしれない。
※―――
学校に着くまで、俺は可憐(名前呼びは強制させられた。苗字で呼べばパンツの件をバラすとの事)と他愛ない会話をしながら……可憐が俺を揶揄い、ソレを面白がりながら、歩いた。
なんだろう。こういう子をメスガキと言うのだろうか。リアルにいるんだ、ってちょっと驚いた。
時刻は8時16分。結構ギリギリだからか、生徒の数はまばらだ。
ゆっくり歩きすぎたかもしれない。次からは気をつけよう……いや、コイツと一緒に登校することになった今日はイレギュラーだ。明日以降はなんの問題も無いだろう。
「じゃ、そろそろ解散ですね」
「すっげぇ疲れた。もうお前と会うことは無―――」
「っ、ぐすっ、ひぅ……ひどい、です。先輩。私とは遊びで」
「だぁあああああっ、また明日会おうね!!それで満足か!?」
「惜しい、もう一声!」
「え、えぇ……今日、一緒に帰る?」
「よろしい♡」
コイツに勝てるヴィジョンが浮かばない。ガチで泣きたくなってきた。
少ないとは言え近くにいた生徒達の視線が俺に集中し、仕方なく嘘泣きを止めさせた。なんで俺と一緒に帰るくらいで楽しいんだろう、と疑問に思いかけたが、コイツはきっと俺と言う玩具を気に入ったのだろう。リアクション芸がハイレベルな自分が恨めしい。
「あ、先輩」
「今度はなんだよ」
「迎えに行くので、逃げるのはメッ、ですよ?」
「…………二年四組な」
「はーいっ。では、また後で」
足取り軽く去っていったアイツに、俺は凄まじい疲労感から大きくため息をついた。ただでさえ不足気味の幸福がどんどん去っていく。単なる迷信が、さらに気を重くさせてきた。
絶対、クラスの奴らになんか言われるよなぁ……リヴィもクラス違うっぽいし、本当に不味いかもしれない。
「そこの君?早くしないと、遅刻になっちゃうんじゃ無いの?」
「っ、あー、すんません、すぐに―――って、マリアさん!?」
背後から聞こえてきた妖艶な声に、教員に叱られたと肩を落としながら謝罪しようとした俺は、声の主がよく知る人物であることに気づく。
戦乙女、水城マリア。高校にいるはずのない彼女が、なぜかスーツ(戦闘装束ではなく、タイトスカートとブラウスのアレだ)姿で立っていた。
他の生徒たちから、「デケェ」とか「あの人、新しい教員かな」とか「天谷の野郎、さっきの子やフラスベルさんと知り合いなだけでなくあの美人とも、だと……!?」とか聞こえてくる。どうやら俺は何があっても注目される立場にあるらしい。
悪戯っぽく笑いながら、彼女は俺のすぐそばまで迫ってきた。相変わらず近い。
「じゃーん、どう?似合うかしら」
「お、大人な雰囲気がとても良いかと……じゃなくて!なんでここにいるんですか!後、近いです!」
「ほら、この学校にはリヴィや貴方、それに魅御音もいるでしょう?なら、教員として私も潜入しておいた方が色々都合が良いと思って」
「色々って……教員免許、持ってんですか?」
「勿論。私の特技は拷問と尋問。そして潜入調査よ?教員免許も弁護士バッヂも、他にも色々持ってるわ」
す、スゲェ。多才だ。
黒タイツを纏った足をすり寄せながら、俺の肩に手を置いて囁く。可憐のせいで少し敏感になってるしやめてほしい。後、周りの目が痛い。
俺を節操なしと言う連中がそこにいるんだが。罵倒が聞こえてくるのだが。
「出席簿持ってるってことは、早速どこかの担任でもするんですか?」
「えぇ。二年四組の、ね?」
「……お、俺のクラスっすか……」
「ふふふ。一年間、よろしくね?」
………。
助けてリヴィ。俺もうダメかも。
※―――
今日は始業式、入学式の日だ。だから授業が無く、昼には終了する。
ムカつくくらい青い空を眺めながら、「この後用事があるから先に帰っててくれ」とリヴィに送ったばかりのスマホを弄ぶ。本当はアイツと一緒に帰るつもりだったが、朝に嫌な約束をさせられた。踏み倒してやっても良いが、立場が弱いのはこっちだ。偶にはカラオケでもどーよと誘ってくれた満田達に申し訳ないなとおもいながら、俺はホームルーム終了直後の教室で、喧騒をBGMに物思いに耽って―――
「せーんぱいっ」
「うぉぁっ!?……お、お前いつの間に」
「んふふ、ボーッとしてたのでつい♡」
「つい♡じゃねぇ!……はぁ、さっさと行くぞ」
「ちょっと待ったァ!!」
今日は厄日だ。可憐と知り合った事然り。マリアさんが自己紹介の時に俺と知り合いだと公言した事然り。今満田に呼び止められた事然り。
帰る前にお祓いに行こう。俺はそう心に決めた。
「なんだよ」
「その子。なんだ?」
「後輩だけど」
「俺が聞きたいのはそういう事ではないッ!!」
わかった上で誤魔化してんだよ!察しろ!
教室中の目が俺に集中している。まぁ、可憐は可愛いヤツだし、注目を集めるのは無理もない。
そして可憐本人。少し目を丸くしているが、満田が大声を出したことに対する驚きが落ち着けばきっと俺にとって何かよからぬ事をいうに違いない。さっさとこの場を離れねば。
「今朝、ぶつかって怪我させちゃったからさ。そのお詫びに何か、って言ったら、帰りに呪文みてぇなフラペチーノを奢れと言われたんでソレを買いに行くんだ」
「あぁ、そういう」
「納得してくれたな、満足したな?じゃあ俺らはお先に」
「違いますよ?」
空気が軋むような音を、俺は確かに聞いた。
俺が勢いで乗り切ろうとしている間に、可憐はすでに復活していたらしい。何を言っているんだろうこの人は、と考えているよう見える表情をしながら、しかしその瞳の奥には悪戯っぽい色を湛えて、アイツはとんでもない爆弾を落とす。
「先輩とは確かに今朝会いましたけど、怪我はしていません。今一緒にいるのは一緒に帰るためですし、私が先輩と一緒に居たいからです」
満田をはじめ、俺とこの可愛らしい後輩の関係が気になって聞き耳を立てていた生徒達が、一斉に静まり返る。
そして、次の瞬間には、教室が揺れた。
くそっ、鼓膜が破けたかと思ったじゃないか。っていうかこれに似た状況がリヴィが転校してきた時にあったような気がするんだけど。俺関係で教室二回揺れてるじゃん。バンド始めたら箱ゆらしまくりじゃねぇの俺。ギターとか練習しよっかな。
現実逃避しかけの俺の首元を、お約束のように満田が掴む。ガクガクと揺さぶってくるのは、果たして本気で締め落とそうとしているからか。鍛えているとは言えこれはキツいぞマイフレンド。
「どう言うことだテメェコラァ!フラスベルさんのみならず、入学したてのその子まで攻略済みかコラァッ!!」
「待て、違う、違いすぎる」
「―――そんなに否定すること、ないじゃないですかぁ……ぐすっ」
俯きながら、再び嘘泣き。コイツ、今この状況でソレをやるのは俺を揶揄うとかそう言う次元じゃないとわかっていないのか。ソレともわかった上でやってくれてんのか。
泣き出した彼女を見て、満田は俺を揺さぶるのをやめ、耳打ちしてきた。
「お、おい。どういうことだよ。マジで攻略済みじゃねぇか」
「してねぇ!今朝あったばっかりの女が早々人に惚れたりするわけないだろ」
「会っただけ、ならそうだと思いますけど……でも、先輩は私の恥ずかしいところ、たくさん見て」
「天谷ァああああああああああッ!!!」
「事実無根だァああああっ!!」
この日。俺はリヴィとの交際を噂されていただけの男から、可憐とリヴィの二人に手を出した節操なしの烙印を押された男へとランクダウンするのだった。
※―――
「―――えぇ、はい。『神速』は確実にあの高校にいるようです」
真っ赤に染まった空を背に、人気のない寂れた公園にて少女は呟く。返事をする者も声も無く、その声は静寂に溶けていくのみ。
だが、少女はなんらかの返答を受けたように、恭しく頭を下げた。
「はい。かしこまりました。全ては、ディゴリー様のために」
ディゴリー。現状組織が確認している魔人の中で、最も強大な力を持つ男。
彼の部下であるその少女は、彼の神器の一つである『コネクト・マインド』の効果である通話能力を利用し、遠く離れた場所にいるディゴリーへと連絡をしていた。
彼は部下を派遣するとき、本来ならばヴィヴィアンの時に使っていた『天の視線』で視界共有をするのだが、別件で共有枠を使い切っていたため、こうして定期連絡を行うことにさせたのだ。
少女は肩の力を抜くと、錆び付いたポール(もとは時計だったようだが、汚れのあまり何も見えなくなっている)に背を預け、大きく息を吐いた。
「……何が『ディゴリー様』よ、くだらない。私だって、望んであんな男の下にいるんじゃ―――」
そこまで呟いて、頭を振り、彼女は表情を大きく変えた。
このことを考えるのは、ダメだ。自分の気持ちも、仮に聞かれていた場合も、不味いことになる。
「今日は面白い人に会えたし、それでいいじゃない。私」
脳裏をある男がよぎる。自然と笑みが溢れ、久しぶりに心から笑えたその時のことを思い出す。
やけに反応が面白く、ついつい揶揄ってしまいたくなるような彼が、彼女は確かに気に入っていた。
「けど、知り合いっぽいんだよなぁ。『神速』と……」
少女は呟く。街を見下ろせる位置にある公園で、その桃色の髪を風に靡かせながら。
「
可憐チャンカワイイ!
ちなみに真がリヴィやマリアに対して以上の動揺を見せたのは、彼女が戦乙女的スタイルをしていないにも関わらず美人であったことと、リヴィ達と違い意図的に距離を詰めたりしてくるムーブをとってきたのが主な原因です。
なお帰った後、可憐との噂を耳にしたリヴィに問い詰められる真がいたとかいないとか。