買った玩具が本物だった話   作:うぉっ、でっか…

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守る、そのために戦う!?

 

「はぁッ、はぁっ……!!くそっ!」

 

悪態を吐きながら走る。走って走って、走り続ける。普段は一キロだけだが、今日はその三倍。三キロほどを、先ほど歩数計を確認した時点では走り抜けていた。それよりもさらに時間が経過した為、もうちょっと距離が伸びている事だろう。

 

戦乙女(ヴァルキュリア)』を名乗る少女、リヴィアリー。彼女と出会い、世界を守る戦いとやらに協力するよう頼まれてから、既に三日。答えを聞きに来る、と言っていた日だ。

運が良いのか悪いのか、今日は日曜日。恐らく三日前と同じ時間に我が家に訪問するだろうという事で、未だ答えの定まらない俺は、いつも以上に過酷なトレーニングを行いながら、色々と考え事をしているのだった。

 

足を止め、流れる汗はそのままに、息を整える。足がガクガクと震え、視界がぼやけている。頭がガンガンと痛むし、これはかなり追いつめられている。意外と三キロも走れるくらいには成果が出てきているが、それでもこの消耗具合。これではまだまだ、ダイモンやジュウガに変身するのは叶わないだろう。

 

「戦いに協力、って事は……あの時の『魔人』みたいなヤツの前に、今度は最初っから敵として出て行かなきゃいけない訳だろ?そんなの……」

 

キメラドライバーのバリアによって、アイツの攻撃の一切は俺に届かなかった。しかし、その時向けられた殺気は覚えている。アドレナリンでも出ていたのか、その時は非日常に対する興奮で頭が一杯だったが、落ち着いてあの時を思い出すと、少し手が震える。怖いのだ。結局。最近、自分がまるで自分ではないような錯覚を覚えるほどに、恐怖心と昂揚感とが対立している。

 

そんな俺に、世界の為にと、見ず知らずの他人のためにと、世界に戦う事が出来るだろうか。

言うまでもない。無理だ。

 

しかも俺は、どちらかと言うと他人に無関心なタイプ。嫌いな言葉はボランティアだ。そんな奴に、世界を救う戦いなんて任せちゃいけない。何なら仮面ライダーが不向き過ぎると思うだろうが、最近は私利私欲のために変身して戦うような、人間臭い仮面ライダーも多いしセーフ。

 

「―――かといって、戦いから目を背けるのもなぁ」

 

身近に命の危険があると知って。そして自分にソレに対抗する力があると知って。どうして放置して見て見ぬふりをできようか。

もしかしたら満田達のような友人に。ともすれば俺の大事な家族に、危険が迫るかもしれない。ソレを未然に防ぐ事だって、『戦乙女』達と協力すれば可能かもしれないじゃないか。

 

実利を取るか、感情を取るか。その二択は、とても大きい。

 

「……やべ、そろそろ帰らないとじゃん」

 

さりげなく変身していた俺は、言い切る前に変身を解除して、ある程度回復した事を確認してから小走りで家の方へと向かう。

 

その間も、先ほどと同じ、意見の対立が脳内で繰り広げられる。同じ事が、あの『戦乙女』と出会った日からずっと続いているのだ。いい加減ノイローゼになりそうである。

 

「そもそも俺、戦い方のいろはだって知らねぇし」

 

あの『魔人』との戦いは、正直ビギナーズラックだと思っている。

普通今までろくに喧嘩もしてこなかったような素人が、殺し合いの中で生きてきたような奴らを相手に格闘戦なんて不可能なのだ。仮面ライダー世界の元一般人変身者とか、結構平然と戦闘のプロみたいなヤツと渡り合ったりするけど、現実的に考えれば不可能極まる。特にリバイスの映画。元々はただの風呂屋の兄ちゃんに過ぎなかった主人公がアヅマのような暗殺と格闘戦を得意とするようなヤツと生身の状態でやり合えるなんて、おかしいとしか言えない。

 

……あの時は無我夢中で、ほぼほぼ考え無しみたいな戦い方だったからなぁ。

上手く決まった最後の部分だって、殆ど運だろう。俺がまだ一般人に毛が生えた程度だと、甘く見られていたのがあるかもしれない。

だが戦いに参加して、まぐれを何度も繰り返せば、警戒される。警戒されれば、まぐれなんて起きる事はなくなって……そして、殺される。

 

「………もうちょい、考えなきゃな」

 

小走りしながら、そう呟く。

だが悲しいかな。考える時間はそう多くない。

最短距離を進めば、家はすぐ近くなのだった。

 

※―――

 

家の前には、既にリヴィアリーが立っていた。

錆びた階段を歩く音に反応してこちらを向いた彼女は、目を少し大きく開いて、俺を迎えた。

 

「また、トレーニング?」

「あぁ。運動してる時の方が、陰鬱な気持ちが少なくなるからな」

「その気持ち、わかる。―――私も、昔は嫌な事を忘れるためにトレーニングに没頭した」

「それって……」

 

『魔人』だとか『魔族』だとかの命を奪う事が、最初は辛かった……とか、そういう意味だろうかと聞きかけて、すぐに口をつぐむ。

直感だ。根拠は無いが、ソレを告げるのは良くないと、そう判断した。

 

何も言わない俺に小首を傾げつつ、リヴィアリーはこちらに体を向け、オレンジ色の夕日が差し込む中、アパートの通路で、俺に問いかけてきた。

 

「それで。答えは決まった?」

 

答え。俺がずっと考え続けている答え。

勿論、帰りもずっとその答えを出すために頭を悩ませていたのだが、結論は出なかった。

 

世界を守るつもりは無い。

だが、大事な人達だけは守りたい。

命はかけたくない。

だが、仮面ライダーのままで居たい。

 

矛盾だらけの心は、答えを一つに絞らせてなんかくれなくて。考えれば考える程、答えから遠ざかっていく感覚ばかりがある。

 

黙って俯く俺に、リヴィアリーは数秒待った後、答えが出そうにない事を悟ったのか、一歩近づいてくる。

 

「半々、って顔」

 

その言葉に込められた感情はわからない。侮蔑か軽蔑か。憐憫か、焦燥か。全く違う感情が込められているのか、そもそも込められていないのか。

判断できないままに、俺は彼女の顔を見ようとして―――。

 

瞬間。凄まじい爆発音と振動が、俺達を襲った。

 

 

「ッ、な、なんだ!?」

 

攻撃された?と思ったが、違う。目に見える範囲に破壊の痕跡はないし、『魔人』や『魔族』らしき姿も無い。勿論俺達は無傷。違う場所の爆発音が、聞こえただけだ。

だがこの振動や音の大きさ……恐らく、

 

「ここから、近い」

「近いって……!!」

「話は後。着いてきて―――って、言いたいけど。貴方はまだ、戦う覚悟も、意志も定まっていない。ここで待っていて」

「待っていてって……ちょっ」

 

俺が呼び留める間もなく、彼女は手すりを飛び越えて真下へと落ちて行き、すぐに爆発が発生した場所へと向かっていった。勿論相変わらずのあのエロスーツ姿だったが、なんだか現場に急行する動きは様になって見えた。

 

いや、そんな事を考えてる場合じゃなくって。

 

「どうすりゃいいんだよ、俺」

 

※―――

 

場所を感知してから、接敵するまではすぐだった。

敵は一度派手な爆発を起こしてから、移動せずにそこにいたのだ。

 

最短距離を最速で移動したリヴィアリーは、『魔族』の反応が確認できた事を上司に伝えた際に使用した電話を投げ捨て、小型の刀を取り出す。

 

その鋭い視線が突き刺さるのは、毛皮に覆われた猿のような『魔族』。赤く充血した目と、絶えず口から溢れる唾液は、まさに獣性の象徴。

 

「……獣臭い」

「失礼ねぇ。私のらっきぃちゃんが臭いワケないじゃない」

 

『魔族』の影に隠れていた『魔人』が、姿を現す。SM風俗の女王のような、派手で露出度の高い衣装。それに身を包んだ彼女は一見すると人間と同じく見えるが、その肌の至る所に鱗のような物がついている等変わった部分が多々あった。

 

「悪趣味な恰好。変態趣味?」

「アンタ達『戦乙女』の方がもっとフェチズム強いじゃない。何よそのボディスーツ。今時売れないわよ」

「コレはれっきとした戦闘装束」

「戦闘は戦闘でもベッドの、でしょう?―――あぁ、いや。アンタはここで負けて、私の部下たちの慰み者になるわけだしぃ。ベッドの上で、なんて優しいやり方してもらえないわよねぇ」

 

鞭のような物を手で持ち、くねくねと腰を動かしながら話す。その艶めかしい姿に、リヴィアリーは眉を顰めながら、武器を構えた。

 

「その悪趣味な見た目、少しは良くしてあげる。首だけになれば、多少はマシになるでしょ?」

「良い度胸ね。その達者な口、部下たちのをしゃぶらせるのに丁度良いわ!」

 

鞭で地面を叩く。すると『魔族』が反応し、高速で接近してくるリヴィアリーへと拳を振るった。

振り下ろされる直前、すぐにその攻撃が「やばい」と本能で理解した彼女は、体を無理矢理動かして、攻撃が当たらない場所へと逃げた。

姿勢を整え、武器を構え直した彼女の目には、先ほどまで自分が居た場所に大きなクレーターが発生しているのが映る。

 

少し、冷や汗が流れた。

 

あの巨体で、あのスピード。その上あの威力。女の方の戦闘能力は未知数として、隣の『魔族』は自分にとっては不利な相手だ、と舌打ちして、再び突進。

同じ事の繰り返しか、と鞭を叩きつけた『魔人』の体は、次の瞬間には吹っ飛ばされていた。

 

(っ、見えない――ーっ!!)

「私に特殊な技能はない。他の『戦乙女』が持っているような、能力はない。―――だけどその分、身体能力に特化している。スピードという一点に、全てが集中している」

 

地面と足とが離れた状態で、何度も弾かれる。右、左、左、右……と、不規則に攻撃を受け続け、『魔人』は浮遊感にも似た気持ち悪さを覚える。

 

()()。それが私の呼び名。他の追随を許さぬ速度。『戦乙女』最速の女」

「ぐっ、くっ、この……!!」

「貴方の攻撃は当たらない。私の攻撃が貴方を殺すその時まで……散り行け」

 

ドゴン、ドゴンと『魔族』の拳が叩きつけられるが、ソレを回避した上で攻撃を繰り返す。完全にリヴィアリーのペースだった。美しい銀髪が、彼女の軌跡を少し遅れて示す。

 

『魔人』の女は、幾度も体を吹き飛ばされながらも、何事かを呟いた。すると、リヴィアリーの動きがピタリと止まり、『魔族』の拳の影が頭上に発生した瞬間にその場を離脱し、『魔人』から距離をとった場所に立った。

その頬には、冷や汗が一筋。

 

「何をした?」

「くっ、ふふっ、くはははっ。単純な魔法よ。痺れの魔法。―――『戦乙女』なら赤子でも喰らわないような低位の魔法だけれど、貴方の動きはそれでも止まる程度なのねぇ」

「っ、貴様」

「思えば、貴方の刀は私の肌を一度も斬りつけられていない……要するに、そのバカげたスピードの代わりに、魔力が普通の『戦乙女』程度も無い……一般人レベルの魔力しかないって事よねぇ。魔法に対する耐久も、私の体を包む防御魔力を突破できない程度なのも」

 

その言葉に、リヴィアリーは黙り込む。

実際、その通りだった。彼女は速度だけが取り柄。だからこそ、それだけを鍛えた。生まれながらに魔力―――『戦乙女』や『魔人』達の力の根源だ―――が少なく、初めは一般人とすら言われた彼女は、鍛え続けた速度以外は普通の人間と同じ程度の力しか持たない。

それに気づかれる前に倒し切るのが彼女の基本戦術であり、今まで勝利してきた方法だったが……今回の敵は、魔力の総量と言い賢さといい、今までの比ではないようだ。

 

「私はねぇ、『魔人』の中でも結構強い方なのよぉ?それこそ、ただ適当に魔力を撒き散らすだけで町一つ落とせるくらいに。つまり、貴方の天敵ってわけ」

 

天敵。まさにそうだ。

『魔力』は生まれながらに総量が確定し、鍛錬によって実際に使える量が変動する。つまり、初めから微量の魔力しか持たない場合、いくら鍛えても魔力は増えないのだ。

そして『魔力』は勝敗を決める最大の力。総量、使用可能量に大きな差が有れば勝敗は決まったようなものである。

 

普通に考えればこの状況、彼女に一切勝ち目はない。『魔族』だけでなく、『魔人』も相性が最悪だとは。

リヴィアリーは気づかれないように舌打ちを一つして、武器を握る力を強めた。

 

魔法は防げない。だが、神速の自分をとらえるのは至難だろう。先程のような範囲魔法でも、範囲の外に逃げるのは自分の速度なら容易。

戦い方を変えれば、油断慢心の一切を斬り捨てて、勝利を愚直に狙えば。

 

「負けはない」

「ふぅん、ま、せいぜい頑張ってみれば?」

 

魔力弾が大量に放出され、リヴィアリーを襲う。勿論回避し、背後を取った彼女は迷わず刃を振り下ろす。魔力の壁に阻まれてダメージを入れる事は出来ないが、魔力とて無限ではない。

これを何十、何百、何千と繰り返せば、勝てる。

 

これは敵との戦いではなく、己との戦いだ。

そう意識して、リヴィアリーはその場を離脱。その直後に、彼女の立っていた場所を襲うように魔法が発動された。

 

勿論、今のリヴィアリーが居る場所はその魔法の効果範囲外である。

 

「ちっ、すばしっこい奴」

「その素早さに、貴方はやられる」

「言ってろ!」

 

少し口が悪くなった『魔人』が、リヴィアリーの行動を阻害する様に魔法を発動し、本命の痺れの魔法を狙って発動する。

それを回避しながら、行動を阻害する用の致命にならない程度のダメージを時に受けながら、彼女は攻撃と離脱とを繰り返す。

『魔族』も『魔人』を援護するように拳を振るうが、勿論当たらない。砕けた地面の欠片ですら、掠りもしない。

 

(なるほど()()。この速度のまま弄ばれてたら、私とらっきぃちゃんが一方的に負けるのは確定……だ・け・ど)

「油断大敵、ってね」

「ごふっ!!?」

 

『魔人』が誘導した位置へとリヴィアリーが立った瞬間、先程までいなかった第三者が彼女の脇腹を殴り、塀へと叩きつけた。

 

一言で表すなら、下っ端。そうとしか言えないような男が、『魔人』の前に立っていた。

 

「ギャンガ様、あの女ですかい?」

「えぇ。あの子なら、貴方達へのご褒美に丁度良いでしょう?」

「おぅおぅ、良い体してるし、あの美人だ。汚しがいがあるぜぃ」

「お前、俺より先に入れんじゃねぇぞ。テメェのじゃ処女穴でもすーぐ緩くなっちまう」

「ひゃはは、俺ぁ口を使わせてもらおうかな」

 

ギャンガ……リヴィアリーと戦っていた女の下に、下っ端の男達が続々と現れる。彼等は皆卑しい視線を離れたところで倒れているリヴィアリーへ向け、下品に笑っていた。

 

不意打ち。最初からギャンガは、それを狙っていた。何度か彼女が誘導した場所で攻撃しても安全だと無意識に思い込むように仕向けてから、予め潜ませておいた下っ端に、不意を突かせたのだ。

 

結果は、動けなくなっている彼女を見ればわかる。防御も回避もできずに喰らった一撃は、勿論魔力が込められており。一般人程度の防御力しか持たない彼女にとっては、致命も致命。加減されていなければ、内臓が破裂していた可能性すらある。

 

「ごっ、がふっ、ぐ、ぅぅっ……!!」

 

必死に立ち上がろうとする彼女だが、痛みと痺れで立ち上がれない。攻撃を受ける瞬間に、痺れの魔法もしっかりと受けていたのだ。呻くしかできない彼女を、猿のような『魔族』が持ち上げ、自らの主の下へと運ぶ。

 

「正々堂々とした勝負だと思ったでしょう?でも残念。私達って、そういう知恵があるの。貴方達『戦乙女』のような、真っ直ぐなバカっぷり、発揮できないのよねぇ」

「ふざ、けるな……!!」

「ふざけてなんかいないわ。貴方は負けた。戦場にルールなんて無い。正々堂々とした戦いが褒められるのは、ルールのある競技の世界だけよ。そして、敗者が尊厳をとことんまで破壊されないのも、競技の中だけ………うふふっ。『戦乙女』の子宮を『魔人』の精液が満たすと、()()する。聞いた事あるわよねぇ。貴方達の英雄的存在だったサツキも、三日三晩の凌辱の末に反転。今ではディゴリー一派の飼い犬だって」

「っ、貴様」

「察しが良いわね~。いや、この状況で分からない方が問題かしら?―――丁度、私も元『戦乙女』の部下、欲しかったのよねぇ。さ、好きに犯しなさい。でも少し味見するだけよ。お楽しみは連れ帰ってからにしなさい」

 

主の許可に、下半身を膨らませた男達は一斉にその手をリヴィアリーへと伸ばす。彼女の戦闘装束が、タイツのように破かれる。下着をつけない衣装ゆえに、彼女の大切な所がすぐさま露になってしまう。

 

身を縮めて、見られないようにと必死の抵抗をする。目をぎゅっと閉じて、最後の最後まで抗う姿勢を見せる。

それすらスパイスにすぎんと嗤う男達の手が、彼女から隠す権利を奪おうとしたその時。

 

「やめろッ!!」

「ん~?あらあら、一般人?」

「……ッ!あ、貴方は……ダメッ、ここから離れて!」

 

リヴィアリーの警告を無視して、近づく。衣服がボロボロで、今にも襲われると言った様子の彼女を見た時点で、彼から迷いの一切が消えていた。

()()()のような高揚が、彼の中に湧き上がっていた。

 

―――真は、キメラドライバーを取り出し、腰へと当てがった。

 

「逃げねぇよ。俺が逃げて、アンタがどうなるかなんて見たらわかる。―――もう手遅れかもしれねぇけど、せめてこれ以上傷つかないように。俺が戦う」

「っ、戦うって……」

「コイツ神器持ちかよ。くそっ、邪魔しやがってよぉ~!」

「さっさと殺して、ゆっくり楽しむかぁー!ひゃはっ、お前ら、まとめて叩くぞあの神器持ち!」

「せっかくだ。その女の知り合いらしいし、半殺しにして俺達がその女犯すとこ、見せてやろうぜ」

「おーそれナイスアイディア!」

「……ありがてぇな」

「あ?」

 

バイスタンプを片手に持ちながら、真は口角を上げた。

その言葉と表情に、男達が訝しむような目を向ける。それに応えるように、彼はバイスタンプの天面のボタンを押した。

 

『ツインキメラ!』

「お前らなら、殺しても罪悪感無く生きていけそうで、ありがてぇよ」

「んだとぉ?」

『キング!ダイル!Come on!キメラ!キメラ!キメラ!キング!ダイル!Come on!キメラ!キメラ!キメラ!キング!ダイル!Come on!キメラ!キメラ!キメラ!』

 

延々と繰り返される変身待機音。それに合わせてポーズを決めた真は、目をかっと見開いてバイスタンプを押し倒し、告げる。

 

『スクランブル!』

「変身」

『キングクラブ!クロコダイル!仮面ライダーキマイラ!キマイラ!』

 

カニのハサミ。ワニの顎。二つの動物の象徴的部分に挟まれた瞬間、彼の姿は仮面ライダーキマイラの物へと変わっていた。

神器の力だとわかっていても、流石に予想外の展開。それに『魔人』は全員が緊張感を感じ、ふざけた様子を消して各々構える。

 

「どこまでやったかは知らねぇが……ソイツに酷ぇ事しやがって。テメェら全員、皆殺しだッ!!」

 

ヒーローらしからぬ、仮面ライダーらしからぬ言葉と同時。

 

まだ会って間もない少女の為に、一般人(ヒーロー)は拳を握り、敵へと駆け出した。




この作品ご都合主義とか多いし主人公マンセーな部分結構出てくると思うので、苦手な方今の内に読むのを止める事をお勧めします。

この警告、今更でしょうか。
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