買った玩具が本物だった話   作:うぉっ、でっか…

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一日だけランキングに載った日がありました。応援してくださる皆さんのおかげです。

やっぱエロゲ世界観×仮面ライダーは誰もが求めるジャンルなんだなって。


訪れる転校生、決着は校庭!?

俺は平日の朝が嫌いだった。

心地よい眠りを妨げる、カーテンの隙間から差し込む陽光。けたたましい音を立てる目覚まし時計。中途半端に覚醒した意識が、学校という憂鬱を思い出す。正直、ずっと夜のままでいい。

 

そんな風に考えていた俺は今。

初めて、朝が好きになれた。

 

「ん、ぅ………」

 

俺の胸板に顔を埋めながら吐息を漏らすのは銀髪の少女リヴィ、リヴィアリー・フラスベル。

絶世の、なんて言葉がつくくらいの美人である彼女は、俺の懐の中に潜り込んでいた。

 

当たり前だが、寝る時は違う部屋で寝た。本来俺のものである布団はリヴィに渡し、俺は暖房費削減のためのブランケットを布団がわりにして寝ていた……はずだ。だというのに、今俺の腕の中には、リヴィがいる。ぎゅむ、と音が聞こえるくらいに押し当てられている胸がとても柔らかく、背中に回された彼女の腕は、俺を離すまいと強く抱きしめてきていて……やべぇ、わけがわかんねぇ。

 

まだ意識がぼんやりとしていた時は能天気に喜んでいたが、いざ覚醒してくると、今がどれだけ不味い状況かわかる。今俺がいる場所、それは俺が寝た場所から変わっていない。布団はブランケットだし、敷布団は無い。つまり、本来俺に非はない。

だが朝。今は朝なのだ。朝という事は、男特有のあの生理現象があるわけで。

 

「し、鎮まってくれ俺の息子……!!今こいつが起きたら、凄まじい誤解をされる……ッ!!」

 

恐らくは夜中目を覚ました彼女が、トイレに行っただか水を飲みに行っただかの後に寝ぼけて俺の布団に潜り込んでしまった……とかだろうが、果たして彼女はそれにすぐ気づくだろうか。それよりも先に、絶賛彼女の尻肉を持ち上げている俺の()()に、意識が向かってしまうのでは無いか。

そうなった場合、俺は初日で彼女の信用を失い、ついでに殺される可能性が浮上する。

 

い、いやだ!昨日の今日で変な誤解をされるのは嫌だ!

だけど押し当てられてる胸が、さらに()()に力を与えて………!!

 

「くそっ、抜け出したいけどホールドがキツい!かと言って大きく動いたら起きちまう……!」

 

窮地に立たされた俺だったが、神はまだ俺を見放してはいなかったらしい。

一瞬。ほんの一瞬、リヴィの抱擁が緩くなった。俺はその隙に体を引き抜き、急いで距離を取った。

 

リヴィは、まだ起きていない。

 

「あ、危なかったぁ…………起きる前にコイツをなんとかしとくか」

 

落ち着いた寝息を立て続けているリヴィから逃げるように、俺はトイレへ駆け込むのだった。

 

※―――

 

「どーしたよ天谷。そんなげっそりして」

「……色々あるんだよ」

 

朝からあんな事があったせいで、俺はもう放課後レベルの疲弊っぷりだった。

あの後リヴィは何もなかったかのように目を覚まし、普通に会話をして食事をして、俺を家から送り出した。別に良いんだが、なんだか釈然としないものを感じる。

 

満田が相変わらずの陽気なノリで声をかけてくるが、どうも合わせられない。朝からハッスルし過ぎたせいだ。倦怠感が凄まじい。

 

「つか、聞いたか?今日から転校生が来るんだって話」

「知らね。どこ情報だよ?」

「そりゃ、アレだよ。風の噂ってヤツ」

「ははは、それはソース無しって言うんだよ」

 

転校生と聞いた時、一瞬だけリヴィの顔が脳裏を過ぎったが、満田の与太話だったかと考え直す。いや、ラノベとかだとリヴィが転校生としてやってくる展開、あるじゃん。まぁそんな一日足らずで事務的なやりとりを終わらせられる訳ないし、最初からあり得ないことではあったが。

 

「じゃあソースのある話……つってもお前のが詳しいと思うけどさ。昨日お前ん家の近くで爆破事件が起こったって話、知ってるか?」

「爆破事件?」

 

知らない体を装ったが、内心では動揺していた。

確かにあの魔人、リヴィを誘い出すために最初は結界無しで派手な音を立てていたな。

だけど結界が解除された後、どこも破壊されて無かった気がするんだけど。

 

満田は「え、しらねぇの?」と軽く驚いてから、詳しい話をしてきた。

 

「昨日お前ん家の近くですっげぇ爆破音が聞こえたんだよ。結構離れてる俺の家からでも聞こえたくらいデカいヤツ」

「……昨日は音楽聴きながら本読んでたし、イヤホンで聞こえなかったのかもな」

「お前中々な音量で聴くもんな……んでさ、警察の人もすぐにそこに向かったんだけど、何もなかったんだと。不思議だよな、近隣住民全員どころか、警察の人もその音聞いたってのに、何も残ってなかったなんて」

「そりゃあ……不思議なこともあったもんだな」

 

だよなー、と頷く満田を見つめつつ、俺はほっと胸を撫で下ろした。どうやら予想よりも大事件にはなっていないらしい。集団ヒステリーか?とか言っている人がいるらしく、朝刊にも載ったらしいが、所詮は3、4行程度の小さな記事。これなら特に気にする事はないだろう。

 

そう考えたちょうどその時、担任がドアを開けて入ってきた。満田が慌てて席に戻り、俺はヤツとの会話によってさらに体力を消費したことにため息を吐いた。悪いやつじゃあないんだが、疲れている時にはあまり話したく無い。いっつもハイテンションだからな、アイツ。

 

「んじゃ、ホームルーム始めっぞー……とその前に。喜べ男子ども、転校生だぞ。女のな」

 

担任の言葉に、噂は本当だったんだ!と色めく男子達。女子達の方も、誰が来るんだろうと顔を見合わせる者がチラホラ。

そんな中、俺は一度否定した予感が復活したことに、微かな不安を覚えていた。

 

担任は騒がしくなった教室をわざわざ静かにさせることもせず、廊下で待機していたであろう転校生を呼んだ。

 

「フラスベル、入っていいぞ」

 

返事は無い。ただドアが開き、少女が入ってくる。銀色の髪の、美しい少女が。

 

教室の喧騒は一瞬で消え、彼女が歩く音だけが聞こえる。

普段やる気のない担任ですら、今日ばかりは姿勢を整えていた。

 

「あー、自己紹介を頼む」

「はい」

 

返事をすると、彼女は黒板に綺麗な筆記体で名前を書き、俺達の方を向いて、軽く頭を下げた。

 

「私はリヴィアリー・フラスベル。一応、ハーフ。日本には長いこといなかったから、色々と疎いところがあるかもしれない。よろしく」

 

静まり返っていた教室が、再び沸き立つ。男子生徒の中には、涙を流すやつすらいた。

俺はというと、現実にはあり得ないと思っていたことが起こって絶賛混乱中だった。満田がこちらを見て、「やったな、美人転校生じゃん」と言ってきているが、生憎それどころでは無い。

 

俺の不安は、見事に的中してしまった。

アイツ、いつの間に手続きを。

 

「フラスベルの席は……そうだな。ちょうど空いてるし、神城(かみしろ)の隣で」

 

神城……神城大和(かみしろやまと)は、このクラス、この学年……いや、この学校全体で一番のイケメンと名高い男だ。俺と満田の数少ない友人だが、そのあまりのモテっぷりに最近はあまり会う機会が多くない。

まぁそんな事はどうでもよい。今大事なのは、リヴィがアイツの隣の席に座るという事だ。

 

勘違いしないで欲しいが、俺は「リヴィが取られる!」とか見当違いな事を言うつもりは無い。そもそも神城には既に好きなヤツが居るし、ソイツは男だ。俺以外に知る者はいないが。

そう。俺以外にソレを知るヤツはいない。だから女子たちは神城と付き合えるチャンスがあると信じて疑わない。その結果、争いが発生する。席替えの時なんか、誰が神城の隣になるかで凄まじい盛り上がりを見せるのだ、彼女等は。

今まではアイツの隣に誰もいない状態が続いていて、束の間の平穏が保たれていたが……リヴィなんて美人が、神城のすぐ隣に座る……きっと気が気ではないだろう。

 

可哀そうに。運が悪かったな、としか言ってやれないが、アイツは同性からの好感度がほぼ地の底に落ちた状態からスタートという訳だ。共に戦う仲だ。同情はする。

 

憐みの目をリヴィに向けると、おかしい。アイツは担任に指示された場所に向かうでもなく、俺の目を見てから、こう呟いた。

 

「真」

「あん?」

「私は、真の隣でお願いします」

「真……?」

 

先生の視線が俺に向かう。それだけじゃない。全員の視線が俺に突き刺さった。

因みにだが、このクラスに「真」という名前の生徒は俺以外に居ない。似た名前もいないので、他の誰かの聞き間違えという事も無いだろう。

 

―――おい、リヴィ。なんで俺なんだ。

 

「なんだ天谷。フラスベルと知り合いだったのか?」

「あっ、あー……はい。色々あって知り合ったと言いますか」

「ふぅん……だけどな、フラスベル。天谷は丁度真ん中あたりの席だし、移動させるとなると色々面倒でな。知り合いがいて、ソイツに頼りたくなる気持ちもまぁ、わからなくはないが……ここは社会経験を積むって事で、天谷以外のヤツの……神城の隣じゃダメか?」

「むぅ……真からも、言って欲しい」

「え、えぇ……」

 

視線が痛い。男子たちが今にも飛び掛かって殺しに来そうな勢いだ。「なんでお前あんな美人と知り合いなんだ殺すぞ」と、視線でそう語っている。因みに神城の方は、どうでも良さげだ。まぁアイツ今好きなヤツ以外にはまるで興味が無いっつってたしな。

 

「言って欲しいと言われましても……あのですねぇ、()()()()()()()。俺からは先生の言葉に従った方が良いとしか言えなくって―――」

「?なんでフラスベルって呼ぶの?」

「はっ?」

 

純粋に疑問に思っているのか、彼女は首を傾げた。その言葉に全員が疑問符を浮かべるが、すぐに男子たちは殺気を、女子たちは姦しさを増すことになる。

 

()()()と呼んでって言った」

「ばかっ、お前―――!!」

 

俺の制止は間に合わず、彼女の言葉を聞いたクラスメイト達が一斉に叫び、爆発したかのような錯覚を覚えさせる。今一瞬、教室が揺れた気がした。音ってすげぇ。

若干現実逃避しかけた俺の胸倉を、満田が掴む。その目からは、滂沱の涙が。

 

「おいっ、テメェッ、どういうコトだ天谷コラァッ!!」

「お、落ち着いてくれ。ほらあの子、ハーフだし?今まで海外にいたから、距離感のつめ方とかが日本基準だと近すぎる分類になってるだけで」

「……真以外にリヴィと呼ばせるつもりは無いけど」

 

ブチッ。

俺の耳に確かに聞こえた、何かが切れる音。目の前の友人の怒りが、最高潮を突破した音。

 

「あまやぁああああああああっ!!!」

 

余計な事言いやがって、と内心毒づきながら、必死に満田を宥める。だが悲しいかな。今目の前で叫んでいるコイツ以外の殆どの男子が、同じかそれ以上の怒り具合なのだ。

因みに女性陣は完全にリヴィが自身らの戦いから外れた事を確信し、目の前で繰り広げられるであろう恋愛模様に大興奮の様子だった。相手が俺だというのに。絶対女子の殆ど俺の名前すら知らないと思う。

 

「おい落ち着け。気持ちはよくわかるが、このままだと一限に間に合わねぇ。―――フラスベル。どうしても天谷の隣じゃ無きゃダメか?」

「はい。隣なら、右でも左でもどちらでも」

「はぁ……しょうがねぇ。勝山、悪いが動いてくれ」

「へーい」

 

渋々、と言った態度を取りながら移動する男子生徒。彼を恨みがましく見つめるのは、俺の左隣の女子だ。なんで女子の方動かさなかったんだろう、と思ったが、仮に先生の指示で神城の隣に女子を配置すると、違う面倒な事が発生するからだろう。おかげで俺の両隣は女子だ。気分だけ女子高に入学した男主人公である。はっきり言って気まずい。

 

「色々あるだろうが、取り敢えず時間ねぇからホームルームちゃちゃっと済ませるぞ。フラスベルとか天谷に聞きてぇ事があれば、休み時間でも使え。んじゃ、軽く連絡行くぞー」

 

担任がいつも通りに連絡事項を棒読みで読み上げていくが、生徒たちの視線は俺達か勝山の方にばかり向いていた。

 

……あぁ、なんでこうなったんだ。

 

※ ―――

 

俺は、昼休みが好きだった。

長く辛い授業を終えて訪れる、一時の安らぎ。飢えた腹を満たし、微かな眠気を感じるあの時間。残りの授業という憂鬱を忘れられるこの束の間が、俺はとても好きだった。正直ずっと昼休憩で良い。

 

そんな風に考えていた俺は今。

初めて、昼休憩が嫌いになった。

 

「ねぇねぇ、フラスベルさんと天谷君って、どういう関係なの?」

 

授業の合間の微かな休みは、驚くほど誰も俺達のところに来なかった。一体どうしてだろうか、でもまぁ来ないなら来ないでありがたいや、なんて思っていたが、どうやらこの長めの休みを待っていたらしい。見れば、男も女もクラスメイトの殆どがここに集中しているようだ。

 

「どういう、と言われると難しい」

「えぇっ、それって!」

 

きゃいきゃい、と質問者を筆頭に女子グループが盛り上がる。良くもまぁ盛り上がれるものだ。リヴィの恋愛事情を聞いて何が楽しいんだろうか。相手は俺なんだぞ、お前らの考えだと。良いのかそれで。

 

「天谷とは、どこで知り合ったんですか?」

「真と直接会ったのは真の家の前。私が一方的に知って、声をかけた」

「じゃ、じゃあフラスベルさんから天谷に……?」

「?言い換える必要はないと思うけど」

「そ、そんなぁッ、そんな事があっていいのか!!」

「畜生ッ、一生恨んでやるぞこの野郎!!」

「俺達彼女できない同盟の絆は不滅じゃ無かったのか!!」

 

絶望しきった声を出す男達。満田は絶対に許さないという視線を俺に向けて来るが、実は彼女でも何でもないので絆は未だ切れていない。まぁ、満田が裏切られたと感じているならそれまでなんだろうけど。

 

っつーかリヴィにとって話していいラインとそうじゃないライン、どうなってるんだ?普通俺と出会ったときの話とか、『戦乙女』とか『魔人』とかの話を隠すためにももっと違う嘘をでっちあげるべきだと思うんだけど。

 

「フラスベルさんから天谷君に声をかけたって、どういう事?何かあったの?」

「それは……」

 

困ったような視線を向けて来る。おい、言い訳考えてなかったのかよ。

 

わざとらしい大きなため息を吐きながら、俺は即興で言い訳を考えながら言葉を発する。上手く誤魔化せますように、と心の中で滅多に祈らない神へと祈りを捧げる事を忘れずに。

 

「フラスベルの親戚と、俺の家族が知り合いだったんだ。仕事の関係でな。それで、相手の方は俺の名前を聞いてたみたいで」

「へぇ、そうなんだ」

 

な訳ないけどな。俺の両親、二人とも国外に出たことすら無いし。

ただそれを知るのは俺だけだ。誰も疑う事はできない。

 

リヴィが目で「助かった」と言っている気がして、俺はわざとらしく肩をすくめて見せた。そのやりとりがどうも琴線に触れたらしく、女子達がキャーキャーと騒ぎ出す。

え、男子?ずっっと殺気立ってるけど?

 

「そろそろ飯買いに行きてぇし、解散してくれないか?フラスベルの方も弁当なんて持ってないだろうし」

「だから、リヴィで良いって………っ」

 

この場から離れたい。だがリヴィには色々聞きたいことがある(休み時間の間に何も聞けなかった)ということで、購買に行くという体をとって二人きりになれる場所へ向かうつもりだったが、リヴィの言葉の途中で俺達の目の前から生徒達が()()()

 

この気配。たった二度しか経験していないがよくわかる。

 

「結界か!くそっ、また学校に『魔人』が……!」

「落ち着いて。まだ敵の狙いも、居場所もわからない。もしかしたら大規模な結界に校舎が巻き込まれただけの可能性も―――」

『あっあっあー、聞こえるかなぁ?この学校にいる『戦乙女』ちゃぁーん』

 

教室のスピーカーから、声が聞こえる。この教室だけではなく、校内中にこの音声が流れているようだ。

神経を逆撫でするような声に顔を顰めながら、リヴィは制服の背中部分から刀を取り出した。どう仕舞っていたんだろう。

 

『この街の守護を任されているのは、確か『神速』リヴィアリー、だっけ?戦場を舞う銀雪と名高い戦闘狂がどうして学校なんかに通い始めたのか知らないけど、お陰で簡単に僕の結界の中に取り込めた』

「戦場を舞う銀雪?」

「……昔の呼び名。最近は違う」

 

少し表情が暗くなった彼女に、これ以上の追及はダメだな、と口をつぐむ。それよりも今は『魔人』だ。わざわざ校内全体にアナウンスしてるくらいだし、俺達の場所が捕捉できている訳では無いんだろう。

懐からキメラドライバーを取り出し、装着。いつ戦闘が始まっても良いように、集中力を高める。

 

『さぁ、ゲームをしようじゃ無いか!命懸けの、楽しいゲームをね!ルールは簡単。君が僕のいる場所まで来れば良い。無論校舎は異界化させてあるから、君の知る通りに目的地に向かっても決してたどり着けないけどね』

「結界内の建物を異界化させた?」

「そんな芸当できるのは、かなり優れた『魔人』だけ……とかか?」

 

リヴィは黙って頷いた。若干表情が強張っているのは、相手をかなりの手練れと判断したからだろう。

……今度こそ、一筋縄じゃいかなさそうだな。

 

『そして校舎全体には大量の『魔族』を……ゴブリンを放っている。もしかしたら、この放送を聴いている時点で既に襲われているかもしれないねぇ』

「ゴブリンって……あの?」

「真が想像しているので多分合ってる。『魔族』の中でも、具体的な名称がつくのは一際強い存在だけ……ゴブリンは一体一体は弱いけど、知能があって群れで襲ってくる性質がある。油断は絶対にしないで」

『言っておくけど、ゴブリン達は性欲増強剤を過剰摂取させてあるから、捕まったら死ぬまで種付けされると思うよ。―――さぁ!是非捕まらないように気をつけて、僕のいる場所まで来てくれ!楽しみに待っているよ、校庭でね』

 

ブツン、とマイクが切られた音が聞こえる。男の声はもう聞こえない。

どうやら、『ゲーム』が始まったようだ。

 

「……校庭、か。異界化?だかなんだかの影響で道が滅茶苦茶になってるなら、俺が案内しても意味ねぇよな」

「虱潰ししか方法は無い。……できる限り、接敵しないように―――」

 

リヴィが話している途中で、教室のドアが破壊される。そしてすぐに飛び込んでくるのは、全身緑色の小さな化物。

ギィ、ギィ、という鳴き声が嫌悪感を沸き立たせる。血走った目は俺ではなくリヴィに釘付けになっており、腰に巻かれているターバンを持ち上げるように、雄の象徴が屹立していた。

 

「あれがゴブリンか」

『ツインキメラ!』

「……普通はあんな風じゃない。さっき言ってた、性欲増強剤のせいだと思う」

 

不快感を隠すことなく顕にするリヴィに、教室に侵入してきたゴブリンが三匹、にじり寄ってくる。荒削りの棍棒を手に、飛びかかるタイミングを測っている。

本能で行動するのが『魔族』だと聞いていたが、こいつらはかなり理性的な存在らしい。常に興奮状態でいる様なのに、女を前にして冷静に動こうとしている。

なるほど、厄介だな。

 

バイスタンプを装填し、変身ポーズを簡略化して、待機音を遮るようにして即変身。ワニの顎、カニの鋏に挟まれて、俺の姿は変わる。

 

『キングクラブ!クロコダイル!仮面ライダーキマイラ!キマイラ!』

「さっさと倒して、『魔人』見つけてぶっ倒すぞ」

 

俺の言葉に、リヴィが頷いたと同時。ゴブリン達は、それが戦闘開始の合図だというように、一斉に飛び掛かってきた。

 

陵辱エロゲの竿なんかに仮面ライダーが負けるわけねぇって事、思い知らせてやる!!

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