異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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壁|w・)ここから第十三話、みたいなイメージ。


カリちゃん

 

 亜空間から出ると、お日様がすっかり昇ってしまっていた。お昼前ぐらい、かな? 日本は何曜日だろう。亜空間でずっと研究していたから、ちょっと曜日の感覚は曖昧だ。

 とりあえず配信魔法を使おう。

 

「ん」

 

『きたあああ!』

『よかった! リタちゃん生きてた!』

『一週間近くも音信不通になるなよ心配するだろ!』

 

 ああ……。もう一週間ぐらい経ってるんだね。亜空間にどれだけいたかは……、うん。計算しないでおこう。

 

「亜空間でずっと研究してた」

 

『まって』

『確か、亜空間で一年過ごしても外では一時間、だっけ……?』

『つまり』

 

「計算しなくていいよ」

 

 でも、今回は本当に大変だった。地球に行く転移魔法の研究よりもずっと難しかった。同じぐらいの時間だと思われそうだけど、今回は協力者がいてこれだからね。

 

「リタちゃんー。準備終わりましたよー」

「ん」

 

 開けたままの亜空間から出てきたのは、小さな妖精のような精霊。精霊様が私につけてくれた協力者だ。この子とずっと研究をしていた。

 

『管理精霊ちゃんだ!』

『もしかして精霊様に派遣されてリタちゃんの配下になった子?』

『管理精霊ちゃんおっすおっす!』

 

「おー。これがリタちゃんが言ってた配信ですねー。管理精霊ですー」

 

 管理精霊は興味深そうにコメントが流れる黒板を叩いてる。ぺちぺちしてる。裏に何かないかと確認していて、ちょっとかわいい。

 

『かわいい』

『かわいい』

『ちなみに管理精霊ちゃん、名前はないの?』

 

「名前ですかー? ないですよー。でもリタちゃんが呼びにくいってつけてくれましたー」

 

『リタちゃんの命名……?』

『まって不安しかねえw』

『ドラゴンがゴンちゃん、フェニックスがフェニちゃんだからな……』

『カンちゃんかンリちゃんかどっちだ……? ンリは言いにくいからカンちゃんか?』

 

「カリちゃん」

「カリちゃんですー」

 

『かwwwりwwwちゃんwww』

『相変わらずの命名センス』

『さすがだぜリタちゃん!』

 

「怒るよ?」

 

 そんなに悪かったかな? 覚えやすくていいかなと思ったんだけど。ゴンちゃんもフェニちゃんも喜んでくれたし、カリちゃんも喜んでくれたよ?

 

「カリちゃん、だめだった?」

「いえいえー。カリちゃんでいいですよー」

 

 にっこり笑顔のカリちゃん。これはこれでとてもかわいい。指先で撫でてあげると、嬉しそうに頬を緩めてくれた。

 

「わはー。気持ちいいですー」

 

「かわいい」

『かわいい』

『この子かわいすぎない?』

 

 人間に友好的な数少ない精霊だからね。それもあると思う。

 

「それはともかく、師匠を探す魔法、一応は完成した」

 

『おおおおお!』

『マジかよすげえさすがだリタちゃん!』

『この短期間で!』

『短期間 (亜空間で数十年)』

『それは言わないお約束』

 

 まあ、うん。今更だからね。

 

『じゃあ今から師匠に会いに行くってことか?』

『やべえついにきたかって感じだ!』

『おらわくわくしてきたぞ!』

 

 それができたらいいんだけどね……。

 師匠を探すための魔法だけど、当然だけどそう簡単にはいかなかった。

 今回作った魔法は、二つ。まず一つ目は、生命がいる惑星を探す魔法。でもそんなすぐに調べられるものじゃない。一つの銀河につき一日はかかる。使われた転移魔法からそこまで離れた銀河じゃないとは思うけど、それも確実じゃない。

 

「一つ目の魔法はこれが限界だった。もっと短く調べるのは多分無理。少なくとも私もカリちゃんも思い浮かばなかった」

 

『いやでも一日で一つの銀河を調べられるって十分すぎるほどにすごいのでは?』

『人類は未だに生命のある惑星を見つけられてないからな……』

『ぶっちゃけリタちゃんがいなかったら、他にはないって思う人も多かったと思う』

『でも時間はかかりそうだな……』

 

 宇宙にはたくさんの銀河があるからね。近くの銀河で見つかってくれたら早いかもしれないけど、遠くの銀河になると見つけられずに終わる可能性もある。亜空間から使えたらいいけど、それはさすがにできなかったし。

 

『ちなみに銀河ってどれぐらいあるの?』

『数千万ぐらい? 億はいかんだろ』

『落ち着いて聞けよ。少なくとも二兆だ』

『ふぁ!?』

『宇宙やばすぎて笑えない』

 

 私も師匠から聞いたことがあるよ。全てを数えられてるわけじゃないけど、少なくても二兆。つまり、最後まで見つからなかったとしたら、五十億年はかかるということ。

 当たり前だけど、そんなに長く生きていられる生命なんて存在しない。少なくとも私は知らない。エルフでも、精霊たちですら無理だ。ましてや、人間の師匠なんて……。

 だから、これで探すのは百年ほど。それで見つけられなかったら諦めるしかない。

 

「確率で考えると、絶望的に低いのは分かってる、けど……。でも、諦めたくない」

 

『リタちゃん……』

『大丈夫だリタちゃん! 近くの銀河にいる可能性の方が高いんだろ!?』

『いけるいける絶対見つかる!』

『だから元気出して!』

 

「ん……。ありがとう」

 

 そうだよね。私が疑ったらだめだ。諦めも後悔もあとでできるから。

 




壁|w・)ミトさんが去って、カリちゃんが住み着きました。
ちなみに、銀河の数は2016年の研究で『少なくとも2兆』という推定結果が出ています。
さらに銀河は1000万ほどの星の数で矮小銀河と呼ばれています。1000万で矮小扱いです。こわひ。
もしも興味が出てきたら、調べて見るとおもしろいですよ。

次回は、もう一つの魔法についてと、安価。
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