異世界魔女の配信生活   作:龍翠

121 / 542
ドラゴンのお肉

「えっと……。さんやま? し? うどん……?」

 

『草』

『ちょっとログ見てくる』

『さぬきうどん、じゃないかな』

『地名じゃねえw ちな香川県な』

 

 香川県だね。スマホを取り出して、地図を開く。検索するとすぐに出てきた。以前行ったことがある大阪の側だね。四国、という地方の一つらしい。

 

「讃岐うどんはどこで食べられるの?」

 

『どこでも』

『香川に行けば苦労せずに見つけられると思うよ』

『ちょっとオススメ考える』

 

「ん。よろしく」

 

 どこでも食べられるってすごい。それだけ讃岐うどんが愛されてるってことかな。

 待っている間は暇だから、ちょっと真美の家に行こう。預けたいものもあるし。

 

「真美。ちょっと今から行く。預けたいお肉があるから」

 

『はーい』

『預けたいお肉……?』

『あっ(察し)』

 

 覚えてる人もいるみたいだね。私も、食べてみたかったのをずっと我慢してたから。

 真美の家、リビングに転移すると、ちいちゃんがお昼寝をしていた。机に突っ伏してくうくうと整った寝息を立ててる。かわいい。

 起こさないように台所に行くと、真美が待ってくれていた。

 

「いらっしゃい、リタちゃん。久しぶりだね」

「ん。本当に久しぶり」

「あはは……。絶対に時間の感覚が違うよね……」

 

『真美ちゃんは俺らと同じ一週間ぐらいだろうけど、リタちゃんは数十年だからな』

『この子ほんと実年齢いくつなんだろうなw』

『それなのに精神面が成長しないのは、その、なんだ……。うん』

 

 ケンカを売られた気がするのは気のせいかな。言いたいことは分かるから別にいいけど。

 精神面の方はハイエルフだからとしか言えない。あとはまあ、守護者になった時にいろいろと。

 

「真美。これ、調理してみて」

 

 アイテムボックスから正方形に切り取られたお肉を渡す。ずっしりとした重さがあるほどの大きさだけど、余った分は適当に食べてほしい。

 

「これ、何のお肉?」

「ドラゴン」

「ドラゴ……、ああ……」

 

『エリーゼちゃんたちを助けた時のやつか!』

『そういえば回収してたなw』

『でもこれ、調理方法分からないのでは……』

 

 それはそうだと思う。魔獣によっては毒とか持ってたりもするし。でも、ドラゴンのお肉については大丈夫だ。

 

「魔法で処理済み。毒はない。あと精霊様に聞いたけど、牛や豚みたいに使っても問題ないって。生でも食べられるよ」

「生でも……」

 

『ははーん。つまり馬刺しみたいなこともできるってことやな?』

『なにそれめちゃくちゃ羨ましい』

『お肉の刺身か。今はほとんどないからなあ』

 

 お腹が痛くなるんだっけ。その辺りはよく分からないけど。

 真美はまな板と包丁を取り出すと、さっとドラゴンのお肉を薄く切り取った。とりあえず二枚ほど。私と真美で一枚ずつみたいで、渡してくれた。

 見た目は悪くないかな。うん。とりあえず食べてみる。

 

「んー……。うん。美味しい。ワイバーンより弱いけどワイバーンより美味しい」

 

『それ絶対ドラゴンにとって嬉しくないwww』

『強さはワイバーン以下なのに味は上って、乱獲される未来しかねえw』

 

「いや、しないよ」

 

 そもそもワイバーンだってそんなに頻繁に狩るわけじゃない。一匹狩ったらしばらくお肉に困らないし、地上にいる私を襲ってくることも、ほとんどないから。

 

「真美はどう? 美味しい?」

「うん……。すごいね。今まで食べたどのお肉よりも美味しい。すごく濃厚だけど、不思議とくどくない。これなら胸焼けとかもしないかも」

 

『なにそれめっちゃ食べてみたい!』

『こってりしてるのに胸焼けしないってすごく気になる』

『リタちゃん俺たちにもわけてくれー!』

 

 無茶を言わないでほしい。ドラゴンのお肉はいっぱいあるけど、さすがに視聴者さん全員に配ったら残らない。私だって真美に料理してもらったのを食べたいんだから。

 

「それじゃあ、今日はこのお肉をカツにするね」

「ん。楽しみにしてる」

 

 お肉は真美に任せて、私はお昼ご飯に行こう。それじゃあ、転移を……。

 

「あ、リタちゃん待って!」

「ん?」

 

 魔法を中断して、真美に向き直る。真美は少し言いづらそうにしていたけど、すぐに話してくれた。

 

「ちょっと、お使いというか……。香川に行くならお願いしたいことがあって……」

「ん!」

 

『おや、リタちゃんちょっと嬉しそう』

『多分普段もらってばかりだから、頼られて嬉しいのだと予想する』

『なるほどリタちゃんかわいいな!』

 

 やめてほしい。わりとその通りだから言わないでほしい。

 

「えっとね……。香川に、イルカと触れ合える施設があるんだけど」

「いるか」

「うん。その……。ぬいぐるみが欲しいなって……」

 

 これなんだけど、と真美がスマホで見せてくれたのは、かわいい魚のふわふわな人形。さわり心地が良さそうだ。私もちょっと触ってみたいかも。

 

「わかった。場所は?」

「地図に登録するね。スマホ貸してもらえる?」

「ん」

 

 アイテムボックスからスマホを取り出して……。なんだかすごく震えてるけど気にせず真美に渡した。すごくぶるぶるしてる。

 

「リタちゃん、通知いっぱい来てるけど……」

「後回し」

「ええ……」

 

 日本でご飯よりも優先する用事なんてないから。だからお昼ご飯を食べて、晩ご飯を食べて、それから確認する。それまでは待ってもらうよ。

 真美は、いいのかなあと苦笑いながらも、スマホを何度か操作して返してくれた。

 

「ん。分かった。じゃあ、行ってくる」

「うん。気をつけてね」

 

 手を振ってくれる真美に私も小さく振り返して、転移した。

 




壁|w・)写真でイルカのぬいぐるみを見て、イルカのぬいぐるみをぎゅっとするリタが書きたくなっただけなんて言えない。
ちなみに参考にした場所はありますが、架空の施設です。架空の、施設です。
ここかなと思っても書かないようにしてください。

次回は、イルカ見学。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。