異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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銭湯に行きます

 そういえば、小骨があるって聞いたけど、あんまり感じなかった。残ってるウナギをちょっといじってみるけど、小骨は……あるような、ないような? 口に入れてもやっぱり感じない。

 

「どうした?」

「んー……。ウナギは小骨が多いって聞いたから。あんまり感じないなって……」

「小骨が残るような調理なんてしねえよ」

 

 店主さんは少しだけ不満そうにそう言った。なんだかちょっとだけ怒ってるかも。私が首を傾げると、はっと我に返ったみたいで、悪いと頭を下げてきた。

 

「日本の人じゃなければ分からないよな。悪かった」

「ん」

 

 別に気にしてないし、どういうことかもよく分からない。

 

『ここは俺、解説ニキの出番だな!』

『まさか! 君はあの解説ニキだと言うのか!』

『やべえ自称するやつなんか初めて見たぞwww』

『自意識過剰すぎてwww』

『泣くぞこのやろう』

『泣いてもいいけど解説は書け』

『ひどすぎない?』

 

 視聴者さんには知ってる人もいるみたい。店主さんもコメントを見てる。間違ってることがあれば訂正する、のかな?

 

『ぶっちゃけ安いウナギを適当に調理すると小骨が気になるぞ。小骨はどれだけ丁寧に調理したかで変わると言っても過言じゃない。ウナギの専門店とかで小骨が気にならないのは、気にならないぐらいしっかりと調理してやわらかくなってるからだ』

『長文乙』

『あー……。スーパーで安いウナギをレンジでチンする程度じゃだめってことか』

『ダメに決まってんだろウナギなめてんのか』

『めっちゃキレるやんwww』

 

 いろんなものがお買い物できるスーパーやコンビニってすごく便利だと思ったけど、たくさん売るからこその不便さもあるんだね。

 店主さんも特に訂正しなかったから、概ね間違ってないみたい。すごく丁寧に調理してるってことかな。すごい。

 

「つまりちいちゃんが嫌いなのは、真美の調理がちょっと適当だから?」

 

『まって!? 専門店と比べないで!』

『さすがにそれは比較対象が悪すぎるわw』

 

 ん……。それもそっか。さすがに真美に失礼かな。ごめん。

 

「あ、お持ち帰りとか、できる?」

「一応できるが……。できればできたてを食べてほしいんだけどな」

「ん。大丈夫。アイテムボックスに入れるからいつでもできたて」

「そ、そう、なのか……?」

 

 意味が分かってないみたいで、店主さんは首を傾げてる。こればっかりは、人によって分かる人と分からない人がいるみたい。ゲームとかする人はなんとなく分かるらしい。

 そういうことなら、と店主さんはまたウナギを用意してくれた。蒸しと焼きを一杯ずつ。お持ち帰り専用のパックに入れてくれた。また精霊様と一緒に食べよう。

 

「ごちそうさまでした。美味しかった」

「ああ。またいつでも来てくれ」

 

 支払いをして、お店を出る。うん……。ウナギ、美味しかった。とても満足。また食べに来たいな。

 

 

 

 真美のお家に戻って、のんびり過ごす。えっと……。漫画、続き読もう。

 

『流れるように漫画を手に取った、だと?』

『まるで自分の家かのようにw』

『真美ちゃんが帰ってくるまでは休憩かな。スーパーでウナギ買ってくるわ』

『品切れ多発してるぞ』

『マジかよwww』

 

 コメントを見てるとお話に集中できないから、しばらくは無視で。のんびりと。

 そうして漫画を読み進めていると、真美が帰ってきた。今日はちいちゃんも一緒みたいで、最初に駆け込んできたのはちいちゃんだ。

 

「ただいまー!」

「ん。おかえり」

 

 ちいちゃんがまっすぐに膝に乗ってきたので、とりあえず撫でてあげる。でもすぐに真美に怒られて手を洗いに行った。なんというか、いつも通りだ。

 

「お待たせ、リタちゃん。ちょっとだけ待ってね」

「ん」

 

 急ぐわけでもないから、のんびりと待つよ。

 引き続き漫画を読んでいたら、真美とちいちゃんの楽しそうな声が聞こえてきた。お風呂に、つまり銭湯に行く準備をしてるみたいで、ちいちゃんがおもちゃか何かを持っていこうとして真美に止められてるみたい。

 お風呂用のおもちゃらしいけど、銭湯だとだめなのかな?

 漫画を一冊読み終えたところで、真美が戻ってきた。その手には大きな鞄。お風呂に必要なものを入れてるみたいだけど、そんなに大きな鞄が必要なのかな。

 

「リタちゃん、行こっか」

「ん」

 

 準備が終わったみたいだから、ようやく出発だ。

 お家を出て、向かう先は心桜島にある唯一の銭湯。とても大きな銭湯らしくて、ちょっとした宿泊施設も兼ねてるらしい。

 

「ネカフェがまだないから、安く泊まれるところだとそこしかないんだ」

「ねかふぇ?」

「うん。パソコンがたくさんあって、決められた時間で自由に漫画を読んだりジュースを読んだりパソコンが使えたりする場所、かな?」

「へえ……」

 

 なんだかちょっと楽しそうかも。そこもいずれ行ってみたい。

 

『ネカフェはな……。時間つぶしの場所なだけで、楽しい場所かって言われるとな……』

『みんなでわいわい騒ぐ場所でもないしなあ……』

『リタちゃんなら真美ちゃんの家の方がいいまである』

 

 んー……? なんだか不思議な評価だ。真美に視線を向けると苦笑いしてたから、間違った評価というわけでもないらしい。でも、一度は見てみたい。

 しばらく歩いて、たどり着いたのは三階建ての大きな建物。真美が言うには、一階が受付と浴場になっていて、二階には飲食店とおみやげのお店、三階は宿泊ブースになってるらしい。

 

「宿泊は別料金だけど、そんなに高くないよ。視聴者さんももし観光に来る時は是非利用してください」

 

『宣伝かな?』

『視聴者数十万の配信で突如始まる銭湯の宣伝』

『真美ちゃん、下手すると客急増で銭湯に迷惑かかるぞ』

 

「大丈夫! 話は通してある!」

 

『マジかよwww』

 

 真美が言うには、そうでもしないと連れてこれなかった、らしい。この配信で流れてしまうこと、それだけで宣伝になってるらしいよ。こればっかりは私にはよく分からないけど。

 

「おーふーろ! おふろー!」

「ちい、ちゃんと手は握っておいてね! 離れすぎたらだめだよ!」

「はーい!」

 

 ちいちゃんはしっかりと真美の手を握ってる。迷子になったことがあったりするのかな。私も、少し気をつけないと。最終手段で森に帰ることはいつでもできるけど、迷子でというのはさすがに嫌だから。いや真美に念話で連絡すれば大丈夫、かな?

 




壁|w・)迷子になることを危惧する魔女がいるらしい。
というわけで、ここからは銭湯回です。おふろ!
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