異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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壁|w・)このお話は書籍発売記念のSSです。
本編ではないのでご注意ください!


書籍発売記念SS:魔女の適当晩ご飯

 お日様が沈み始める時間。そろそろ晩ご飯を作ろうと思って、とりあえず配信を開始した。現れる光球とコメントが流れる黒い板。黒い板には早速コメントが流れ始めてる。

 

『おん? 珍しい時間に配信開始したね』

『朝にちょろっと挨拶しただけだったし、何かあるかなとは思ってた』

『今から日本に行くの?』

 

 そんなコメントを横目で見ながら歩き始める。向かう先は森の中だ。晩ご飯の時間だから。

 

「今日は日本には行かないよ。真美も予定があるらしいから」

 

『そうなん?』

『つまり真美ちゃんに予定がなければ行ってたってことかw』

『ほほう。晩飯はどうすんの?』

 

「今から狩るよ」

 

 たまにはそれもいいかなって。日本に行く前は、ほぼ毎日やってたことだしね。視聴者さんもすぐに納得した……、と思ったんだけど、分からない人もいるみたい。

 

『狩るって、どういうこと?』

『お前新参やな? そのまんま、魔獣を狩って食べるのさ』

『わりとスプラッタだから注意な!』

 

 さっくりやるから大丈夫だとは思うけど、ね。

 のんびりと森を歩く。この時に注意するのは、魔力を抑えておくこと。でないと、弱肉強食の世界で生きる魔獣たちは襲ってきてくれないから。みんな危険に敏感だからね。

 そうしてのんびり歩くこと、十分ほど。最初に出てきたのは、フォレストウルフだった。

 

『オオカミさんや!』

『わんわんお!』

『リタちゃんの評価はちょっと不味い、だったっけw』

 

 そうなんだよね。襲ってこられたら迎撃するし、殺した以上は食べるけど、今日はどうせならもうちょっと美味しいお肉を食べたい気分だ。なので、うなり始めたウルフに魔力を叩きつけた。何にも変換してない魔力だから攻撃にもならないけど、それでも十分。

 フォレストウルフは瞬時に固まり、そして次の瞬間には脱兎のごとく逃げ出した。ちゃんと相手を見極められる賢い子だね。

 

『一瞬で逃げてったな』

『多分リタちゃんが魔力で脅したんだろ。食べちゃうぞって』

『鬼かな?』

 

 優しい対応だと思うんだけど。ちゃんと生き残るんだし。

 もうちょっと探そう、と思ったけど、やっぱり早くご飯を食べたくなった。なので、手っ取り早く済ませよう。こういう時は、飛行魔法だね。

 ふわっと浮かんで、上空へ。森の木々から出てさらに上空を飛べば、すぐに襲いかかってくるものがあった。大きな翼を広げた二本足のトカゲ、みたいなやつ。ワイバーンだ。

 

『ワイバーンだー!』

『でっかいなあ、ドラゴンみたい』

『この森のドラゴンと比べるとやっぱ劣化ドラゴンだけどなー』

 

 それはそう。でもワイバーンと違って、この森のドラゴンはお肉を食べる必要はない。食べられないわけじゃないけど、魔力を栄養素に変換するというおかしなことをしてる。だから彼らは基本的に表に出てこない。

 だからこそ、ワイバーンが我が物顔で森の空を飛び回ってるんだけどね。

 

「この森のドラゴンは温厚だからね。肉食魔獣としてなら、ワイバーンは種としては最強格だと思うよ」

 

『その最強格さんを一瞬で仕留めてませんかね……』

『最強格だと思う、と言いながら瞬殺すんなw』

 

 これでも守護者だからね。ゴンちゃんとか出てこない限り、そうそう負けるつもりはないよ。負けたら死んじゃうし。

 ちなみにワイバーンにやったことは単純、風の刃で首を切り落とした。ただそれだけ。

 森の地面に落下したワイバーンを魔法で浮かして、お家の前の広場へ。浮かしたまま、その下の地面に魔法で火を起こし、その火を大きくしてワイバーンを包み込む。丸焼きにするよ。

 

『めちゃくちゃ豪快で草』

『見えてないけど大丈夫? 炭になっちゃわない?』

『ワイバーンは火に耐性があるらしくて、なかなか焼けないらしいぞ、と古参が教えておく』

 

 本気で焼こうと思えば話は別だけど、美味しく食べたいからね。経験上、ワイバーンはじっくり焼く方が美味しい。

 じっくりじっくり焼いていく。一時間ぐらいかかるから、視聴者さんにはつまらないかもしれないけど、それは我慢してほしい。ああ、でも、まだかな。早く食べたいなあ。

 のんびり一時間焼いたところで、火を消す。ワイバーンはこんがりと美味しそうに焼けていた。皮が真っ黒になってるせいで美味しそうには見えないけど。

 

『炭化してね?』

 

 こういうものだよ。

 風の刃でとりあえず足を一本切り落として、ついでに食べられない皮の部分をすぱっと切る。すると、美味しそうに焼けたお肉が姿を見せてくれる。肉汁がしたたる美味しそうなお肉だ。

 お肉にかぶりつく。固すぎず柔らかすぎず、ほどよいバランス。塩もなにもかけてないけど、濃厚なお肉の風味が口に広がる。けどくどくはない、不思議な味。

 

「ん。美味しい」

 

『マジで美味しそうなお肉。食べてみたい』

『足の肉のはずなのになんであんな美味しそうな色つきになってんの?』

『異世界の魔獣に常識求めるなってやつだよ』

 

 美味しければいいんだよ。

 うん。たまにはこんな適当な晩ご飯も悪くない。たまには、ね。

 




壁|w・)リタの異世界での食事風景でした。

では、改めて。
本日、書籍版『異世界魔女の配信生活』発売です!
たくさんの登場人物を魅力的に描いてもらっているので、是非見てみてください!
また、web版読者様向けの個人企画も行っています。活動報告をご覧ください。
是非是非、よろしくお願いします!
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