異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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メンチカツ

 

 真美のお家に戻ると、すでに真美とちいちゃんが帰ってきていた。真美は油を熱くしてる途中みたい。メンチカツをもう一度揚げるらしい。

 

「もう一度?」

「うん。冷めちゃってるからね。レンジでもいいけど、サクサクの方がいいでしょ?」

「ん。サクサクがいい」

 

 あのサクサクも美味しいと思う。あれはご飯にとても合いそうだから楽しみだ。

 そうしてしばらく待ってから、ご飯の時間。テーブルに出されたのは、揚げたてのような少し大きめのメンチカツが二つに千切りのキャベツ、それとお味噌汁とご飯だった。

 

「めんち! めんちかつ!」

 

 ちいちゃんもメンチカツは好きみたいで、不思議な歌を歌ってる。かわいい。

 

『ちっちゃい子は不思議な歌をよく歌うよね』

『かわいい』

『リタちゃんも何か歌って?』

 

 無茶を言わないでほしい。歌なんてよく分からないよ。

 メンチカツ用に真美がブレンドしたソースをかける。ちょっととろっとしたソースを、メンチカツにたっぷりと。お箸でメンチカツを割ると、それだけでサクサクとした音と感覚が伝わってきた。

 

 んー……。ソースがとても良い香り。とんかつのソースによく似てると思う。多分それを主にして、何かを混ぜたのかも。いや、真美のことだから、とんかつのソースも特製だったりするのかな?

 とりあえず今はご飯。メンチカツをぱくりと食べる。

 

「おー……」

 

 サクサクの衣にソースがよく絡む。そこまでならトンカツと似てるけど、食感が全然違う。こっちはとても軽い食感で、お肉を食べてる食感じゃないのに肉汁があふれてくる不思議な感じ。

 とても美味しい。ソースなしのメンチカツも悪くなかったけど、こっちの方が好き。

 さらにご飯も食べると、淡泊な味のご飯に濃厚なソースがかかったメンチカツはとてもよく合った。これは、いい。

 

「んふー」

 

『あかんめちゃくちゃメンチカツ食いてえ』

『すでに読めてたのでメンチカツ揚げておいた。一緒に食べてる気分味わってる』

『貴様、天才か……!?』

 

 一緒に食べる、とはまた違う気がするけどね、それは。

 メンチカツとご飯を全部食べて、お味噌汁も飲み干す。満足、だけど、もうちょっと食べたい……。

 

「リタちゃん、お代わりあるよ?」

「もらう」

「ふふ。うん」

 

 真美がすぐに立って用意してくれる。そういえば、いつも真美がお代わりを用意してくれるけど、真美もご飯を食べてる最中なんだよね。そう思うと少し申し訳ない気持ちが出てきてしまう。

 

「はい。お待たせ」

「ん……。その、真美」

「うん?」

「いつも、ごめん。ごはんの邪魔をして」

「え。何急に……?」

 

 真美が困惑しながら聞いてくる。さっき思ったことを伝えると、真美はしばらくぽかんとした後、声を出して笑い始めた。

 

「あはは。別に気にしなくていいいよ。好きでやってることだし、私はむしろ美味しそうに食べてくれるリタちゃんを見てる方が楽しいし」

「そうなの?」

「うん。それに」

「おねえちゃんおかわりー!」

「リタちゃんだけじゃないしね」

 

 笑いながら、真美がちいちゃんのお代わりを用意する。真美はやっぱりとても優しいと思う。あまり甘えすぎないように気をつけないと。

 それはそれとしてメンチカツ美味しい。

 

『やっぱり真美ちゃんにはママ味があるな……』

『真美ちゃんママー!』

 

「今寒気が走ったんだけど!?」

 

『さーせんw』

 

 あまり真美に失礼なことは言わないでほしい。

 

 

 

 メンチカツを完食して、帰る時間。精霊様へのお土産にソースのかかったメンチカツをお皿ごとアイテムボックスに入れる。きっと精霊様も喜んでくれるはず。

 

「それじゃ、真美。ありがとう」

「いえいえ。気をつけてね」

「ばいばーい!」

「ん」

 

 真美とちいちゃんに手を振って、精霊の森、世界樹の前に転移。精霊様を呼ぶと、すぐに出てきてくれた。

 

「はい。おかえりなさい、リタ。今日も……満足そうですね」

「ん。おいしかった」

「はい」

 

『はい、じゃないが』

『もはや感想がおいしいに何も言わなくなってる……』

『それでえんか精霊様!』

 

 何が不満なのかよく分からない。

 お土産を取り出す。お皿に盛られたメンチカツが四個。ソースがたっぷりかかってる。揚げたてをそのままアイテムボックスに入れたから、まだちゃんとサクサクだ。

 

「精霊様、二個ずつでいい?」

「もちろん」

 

『リタちゃんまだ食べるのか』

『真美ちゃんの家で五個ほど食べてなかったっけ?』

『食いしん坊な子だからね、仕方ないね』

 

 とても美味しいから仕方ない。

 精霊様が早速お箸で食べ始めてる。私も食べよう。

 

「これは……なかなか楽しい食感ですね。美味しいです」

「ん」

 

 精霊様も気に入ってくれたらしい。美味しそうに食べてくれてる。

 

「もぐもぐ。真美はすごい」

「ええ。あの子はたくさんの料理ができるようで、すごい子ですね」

 

『え、なにこの急な褒め殺し。やめて恥ずかしい』

『推定真美ちゃん、そろそろ慣れるべきだと思う』

『きっとスマホかパソコンを見ながら顔真っ赤にしてるんだろうなあ』

『想像したらかわいいw』

『やめてくれないかなあ!?』

 

 真美がすごいのは事実だから、諦めてほしい。

 

「それはそうと、リタ。明日はどうするのですか? また日本に?」

「んー……」

 

 それもいいんだけど、そろそろ闘技場の方もどうするか考えないといけないよね。なんだか視聴者さんは参加してほしそうな感じではあるけど。

 

「こっちの世界を回るか、日本のどこに行くかを安価で決めるか、どっち?」

 

 光球を見てそう聞いてみると、すぐにたくさんのコメントが流れ始めた。

 

『安価』

『安価だろ当然』

『異世界はいつでも見れる、でも安価のチャンスはあんまりないんだ……!』

『安価が多ければ多いほど、地元に来てくれる確率が上がるからな!』

『異世界側がいいけど、流れで安価と答えておく』

 

 安価がいっぱい。じゃあ、明日も日本に行こうかな。

 私がそう言うと、精霊様は笑顔で頷いてくれた。

 

「分かりました。気をつけて行ってきなさい」

「ん」

 

 ということで、明日も日本。次は安価で決めよう。どこになるかな?

 




壁|w・)次回もまた日本。アンケートから選びました。場所は内緒!
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