異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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金ぴかしゃちほこ

 

 名古屋城のちょっと上空に転移。それじゃ、次は土手煮だね。お持ち帰りができるところがいい。真美たちに買って帰るから。

 

「土手煮、どこがいいかな?」

 

『ちょい待ち、調べる』

『お客さまー! お客様の中に土手煮に詳しい方はいらっしゃいませんかー!』

『そんな限定的なやついるわけないやろ、と言えないのがこの配信のおそろしいところ』

 

 人もたくさん増えたからね。私が言うのもなんだけど、何が楽しいのかはよく分からない。私は楽しいけど。

 みんなが調べてくれてる間に、せっかくだしちょっと観光しよう。例えばちょっと気になってるこれとか。

 

「名古屋城、だっけ。おっきい」

 

『でしょでしょ』

『名古屋城と言えば、やはり天守閣の金ぴかしゃちほこ』

 

 金ぴかしゃちほこ。しゃちほこってなんだろう?

 

「しゃちほこって何?」

 

『名古屋城のてっぺんの金色を見れば分かるよ』

 

 てっぺん。振り返って名古屋城を見てみる。てっぺんの金色はすぐに分かった。それしかないからとても分かりやすい。あれがしゃちほこ、だね。ちょっと近づいて見てみる。

 んー……。

 

「あ、ドラヘッド。日本にもいるんだ」

 

『まって』

『待って待ってリタちゃんそれ見たことあるの!?』

『日本では想像上の生き物だよ!』

 

「そうなの?」

 

 どうして飾るのかなって思ったら、やっぱり日本にはいない魚なんだね。それでもどうしてこれを金色にして飾ってるのかは分からないけど……。何か意味はありそう。

 

『リタちゃん、そのどらへっど? について詳しく』

 

 詳しくと言われても困るけど……。命名したのも師匠だし。

 ドラヘッドは精霊の森の川に生息してるお魚。ドラゴンみたいな顔のちょっと大きいお魚で、他のお魚や川に水浴びをしにきた動物に食らいつく。そんなお魚で、それ以上でも以下でもない。

 

「そういえば、師匠が初めて見た時はびっくりしたって言ってたけど……。これがあるからなんだね」

 

『多分そう』

『そんな魚が実在するとはさすがに思ってなかっただろうから』

 

「ん。ちなみにドラヘッドは中の下。あまり美味しくない」

 

『急に何かと思ったら味の評価かw』

『当然のように味の評価が入ってくるw』

『さすが野生児だぜ……!』

 

 野生児言うな。

 

 

 

 名古屋城からちょっと離れて、大須商店街に戻ってきた。喫茶店にしか行ってないから、もうちょっと見て回ろうかなって。あと、一番奥におっきい招き猫があるんだって。見てみたい。

 

「ねこ。ねこ」

 

『あれ? リタちゃんこれめちゃくちゃ期待してない?』

『リアル猫みたいにもふもふしてないからね!? 違うからね!?』

 

「大丈夫」

 

 さすがにそこまでは期待してない。招き猫がどういうものかは知ってるから。でもおっきいねこは見てみたい。楽しみ。

 さっきよりも人が多くなった商店街を歩いて行く。朝の時と同じように人がついてきてるけど、気にしないでおこう。私は招き猫が見たいだけだから。

 でもちょっと何か食べたい……。トースト美味しかったから、パン、食べたい。

 

『なんか流れるようにパン屋さんに入っていったんだけどw』

『まっすぐ進んでたのにすっと斜めに歩き始めてちょっとびっくりした』

『パン美味しいからね、仕方ないね!』

 

 パン屋さんを見かけたからちょっと入ってみたけど、ちょっと狭いパン屋さんだ。一番奥にカウンターがあって、他の壁際にある棚にはたくさんのパンが並んでる。中央にも低い台があって、そこにもパンがいっぱい。

 

「パンがいっぱい……。どれにしよう」

 

『どれも美味しそうって悩む時間も楽しいものだよ』

『何個食べられるか考えてついぎりぎり以上を買っちゃう』

『お前は俺かw』

『あれ? でもリタちゃんの場合……』

 

「ん。全部食べられる」

 

 特に問題なく。でもずっと食べ続けるのも嫌だから、三個ぐらいで選びたい。んー……。

 どれもすごく美味しそう。ウィンナーが入ってるパンとか、ピザみたいなパンとか、塩パンっていうのも気になる。むむ。

 

『あれ? これ駅弁の再来では?』

『あの時も全然決まらなかったなあw』

『でも今回は時間が決められてるわけでもないし、好きなものを選べばいいと思う』

 

 それが難しいんだけどね。

 私がちょっと悩んでいると、カウンターの向こう側、白い服を着た店員さんが声をかけてきた。若い女の人だ。

 

「あの……。何かお探しですか?」

 

 ちょっと緊張してるみたい。じっと私を見つめてる。

 

「美味しいパンが食べたい。オススメある?」

「え……。あー……。無難に人気のパンを選んでみては……?」

「なるほど」

 

『確かにそれが一番無難かも』

『パン屋さんオリジナルのパンもあるだろうけど、やっぱ最初は定番だよね』

『だいたい人気のパンって決まってるはず』

 

 店員さんに聞いてみると、すぐに教えてくれた。一番人気はメロンパン。店主さんの渾身の作らしい。二番人気は、串にささったウインナーをパンで巻いて焼いたもの。ケチャップとマスタードがかかってる。三番人気は塩パンだって。

 

『無難すぎて面白みがねえ!』

『だから人気商品なんだってのは分かってるけど!』

 

 とりあえずこの三つだね。それを買って……あとは……。んー……。

 

「カレーパンは?」

「え?」

「カレーパンはないの? カレーパン。カレーパンが食べたい」

「あ、はい……!」

 

『知ってた』

『さすがカレー大好きっ子』

『人気商品に選ばれてなくても絶対買うと思ってましたw』

 

 カレーは美味しいから。カレーパンも美味しかったから。せっかくだから買っておきたい。

 




壁|w・)しゃちほこもどきさんはわりと凶暴なお魚……かもしれない。

むかしのおはなし。
「ししょー。なんか変な魚つれた」
「ああ、そいつか。あまり美味くないぞ」
「そうなの? 食べてみる。なんていうお魚?」
「え? あー……。えっと……。ドラヘッドだ。ドラヘッド」
「どらへっど。とりあえず焼いてみる」
「お、おう……」
見ていた精霊様「コウタ……もしかして、ドラゴンのヘッドでドラヘッドと……?」
「言いたいことがあるならはっきり言ってくれませんかねえ!?」

こんなことがあったかもしれないし、なかったかもしれない。


少し遅れましたが……。
改めて、明けましておめでとうございます。
新年からいろいろとありますが、私のお話で誰かが少しでも元気になってくれたら嬉しいです。
のんびりまったり書いていくので、今年もよろしくお願い致します。
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