異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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一般天才魔法使い

 魔法陣から読み解くと……。

 

「雨雲を作って広範囲に雷を落とす魔法、かな?」

「…………。分かるのか……」

「ん。魔法陣を見れば分かる」

「ええ……」

 

 微妙に引かれた気がする。ちょっとひどいと思う。

 言いたいことは分からないでもないけど。魔法陣からどんな魔法か瞬時に分かる人なんて、あまりいないと思うから。

 ガレスさんは気を取り直したように咳払いをすると、さらに魔法陣の構築を進めていく。たっぷり三十秒数えたところで、完成したみたいだった。

 少し時間がかかりすぎかな? あまり実戦では使えないと思う。

 

「僕が使える最強の攻撃魔法だ。本来なら前衛に守ってもらいながら構築するんだけど……。待ってくれて助かったよ」

 

『ボク! ボクだって! ボクっ子!』

『いやだからこの人は男だろと』

『バカヤロウ! 直接見ない限りは分からないだろ! 俺は信じるぞ!』

『ええ……』

 

 いくら信じても意味ないんだけど……。男の人だったら何か嫌なのかな。よく分からない。

 

「あの……。いいかな、撃っても……」

 

 私が首を傾げていたら、ガレスさんがそう聞いてきた。また待たせてしまったみたい。でも気にせず撃ってくれていいんだけどね。だって。

 

「いいよ。意味ないから」

「……っ!」

 

 ガレスさんの目がつり上がった。

 

『すっごい自然に煽ったぞリタちゃんw』

『しかも本人に悪気はないっていうね』

『だからこそひどいw』

 

 何か言い方が悪かったみたい。

 ガレスさんが魔法陣にさらに魔力をこめる。すると頭上の雲がごろごろと鳴り始めて、そして雷がたくさん落ちてきた。それはこの広場全てに何度も何度も落ちてくる。私がいる場所だけじゃなくて、広場全体を不規則に。ランダムっていうのかな。そんな感じ。

 雷もただの雷じゃなくて、魔力がたくさん込められた雷だ。当然普通の雷よりも威力はさらに高い。一般人なら当たれば死んじゃうかもしれない。

 

 うん。規模、威力共になかなかの魔法だと思う。範囲はもっと広くできそうだから、守ってくれる前衛がいるならこれだけで戦局をひっくり返せるかもしれない。そんな魔法。

 でも、やっぱり意味はない。この程度の威力なら、私の結界は全部弾いてしまうから。

 ガレスさんからもそれが見えていたんだと思う。目を丸くして唖然としてる。

 

『雷の中で平然とするリタちゃん』

『かっこよ』

『絶対にすごい魔法だぞこれ』

『さすが若き天才魔法使い!』

『まあリタちゃんには何の効果もいないんですけどね』

『やめたれw』

 

 これら全ての雷の魔力を全てまとめて一本にすれば、私の結界を少し削るぐらいはできたと思う。ちょっとだけ。

 少しすると、雷が落ちてこなくなって、雨雲もどこかに消えてしまった。これで終わりみたい。

 

「終わり?」

 

 私が聞くと、ガレスさんはなんとも言えない奇妙な表情を浮かべて、その後に肩を落とした。どうしようもない、というのは理解してくれたみたい。

 

「いや、驚いた……。すごい結界だね……」

「ん……。私の師匠は過保護だったから」

 

 いろんな魔法を使えるけど、一番時間をかけて教えられた魔法は結界の魔法だったと思う。師匠だけじゃなくて、精霊様からもゴンちゃんからもフェニちゃんからも、みんなからいろんな結界を教えてもらった。

 たくさんの結界を同時展開もできるから、私に攻撃を届かせるのは難しかったりする。

 だからいろんな場所に気兼ねなく出かけられるんだけどね。これがなかったら日本にも行かなかったかもしれない。

 ガレスさんは降参だと言って頭を下げると、さっさと出て行ってしまった。

 んー……。とりあえず。

 

「優勝は! 隠遁の魔女!」

「わーい」

 

 優勝だ。

 

『わーい (無表情)』

『優勝めでたい! おめでとう!』

『何の苦戦もしてなかったけどな!』

『それは言わないお約束』

 

 勝てれば問題なし、ということで。

 表彰式みたいなものはないみたい。日本のテレビで見た時に少し気になってたんだけど、ないなら仕方ない。

 もうこの決勝戦が終わったら本当に終わりみたいで、観客の人たちもみんな帰っていく。私は、審判の人に促されて待合室に戻ってきた

 

 待合室にいたのは、リンダさんとガレスさん。あと、名前は知らないけどもう一人の参加者さん。多分リンダさんと三位決定戦で戦った人だと思う。

 私たちの目の前に審判さんが立って、今回の賞金を渡してくれた。

 四位の人には賞金だけ。喜んでいたからそれなりの額だったんだと思う。袋を渡されて、中身を確認して満足そうだった。

 三位はリンダさん。賞金の入った袋と、何かの紙。その紙を見て、リンダさんは目を丸くしていた。

 

「紹介状って……。いいんですか?」

「もちろんです。将来有望だからとのことで」

 

『つまり、引き抜きか?』

『リンダちゃんの反応からして、多分結構いいところから声がかかったんだろうなあ』

『国の兵士に、だったりして!』

 

 そうなのかな。もしそうなら、多分いいことだと思う。私は冒険者も悪くないと思うけど、以前フランクさんが言ってたから。冒険者はまともな仕事ができないやつの掃きだめだって。きっと兵士さんとかの方が待遇はいいんだと思う。

 詳しくは知らないし、そもそもとしてそういう引き抜きの話かも分からないけど。

 ガレスさんは賞金だけ。紙はないみたい。

 

「勧誘はないの?」

 

 そう聞いてみたら、ガレスさんは笑いながら答えてくれた。

 

「僕はすでに国に雇われているからね。勧誘なんて来ないよ」

「ふうん……」

 

『宮廷魔道士とか、そんな感じかな?』

『さすが天才魔法使い (笑)は格が違ったw』

『(笑)なんてつけてやるなよw』

『今回は相手が悪かっただけだから……!』

 

 私もそう思う。ミレーユさんほどではないと思うけど、他の魔法使いと比べると間違いなく上位の人だと思うから。

 最後に私に渡されたのは、招待状みたいなもの。明日、王様が滞在してる宿に来るように、みたいなことが書かれてる。そこで賞金の授与というか、望みを叶えてもらえるみたい。

 私は師匠のことが聞ければそれで十分だけど、今までの人は何をもらったのかな。

 聞いてみたら、たくさんの賞金とか、国に雇われたいとか、そんな感じのお願いみたい。人それぞれだとか。

 

「魔女様は何か欲しいものがあるんですか?」

「ん。情報」

 

 聞いてきたリンダさんにそう答えると、首を傾げていた。リンダさんを巻き込もうとは思わないし、気にしないでほしいと思う。

 あとは、明日だ。今日は森に帰ってゆっくりしようかな。

 




壁|w・)タイトルにも (笑)をつけようかなと迷っちゃったのは内緒!
ちなみに、ガレスさんは普通に天才の域です。すごい魔法使いさんです。
でもしょせんは普通の天才なのです。天才ってなんだっけ?


カクヨムで新作の投稿を開始しました。
『ちっちゃい魔女の相談所 ~地球生まれの魔女、両親に冷たくされたのでお姉ちゃんと家出します。異世界からちっちゃい魔女をたくさん呼んでのんびり遊びたい~』
という作品です。
こちらにも投稿する予定ですが、こちらは3日遅れになります……。
ご興味がありましたら、是非是非。
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