異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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つーん

 

 お腹を押さえるギルドマスターさんに別れを告げて、私は精霊の森に戻ってきた。アリシアさんは準備のために街に残ってる。精霊様の報告は私一人だけだ。

 世界樹の前に行くと、すぐに精霊様が出てきてくれた。その顔は、少しだけ不機嫌そうに見える。

 

「精霊様」

「他の精霊たちから聞きました。エルフの里に行くそうですね」

「ん」

 

 小さい精霊たちはどこにでもいるというのは知ってるけど、まさか精霊様にすぐに報告したとは思わなかった。それだけ精霊様も気にしてくれていたのかも。

 精霊様はまっすぐに私を見て、言った。

 

「リタ。本当に、エルフの里に行くのですか?」

「ん」

「どうして? やはり、本当の両親に会ってみたいのでしょうか」

 

 不機嫌そうと思ったけど、違うみたい。むしろ、元気がなさそう、かな? どうしたんだろう。なんだか私の顔色をすごくうかがってるのが分かる。あまり見ない反応だ。

 

『そりゃ単純にリタちゃんを案じてるんだと思うよ』

『あとは、不安なのかも。ここを出ていって里で暮らす、とか言われないかとか』

『あり得そうw』

 

 私はないと思うけど……。でも、そうかもしれない。でないと、精霊様の不安そうな顔に説明ができないから。

 

「ちょっとどんな人なのか見てくるだけだから、心配しないでほしい」

「はい……。帰ってきますね?」

「ん。私の家はここだから」

「ああ……。ありがとうございます、リタ。やはりあなたは優しい子ですね」

「ん……」

 

 精霊様に撫でてもらえて、私もとても嬉しい。ただ、でも、そうだね。

 

「信用してもらえてなかったのは傷ついた。とても深く傷ついた」

「え。あ、違うんですよリタ! そういうことじゃなくてですね……!」

「つーん」

「リタ!?」

 

『なんだこれwww』

『ケンカというか……リタちゃんが拗ねちゃった感じ』

『信用されてなかったと思ったら怒る気持ちも分かるw』

 

 そういうこと、だね。

 その後は寝るまで精霊様がべったりしてきた。これはこれで楽しかった、かな。

 

 

 

 翌日の朝。私は王都の門に転移すると、すでにアリシアさんが待っていた。アリシアさんの側には以前テイムしたフェンリルのランもいる。アリシアさんに体を撫でられて尻尾を振っていて、とても大きいのにちょっとかわいい。

 

『でっかい狼だー!』

『そういえばいたなあ、こいつw』

『アリシアさんが物理でテイムしたフェンリルちゃんですね!』

『物理でテイムってなんやねん』

 

 そのままの意味だったよ。上下関係を分からせた、て言ってたから。

 

「アリシアさん。おはよう」

「おはよう、リタ。もふもふする?」

「する」

 

 私もランを撫でる。前よりもふわふわになってる。アリシアさんが手入れを頑張ったのかも。ランがアリシアさんに懐いているのもそれが理由かな?

 でも私に対してはとても怯えてるみたいだけど。さっきも触る瞬間にビクッとしてたし。

 

『大きい狼が小さいリタちゃんに怯えまくってるの草なんだ』

『警戒心丸出しでちらちら見てるからなw』

『怯えるランちゃんもかわいいね……』

『やべえやつがいるぞ!』

 

 たっぷりもふもふを堪能してから、エルフの里に向かうことに。どうやって行くのかな?

 

「それじゃあ、リタ」

「ん」

「乗って」

「ん?」

 

 アリシアさんがさっとランに跳び乗った。つまり、ランに乗って移動、ということかな。それじゃあ、遠慮なく。アリシアさんの後ろ側に座る。

 

「どう?」

「ん……。すごくもふもふ」

 

 これはとてもいいもふもふだ。落ちないように魔法で軽く固定してから、ごろんと横になる。全身でもふもふを感じられるのはとてもいいと思う。気持ちいい。

 

『あれ、めちゃくちゃ羨ましいんだけど』

『いいなあいいなあ、俺ももふもふにごろんとしてみたいなあ!』

『こっちにはさすがにおとなしくて大きいもふもふとかほとんどいないからな……』

 

 こっちも同じようなものだと思う。あくまでアリシアさんがいるからおとなしいだけで。

 

「ランで移動すれば一週間程度でたどり着く」

「ん……。じゃあ、短縮」

「え?」

 

 ランに強化の魔法をかけてあげる。私の魔力で無理矢理強化してるようなものだからちょっと痛いと思うけど……。ランはとっても強い子。だから大丈夫。

 

「ね?」

 

 私が聞くと、ランはこくこくと頷いた。うん、問題なしだね。

 

『アリシアさんが物理でテイムなら、リタちゃんは魔法でテイムか』

『さすがにちょっとかわいそうになってくるわw』

『がんばれ、ランちゃんがんばれ……!』

 

 そんなに痛くないはずだよ、多分。少し呆れたようなアリシアさんの視線を感じるけど、気にしないことにする。

 それじゃ、改めて出発だ。

 




壁|w・)おっきいもふもふ!
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