異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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配信での安価

 

「というわけで、今から地球に行きます」

 

 帰宅して、早速配信を始めて宣言した。こういうのを何て言うんだっけ。善は急げ? そんな感じ。

 

『まってまってまってまって』

『開始早々何言ってるんですかねこの子は』

『ネタなのか冗談なのかマジなのか、くわしく』

 

 怒濤の勢いでコメントが流れていくけど、全部を読むのはめんどくさいので適当に答えていけばいいかな。

 

「転移魔法、作れたよ。さっき、精霊様にも見せてお墨付きをもらったところ」

 

『早すぎませんかねえ!?』

『前から思ってたけど、魔法に詳しくない俺らでも分かるぐらいに成果出すの早すぎる』

『何かやってんの?』

 

「うん。亜空間を作って、普段はそこで研究してる。中の方が時間の流れがゆっくり」

 

『ああ、なるほど。いわゆる精神と……』

『それ以上はいけない』

『はへー。便利なお部屋ですねえ』

『あれ? リタちゃんってハイエルフだから成長がすごく遅いって聞いたような』

『つまりロリババア』

『やめろwww』

 

 なんかすごく喧嘩を売られた気がするけど、かといってなんとなく、否定できないやつの気もする。師匠直伝、都合の悪いことは無視、だ。

 

「で、今から行くよ」

 

『今から? ……今から!?』

『今って、マジの今から? 今すぐってこと!?』

『行動力の化身すぎるwww』

 

「それほどでも」

 

『褒めてないんだよなあ』

 

 ん? あれ、違うの? ちょっとだけ褒められたと思ったんだけど。

 まあ、うん。いっか。それよりも、決めることがある。

 

「行き先、どうしよう。日本は決めてるけど、日本も広くていろいろあるみたいだし」

 

 とりあえずカレーライスが食べたい。でも師匠から聞いた話が間違ってないなら、カレーライスって日本のどこでも食べられるらしい。だったら、正直どこでもいいかなって。

 ただ、人の住んでない場所だけは避けないといけないけど。山奥とか行っても、散歩して帰ることになりそうだし。

 私がいくら考えても、当たり前だけど分かるはずがない。だから相談しようと思ったんだけど、ふと思った。この人たちの性格から考えると。

 

「オススメ聞いたら、自分が住んでる場所ばかり答えてきそう」

 

『なぜばれたし』

『そそそそんなことことするわkぇwなあお;kdsjf』

『落ち着けwww』

『全員がそうとは言わんけど、まあかなりの割合でいるとは思うぞ』

 

 つまりまともにオススメが出てくると思わない方がいってことだね。

 それなら、やることは一つだ。なんだっけ。えっと……。

 

「そう。安価だ」

 

『安価!?』

『安価!? それはそれで面白そうだけど、スレじゃないのにどうやんの?』

『それよりも初めての地球を安価で決めるなよwww』

 

「ん。じゃあやめる?」

 

『是非お願いします!』

 

 素直でよろしい。

 私も直接見たことがないから詳しくは知らないけど、確か質問者、でいいのかな? 適当に番号を指定して、その番号を取った人の提案通りに動く、とか、そんな感じだったはず。

 視聴者さんが言うように、コメントに番号なんて割り振られてない。だから。

 

「私が手を叩いてから、十番目に流れたコメントの場所に行くよ」

 

『なるほど』

『コメントなら履歴として流れてるし、まあ分かるっちゃ分かる』

『いや待て、十番目って早すぎませんかね。本当に一瞬だぞ』

『つまり、反射神経の勝負!』

『やっべえ、意味もなく緊張してきたw』

『おう。露骨にコメント減り始めてんぞ。お前ら準備しすぎだろw』

 

 明らかに流れてるコメントの量が減ってるね。いつもひっきりなしにコメントが流れてるのに、今はもうたまにしか流れてない。みんな待ち構えてるみたい。

 私が両手を前に出すと、そのコメントも止まってしまった。

 それじゃあ。ぱん。

 

『栃木!』『東京』『名古屋』『竹島』『秋葉原』『難波!』『札幌。ラーメンうまい』『琵琶湖』『那覇とか!』

『心桜(こころ)島』

『青森!』『鳥取砂丘』『四国のどっか!』『飛島の名前が好き』『うどん!』

『もうええかな?』

『誰だよ琵琶湖とか言ったやつwww』

『食べ物言ってるやつもおったぞw』

 

 いろいろ出たね。悪ふざけもいくつかあったけど。琵琶湖って、日本で一番大きな湖だっけ? この森にも大きい湖があるけど、どっちの方が大きいのかな。

 とりあえず結果確認から、だね。

 

「えっと……。読めない。心に桜って文字の島」

 

『心桜島か』

『最近開発が始まった島やな。一応、東京のはず』

『東京の離島かな? 観光にはええやん』

『なお目的はカレーライス』

『かすりもしてねえwww』

 

 あまり人がいなさそう? ある程度人のいる場所の方が、美味しい店がありそうだったけど。でもまあ、カレーライスにこだわらなくても、最初の転移だし観光を楽しめれば十分ということで。

 地図を買えれば、次の目的地とか決めやすくなるしね。

 そう。地図。師匠が作った地図に心桜島はあった覚えはあるけど、正確な位置までは分からない。

 

「心桜島提案者さん、いる?」

 

『はいはーい。自分でーす』

『戦犯』

『ギルティ』

『処す? 処す?』

『いや、なんで?』

 

 相変わらず血の気の多い人たちだ。

 

「心桜島に住んでる?」

 

『そうそう。うちに来てくれたら、美味しいカレーライスがあるよ』

『へ、へんたいだー!』

『不審者だー!』

『やってることが犯罪者のそれだぞ分かってる?』

『え。いや待ってそんなつもりない』

 




壁|w・)言わずもがな、心桜島は架空の島です。
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