異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ビワマス

 

 しばらく飛び続けて、目的地近く。ちょっと広い公園が見えてきた。噴水もあるみたい。そこまで人は多くないみたいだし、一度下りてみよう。

 噴水の側に下りて、一息。ここはちょっと静かでいい場所かも。あと、なんだか大きなお城も見える。

 

『豊公園かな』

『地元で草。いや笑ってる場合じゃねえ!』

『お城は長浜城だったかな』

 

 日本のお城って結構独特だと思う。面白い形をしてる。かっこいい。

 

『でもどうせお城なら彦根城の方が』

『なんだあてめえ……』

 

「彦根城? 何かあるの?」

 

『たまにゆるキャラがいる』

『かわいいマスコットだよ!』

 

 ゆるキャラ。なんだっけ。テレビで見たことがある。それぞれの地域でかわいいキャラが作られてるんだよね。

 そこまで興味があるわけじゃないけど、せっかくだし見にいくのもいいかも。ぬいぐるみとかあれば、ちいちゃんが喜んでくれるかもしれない。

 でも今はとりあえずお昼ご飯。ビワマス。楽しみ。

 スマホで場所を確認して……。うん。結構近い、かな? せっかくだから歩いていこう。

 スマホをしまって歩いていく。公園らしいけど、遊具っていうんだっけ、そういうのはないみたい。でものんびりできる場所だね。

 公園を出て、駅に向かって歩いていく。駅の反対側のちょっと歩いたところに美味しいお店があるみたい。

 

「長浜駅、だって。あまり大きくないね」

 

『そうか?』

『ヒント、リタちゃんがよく見てる駅は東京駅とかです』

『比較対象がおかしいw』

 

 そうらしい。東京駅は一番大きいのかな?

 でも、ちゃんと管理されていて、綺麗な駅だ。あと、なんだか不思議な形をしてる。ちょっとおもしろい。

 反対側には……空を飛んで行こうかな。さすがに駅の中は人もたくさんだろうし。

 少し飛んで、長浜駅の反対側へ。そこから少し歩くと、目的のお店が見えてきた。

 なんだかこぢんまりとしたお店だ。三階建てで、日本らしい建物、と言えるかな? 入り口の側にはビワマスと書かれた看板。その看板に料理の写真もあった。

 

「おー……。おいしそう」

 

『やっばい写真ですでに美味そう』

『写真で分かる。絶対美味しいやつ』

『でもお高いんでしょう?』

『高級魚だしな』

 

 そうなんだ。お金、足りるかな? 電子マネーっていうのはまだまだあったはずだけど。

 中に入ってみると、やっぱりちょっと小さいお店。テーブルが六つと、カウンター席っぽいのが三つかな? テーブル席は四人ずつぐらいなら座れるかも。

 あと……。人気店、だね。たくさん人が座ってる。これは入れないかも。

 

「人いっぱい?」

 

 聞いてみると、店員さんが口をあんぐりと開けて私を見ていた。

 

「その……。リタ、ちゃん?」

「ん」

「本物?」

「ほんもの……?」

 

『むしろ偽者とかあるんか?』

『リタちゃんちっこいから偽者とか不可能だと思うけど』

『子供に真似させるとか?』

『さすがに無理があるw』

 

 そんなコメントが流れていく。店員さんと、そしてお客さんたちもその黒い板を凝視していた。

 

「え、あ……。席は埋まってて……いやでも、えっと……」

「まってまって! こっちあたし一人だから! リタちゃん! 相席でもいい!?」

「ん」

 

 そう言ってくれたのは、テーブル席に座ってる女の人。スーツを着た人で、向かい側に男の人が……。あれ? 一人じゃないけど。

 

「社長。では私は車で待っております」

「ごめんね! また奢るから!」

「いえ。それよりも……」

 

 向かい側の男の人、きっちりとスーツを着た人が私の前に立って、言った。

 

「お写真、いいでしょうか」

「ん」

 

 お店の外に出て、二人で写真。そうしてから、握手。これで満足らしい。

 

「お店の人全員で撮られることはよくあるようですが、ツーショットはあまりないでしょう?」

「あー! テメエ!」

「社長。言葉遣いが荒いです」

「ぬぐぐ……!」

 

『確かにツーショットはあまりない……かも?』

『こいつ、策士か……!』

『どこの会社かわからんけど確かに社長のおごりより価値あるわw』

『なお今後の社長との関係を犠牲にするものとする』

『いやそんな……狭量すぎない?』

 

 よく分からないけど、社長さんも仕方ないと苦笑いしてるし大丈夫だと思う。

 改めて、テーブル席に座る。メニューを渡されたけど、何がいいのかちょっと分からない。どれが美味しいのかな?

 

「社長さん? オススメはある?」

「え? あたしのオススメでいいの? 酒注文するわよ?」

「頼る相手を間違えた」

「ごめん冗談だから!」

 

 ちょっと疑わしくなるよ。私がじっとりと見つめると社長さんはごめんごめんと笑いながらメニューを開いてくれた。そうして教えてくれたのは、お刺身と、お寿司。あとビワマスたっぷりの丼。

 

「あとはおみやげに押し寿司もどう? 早めに食べないとだめだけど、リタちゃんなら大丈夫でしょ」

「ん」

 

 アイテムボックスがあるから、消費期限だっけ、そういうのは気にしなくても大丈夫。

 注文して、ちょっと待つと料理が運ばれてきた。

 

「おー……」

 

 つやつやしてる。綺麗なサーモンらしい見た目の料理だ。お寿司はちょっと炙ってるものもあるらしくて、旨みが増すらしい。

 

『あああああ! うまそおおおお!』

『見た目はサーモンだけど、めっちゃ美味しいらしいよね』

『予約して行こうかマジで悩む』

 

 それじゃあ、さっそく。いただきます。

 まずはお刺身から。ビワマスの味がよく分かりそうだから。お醤油をちょっとだけつけて、口に入れる。

 わあ……。見た目はサーモンなのに、サーモンほどこってりとしてない。でも味が薄いわけでもなくて、むしろあっさりとしているからこそ美味しい。さっぱりした甘みって言えばいいのかな? そんな味。

 すごく。すごく美味しい。お魚で一番美味しいかもしれない。ご飯にもよく合う。

 お寿司も、すごく美味しい。トロを食べてるみたい。でもトロほどくどくないから、すごく食べやすい。炙りっていうのもすごくいい。味が濃縮されてるみたいな、そんな感じ。

 丼はたっぷりのビワマスとたっぷりのご飯が一緒に楽しめる。とても幸せ。

 

「んふー」

「本当に美味しそうに食べるわね……」

 

『ちょっと琵琶湖行ってくる』

『ちくしょう琵琶湖ニキの策略にまんまとはまった気がする……!』

『おのれ琵琶湖ニキ!』

『俺まだ何もやってないんだけど!?』

『草』

 

 ビワマスはとてもいいもの。これは何度でも食べたくなっちゃうね。押し寿司もきっと美味しいと思う。押し寿司がいまいちよく分からないけど。

 




壁|w・)すまない滋賀県民さん……。私の文章力ではこれが限界だ……。
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