異世界魔女の配信生活   作:龍翠

315 / 543
バウムクーヘン

 

 少し上空まで来てから、次を考える。後はバウムクーヘン、だね。場所はどこかな?

 

「ばうむくーへん、どこ?」

 

『そこからわりと近いはず』

『めちゃくちゃ広いお店というか施設というか』

『見えない?』

 

 上空から見えるぐらいに大きいのかな。とりあえずもうちょっと高く飛んで……。ん?

 

「もしかして、あの広い草原みたいな場所?」

 

『そうそうそこそこ』

『最近の滋賀県の名所だよ』

『お店で焼きたてできたてのバウムクーヘンとかも食べられる』

『もちろんお土産もあるぞ!』

 

「へえ……」

 

 じゃあ、行ってみよう。近いから転移もせずに近づいていって、たくさん車がとまってる場所に下りてみた。せっかくだしここから歩いてみようかな。

 周りの人がびっくりしてるけど、いつものことなので気にしない。バウムクーヘン楽しみ。

 

「おー……。すごく広い。なんだか日本とは違う場所みたい」

 

『ちょっとした映画のセットだと言われても納得するよね』

『なんか、昔の日本って感じ』

『いやどんだけ昔なんだよw』

 

 草葺きっていうのかな? そういう屋根の建物があって、おもしろいと思う。

 しばらく歩くと、建物に入れた。お土産を買える場所もあるみたい。でもとりあえずは、食べてみたい。どこかに食べられる場所があるかな?

 周囲を見回して探していたら、小さい女の子がこっちに走ってきた。ちいちゃんぐらいの女の子。私の側まで来ると、じっと見つめてくる。なんだろう。

 

「りたちゃん!」

「ん……。リタ、です」

 

『なんで敬語なんだリタちゃんw』

『どうした急にw』

 

 いや、なんとなく。

 女の子はにぱっと笑うと、私の手を取った。私も小さい手って言われるけど、それよりも小さい手。なんだかかわいい。

 

「おかし、たべよ?」

「えっと……」

「やきたて! もうすぐ、わたしのばん!」

「ん……?」

 

 引っ張られるのでついていってみる。女の子に案内された場所は、カフェの入り口。そっか、ここで食べられるんだね。

 たくさん人が並んでいたけど、女の子はその先頭の方にいる男女二人の方に向かっていた。両親かな?

 

「おとーさん! おかーさん! りたちゃん、いた!」

「カナ! いったいどこに行って……」

「心配して……」

 

 そして私を見て、口をあんぐりと開けて固まった。気付けば周囲も私を凝視してる。あ、写真撮り始めた。えっと……。ピースでもしてあげよう。

 

『最近サービスしすぎじゃないかなあ!?』

『俺も! リタちゃんのピースを撮りたい!』

『施設にいるワイ、入り口の順番待ちで泣きそう』

 

 そうしている間に、女の子の両親が我に返った。少し戸惑いつつも挨拶してくる。

 

「その……。初めまして。斉藤一樹といいます」

「斉藤ひまりです。カナがご迷惑をおかけしたみたいで……」

「大丈夫。私もバウムクーヘンを食べられるところを探していたから」

 

 むしろこうして案内してくれて助かったぐらいだ。でも人の列があるから、ちょっと並ばないといけないけど……。

 

「ああ、それなら……。その、よければご一緒にいかがですか? 次に呼ばれますが……」

「ん? いいの?」

「はい。むしろ是非ご一緒に」

 

 そういうことなら、お言葉に甘えたいと思う。私も長い時間待ちたいわけじゃないから。

 少し待つと、すぐに呼ばれて席に案内された。店員さんは私を見て驚いてる。

 案内された席でメニューを見て……。やっぱり、焼きたてのバウムクーヘンかな。リンゴジュースのセットというのがあるから、それにしよう。

 斉藤さんたちと一緒に注文して少し待つと、運ばれてきた。小さめのバウムクーヘンにジュースのセット。フォークももちろんある。早速食べてみよう。

 

 フォークでバウムクーヘンを少し切り取って、口に入れる。

 おー……。ほんのり温かくて、すごく柔らかい。ふわふわだ。それでいてバウムクーヘンの食感も損なわれてなくて、外側の砂糖かな? そのシャリシャリ感もいい感じ。

 お皿の隅にクリームがちょっとあって、それにバウムクーヘンをつけて食べるとまた違った味わいでとても美味しかった。

 

『焼きたてのバウムうまそう』

『生クリームがあるのもいい』

『ふわふわとシャリシャリの調和がいいんだよここは』

『何を語ってるんだお前はw』

 

 うん……。すごく、美味しい。リンゴジュースもなかなか。

 

「おいしーね!」

 

 その声に目を向ければ、カナちゃんがフォークを片手ににこにこしていた。

 

「ん。美味しかった」

「えへー」

 

『にこにこしてる』

『なんだこの子かわいいぞ』

『リタちゃんと幼女が幸せそうで見てる俺も幸せだ』

 

 それはちょっと意味が分からないけど、美味しいものを食べている時はとても幸せ。

 食べ終わった後は斉藤さんたちと外に出て、写真を撮った。その場にいる人全員とはさすがに難しいから、今回は斉藤さんたちだけ。人数が多すぎるからね。

 

「それじゃあ、カナちゃん。またね」

「うん!」

 

 斉藤さんたちに手を振って、店内に戻った。まだお土産を買ってないから。

 




壁|w・)焼きたてバウム!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。