異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ここから第二十八話のイメージ


真美への依頼

 

「なでなでなでなで」

「んー……」

「こちょこちょこちょこちょ」

「うぬぅ……あらがえない……」

「私は……何を見させられているんだ……?」

 

『草』

『何か不満でもあるんですかねえ!?』

『リアルで見れるあなたが心底憎い』

『内閣解散待ったなし』

 

「ええ……」

 

 真美のなで方はなかなか気持ちいい。これをいつでもやってもらえるちいちゃんが少しだけ羨ましい。

 私は今、首相の橋本さんが指定したホテルにいる。真美と一緒にホテルに来たんだけど、橋本さんに電話がかかってきてお話がちょっと後回しになってしまった。

 クッキーを食べながら待っていてほしいって言われたから、クッキーをさくさくかじっていたんだけど……。何故か急に真美に撫でられた。

 

「ん? なに?」

「あ、ごめんね。嫌だったよね」

「んーん。嫌じゃない。もっと撫でてもいい」

「え? それじゃあ……」

 

 そうして今に至る、みたいな感じだ。今も撫でられてる。喉元をこちょこちょされてる。くすぐったいけど、気持ちいい。そんな不思議な感じ。

 

『なんかめちゃくちゃ気持ちよさそう』

『わりと撫でられるのが好きだったりする?』

『よし首相も撫でてみようぜ』

 

「ははは。それをすれば昼には炎上している気がするかな。次の国会で追及されそうだ」

 

『あなたは某日に異世界から来られた女の子の頭を撫でました! どういうことですか!』

『そんな国会答弁嫌すぎるわw』

 

 橋本さんは……ちょっと嫌かな。そこまで信頼してるというわけでもないから。

 それじゃあ、改めてお話だ。

 

「さて……。実は真美さんに、食品メーカーから打診がきていてね」

「え? 私ですか?」

「ああ。リタさんに作っているカレーを商品化しないかと」

 

『マジで?』

『ついに真美ちゃんの特製カレーが食べられる……!?』

『いやでもこれ作りたいメーカーかなり多すぎるのでは』

『不公平感が半端ない』

 

 そんなに作りたいところが多いのかな。でも真美のカレーはとっても美味しいから気持ちは分かる。

 真美を見ると、なんだか少し難しい表情をしていた。

 

「あのですね……。私がリタちゃんに作ってるカレーは、リタちゃんの好みに合わせて作っているんです。他の人からすると、多分普通のカレーですよ?」

「それでも、だよ。今やリタさんのネームバリューは世界的に見ても無視できないからね……」

 

『改めて考えるとやばいことになってる』

『日本にしか来ないのに、そのたびに世界でも注目されてるっぽいからなあ』

『正真正銘の魔女とか、言葉が通じないからって注目されないわけがない』

 

 言葉が通じないのは致命的だと思うのに、物好きだよね。だって外国の人は、この会話も流れるコメントの意味も理解してないってことだよね。それをどうして見たいと思えるのか、私には分からない。

 

「あの……。ちなみに、どこのメーカーから……?」

「上場企業からは全て。他、中小企業からの多くも打診が来ているよ。政府に。連絡先がないから」

「あ、あはは……」

 

『まさかの窓口が政府』

『唯一分かる連絡先だからな!』

『他にもいろんな問い合わせが入ってそうw』

 

 それは……ちょっとだけ、申し訳ない気持ちになりそう。聞こうとはさすがに思えないし、こっちに回してもらおうとも思わないけど。好きにしてほしい、とは思う。

 

「リタちゃん」

「ん?」

「どう思う?」

「真美の好きにすればいいと思う」

 

 私は食べさせてもらってるだけだから。真美のカレーはとっても美味しいから、レトルトになったらきっとたくさん売れるとは思う。というより私が買う。

 真美は少し考えて、やがて橋本さんに言った。

 

「それじゃあ……。せっかくなので、やってみたいです」

 

 そこから話は早かった。まずはメーカー、つまり作る会社を選ぶところからだけど、これは私が選んでもいいことになった。だからいっぱいレトルトカレーをもらった。一通り食べて、一番気に入ったところを選んでほしい、だって。

 いっぱいカレーが食べられる。楽しみ。

 メーカーが決まった後は、その会社の担当の人が心桜島に泊まり込んで真美と一緒に開発することになる、らしい。とても大変そうだけど……。真美はちょっと楽しみみたい。

 私もサンプルをもらえることになるらしいから、楽しみだ。きっと美味しいレトルトカレーができる。とても、とっても楽しみ。

 

「というわけで、早速カレーライスを食べる」

 

 真美のお家に戻ってから、私は早速もらったレトルトカレーを食べることにした。カレーライスは好きだけど、今回は真美のためにも良いメーカー、というのを見つけないといけない。だから味は厳しくチェックだ。

 

『まずは大手企業のやつやな』

『あの企業で一番メジャーなやつ』

 

 しっかり味わって、考えて、点数をつける。味、香り、食感、全体的なバランスとか……。細かく項目を作って、合計は五十点満点。もちろん真美のカレーを満点にしての基準だ。

 んー……。とりあえず、これは、これぐらい。

 

『あれ、結構辛口評価……!?』

『そっか、リタちゃんそもそも企業とかよくわからんから、先入観も何もないんか』

『ガチで公平に味で決められるなw』

 

 それ以外を基準にするつもりはないよ。

 今日はとりあえず五種類ほど食べて、残りは後日。全部で三十種類ほどあるから、ちょっとかかりそうだね。早く決めようとは思うけど、お昼から精霊様とお話があるから、また今度、ということで。

 

「私のカレーが過大評価すぎる……!」

 

 私が評価したカレーの紙を見て真美が震えてるけど、気にしないでおこう。

 




壁|w・)設備とかで選ぶのでは?と思ったそこのあなた。
異世界の魔女に大量生産の設備を見せても宇宙猫になるだけなのだ……。
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