異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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精霊様とカリちゃんの報告

 

 世界樹の側に転移すると、すでに精霊様が待っていた。カリちゃんも一緒だ。

 

「おかえりなさい、リタ。カレーの香りがしますね」

「ん。お昼ご飯に食べた」

「本当に好きですね……」

 

 精霊様苦笑いしてるけど、私はカレーが一番好きだからね。たまに飽きないのか聞かれることもあるけど、カレーで飽きるというのがよく分からない。毎日でも食べられる。カレーはとてもいいもの。

 

「では、リタ。これから話すことを、落ち着いて聞いてください」

「うん」

「コウタが見つかりました」

「ん……。え」

 

『マジで大事な話だった』

『本当に見つかったん? マジで?』

 

 コウタ。師匠。見つかった。え? いつ? いやそもそも、どこに? え、えっと、えっと……。

 

「乗り込む? 星、消す?」

「落ち着きましょうかリタ! そうなると思っていましたけど!」

「わはー。過激ですー」

 

『ヒェッ』

『リタちゃん落ち着こう? な?』

『いきなり殺意マックスは草なんだ。いや笑えないけど』

 

 いや、だって……。師匠を誘拐した場所だよね? いらないと思う。消そう。そうしよう。

 

『やだこの子、エルフたちの時より殺意が高い』

『ま、まあなんだかんだいって、エルフの時は過去形のことばっかりだったから』

『かの星は現在進行形で師匠さん拉致してるから』

 

 うん。そう。そうだよ。今も師匠はその星にいるんだよ。閉じ込められてる。いや閉じ込められてるわけではないと思うけど、それでも連れ去られてそのままだ。

 許しておけるわけがない。師匠を拉致した星だ。消してもいいと思います。

 

「いいよね?」

「落ち着きましょう、リタ。その場合、コウタも消えてしまいます」

「ちゃんと連れて帰ってきてからやる」

「ちゃんと、ではありませんよ?」

「じゃあ精霊様は許せるの?」

「そんな聞き方をしないでください。皆殺しにしたいのを我慢しているんです」

 

『あかーん!』

『だめだこの親子、そろって殺意が高すぎる……!』

『義理の親子でも似るんだなって』

『ついこの間まで会えるかどうかも分からなかったことを考えるとそういう気持ちになるのは分かるけど』

『リタちゃん、落ち着こうね』

 

 最後のコメントは真美だ。うん……。うん。そうだね。落ち着こう。別に私は悪人を殺すことに忌避感なんてないけど、でも星を消すとしたら関係ない人も殺しちゃうことになる。それは、だめだ。避けないと。だってそれは、師匠に怒られる気がするから。

 

「あの子もあの世界で一年以上暮らしているんです。親しい人がいてもおかしくありません」

「ん……。怒られるのは、やだ」

「そうでしょう? 穏便な方法をとりましょう」

「わかった」

 

 穏便な方法。やっぱり、直接行って連れて帰ってくる、というのが一番だと思う。もしその世界で何かやってる最中なら、手伝うこともできるし。

 だから、うん。まずはどこの星か、だね。

 

「どこの星なの?」

「この魔法陣を使ってくださいー」

 

 カリちゃんが魔法陣を描いて見せてくれる。これは……私が日本に行く時に使ってる魔法陣と同じものだ。違うのは、転移先の座標。

 私が日本に行く時はこの座標のほんの一部を変えて、場所を指定してる。カリちゃんが見せてくれた魔法陣は、その座標が大きく異なっていた。これが、その惑星の場所みたい。

 距離としては、天の川銀河と同じぐらいだね。聞いていた通りだ。これぐらいの距離なら、日本に行くのと同じぐらいの魔力で移動できる。

 

「どんな星?」

「軽く調べましたがー。魔法はこちらの世界ぐらいのものですー。地球にあるような機械はありませんねー」

「そっか」

 

『異世界らしい異世界ってことかな』

『実は緑の惑星って多いんじゃないかと思えてきたw』

『現在分かってるのは銀河につき一つぐらいなんだが』

『ごめん全然多くなかった』

 

 一つの銀河でもお日様みたいな恒星はいっぱいだからね。それだけいっぱいあるのに、生命のある惑星はやっぱりかなり少ない。だから多くはないと思う。

 

「でもー。不思議なことがありますー」

「不思議なこと?」

「はいー。惑星の半分がー。緑のない場所になってますー」

 

 緑がない……。木とか自然が少ないってことだね。そういう気候とか特徴なだけ、という可能性ももちろんあるけど……。はっきりとした理由がないなら、単純な理由が先に出てくる。

 

「魔力の枯渇かもしれませんね。何らかの原因で、その星の片側の魔力が激減しているのでしょう」

「師匠はその調査のために召喚されたのかな?」

「多分ですけどー。召喚までしたということは、原因は分かっているのかもですねー」

 

『なるほど。自分たちでは対処できないから、異世界の人に頼ったってことか』

『こうして聞くとやっぱり召喚物の王道じゃないか!』

『なんだかんだと楽しくやってそうだなあいつw』

 

 そう、なのかな。もしも楽しく過ごしてるなら邪魔するのは悪いような気がする。もうちょっと待った方がいいのかな。いやでも、やっぱり師匠には会いたい……。どうしよう。

 

『お前ら余計なこと言うな』

『リタちゃん、気にしなくていい。好きなようにすればいい』

『どうしても気になるなら、まずは師匠さんを探して様子見してみては?』

 

 そっか。それもいいかもしれない。まずは師匠を探して、様子を見る。これだ。問題は私が我慢できるかだけど……。でも、とりあえず行ってから考えればいい。

 

「それじゃあ、行ってみる」

「はい。十分に気をつけてください。危ないと思ったら引き返してくださいね」

「リタちゃんー。気をつけてー」

「ん」

 

 それじゃあ、師匠がいる世界に向かおう。本当に師匠に会えるかな?

 




壁|w・)はい。というわけで、お待たせしました。
再会編、です。
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