異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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脳筋思考魔女

 この世界には、魔王がいるらしい。この魔王は宇宙人みたいなものみたいで、この世界にとっても宇宙から飛来した災害なんだとか。

 

『どこの特撮だよ』

『光の巨人はいないんですか!?』

『悪しか来ないとかバランス調整クソやな!』

 

「バランス調整言うな」

 

 師匠がコメントにそう返しながら、続きを話してくれる。

 この魔王はその惑星の一カ所に棲み着き、魔力を日々吸い上げているそうだ。それは世界樹が生み出す魔力よりも多くて、この世界は徐々に滅びに向かっているらしい。

 もちろんそんなにすぐに滅びたりはしない。この世界の精霊たちもがんばってるみたいで、完全に滅びるまでに百年以上の猶予はある。

 

『百年か。なんかまだまだ余裕があるって感じだな』

『そうか? 住める場所がどんどん削られてると思ったら、そうでもないのでは?』

 

「まあ、そういうことだな」

 

 この世界は、つまりこの星は半分ほど植物が生えてない、らしい。つまりその地域ではもう魔力が枯渇しているということ。そしてそれはどんどんと広がってるみたい。

 完全に滅びるのは百年先だけど、人間が住めなくなるのはもっと早いだろうね。

 

「その魔王って、人間? 動物? それとも……」

「ああ、よく気付いたな。植物だ」

「ん……。そっか」

 

 動物だと、そんな一カ所から少しずつ、なんてことにならないと思うから。

 つまり、星に根を張って魔力を吸い上げる大きな木、みたいなものだってことだね。

 

「消してしまえばいい」

「俺も最初はそう思った。でも世界樹の魔力を吸い上げてるだけあって、再生量がすさまじくてな……。全力で攻撃しても、すぐに再生するんだ。ちなみに大きさもかなりのもので、スカイツリー、見たことあるか? あれぐらいだ」

「おー……」

 

 それは、本当に大きいと思う。それに師匠が言うには、防衛本能でもあるのか結界も張ってるらしい。一応貫通はできるけど、威力は減退されてしまうのだとか。

 

「つまり、消しちゃおうと思ったら、結界を貫通させた上で、その大きな木を一気に消滅させないといけないってこと?」

「そういうことだな」

 

『なにそれ。無理ゲーでは?』

『この世界の人には悪いけど諦めよう。本来関係ない世界なんだし』

『帰って精霊様と再会してこい!』

 

「諦めるの早いって……」

 

 私もそれが手っ取り早いと思う。帰らないって言われちゃったから言わないけど。

 

「この世界の後は、あの世界に、俺たちが住む世界に来るかもしれない。いつ来るか分からない危険物を放置できるかって話だよ」

 

 それに、と師匠が続ける。

 

「百年後とかになれば、俺が死んだ後だ。助けてやることができない。だから、協力できる今のうちに消しておきたいんだ。リタが安心して暮らしていくためにも、な」

「師匠……」

 

『お前マジでいいやつだったんだなあ』

『見直したぜコウタぁ!』

『アイスクリームを作ろうとして牛乳を凍らせたバカとは思えないな!』

 

「やめろお! なんで知ってるんだよ!」

「ごめん。話した」

「俺の黒歴史がめちゃくちゃ拡散されてないかこれ!?」

 

 多分、師匠が思ってるよりみんな知ってると思う。思い出話としていろいろと話しちゃったから。ちょっとだけ悪いと思っちゃうけど、勝手にいなくなった師匠の方が悪いと思うから見逃してほしい。だめかな?

 

「と、ともかく! リタ。俺と一緒に研究してほしい。あのくそったれな木を消す方法を!」

 

 ん……。つまりは、そういうこと、だね。うん。それなら、大丈夫。

 

「わかった」

「ああ、悪いな……。少し時間はかかると思うけど、二人で研究すればすぐに……」

「じゃあ、消しに行こう」

「終わるはず……、は?」

 

『え?』

『まって?』

『まさか……』

 

 広範囲を、高威力で、消し飛ばす。うん。大丈夫。

 

「できるよ」

「できるの!?」

 

『さすがだぜリタちゃん!』

『それでこそ俺らのリタちゃんだ!』

 

 君たちのものになった覚えはない。

 

「とっても強い剣士さんがいた。速すぎて魔法を当てるのが難しい。だから対策を考えた」

「あ、ああ」

 

『あー、剣聖さんか』

『リタちゃんの叔母さんみたいな人ね』

 

「なにそれ詳しく……いや今はいいか。で?」

「速すぎて攻撃を当てられないなら、広範囲を高威力で消し飛ばせばいい」

「なにその脳筋思考。お前らの影響じゃないだろうな!?」

 

『違います! 違うと思います!』

『違うから! 多分! 言い切れないのが悲しい!』

『でも日本の漫画とかは影響してるかもしれない!』

 

 なんだかとても失礼なことを言われてる気がする。ともかく、私は考えた。そして、日本のテレビを見て、思いついた。だから魔法を作った。それだけ。

 

「まだ精霊様にもゴンちゃんにも見せてない。初めて使うけど、多分大丈夫」

「まあ、今更疑いはしないけど……。威力としてはどれぐらいで?」

「ゴンちゃんにも通用するはず」

 

『待ってくださいリタ! 聞いていませんそんな魔法! いつ作ったんですか危険すぎるでしょうちゃんと報告しなさい!』

『精霊様怒りのコメントである』

『まあばくっとかすぱっとかもゴンちゃんにはそこまでだったっぽいし、ちゃんと通用するってよっぽどだよね』

 

 実際にはどうかは分からない。多分だよ、多分。ただ魔法の効果的に、通用しないとおかしいと思うだけで。だって通用しなかったら、生物というか、世界に存在するものとしておかしいことになるから。

 だから、うん。そんな邪魔な木は、すぐに取り払えるよ。

 

「師匠。行こう。それで、早く帰ろう」

「あ、ああ……。急転直下というかなんというか……。まあ、任せるよ」

 

 任せてほしい。とっても自信がある。

 師匠に、成長した私を見てもらうチャンスだ。がんばろう!

 




壁|w・)相手が速すぎて当てられないなら!
当てられるぐらいに広げればいい!(360度全方位超広範囲魔法の完成)



新作、始めました。
超古代出身の魔女ちゃんが、現代ダンジョンでのピンチをこそこそ助けるお話、です。
よろしければこちらも是非是非。
なお、カクヨムでは1日分早く公開しています。
『超古代出身最強魔女のダンジョンブレイカー!』
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