異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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ぴかっ!

 

 師匠の転移で、その魔王と呼ばれる大きな木の側にやってきた。

 

「おー……」

 

『でっか』

『スカイツリーより絶対にでかいだろこれ』

『高いし太いしマジですげえ』

 

 本当に、すごい。私の世界の世界樹よりも大きいと思う。確かにこんなものが落ちてきたら、普通はどうしようもないかもしれないね。一縷の望みをかけて召喚に頼ったのも分からないでもない。許さないけど。

 

「根の深さはどれぐらい?」

「数百キロらしい。でもこの木は表面に出ている部分が本体らしくて、根は十キロほど消し飛ばせば自然消滅するはずだ。というより、残りそれぐらいなら精霊たちでどうにかできる、と言ってたな」

「ん……? この世界の精霊とお話ししたの?」

「ああ。さてはリタ、逃げられたな?」

「ん」

「この世界の精霊はあの木のこともあって臆病になってるからなあ」

 

 それは、仕方ないかもしれない。あんなものが外から落ちてきたのなら、急に現れた私のことも警戒するはずだ。むしろ驚かせちゃったことが申し訳ない。

 さて。早速やってしまおう。杖を構えて、魔法陣を構築する。この魔法については、私もすぐに使うことができない。とっても複雑になっちゃったから。

 

「師匠。準備に、えっと……。十分ぐらいかかる」

「ああ。何かあったら守ればいいんだな」

「ん」

 

 さすが師匠だ。話が早い。

 

『まって? リタちゃんですらそんなに時間がかかるの?』

『ほとんどの魔法を無詠唱のごとく使ってしまうリタちゃんですら準備が必要……?』

『なんかやばい魔法がぶっ放されそう』

 

 コメントは、無視だ。魔法陣に集中しないと。

 大きな魔法陣を描いていく。空に描いて、魔法陣の上に重なるようにさらに別の魔法陣を。横に広がる魔法陣に、さらに縦に魔法陣を重ねて、斜めにも重ねていって……。

 特に範囲の指定は慎重に。間違ったら、この星を消し飛ばしてしまうかもしれないから。

 

「なんだこの複雑な魔法陣……。俺でも効果が分からないな……」

 

『つまり師匠超えってこと!?』

『そんなこと言ってる場合か?』

『かつてない規模の複雑な魔法陣では?』

『リタちゃんー。精霊様がどん引きしてますー。なんて魔法作っちゃったんですかー』

『ちょwwwカリちゃんwww』

『精霊様ですらどん引きする魔法ってなんやねんw』

 

 もうちょっと……もうちょっと……。よし、できた。これでばっちり。もっと研究すれば簡略化はできるかもしれないけど、今後の課題かな? 今のままだと時間がかかりすぎるから。

 

「それじゃあ、師匠。いくよ」

「ああ……。頼んだ」

「ん」

 

 魔法を、起動。いけ。

 私が魔力を全力で流した瞬間、魔法陣が光った。

 そして、魔王と呼ばれる大樹に、極太の光の柱が降り注いだ。

 

「は?」

 

『え?』

『おおお!?』

 

 極太の光が大樹を包み込み、そしてさらに目も開けてられないぐらいに光った。ぴかっと。

 たっぷり、十秒。そうして、その光が消えた後には、何も残されていなかった。

 

「…………」

『…………』

『…………』

 

「ん。できた」

 

 ちゃんと消滅してる。ばっちり、だね。

 これが私が作った魔法。漫画みたいに言うなら、超広範囲完全消滅魔法、みたいな感じだね。

 魔法を考えている時に、日本でテレビを見ている時に知ったんだ。ありとあらゆる物質は、原子がたくさん集まった分子で構成されてる。なら、それらを全部引き剥がしてしまえばいいんじゃないかなって。

 そう思ったのはいいけど、実際にやろうとするとなんだがすごく悪影響が出そうだった。なんか、すごく危険なことになるかなって。

 

 だったら。その影響すらも魔法で打ち消してしまえばいい。がんばればどうにかできるはず。

 そうして生まれたのがあのぴかっとする魔法。全ての物質を原子だけにしてしまう魔法だ。実際にはもうちょっと違うみたいだけど、だいたいそんな感じ。

 ちなみに、悪影響を打ち消す方に魔法陣の半分以上が使われてる。そういう意味でもまだまだ改良できるかも。

 そう説明したら、師匠に変なものを見るような目で見られてしまった。

 

「思いついても作るか普通……?」

 

『なんて魔法作っているのですかリタ……。原子そのものまで分裂してるじゃないですか……核分裂反応まで引き起こしてるじゃないですか……。対策はしてるみたいですけど……』

『ふぁーwww いやごめん笑えないわ』

『そりゃ精霊様もどん引きするよ!』

 

 私もこの魔法はすごく危険な魔法だって分かってる。研究は続けるけど、よほどのことがない限り使うことはないと思う。

 最初はアリシアさん対策で作った魔法だったけど、さすがにこんな魔法をアリシアさんに使えるはずもないし。殺したいわけじゃないから。

 

「そもそも作ってから思った。普通に他の魔法の範囲を広げればいいんじゃないかって」

「気付くのが遅すぎないか?」

「ん。反省」

 

『反省してるならよし!』

『でもさ。日本の番組を見て思いついたって言ってたよな?』

『多分朝の教育番組だよな……。小学生向けでも、質問コーナーで取り扱うことはあるし……』

『つまりこれ、戦犯は日本のテレビなのでは?』

 

 そんなことはない……わけではないかもしれない。だって、私もそのテレビを見てなかったら、原子分子なんて知りもしなかっただろうから。

 でも研究するのはとっても楽しかった。日本のテレビはとてもいいもの。あんなにいろんな知識を無料で教えてくれる日本は本当にいい国だと思う。

 

「もっといろんな魔法を作りたい」

「リタ。しばらくテレビ禁止な」

「え」

 

『さすがに残当かなあ』

『こんなぶっ飛んだ魔法を作っちゃったらね』

『リタちゃん。しばらくこっちでテレビ見る時も気をつけるね』

 

 こういう時は、なんて言うんだっけ。どこかで見た。えっと、そう。これだ。

 

「解せぬ」

 

 師匠にデコピンされてしまった。いたい。

 




壁|w・)えたーなるふぉーすぶりざーど! あいてはしぬ!
そんなのりの、リタの最強魔法でした。ゴンちゃんや精霊様にも通用するやべー魔法です。
なお、魔法の内容に細かいツッコミは禁止です。リタですらよく分かってない魔法です。あぶない。
今後研究されても、多分そうそう使うことはない魔法でしょう。
例えば。遠い未来で、弟子やその友達のために、魔王討伐で……とか?
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