異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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夜食もぐもぐ

 

 師匠と一緒に、精霊の森に帰ってきた。今日は私のお家で、師匠と二人っきり。配信はされてるけど。

 のんびり夜食だ。夜食のメニューもいっぱい。帰りに真美からカレーライスももらっておいた。早速唐揚げカレーもできる。楽しみ。

 テーブルに広げたのは、カレーライスと、たくさんのお菓子と、あとバウムクーヘンと。他にもちょっとだけ残ってるお土産もいくつか。いっぱい!

 

「いや多すぎると思う」

「えー」

「太らないとはいえ、加減はしろよ」

 

 師匠に呆れられてしまった。でも私は言いたい。

 

「美味しすぎる日本のご飯が全面的に悪いと思う」

「それは全力で同意する」

 

 二人でカレーライスを食べる。うん。やっぱり真美のカレーライスが一番美味しい。

 

「へえ……。真美ちゃんって子のカレー、美味しいな。これは俺も好みだよ」

「ん。真美のカレーライスは世界一美味しい」

 

『どうしよう。とっても嬉しいけど、またハードルが上がりそう』

『商品化されることが決定してるからなそのカレーw』

 

「商品化? なんでまた……」

「私が好きだから、らしい。政府にメーカーから問い合わせが来たって首相さんが言ってた」

「そんなさらっと首相が出てくると頭がバグりそう……」

 

『そりゃなあw』

『もう俺らは慣れたけど、コウタにとってはいきなり国の偉い人が出てきた感じだもんなw』

 

 そういうものなのかな? 私にとっては……。

 

「高いものを食べさせてくれるおじさん」

「扱いがひどい」

 

『だが間違いではない』

『高級寿司とかもらってたからな!』

 

 お寿司、美味しかった。また食べたい。

 

「他にも日本のいろんな場所、行った。師匠、温泉行こう。草津温泉、楽しかった」

「そっか、観光地にも好きに行けるんだな……。一緒に行くか」

「ん!」

 

 師匠と温泉。とても楽しみ。一緒に入りたい。ぽかぽかしたい。

 

「この世界も回ったんだろ?」

「ん? うん。師匠が何をしてたのか、知りたくて」

「…………。なんかほんとすみません……」

「え? え? あれ?」

 

『急に謝られておろおろするリタちゃん』

『ちょっとは反省しろコウタぁ!』

『この場合、戻ってことなかったことを反省するのか謝ったことを反省するのかw』

 

 別に謝ってほしいわけじゃない。もう私は十分。こうして師匠が帰ってきてくれて、一緒にご飯を食べてる。それで、十分。

 

「やだ、うちの子がいい子すぎて辛い。お前らの悪影響があるとは思えない」

 

『そんな俺らが悪影響ばっか与えてるわけねーだろが!』

『ちょっとは俺らのことも信じてください!』

 

「朝ご飯がお菓子と聞いたが?」

 

『その点については申し開きもなく……』

『ちゃうねん! 美味しく食べちゃうリタちゃんが悪いねん!』

『むしろ投げ菓子のシステムを作った精霊様が悪い!』

 

「それは思う。俺の時からやってくれよ……!」

 

『草』

 

 師匠の時は投げ菓子はなかったらしいからね。私は精霊様が作ってくれて、美味しいものがたくさんで、とても嬉しかった。大福とか好き。もちもちしていて甘いから。

 

「あとは、なんだ? 隠遁の魔女だっけ。二つ名もらったんだな」

「ん」

「隠遁、ね……。引きこもりということを思えば、あながち間違いでも……」

「賢者かっこわらい」

「ぐはあ!?」

 

『リタちゃんwww』

『賢者(笑)は確かに俺らが言ったけどもw』

『これはきっついカウンターだw』

 

 今となってはそれなりに気に入ってる。あまり表に出ない私にはぴったりだと思う。

 師匠はしばらくテーブルに突っ伏していたけど、気を取り直したように起き上がった。

 

「最後に……。エルフの里、行ったんだな」

「…………。ん」

「妹には会ったか?」

「ん。とてもいい子。またお話ししたい。その時はお菓子もたくさん持っていく」

「はは。それはいい。俺から見てもあの子は珍しくまともなハイエルフだったからな。たった一人の、実の姉妹だ。仲良くしておくといい」

「ん」

 

 アルティとはまたゆっくり会いたいね。バウムクーヘンもあるし、カレーライスも持っていこう。他は、何がいいかな。甘いものがいいかな? 考えるだけで楽しみ。

 アリシアさんにもまた会いたい。師匠を紹介してみたい。

 

「深緑の剣聖、ね。噂には聞いてたけど、会ったことはないんだよな」

「いい人だよ」

「そっか。また紹介してくれ」

「ん」

 

 きっと、師匠と話が合うと思う。

 そうして話していたら、もういい時間になってきた。そろそろ終わり、かな? 配信も切って、と……。

 

「リタ。おいで」

「ん」

 

 師匠に呼ばれたから、側に行く。すると頭を撫でられた。いつもの撫で方。気持ちいい。

 

「いろいろ見てきたんだな、リタ」

「ん。とっても楽しかった」

「はは。そっか。そりゃ、成長もするな」

「ん?」

 

 師匠の目は、なんだかとても優しい。なんだか、まるで……。

 

「いなくなるの……?」

「いやさすがにそれはない。精霊様にマジギレされる未来が見える」

 

 それは、うん。間違いなく怒ると思う。大激怒だ。

 師匠は苦笑して、そしてちょっと迷って、私を抱きしめてきた。なんだろう?

 

「どうしたの?」

「いや……。もうちょっと、ちゃんとリタの温もりを感じておこうと思ってな」

「ん。ぎゅー」

「はは」

 

 私もぎゅっと抱きしめてみる。とってもあったかい、師匠の温もり。

 いろんな場所を見た。いろんな人と会った。楽しいことばかりじゃなかったけど……でも、とっても充実した毎日だった。

 もちろん、終わるつもりもない。これからもあちこち行ってみたい。今度はもっと気ままに、気まぐれに。それもきっと楽しそうだから。

 それに。帰ってきたら、いつでも師匠が待ってくれてる。それだけで、お出かけが楽しくなりそう。

 でも、とりあえず今は。

 

「おつかれ、リタ」

「ん!」

 

 師匠の温もりを独り占め、だ。

 




壁|w・)ようやく、一段落。
次回、エピローグ、です。
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