異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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炊事場

 

 炊事場にたどり着いた。とっても広い部屋で、たくさんの人が働いてる。大きなお鍋がいっぱい並んでいたり、大勢の人がお肉や野菜を切ったり……。忙しそうだ。

 

「んー……。何かもらえるかな?」

 

『リタちゃん?』

『お仕事という建前はどこいったw』

『調査だよね?』

 

「…………。…………。そうだった」

 

『間が長すぎるw』

 

 大丈夫。忘れてたわけじゃない。ただどうでもよかっただけで……、なんでもない。

 

「うん? 嬢ちゃん……もしかして、魔女様か?」

 

 そう話しかけてくれたのは、近くでお肉を切ってる人。なんだか真っ黒なお肉だけど、何のお肉だろう。包丁で切ってる様子では柔らかそうだけど。

 

「ん。調査? しにきた」

「なんでちょっと疑問形なんだ……?」

 

 何を調べたらいいのか分からないからね。とりあえず全員にちょっとした結界を張ってあるから、もう被害が出ることはないだろうし、そこまで力を入れてない、というのもある。

 

「どんな料理なのか見に来た」

「一応言っておくが、俺たちは毒なんていれてないからな」

「ん」

 

 実際にはどうかは分からないけど、多分可能性は低いと思う。毒味もあるっていうのは、漫画とかでも見たことあるから。

 

「ちょうどいいか。魔女様の食事も今日の昼食から用意するように言われててな。今すぐ用意できるけど、食べていくか?」

「ごはん!」

「お、おお……。じゃあ、用意するな……?」

 

 お昼ご飯。後宮のお昼ご飯。どんなご飯かな楽しみだね。

 

『ごはんと聞いてテンションを上げる魔女』

『なお調査中です』

『お昼ご飯も調査のうちだから!』

 

 そうそう。これも調査だよ。間違いない。

 炊事場の隅っこにテーブルがあったから、そこにお昼ご飯を並べてもらう。今日のお昼ご飯は、さっきの黒いお肉を焼いたものと、大きめのお肉と野菜が入ったスープ。それに柔らかそうなパンだ。ちょっと香辛料を使ってるのか、不思議な香りがする。

 それじゃあ、いただきます。

 まずはお肉から。ぱくりと。

 

「…………。まあまあ?」

 

『どういう評価なんだそれは』

『美味しいと言えば美味しいけど美味しくないと言えば美味しくない、そんな感じやな!』

『まるで意味がわからんぞ!』

 

 んー……。なんだろう。色が黒くて固そうだけど、実際に食べるとそこまで固くない。あの包丁の入れ方だと柔らかそうに見えるけど、そこまで柔らかくもない。特徴があまりにもなくて言葉にできない。

 香辛料は、ちょっと辛みがあるけど、不思議な酸っぱさもある。なんだろうこれ。悪くはない、と思う。あまり好みではないけど、美味しくないわけじゃない。

 スープは……こっちは結構美味しい。野菜とお肉をじっくりと煮たのか、どっちも予想以上に柔らかい。不思議な味わい。パンを浸して食べるといい感じ。

 

「おいおい、魔女様よ。パンをスープに浸すとか、行儀が悪すぎる……」

「バカ、やめろ。相手は魔女だぞ。殺されても文句言えねえぞ」

「そ、そうか……」

 

 いや、私どういう扱いになってるの? 悪人を殺すことにためらいはないけど、さすがに悪口を言われたぐらいで殺したりしないよ?

 

『リタちゃんは猛獣だった……?』

『食欲という意味ではそうかも……』

『リタは昔からよく食べたからなあ』

 

 師匠は何を言っちゃってるの? 帰ったら怒るからね。

 とりあえず、完食。悪くはなかったけど、個人的にはやっぱり日本のご飯の方が好き。夜は日本に行こうかな。

 

「どうだ? 毒なんて入ってなかっただろ」

 

 そう言ってきたのは、最初に話しかけてくれた人。

 

「ん。悪くなかった」

「はは……。魔女様は舌が肥えてるんだな」

 

 それは否定しない。日本のご飯が悪いと思います。

 

 

 

 炊事場を離れて、のんびり散歩。次はどこに行こうかな?

 

「後宮ってどこかおもしろい場所はある?」

 

『そもそも後宮に面白さを求めるなw』

『王様のお嫁さん探しの場所だからね?』

『それはそれでめちゃくちゃ安っぽいなw』

 

 でも王様が楽しめるような場所も必要じゃないかな。 ん……? 妃候補が楽しませるの? よく分からない。

 とりあえず……大きな建物に行ってみよう。なんだっけ、下級妃と中級妃が住む場所、だっけ。

 

「そもそも下級妃と中級妃ってなに?」

 

『そこから!?』

『地球の歴史にあった後宮と同じかどうかそもそも分からんからな』

『下手なことを言うと失礼なことしちゃうかもしれないし、誰かに聞いた方がいいと思う』

 

 それもそう、かな?

 周りを見てみる。今もたくさんの人が行き交ってる。荷物を持った人もいれば、大きなカゴを背負ってる人も。大きなカゴには洗濯物が入ってるみたい。今から洗いに行くのかな? あのメイドさんについて行ってみよう。

 こそっとついていくと、そのメイドさんは後宮の敷地の隅っこに向かっていた。隅っこ……。何かあったかな?

 

 そのままついていく。すると横に長い建物が見えてきた。敷地の端っこ……に見えるけど、その奥にさらに高い壁がある。あそこが端っこ、だね。

 建物の中では、談笑してるメイドさんがちらほら。休憩室かな? でも入り口の奥、すぐの場所に出口があって、メイドさんはそこを通っていった。

 

「おー……」

 

 これは、洗濯場、かな? 川があって、たくさんの洗濯物が干されてる。私が追ってるメイドさんも川の側でカゴを下ろして、中の衣服を洗い始めた。

 

『手作業なん?』

『魔道具とかで綺麗にできるのでは……』

 

 んー……。私もそう思うけど……。どうしてだろう? 聞いてみようかな。

 周りを見てみる。他の人はいない。洗ってるのは、このメイドさんだけ。あと、建物の方からメイドさんを見て笑ってる人がいる。なんだか、嫌な笑顔だ。

 

『これはあれじゃな? いじめじゃな?』

『胸糞悪いな』

『やったれリタちゃん!』

 

 いや何もしないよ。何をしているのかもよく分からないのに。

 




壁|w・)炊事場でごはんを食べたので目的は果たしました。
後宮と言えばいじめだよね!!!
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