異世界魔女の配信生活 作:龍翠
翌朝。マーヴェルさんの部屋に行くと、そのまま別の場所に案内された。向かった先は、カカスさんの部屋。なぜかそこにたくさんの人が集まっていた。
カカスさんはもちろんのこと、王様や他の偉そうな人もいる。もちろん、男の人。王様以外の男の人はだめなんじゃなかったっけ?
私がそんな人たちを見ていることに気が付いたのか、カカスさんが教えてくれた。
「今日だけは特別だ。魔女殿は気にしなくていい」
「ん」
まあ、私には関係のないことだしね。依頼の完了を確認するために来ただけで、それが終わったらすぐに帰るから。
二階の広い部屋で、みんなが座って待機してる。中央にテーブルがあって、その周りを囲むようにソファが配置されていた。昨日まではなかったから、急いで用意したのかも。
私が端っこに座ると、王様がこっちを見た。
「魔女殿。まずは犯人を見つけてくれたこと、礼を言おう」
「ん」
「しかし……本当に、彼女が犯人なのか……?」
「陛下。すでに証拠がいくつも確認されておりますので……」
「しかし……しかしだなあ……」
なんだか、とても憔悴しているように見える。昨日とは別人みたいだね。
『なんかめちゃくちゃ未練がましいというか、なんというか』
『特別な気持ちでもあったんかね?』
一応私も関係者、ということでもう少し詳しく教えてもらうことになった。
あの魔法使いを雇っていた上級妃さんは、すでに側室入りが決まっていたらしい。ちなみに正室はカカスさん。どうして決まっているのか分からないけど、何かあったんだと思う。聞いたら誤魔化されたから。
王様はその上級妃さんを好きだったみたいで……。それで、そんな上級妃さんがこの事件の黒幕っていうのが信じられないみたいだ。
「どうにかならんか……?」
「なりません。陛下といえど、すでに知れ渡ってしまった者を庇うのはいかがなものかと」
「むう……」
王様はどうにか助けたいみたいだけど……。あとは、好きにしてくれたらいい。
正直私がここにいても仕方ないと思う。早く帰ろう。
「魔女様。こちらをどうぞ」
王様の近くにいた男の人、大臣さんらしい。その人から紙を一枚渡された。依頼完了の確認書、みたいなことが書かれてる。これをギルドで見せたら正式に依頼は終了、ということになるみたい。
「ありがとう。じゃあ、帰るね」
「はい。この度は本当にありがとうございました」
「ご苦労であった……。ところで、魔女よ。俺の側室に……」
「大臣さん、この人殺していい?」
「やめてください」
「不敬すぎるだろお前」
「尊敬できない人を敬うつもりはないから」
私がそう言うと、王様は口をあんぐりと開けて固まってしまった。隣で大臣さんが苦笑いしてる。
「陛下。これが民の気持ちの一つだと考えてください。常に民からは見られていますので」
「うむ……」
もういい、かな? じゃあ、帰ろう。
外に出ると、すぐに誰かが追ってきた。
「魔女殿」
カカスさんだ。手にはバスケット。あのブドウみたいな果物が入ってる。カカスさんは私の前に立つと、そのバスケットを渡してきた。
「これを持っていくといい。私からのせめてもの礼だ」
「ん……。ありがとう」
「短い間だが、世話になった」
「本当に短かった」
『ほんとにな』
『まさかの一日で解決』
『犯人が自滅しただけですがw』
それでも、解決は解決だから。
「あのふわふわのベッドでお昼寝できなかったのは残念」
「うむ……。私も魔女殿を抱き枕にしようかと……」
「え」
「いや、なんでもない」
『おいwww』
『こいつw』
『リタちゃんを抱き枕にしていいのは私だけなんだからね!』
真美? 何言ってるの?
ともかく。改めて手を振って、私はその国を後にした。報告しに行かないと、ね。
ギルドマスター、セリスさんの部屋に入る。セリスさんは机で書類とにらめっこをしていた。難しい顔で書類にサインしたり、いろいろしてる。
ドアの音で気付いたのか、セリスさんが私を見た。
「あら……。何かあったの? 忘れ物とか……」
「終わった」
「え」
大臣さんからもらった紙をセリスさんに渡す。セリスさんは目をまん丸にして、何度も読み返した。そして、一言。
「普通一日で終わる……?」
『当然の反応やな』
『あいにく、目の前にいる魔女は普通じゃないんで』
その言い方はちょっとひどいと思う。
「ところで、ミレーユさんは?」
「今日はまだ来てないから……。多分だけど……」
「ん……。なんとなく分かった」
セリスさんから報酬をもらって、アイテムボックスに入れる。そのまま歩いてギルドを出て、ミレーユさんが泊まる宿屋に向かうことにした。
「ミレーユさん、何やってると思う?」
『ヒロインちゃんに怒られてる』
『メグだっけ。片付けろ、とか言われてるんじゃないかな』
『何度も同じこと言わせて、とかも言われてそうw』
私もそう思う。なんとなくだけど、ミレーユさんが片付けるとは思えないから。魔法使いは、研究にのめり込んだらそのままずっとだよ。片付ける発想なんて出てこない。私も含めて、ね。
宿に入って、カウンターの女の人に軽く会釈……している間に、声が聞こえてきた。
「何度も何度も何度も何度も同じこと言わせて……! いい加減片付けろって言ってるよね!? 人の言葉が分からないの!? その頭は飾りなの!? 中身入ってないの!? 頭を振ったらからころ鳴るのかなあ!?」
「ごごごごめんなさいですわあああ!」
「…………」
宿の人と顔を見合わせる。苦笑いしていた。
『思っていたよりもブチギレられてて草なんだ』
『灼炎の魔女(号泣の姿)』
『よし見に行こう』
『やめたれw』
声がすごく泣いてたね。うん。見に行こう。
壁|w・)主がメイドに勝てるわけないだろうがいい加減にしろ!