異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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カレー作り

 

「お手伝いに来ました!」

 

 世菜さんたちが集まってくれた。なんだかビニール袋も持ってる。何を持ってるのか聞いてみたら、もしものためのものらしい。

 

「もしものためって?」

「失敗した時のレトルトご飯とレトルトカレー、それにカレーのカップ麺です!」

「おー!」

 

『カレーづくしだー!』

『リタちゃん、テンションぶち上げてるけど、失敗した時用だからな?』

 

「ん……。そうだった」

 

 成功したら食べる予定がなくなるもの。そうだった。それは、うん。仕方ない。仕方ない。

 

『あからさまにしょんぼりするじゃん』

『これだからカレーの魔女は』

 

「あ、あの……。別に食べても、いいですよ?」

 

 食べてもいいらしい。とても嬉しい。じゃあ、うん。食べよう。

 ともかく。まずはカレー作り、だね。真美が言うように、変なアレンジはしない。レシピに忠実。調合と同じだ。

 まずは野菜を切っていく。材料は、いろんな人にもらったもの。すごく量が多い。そしてどれもちょっとお高い野菜らしい。みんなでそれを切っていく。

 包丁とまな板は師匠も二つずつ買っていたみたいで、世菜さんたちのところと含めて三つずつ。三人でささっと切る。

 

「うおおおお! 目が! 目があああ!」

 

 タマネギを切っていた部長さんがそう叫んだ。

 

「ん……? どうしたの?」

「あ、あはは……。タマネギを切るとね、目が痛くなっちゃうんです。涙が止まらなくなって……」

「毒?」

「毒じゃないかな!」

 

『タマネギは毒物だった……?』

『あながち間違いでもないと思えてしまうw』

『タマネギの成分の特徴だからあまり気にしないでいいぞ』

 

 そうなんだ。でもそれなら、私が代わりに切ろう。

 部長さんに場所を代わってもらって、ささっと切る。これでよし。形もレシピ通りだ。

 

「リタちゃん、目、痛くないのか……?」

「ん。結界があるから」

「ちくしょううらやましい……!」

 

『マジでリタちゃんの結界は何を基準で弾いてるのかよくわからんな』

『料理をする側からするとマジで羨ましい』

 

 牛肉も切る。これは師匠が切ってくれた。とってもいい牛肉らしい。

 

「松阪牛らしいぞ」

「美味しいの?」

「日本の美味しい牛肉と言えば、一番有名じゃないかな」

「おー……」

 

『日本三大和牛ってやつだな』

『松阪牛と神戸ビーフ、あとはリタちゃんも食べたことがあるはずの近江牛』

 

 近江牛。琵琶湖に行った時に食べたやつだね。あのお肉はとっても美味しかった。ドラゴンのお肉とはまた違った良さがあって、とても好き。

 つまりこの松阪牛もすごく美味しいはず……。

 

「ほら」

「ん」

 

 師匠から小さいお肉の塊をもらった。とりあえず火の魔法で焼いて、食べてみる。もぐもぐ。

 

「おー……! おいしい。なんだかとろけるような、そんなお肉。すごい。とても美味しい」

「カレーでいっぱい食べられるからな」

「楽しみ」

 

『よくよく考えるととんでもないカレーになりそう』

『松阪牛入りのカレーとか絶対美味しいやつ』

『いいなあ!』

 

 とても美味しいカレーライスになるはず。楽しみだね。

 全部切り終わったら、材料を炒める。これは私がやってみた。お鍋にサラダ油を入れて、材料を入れて、炒めていく。まぜるのはなかなか難しいかもしれない。

 お肉に焼き目がついて、タマネギがちょっとしんなりしてきて……。そこで、炒めるのは一度終わり。水を入れて、煮込んでいく。

 沸騰してきたら、なんだか浮かんできたものを取り除く、らしい。あく、だって。あく……。悪? 悪いもの、みたいな名前。まさにあく。なるほど。

 

『なんかあく取りしながら一人で納得してる』

『師匠さん! もしくは真美先生! リタちゃんは何を考えているんでしょうか!』

 

「あくと悪いやつの悪をかけて、なるほどだからあく、なんて思ってるんじゃないか?」

 

『あなたがエスパーか』

 

 その通りだけど、よく分かったね。あと何故か世菜さんたちが苦笑いしてる。

 

『リタちゃん。あく取りのあくはその悪じゃなくて、灰汁って書くんだよ。詳しいことは長くなるから、調べてみてね』

 

「ん……」

 

 全然違うものみたい。さすが真美だ。覚えておこう。

 あく取りが終わったら、一度火から離す。少し冷ましてから、ルウを入れる。このルウももらったものみたいで、結構いいものらしい。

 カレールウは……なんだろう。見た目は、チョコレートみたい。カレーの香りがするけど、すごく美味しそう。かじったら……甘かったりする?

 

「いいか、リタ。かじるなよ。絶対にかじるなよ」

「師匠さん、ふりっすかそれ」

「黙っていてくれ。マジで言ってるんだ。言わなかったらかじるぞこいつ」

「あ、はい」

 

 むう……。かじってみたいけど、わりと強めに止められてしまった。じゃあやめておこう。私も美味しいカレーを早く食べたい。作ることに集中しよう。

 

『ちょっと残念そうな顔してるってことは、マジでかじりたかったのかw』

『さすがにその発想は……いや、子供の頃はしたかも……』

『見た目チョコだしなあ』

 

 やっぱりみんな思うことは同じ、だね。

 火の上に戻して、かき混ぜながらじっくりと煮込んでいく。じっくりじっくり……。

 

『作ってるものはカレーなのになんかすごく童話の魔女っぽいw』

『イヒヒヒヒとか言いそうw』

 

「イヒヒヒヒ」

 

『言わなくていいからw』

 

 言ってほしいと思った。黙って混ぜておこう。

 とろみがついてきたところで、完成、みたい。んー……。カレーのいい香りがする。ちゃんと成功、ということでいいかな?

 

「こっちもできました!」

 

 世菜さんたちはご飯を作ってくれてたみたいで、飯ごうというもので作ってくれていた。

 




壁|w・)じっくりことこと煮込んだカレー。
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