異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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キャンプの終わり

 

 師匠は精霊の森に、私は真美のお家に転移した。

 真美は……家にはいないみたい。お出かけ中かな? 中で待っていてもいいかな。

 キッチンに入って、コップを取り出して冷蔵庫からお茶を取り出す。麦茶。美味しいよね。

 

『勝手知ったる我が家だな』

『なおただの友達の家です』

『くつろぎすぎでは?w』

 

「ん……。真美には自由にしていいって言われてるから」

 

 キッチンでのんびりお茶を飲む。今日は急ぐ用事もないし、のんびり待とうかな。そう思っていたら、わりとすぐに玄関のドアが開いた。そうして駆け足で入ってきたのは、

 

「とう!」

「おっと」

 

 ちいちゃん。まっすぐ抱きついてきたので、そのまま抱き留めてあげる。今日もちいちゃんはかわいい。なでなでしておこう。なでなで。

 

「いらっしゃい、リタちゃん」

 

 次に入ってきたのは真美だ。手には近くのスーパーのレジ袋。今日の晩ご飯は何にするのかな。

 私の視線に気づいたのか、すぐに教えてくれた。

 

「今日は豚肉の生姜焼きだよ」

「生姜焼き」

 

 以前も食べたことがある。生姜焼き、美味しいよね。私も食べたいって言ったら迷惑かな?

 

「もちろんリタちゃんの分もあるよ」

「おー。どうして分かったの?」

「リタちゃんなら食べたいかなって」

「ん」

 

『これが……保護者力……!』

『保護者力ってなんやねん』

『ママあじってことさ』

『ママみだろうがああん!?』

 

 また変なケンカをしてる視聴者さんは無視だ。今日の晩ご飯は生姜焼き。楽しみだね。

 

「キャンプのカレー持ってきた。お昼ご飯に食べる?」

「もらっていい?」

「ん」

 

 お昼ご飯は、私のカレー。アイテムボックスから二皿取り出して、真美とちいちゃんに渡してあげる。アイテムボックスに入れておいたからほかほかだ。

 私も自分の分を取り出す。いっぱい作ったから、まだもうちょっと残ってる。これを食べても、精霊様に渡す分はちゃんと残ってる。

 真美が早速一口食べた。もぐもぐと食べて、うんと頷いて。

 

「美味しい。ちゃんとレシピ通りに作ったんだね」

「ん。簡単だった」

「美味しくなりそうだからってカレールウを大量に入れちゃわないか不安だったよ」

「さすがにしないよ」

「…………」

 

 何故か真美の視線がとっても疑り深いものになってる。信用できない、みたいな反応だ。

 

『前科があるからなあ』

『クッキー作りの砂糖は忘れられない』

『だぱぁ』

 

 そこは忘れてほしい。料理も調合と同じだと考えたら、難しいことじゃなかった。本当だよ。

 それよりも。カレーは真美にも美味しいと言ってもらえるものだったみたいで、一安心だ。もし微妙だなんて言われたらちょっと悲しいところだったから。

 

「明日はまたどこか観光に行くの?」

「んー……」

 

 明日。どうしようかな。師匠が行きたがってる即売会っていうのは、三日後だ。まだもうちょっと時間があるけど……。でも、また何か数日かかる依頼を受けちゃったら嫌だし、お家でのんびりしておこうかな。

 

「明日考える」

「そっか」

 

 真美は笑って頷いてくれた。

 

 

 

 真美のお家でのんびりアニメを見たりして楽しんで、晩ご飯の生姜焼きを食べてきて。精霊の森に帰ってきた。生姜焼きはとっても美味しかった。白いご飯と一緒に食べると美味しい。

 世界樹の前に転移すると、精霊様がぬいぐるみをもふもふしていた。

 

「精霊様……?」

「はっ!?」

 

 精霊様が勢いよく振り返って、ごまかすようにぬいぐるみを枝に戻した。いや、別にいいんだけど。ぬいぐるみはかわいいから。

 

『何やってんすか精霊様w』

『精霊様ももふらーじゃったか』

『もふらーとは』

 

 もふもふする人、かな? 私もぬいぐるみは好きだけど、本物の犬とかの方が好き。

 精霊様にもカレーを渡す。もう精霊様の分しかないけど、私は生姜焼きを食べたから十分。

 

「これがリタが作ったカレーですか」

「ん。いろんな人に手伝ってもらった」

「ふふ……。美味しそうですね」

「ん」

 

 世菜さんたちにも手伝ってもらったし、師匠も手伝ってくれた。いつかは私一人で作れるようになりたいと思う。

 精霊様が一口カレーを食べて、なるほどと頷いた。

 

「美味しいですね……。リタがちゃんと料理をするようになって、感慨深いものです」

「料理はしてたよ?」

「リタ。お肉の丸焼きに調味料を適当に振りかけるのは料理とは言えません」

「…………」

「目を逸らさないでください」

 

 確かに以前はそうだったけど……。今は日本の料理も学んだし、きっと大丈夫だと思う。でも明日は口いっぱいにお肉を頬張りたい気分。ワイバーンでも捕まえようかな。

 

「明日はワイバーンを捕まえてお肉を焼く」

「料理は……?」

 

 塩こしょうぐらいかけると思う。ステーキだよ。

 でもこうしてみんなが美味しいって言ってくれると、なんだかちょっと嬉しい。またいつか、ちゃんとした料理をやってみようかな。真美に頼んだら教えてくれると思うから。

 でもとりあえず今は。

 

「ふふ……。よくがんばりました」

「ん……」

 

 精霊様に撫でてもらえて、なんだかとってもいい気分。

 

「はい、あーん」

「あーん」

 

 うん。カレーはやっぱり美味しい。

『いや結局食べるんかい!』

『精霊様もリタちゃんを甘やかせすぎなような……』

 

「かわいいでしょう文句ありますか!」

 

『かわいいけど! 文句なんてないけど!』

 

 もぐもぐ……。カレー、美味しいよね。うん。

 




壁|w・)長くなってしまったキャンプ編もこれで終わりです。
次回からはまた別の話。即売会はまだもうちょっと先です。

今年の投稿はこれで最後となります。
本年もお付き合いいただき、ありがとうございました。
来年からものんびり書いていきますので、よろしくお願い致します。
このお話はいつまで続けるのか、自分でも謎である……。
1月1日はお休みをいただきまして、次回投稿は1月3日となります。
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