異世界魔女の配信生活   作:龍翠

378 / 542
ピザトースト(ソースなし)

 

 日の出と同時に起床して、朝ご飯。今日の朝ご飯は食パンにチーズを載せて、ベーコンを何枚か並べて焼いたもの。火の魔法で軽く焼いただけだけど、それでもチーズはとろとろに溶けてくれた。

 

「師匠。師匠。朝ご飯」

「うん?」

 

 部屋から出てきた師匠に、お皿に載せたパンを渡す。師匠はそのパンを一瞥して、頷いた。

 

「ピザトーストか」

「ピザソースは忘れた」

「そうか……」

 

 あれも買い置きしておいた方がいいかな。アイテムボックスに入れておけば、腐る心配はないわけだし。

 それじゃあ、いただきます。

 

「んー……。ちょっと物足りないけど、こんなものだと思う」

「物足りないって言っても、ピザトーストと思って食べると、なだけだから。普通に食べる分には美味しいぞ」

「よかった」

 

 問題ないみたいで安心だ。それじゃあ、そろそろ配信でも。

 いつもみたいに光球を浮かせて、食べかけのトーストに向ける。これでいいかな?

 

『配信だー!』

『いきなりなんかピザトーストっぽいものがw』

『いや、ピザソースが見当たらない……。さては、買い忘れたな!?』

 

 どうして分かるの? その通りだけどちょっと怖い。

 

「朝ご飯」

 

『うむ。美味しそうな朝ご飯である』

『とろとろチーズなだけで美味しそうだよね』

 

 チーズは正義ってやつだね。とろとろに溶けたチーズは絶品だと思う。

 

『それで、今日はどうすんの?』

『今日も日本ですか!?』

『即売会の前にもう一度食べ歩きをですね……』

 

 んー……。日本でもいいんだけど、たまにはこっちの世界も見てみたいと思う。でも、もう師匠も見つけたし、正直どこかに行こうとはあまり思えなくて。本当にどうしよう。

 

『そういえばリタちゃん、魔法学園には行かないの?』

『校長さんとかに師匠連れて行くべきだと思う』

 

「ん……。そうだね」

「あー……」

 

 コメントを見ていた師匠が、なんだか変な声を出した。そっちを見てみる。なんだか気乗りしてないみたい? ちょっと苦い表情だ。

 

「行きたくないの?」

「いやあ……。かなり心配させただろうから、正直行きづらい……」

「後回しにするとさらに行けなくなっちゃう」

「そうだよなあ……」

 

 別に悪いことはしてないんだから、気にせず行けばいいと思う。実は生きてました、みたいな感じで大丈夫だよ。みんな優しいから、それぐらいで怒るとは思わない。

 やっぱりここはまた無理矢理連れて行って……。

 そう考えたところで、それがきた。

 

「リタ。今はこの世界にいる?」

 

 念話だ。声を届ける魔法。これは、シルフ様の声だね。私宛の声だったけど、師匠にもちょっと聞こえたみたいで眉をひそめていた。

 

『急に黙ってどしたん?』

『話聞こか?』

 

 視聴者さんはもうちょっと黙っていた方がいいと思う。続けてシルフ様から念話が届いてくる。

 

「アルティが来たよ」

「んー……」

 

 シルフ様の湖に来た、ということだよね。私に会いに来たのかは分からないけど、せっかくだし行ってみようと思う。魔法学園はまた今度、ということで。

 

「シルフ様から念話が来たから、エルフの里に行ってくる」

「大丈夫か?」

「平気。アルティに会うだけだから」

 

 もしもスランドイルとかが出てきたら、その時はその時ということで。帰ってくるだけだよ。

 

『なんでエルフの里って思ったけど、シルフ様からの連絡ってことはアルティ案件か』

『妹ちゃんに会いに行くってことですね!』

『姉では?』

 

 はっきりと分からないからどっちでもいいと思う。私もアルティも気にしてないし。

 それじゃあ、と師匠に手を振って、エルフの里の湖に転移した。

 

 

 

 エルフの里の湖。統括精霊シルフ様が暮らす静かな場所。エルフにとっての、聖域。

 そんな湖の側に木製のテーブルがあって、アルティが突っ伏していた。なんだか、疲れてるみたい? 顔をのぞき込んでみたら、眠っているみたいだった。

 私に会いにきたわけじゃないのかな? とりあえずほっぺたをつんつんしてみよう。つんつん。

 すぐにアルティは目を覚まして、私と目が合った。

 

「あ、リタ……」

「ん。久しぶり……というほど久しぶりなわけじゃないけど……。こんにちは」

「リタ!」

「わぷ」

 

 アルティが急に抱きついてきた。私を抱きしめて、頬ずりまでしてくる。どうしたのかな。何かあったのかな?

 

「アルティ。どうしたの?」

 

 聞いてみる。アルティはちょっと頬を膨らませて、拗ねてるみたいだった。

 

「疲れた……」

「うん」

「疲れた……!」

「よしよし」

 

 あのエルフたちの相手をしていたら、それはもうすごく疲れると思う。何があったのかは分からないけど、私でよければ甘やかせてあげよう。とりあえず抱きしめて、なでなでしておく。なでなで。

 

『まさかリタちゃんにママ味を感じることになるなんて……』

『いやこれはお姉ちゃん属性と見た!』

『リタおねえちゃん!』

 

 視聴者さんはちょっと黙っていてほしい。

 




壁|w・)リタおねえちゃん!
ちっちゃい子がちっちゃい子に甘えるのはいいとおもいm


明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。
今年ものんびりまったり書いていきます……!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。