異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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一時帰宅?

 でも……。みんな、楽しそう。みんな笑顔。こういうの、すごくいいと思う。私も何か出せばよかったかな。次があれば、何か出してみる?

 

「私の世界の魔導書とか複製して置いたら売れる?」

 

『おいばかやめろ』

『絶対に売れる。間違いなく売れる。でもそれはやめた方がいい』

『オタクに紛れ込んでいろんな政府のお偉いさんが買いに行きそうw』

 

 そうなるらしい。それは、うん。ちょっと困る。どうせこの世界の人は魔法を使えないだろうから別にいいんだけど、他の参加者さんに迷惑だと思うから。

 

『リタちゃんと握手をするだけのブースでいいよ』

『千円出すわ』

『一万円出す』

『お前らwww クレジットカードそのものでどうかな』

『おいwww』

 

 私と握手するだけでそんなにお金を出すのはちょっとだめだと思う。いろんな本が置いてあるんだから、もっといろいろ見て回った方がいいよ。

 それにしても……。この後、どうしよう? 正直、こんなに人が多いとあまり下りようとも思えない。しばらくは天井近くから様子を見るだけでいいと思える。

 コスプレの場所はお昼からの約束だし、むむ……。

 

『リタ、メシに行こうぜ』

 

「あ。師匠」

 

『シッショ!? シッショマジで!?』

『わりと堂々とあちこちで本を買ってるシッショじゃないか!』

『リタちゃんがいないのをいいことに好き放題本を買ったシッショじゃないか!?』

『お前絶対にあの本リタちゃんに見せるんじゃないぞ!』

『うるせえ分かってるよ』

 

 師匠は何やってたのかな。途中で気配を消すのも面倒になっちゃったとか? 騒ぎになってなければいいけど……。でも、コメントを見てみたら、途中で姿が見えなくなったらしいからある程度で姿を消したみたい。

 

「ごはん。どこ?」

 

『さすがに人が多すぎるからな。近場もそうだろうし……。いったん帰るか』

 

「ん。じゃあ、カレーのちょっと上あたりで」

 

『了解』

『なんだよ、もう帰るのか』

『結局生リタちゃんを見ることはできなかったか……!』

『落ち着けお前ら、お昼にコスプレ会場に行けば……!』

『入場規制かかりそうだなw』

 

 師匠が隣に転移してくる。コメントを見て、ちょっと呆れてるみたいだった。

 

「リタ。コスプレの方にあとで行くのか」

「ん。配信、見てなかった?」

「自分の買い物に夢中だったな!」

「あとで見せて」

「絶対にだめだ」

 

『草』

『真顔の拒否w』

『なあに買ったんですかねえ』

 

 師匠が何を買っていても、別にいいけど……。あまり変なもの買っちゃだめだよ。

 

「それじゃあ、帰るか」

「ん……。真美の家に行きたい。渡すものがあるから」

「ああ、例のあれか。でもいきなり行っていいのか?」

 

 それは、うん。ちょっと確認しておこう。また怒られるのは嫌だから。

 

「真美。真美。今から行っても大丈夫?」

『もちろん。急に知らない人を連れてくるとかじゃなかったら大丈夫』

「あ、うん……。ごめん」

『もういいから』

 

『アルティは嫌な事件でしたね……』

『まるでアルティちゃんが悪いみたいな言い方はやめるんだ!』

『完全にただの被害者だからなw』

 

 被害者、という言い方はしてほしくない。いや、本当に悪かったとは思ってるけど。

 それじゃあ、転移を……。

 

「リタ、その前にいいか?」

「ん?」

「最後に手を振っていこうか」

 

 んー……。必要、なのかな。よく分からないけど、師匠がそう言うならやっておこうと思う。それじゃあ、魔法をちょっと解除して、と……。

 

「あ! あそこにいた!」

「リタちゃんだ!」

 

『よっしゃ生リタちゃんだ!』

『待っててよかった!』

 

 わあ……。なんだか、たくさんの人が手を振ってきてる。町中に転移した時もいろんな人が手を振ってくれるけど、今日はみんながすごく好意的。すっごく優しいと感じられる。

 

「ほら、リタ」

「ん……」

 

 えっと……。じゃあ、手を振っておこう。ふりふり。

 うわ……。なんだか、みんな手を振ってくれてる。部屋にいるみんなが、手を振ってくれてる。なんだろう。ちょっと、嬉しい気がする。心がぽかぽか。

 

『生ふりふりだー!』

『最高すぎか?』

『手を振りながら写真撮った!』

 

 んー……。これでいいかな? 師匠を見たら、ちょっと楽しそうに笑いながら頷いてくれた。

 それじゃあ、転移しよう。またあとで、ね。

 




壁|w・)一時帰宅(自宅とは言ってない)
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