異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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打ち上げのお誘い

 

 終わった後は、お片付けして帰るだけ、らしい。運営の人はまたちょっと違ってくるらしいけど、今この場にいるのは参加者さんだけ。

 

「帰りにみんなでカラオケ行きますけど、リタちゃんもどうです?」

「んー……」

 

 カラオケ。興味はあるけど、行ったことはない。歌なんて歌ったことがないから、ちょっと恥ずかしいし。それに、晩ご飯はカツカレー。そっち優先で……。

 

『リタちゃん、晩ご飯は夜の八時にするね』

 

「え」

 

『保護者からの許可が下りたぞ!』

『リタちゃんのお歌が聴ける、ということ!?』

『これは楽しみですねえ!』

 

 楽しみにしないでほしい。そんなにいいものじゃない。歌ったことなんてないんだから、上手か下手かも分からない。さすがに恥ずかしい。

 

「リタ」

「師匠」

「カラオケっていうのは雰囲気を楽しむもんだ。音痴かどうかなんて気にしなくていい。バカにしてきたやつは、ばくっとしてやれ」

「分かった」

 

『やめてください死んでしまいます』

『いやたとえ音痴でもバカにする気なんてないけど、さすがに怖いてw』

 

 本当にやるつもりはないけど、ね。でも、少しだけ参加してみたいと思う。カラオケ、どういうものかちょっと気になるし。

 

「じゃあ、行く」

「え、本当に!? やった、言ってみてよかった……! みんなー! リタちゃん参加するってー!」

「やったあああ!」

「朱音さんよくやった!」

 

 思ったよりも参加者さん多い……? 多分、私のコスプレをしていた人はほぼ全員だ。カラオケって、そんなにたくさんの人が入れる部屋があるのかな。

 とりあえず、会場を出て移動……なんだけど。

 

「いや、リタちゃんを連れて歩くのってやばくない?」

「間違いなくやばい」

「大騒ぎになりそうだね!」

「カラオケに来る馬鹿も出てくるかも」

 

『それは間違いない』

『カラオケの店が映ったらさすがにやばいだろうなあ』

 

 それは、ちょっと大変だ。でも私が原因なんだし、私でどうにかしようと思う。

 

「どこ? 地図見せて」

「え? それじゃあ……」

「こことかどうだ?」

 

 そう言ってスマホを見せてくれたのは、ちょっと大柄な女の人。とっても背が高い。その人のスマホを見て、地図を確認して……。近くに商業施設があるね。それなら。

 

「分かった。転移する」

「え」

「準備して」

「あ、はい!」

 

 転移で近くの商業施設の屋上に行ってから、気配を消す魔法で移動すれば大丈夫だと思う。その間、配信はちょっとだけ止めさせてもらおう。

 

『さすがに場所は内緒か』

『これはしゃーない』

『リタちゃんの生歌楽しみですねえ!』

 

 楽しみにしなくていいから。自信もないし。

 みんなの準備ができたところで、全員で転移。商業施設の屋上、ちょっと上空だ。みんな驚いていたけど、おとなしくしてくれていた。暴れられなくてよかった。

 気配を消す魔法を使って、人にぶつからないように屋上に下りて、そこから移動。階段を下りて外に出て、目的地へ。

 少し歩くと、すぐにそれが見えてきた。

 

「おー……」

 

 大きな、カラオケの建物。店内に入ってから魔法を解くと、店員さんが目を見開いて固まってしまった。

 

『気持ちは分かる』

『いきなり集団が現れたら恐怖でしかないんよ』

 

 ちょっと悪いことをしちゃったかもしれないけど、不可抗力だから許してほしい。

 大柄な人が受付をしていく。ちょっとだけ楽しみになってきた。

 

「リタ」

「ん? どうしたの、師匠」

「俺は帰るぞ」

「え」

 

 いや、どうして? 師匠も一緒に参加すると思ったのに。もしかして……。

 

「師匠は歌が苦手?」

「女ばっかりのところに男がいるとか絶対にだめだと思うんだ」

「んー……」

 

 確かに、気にする人はいるかも? でもどうせなら師匠も……。

 そう思ったところで、師匠の肩に誰かが手を置いた。小柄な、人。

 

「逃がしませんよ、シッショさん……」

「ええ……。なんだよ。さすがに男が混ざったらだめだろ……」

「僕も、男です」

「は?」

 

 にっこりと、小柄な人は微笑んだ。私のコスプレをしていた人のはずだけど、男の人もやるんだね。ちょっと意外だ。

 

『まあコスプレは男女関係なくやりますから』

『男がリタちゃんのコスプレはなかなか勇気があるけどw』

『いやでも線の細い人だし、問題ないのでは?』

『ガチムチの人だったらやばかったw』

 

 そういうもの、なのかな? 聞けば男も二人だけいるんだとか。だから、師匠を入れて、三人。

 

「逃がしません」

「…………」

 

 師匠は諦めたのか肩を落とした。師匠の参加も決定だ。

 

「おーい! 部屋は大部屋でいいよな!」

「問題なしです!」

「小部屋で分けたらリタちゃんの歌が聴けなくなっちゃう!」

 

 私の歌は目的にしなくていいよ。やめてほしい。

 とりあえず、受付は終了。フリードリンク? というものらしくて、ジュースはお代わり自由。太っ腹だ。たくさん飲もう。

 みんなでジュースを入れて、大柄な人に案内されて大きな部屋に入った。

 




壁|w・)打ち上げはやっぱりカラオケだよね。
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