異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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第一地球人ちいちゃん

「んー……。美味しいカレーライスがあるなら、いいよ。魔法陣広げておいて。目印にするから」

 

『正気か?』

『リタちゃん考え直した方がいい。ろくでもないやつだぞ!』

『失礼だなあ!』

 

 本当にちょっと失礼だとは思うけど、でも私を心配してくれてる人の方が多いってことは、多分感覚がずれてるのは私の方かな。このあたりは、少しずつ直していった方がいいかも。

 でも、心配する必要とかはないよ。

 

「銃だっけ? 撃たれたとしても剣で斬られたとしても刺されたとしても問題ないから大丈夫。結界張ってるし」

 

『ア、ハイ』

『リタちゃんが強すぎる……』

『見た目のかわいらしさに忘れがちだけど、この子、精霊様曰く世界最強の一角です……』

『心配するだけ無駄だなこれ』

 

 実際はどうかは分からないけど、でも一般人に不意打ちで負けるようなことはさすがにない、と思う。

 うん。心桜島の人も魔法陣を広げてくれたみたいだ。それじゃ、行ってみよう。

 

「それじゃ、行くよ。ちなみに私以外の人にはモザイクっていうのがかかるから、よろしくね」

 

『プライバシー大切だもんな』

『見習えマスゴミ』

『荒れる話題はやめるんだ』

 

 それじゃ、行ってみよう。

 

「てんいー」

 

『気の抜ける言い方すんなwww』

 

 知りません。

 

 

 

 というわけで、やってきました心桜島。の、上空。眼下に小さく島が見えてる。ちょっとした町はあるみたいだけど、島そのものは精霊の森よりも小さいかもしれない。

 いや、広大な精霊の森と比べる方がおかしいかな。師匠曰く、四国ぐらいの大きさはあるらしいから。私はその四国がいまいち分からないけど。

 

 私の魔法陣の反応があるのは、多分マンションっていう建物からだ。十階建てで、五階の部屋にあるらしい。魔法陣がある部屋のベランダに近づいてみよう。

 その前に、コメントが流れる黒板を軽く叩く。すると黒板はすっと消えて、コメントが私の耳に聞こえるようになった。少しうるさいけど、人と会うのに出しっぱなしは邪魔だからね。

 

「大きい家だね。日本のお家はみんなこんな感じ?」

 

『違うぞ』

『マンションの中では中堅ぐらいでは? でかいやつはもっともっとでかい』

『三十階とかあるからな!』

 

「ふーん……。物好きだね」

 

『ひでえw』

 

 いやだって、そんなに高いところに住んでどうするのかな、て思うよ。一階に下りるだけでも大変そうだ。

 そんなことを話していたら、ベランダの窓が勢いよく開かれた。

 

「わ……」

 

 思わずそんな声が漏れてしまった。

 窓を開けたのは、小さな女の子。多分、五歳ぐらい。私を見て、きょとんと首を傾げてる。

 

『幼女だ!』

『モザイクで幼い子供しか分からんけど、多分幼女!』

『まさかこの子が視聴者!?』

『いや、その子は妹。ちょっと待ってて』

『何故か妙に安心した俺がいるw』

『気持ちはわからんでもないw』

 

 妹さん、か。どうしようかな。私のことは聞いてるのかな。

 ベランダに下りてみる。小さなベランダで、小さな鉢植えがいくつかある。何かの芽が出てるね。

 女の子はじっと私を見てたけど、やがて一歩下がって、

 

「おねえちゃあああん! まほうしょうじょ! まほうしょうじょだー!」

 

 そう叫びながら部屋の中に走っていった。

 

「魔法少女、だって」

 

『魔法少女……少女?』

『確かにリタちゃん、見た目は少女だね。で、実年齢はいくつで?』

 

「さあ?」

 

 いわゆる黙秘権、というわけでもなく、単純に覚えてないだけだ。研究の時はそれに没頭してるから。亜空間の中は昼夜がないから、余計に分からない。

 でも、少女ではないかな。うん。

 

「リタちゃん、中に入っていいよ!」

 

 部屋の中からそう声がした。女の人の声だ。

 

『まって』

『え、もしかして女性?』

『うせやろ!?』

 

 さすがに失礼だと思うけど、私も男だと思ってたよ。

 確か、日本では靴を脱ぐんだよね。ブーツを脱いで、中に入ってみる。

 中はリビングだ。ベージュのカーペットが敷かれていて、中央には机がある。机の側には座布団が三つ。壁際にはテレビ、だったかな。あとは棚もいくつか。

 

 窓の逆側に扉があって、そこに少女が立っていた。年は、十五ぐらいかな。黒髪をポニーテールにした少女だ。パーカーにジーンズという服装。

 その少女の足に、さっきの女の子がしがみついてる。ショートカットの黒髪で、くりくりとした目がかわいらしい。

 

「おねえちゃん! ほら! まほうしょうじょ!」

「うん。魔女ちゃんだよ。リタちゃんって言うの。ほら、挨拶」

「はい!」

 

 少女の足から離れて、そして勢いよく右手を上げた。

 

「中山千帆です!」

 

 なるほど。

 

「かわいい」

『かわいい』

『かわいい』

 

 小さい子は初めて見たけど、なるほど、これはかわいい。守りたくなっちゃう。

 

「私はリタ。魔女だよ。よろしくね。ちほちゃん」

「ともだちからは、ちいちゃんって呼ばれてます!」

「ちいちゃん、だね。わかった」

 

 あだ名ってやつかな。少し羨ましいかも。

 ちいちゃんの頭を撫でると、今度はもう一人の方が自己紹介してくれた。

 

「私は中山真美です。よろしくね、リタちゃん」

「ん。あなたがコメントをくれた人?」

「そうだよ」

 

『なん……だと……?』

『声で分かる。間違い無く美少女』

『声ソムリエたすか……、いやきめえわ』

『ひでえwww』

 




壁|w・)主人公は最強の一角ではありますが、最強じゃないです。
良くも悪くも魔法に特化してます。特化しすぎてます。
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