異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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精霊様だってコスプレを見たい

 

「はい、どうぞ」

 

 真美のお家に転移して、カツカレーを出してもらった。ちょうど準備していてくれたみたいで、すぐに食べられる。ほかほかカレーにさくさくのトンカツだ。とても美味しそう。

 

「カツカレー!」

「落ち着こうな?」

「カレー……!」

「こいつのカレーに対する執着はなんなんだ……?」

 

『正直俺らにもよくわからん』

『カツカレーを前にした時、リタちゃんの理性は失われるのだ』

『変な薬でも入ってんのかそのカレーw』

 

 普通のカレーだよ。間違いない。とっても美味しいカレー。早く食べたい。

 

『どうも、カレー会社の社長です。同じカレーのはずなのに、反応の違いに泣きそうです』

『草』

『まあリタちゃんのカレーはリタちゃん特攻カレーだから』

 

 椅子に座って、スプーンを持つ。トンカツとカレーを一緒に食べる。サクサクの食感のトンカツにカレーが絡まってとても美味しい。

 

「んふー」

「うん……。いや、マジで美味しいよな……。俺も好みだよ」

「あはは。そう言ってもらえると嬉しいです」

 

 ほどよく辛くて、とても好き。真美のカレーは世界一美味しい料理だと思う。

 

『シッショとリタちゃんの味覚ってもしかしてわりと近い?』

『同一の環境で育ったのなら、それも当然……か?』

 

 それは分からないけど。でもカレーは美味しい。間違いない。

 カレーはとっても幸せの味でした。

 

 

 

 たっぷりとカツカレーを食べて、精霊の森に帰ってきた。

 

「戻った」

「はい、おかえりなさい、リタ」

 

 世界樹の前で精霊様が待ってくれていた。なんだかとってもにこにこしてる。なんだろう。

 ちなみに師匠はまっすぐお家に戻ってる。がんばれ、と送り出されたのはちょっと不思議。そう思っていたんだけど。

 

「リタ」

「ん?」

「私も、かわいいリタが見てみたいです」

「ん……?」

 

『おっとこれは?』

『コスプレをやれとおっしゃっていますね』

『精霊様も見たいってことだよね!』

 

 え。そ、そうなの? コスプレを見たいの? 確かに今日着た服は全部もらったから、ちゃんと保護魔法とかいろいろかけてアイテムボックスに入れてあるけど……。

 精霊様を見る。にこにこしてる。これは、逃げられないやつだと思う。

 

「…………。わ、わかった……」

「はい」

 

 というわけで。精霊様の目の前でコスプレすることになった。

 

「リタ。配信は終えておくように」

「ん」

 

『そんなばかな!?』

『今度こそリタちゃんの生着替えを見れると思ったのに!』

『うわあ……』

『お前らマジで気持ち悪いから自重しろ』

 

 どうしてそんなに見たいのか分からないけど、精霊様も怒りそうだからやらないよ。

 軽く挨拶をして、配信を止めて。それじゃあ、えっと……。まずはこれ、かな?

 

「ふむふむ……。忍者、というものでしたか。昔の日本にあったとか」

「精霊様、詳しいね?」

「ふふ。昔、コウタが日本の文化をいろいろ教えてくれましたから」

 

 そうなんだ。確かに師匠なら語っていてもおかしくないと思う。私も師匠から日本の話はよく聞いていたし。

 

「ですが、諜報みたいな仕事をするのでしょう? そんなに目立つ色でいいのでしょうか?」

「さあ……?」

 

 それは正直私にも分からない。もしかしたら赤色の理由があるのかもしれない。逆に、キャラクターとしてそういう色にしていたのかも。

 

「日本は、びきにあーまあ? とかあるみたいだから、気にしない方がいいかも」

「なんですかそれは」

「鎧部分がとっても少ない鎧」

「なんですかそれは」

「分からない」

 

 正直意味がないと思う。お腹とか出して、守る気ないでしょ、としか思わないから。

 その後もいろいろコスプレをして、精霊様が満足したところでやめる。精霊様はとっても楽しそうだった。

 

「あと、これおみやげ」

「これは……。本、ですか」

「ん。私の旅の記録、みたいなもの」

 

 たくさん買った本のうちの一つ、だね。旅の思い出の振り返りにちょうどいいと思う。今後も作ってくれるなら、是非とも買いたいと思うぐらいには。

 

「これは……なかなかよくできています。リタが訪れた場所やお店の詳細……。しっかり調べられていますね」

「ん。私が知らなかったことも書いてる」

 

 こういうところにも行ってほしかった、みたいなことも書いてあるから、気が向いたら行ってみるのもいいかもしれない。まだ先の話になるだろうけど。

 

「それは二冊買ってあるから、精霊様にあげる」

「はい」

 

 精霊様は頷くと、世界樹の枝の上にそれを置いた。あまり目立たない位置ではあるけど、世界樹が精霊様の物置になってる気がする。ぬいぐるみもいっぱいだし。

 

「さて……。リタ」

「ん?」

「守護者のあなたに、仕事があります」

 

 精霊様の表情はとても真面目なものだった。姿勢を正して、精霊様に向き直る。何を言われるんだろう。ちょっと、どきどきする。

 

「とある国にちょっと行ってほしいのです」

「とある国?」

「はい。明日からお願いしますから、今日のところはしっかり休んでくださいね」

 

 そういうことになった。じゃあ、しばらく配信はお休み……。

 

「ああ、別に配信しながらも構いませんからね」

「あ、うん……」

 

 真面目なお仕事、なんだよね……?

 




壁|w・)長かった即売会編もこれで終わり。
次は異世界側。精霊様の依頼。
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