異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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壁|w・)ここから第34話のイメージ、です。



精霊様の依頼

 

 即売会を見に行った日の、翌日。起床した後、すぐに世界樹の側に来た。精霊様から仕事を頼まれるのは珍しくて、師匠も一緒に来てる。

 精霊様はすぐに現れてくれて、私たちを見ると微笑んだ。

 

「おはようございます。良い朝ですね」

「ん。お仕事は?」

「はい。少し遠い国の様子を見てもらおうかと」

 

 少し遠い国。どこだろう。私が考えていると、精霊様がわずかに首を傾げた。おや、とでも言いたそうに。

 

「リタ。今日は配信をしていないのですね」

「ん。お仕事だから、やっぱり内緒の方がいいかなって」

「ああ、なるほど……。いえ、構いません。むしろきっと日本が関係してきますから」

「え」

 

 なにそれ。なんだかちょっと怖いんだけど。師匠も怪訝そうにしてる。日本が関係する依頼って、想像もつかないから。

 でも。とりあえず、許可をもらったから配信だ。魔法を使うと、すぐにいつもの光球と黒い板が出てきた。

 

『新鮮な配信だ!』

『おはよー!』

『おや、いきなり異世界三人組がそろってる』

 

「どんなくくりだよ」

 

 師匠が小声でつっこんでる。私と、師匠と、精霊様だね。精霊様が小さく笑っていた。

 

「おはよう」

 

『え。え?』

『リタちゃんが……挨拶した、だと?』

『天変地異の前触れか!?』

『分かった! お菓子が欲しいんだな! いいだろういつでもこい!』

 

「私を何だと思ってるの?」

 

 朝の挨拶をしただけでこの反応はちょっと失礼だと思う。

 改めて精霊様に向き直ると、なんだか楽しそうに微笑みながら言った。

 

「それでは、リタ。精霊の森の守護者であるあなたに、一つ、仕事を依頼します」

 

『な、なんだってー!?』

『待ってマジで精霊様からのお仕事なの?』

『シッショの代から考えても初めてなのでは?』

 

 そうかな? そうかも……? たまに仕事を頼まれることはあっても、配信することはほとんどないし、あったとしても精霊様からのお仕事とは言わないから。

 だって、お仕事のほとんどは精霊の森のどこそこの魔獣を倒しておいてほしい、とかそういうものだから。そういうお仕事で討伐した魔獣のお肉はとっても美味しいものがほとんどだから、実はちょっと楽しみだったり……。

 

「リタ」

「ん」

 

 ちょっと変なことを考えてた。落ち着こう。

 精霊様も私が別のことを考えていたのを察していたみたいで、苦笑いしていた。ちょっと恥ずかしい。

 

「サモナード王国の様子を見に行ってください」

「ん……?」

 

 なんだろう。初めての国名だ。日本に関係するって言ってたから、日本の国だったりする?

 

「リタ。この世界の国だ。結構遠い国……というより、ほぼ裏側だな」

「裏側?」

「あー……。日本とブラジルの関係みたいな……?」

「ん……?」

 

 ぶらじるがまず分からない。でも視聴者さんは分かったみたいだった。

 

『なるほど、裏側って惑星の裏側ってことか』

『ちなみに日本の裏側ってほとんど海らしくて、ブラジルはほんの一部だぞ!』

『それは置いといて、マジで遠くない?』

 

 本当に遠い場所みたい。転移魔法で問題なく移動できる距離ではあるけど、そんな場所に何かあるのかな。

 その国に行って何をすればいいんだろう。精霊様は配信魔法の光球を見て、そして小さく首を振った。

 

「行けばきっと分かります」

「ん……。分かった」

「ですが、前提の知識ぐらいは伝えておきましょう」

 

 精霊様曰く。サモナード王国のすぐ側には魔族の国があるらしい。あまり仲が良くないらしくて、国と国の間でよく小競り合いが起きているんだとか。

 森に影響がない限り、精霊たちは国と国との争いに介入することはない。いずれは大きな戦争が起きるかもしれないけど、魔力を根こそぎ奪い取るような兵器を開発しない限りは不干渉だ。

 

「つまり、何か作られたの?」

「それなら現地の精霊が壊します」

「あ、うん」

 

『ヒェッ』

『さらっと言ってるけど、その壊しますって国をってことですよね……?』

『こわひ』

 

 それまでに必ず精霊たちも警告するだろうから、それでも作り続けたバカの自己責任だと思う。

 でも。それでもないなら、なんだろう?

 

「行けば、分かりますよ」

「んー……。言えないことなの?」

「言えない、というよりは……。まだ少々、確信が持てない、というのが正しいですね」

 

 精霊様が確信を持てない、というのは珍しいことだと思う。この星のことなら、各地の精霊たちからいろんな情報をリアルタイムで受け取ってるはずだから。

 その現地の精霊も判断に困ってる、というやつかな?

 

「分かった。行ってみる」

「はい。心配しなくても、世界が滅ぶといった内容ではないので、観光ついでで大丈夫ですよ」

「ん」

 

『観光ついで、なのかw』

『ついでに観光ではないのねw』

『まあ配信許可出るぐらいだし、気楽に行ってよさそうってことかな』

 

 そういうことなんだと思う。

 それじゃあ、行ってみよう。遠い国のサモナード王国、楽しみだね。

 




壁|w・)国名でいろいろ察せられてしまいそう……。
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