異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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召喚の魔法陣

 

 兵士さんに案内された先は、とっても広い部屋。謁見の間だ。まだ待たされるかなと思ったけど、兵士さんはそのままドアを開けてくれた。それでいいの?

 そうして、謁見の間に入ったら、王様が両手を広げて出迎えてくれた。

 

「ようこそ、魔女殿! 歓迎するぞ!」

「うさんくさい……」

 

『こらw』

『余計なこと言わない』

 

 いやだって、王様がいきなり歓迎とか、あまり信用できないよ。

 王様は、思ったよりも若い人。多分二十代前半かそれぐらい。金髪がなんだかとても目立ってる。

 

「魔女殿、このタイミングで来てくれたということは……。そういうことだろう?」

「ん……?」

「我らと共に、魔族を滅ぼそうではないか!」

「…………」

 

『この国の人はなに? そんなに戦わせたいの?』

『このタイミングとか言ってるけど、絶対いつ来ても言ったと思う』

 

 私もそんな気がする。なんだかちょっと面倒な国に来てしまったかもしれない。正直もう帰りたくなってきたけど、精霊様に頼まれたんだからちゃんと調べないとね。

 

「ちょっと調べ物があって来た」

「ふむ。魔族の戦力かな?」

「バカなの?」

「む」

 

『リタちゃんwww』

『まさかリタちゃんからこんなストレートな罵倒が飛び出てくるとはw』

『いらいらしていらっしゃるw』

 

 だって、どうしても戦わせたいみたいだから……。本当に意味が分からない。今更だけど、この国に来る前にもうちょっと調べておけば良かったと思ってしまった。

 それはそれとして。

 

「地下で何の魔法陣を使ったのか知りたい」

 

 そう聞いてみたら、何故か王様が嬉しそうに笑った。よくぞ聞いてくれた、みたいなことを言い出しそうな顔だ。

 

「よくぞ聞いてくれた!」

 

 本当に言うとは思わなかったよ。

 

「はるか昔、建国の時より我が国に伝わる魔法陣だ。もう一度その奇跡の魔法を受けるため、我らは代々あの魔法陣に魔力を注ぎ続けてきた」

 

『さらっと重要なこと言われてない?』

『魔力を代々注ぎ続けるってできんの?』

 

 できるよ。できるけど、普通はやらない。だって、魔法使いにとってそんなこと何の意味もないから。

 でもこの国はそれをやったらしい。大昔の魔法陣、だって。それは、ちょっと普通に気になる。どんな魔法陣なんだろう。見せてもらえないかな。

 

「見たい」

「よかろう!」

「いいんだ……」

 

 ダメだろうと思って聞いてみたら、何故かあっさり許可が下りてしまった。そこまで隠す魔法陣でもない、もしくは今はそれほど重要じゃない……?

 

「陛下! いけません! 我が国の者でもない者に、あの魔法陣を見せるなど……! 先王も反対されますよ!」

「黙れ! 今はいないだろうが! 俺が、王だ!」

 

『今はいない、ね』

『これはなんかやばい事情がありそう。先王も殺してしまったとか』

 

「明らかに腐りかけの肉を大丈夫だと言い張って食べて腹を下すクソ親父など知らん!」

 

『草』

『完全に阿呆やないかいw』

 

 王様って、そんな適当でやっていけるの? いや、やっていけなかったから、今の王様が怒ってるのかも。大変そうだ。

 

「では、魔女殿! 行こうか!」

 

 王様がそう言って立ち上がった。王様が自ら案内してくれるらしい。王様も行くのはだめじゃないのかな? まだ謁見の約束とか……。大丈夫?

 ただ、私にはやっぱり関係のないことだから、王様の後を追わせてもらった。

 そうして案内されたのは、不思議な地下室。地下二階、と言えばいいのかな。最初の地下にあった牢屋を通り過ぎて、さらに奥の下に向かう階段を下りた先がこの部屋だった。

 ちょっと狭い洞窟みたいな部屋だ。隅の方から水がしたたり落ちる音が聞こえてくる。ぴちょん、ぴちょん、みたいな感じ。この音、結構好きだ。

 ゴンちゃんの洞窟でも聞こえる音なんだよね。また聞きに行こう。ゴンちゃんともお話ししたいから。

 

 そんな部屋の床を全部使って、魔法陣が描かれていた。これは……。やっぱり召喚の魔法陣だ。加えて、ちょっと下手。これだと魔力効率がかなり悪いと思う。建国からずっと魔力をこめ続けてきた、というのも納得する程度には。

 どこからかは……はっきりとしてない、かな? 条件付けは、この星以外の人間、みたいなもの。かなり迷惑な魔法陣だと思う。

 多分だけど……。師匠がどこぞの星に召喚されたものと同系統の魔法陣じゃないのかな。どうしてこんな魔法陣があるのかはよく分からないけど。

 術式に翻訳関係のものもあるから、最低限言葉には困っていない、と思う。多分だけど。

 

「これ、最近使ったよね?」

「さすがだな。そこまで分かるのか」

「ん……。召喚されたのは、人間?」

「その通り。魔族との戦争の切り札となる、勇者を召喚した!」

 

『勇者召喚!?』

『異世界召喚の王道ですね!』

『でもその王道、知らないところでやられても俺らには何の意味もないんだよ!』

『どうせなら俺らを召喚しろよ!』

『絶対にクソの役にも立たないだろうがwww』

 

 んー……。今まで見てきた日本人で判断するなら、戦争の役には立たないと思う。身体能力もこの世界の人と比べると並以下だし、魔法も使えないし……。やっぱり、意味はないよ。

 それよりも。本当に召喚魔法を成功させたのなら、精霊様から見に行くように言われたのは分かる気がする。普通ならこんな魔法、絶対に使われることがないから。

 問題は、どこの誰が召喚されたか、だよね。師匠の時は、私はすごく不安だった。だからできるだけ早く、元の世界に返してあげたいと思う。

 でも王様は反対するかな。魔族との戦争の切り札、とか言ったぐらいだし。こっそり帰してあげないといけない。

 

「その勇者と会ってみたい。だめ?」

「ふむ……。まだ勇者殿の戦い方が分からないからな……。魔女殿に会えば、何か刺激を受けるかもしれん……。許可しよう!」

「いいんだ……」

 

『この王様、実はわりといい加減か?』

『なんかほとんど許可されてる気がするw』

『気前のいい王様やな!』

 

 それはまた違うと思う。でも私としてはやりやすい。

 

「だが、まずは勇者殿の意思を確認したい。部屋を用意させよう。少し待ってもらいたい」

「ん」

 

 というわけで、ちょっと待つことになった。

 




壁|w・)ち、ちがうから! 召喚だからサモナード王国とかにしたわけじゃないから!
そんな安直な名前にするわけないじゃないですか! やだなあもう!
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