異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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のりのりきんぐ

「ゆ、勇者殿に、魔女殿? どうやってここに……」

「あ、あの、リタちゃん、どうして大臣さんのところに……」

「うん? なんだ、仲良くなったのか? いや、待て、そういえば大臣の時に名乗ったままで……」

「え、大臣の時にって、え、あれ……」

「んー……。とりあえず、落ち着こう」

「落ち着けない状況にしたのは誰かなあ!?」

 

『草』

『ついに勇者くんからツッコミが入ったw』

『ツッコミ役がいる安心感』

 

 言いたいことは分かるけどその扱いにはもの申したくなる。でも今は先にこっち、だね。まずはコウキさんと王様にちゃんと自己紹介してもらって、状況説明だ。

 そうして説明を終えたら、王様が頭を抱えてしまった。

 

「つまり……魔女殿は、精霊の森の守護者殿、と……」

「ん。そっちが重要なんだ」

「当たり前だろうが。いや、失礼……。当たり前です」

 

 ついでに私の立場も伝えたけど、王様が頭を抱える原因はそれだったみたい。コウキさんがすごく同情的な目になってる。

 

「で……。勇者殿は、守護者殿のお気に入りの国の国民、と……」

「ん」

「あー……。あー……。あああああー……」

 

 王様が変な声を上げて床を転げ回ってる。国のトップがそういうのはやめた方がいいと思う。私たち以外に見てる人はいないけど。

 

「いや、あの、リタちゃん……。原因のリタちゃんが言うのは何か違うと思う……」

「え」

 

『よく言ったw』

『この世界の王様たちに等しくストレスを与えていく魔女』

『ストレスの魔女?』

『胃痛の魔女にしよう』

 

 変な二つ名をつけないでほしい。私は悪くないと思う。

 

「悪いのは召喚の魔法陣を使った前の王様だから」

「それはそうなんだけど……」

「あー……。つまり、この国をどうにかするつもりはない、と考えてよろしいですか?」

「ん」

 

 私が頷くと、王様は安心したようにため息をついた。いつも思うけど、どうしてこんなに恐れられるのか分からない。魔力を枯渇させるとか、私自身はやらないのにね。

 もしかしたら、ずっと昔に何かあったのかな? ちょっと調べてみてもおもしろいかも。

 

「それで……。勇者殿は、守護者殿が送り返していただけるということでよろしいでしょうか?」

「ん。だめ、なんて言わないよね?」

「絶対に言いません。誰にも言わせません」

「そう」

 

『王様が必死すぎて、なんかもう笑えなくなってる』

『ぶっちゃけこの王様からすれば、クソ親父のせいで国が滅びかけてるっていう状況だしな』

『強く生きて』

 

 滅びかけてないよ。私は何もしないから。精霊様も、何かしようとはしていなかったから。

 

「それで、帰る前にやりたいことがある」

「あ、あの、リタちゃん! 僕はもういいと思ってて……」

「先王を殴りたい」

「是非やりましょう」

「あれえ!?」

 

『おい王様www』

『この王様、のりのりである』

『よっぽど鬱憤がたまってるんやなってw』

 

 なんだか王様がうきうきしてる気がする。一気に顔色が良くなってる。鼻歌でも歌いそうなほど上機嫌でベッドから立ち上がった。

 

「俺はどうすればいいですかね?」

「前の王様はどこにいるの?」

「すぐ隣の部屋ですよ」

「わかった」

 

 じゃあ、さくっと転移で移動しよう。部屋から出ると、きっと兵士さんとかがいるだろうから。

 コウキさんと王様を連れて、隣の部屋に転移で移動。王様が目を丸くして驚いていたのが印象的だ。

 先王の部屋は……ちょっと悪趣味な部屋だった。

 

「うわあ……」

「これは……悪趣味というか、なんというか……」

「ははは。金を使うことしか考えていないクソ親父ですよ」

 

 壁には絵画がいっぱいだ。他にもよく分からないツボとかが飾られてる。統一性がなくて、多分高いものを買いあさってるんじゃないかな。

 そして、とっても大きなベッドに、その男の人はいた。

 初老の男の人。真っ白な髪で、すやすやと眠ってる。食中毒はもう治りかけてるのかもしれない。苦しそうには見えなかった。

 

「気持ちよさそうに寝やがって……」

 

 コウキさんもさすがに腹が立ってきたらしい。先王を睨み付けてる。

 

「さて、勇者殿。どうぞ好きなだけ殴ってください」

「え」

「何か武器はいりますか? ああ、でも、さすがに殺すのは見過ごせなくなりますが……」

「え」

「大丈夫。治す」

「それなら安心ですな。剣ですか? 斧ですか? 鞭もいいですな」

「え」

 

 どうしてだろう。コウキさんの顔が青ざめてる。何故か信じられないものを見るような目で私と王様を見てる。

 

「り、リタちゃんて……もしかして、結構過激な子……?」

 

『知らんかったんか。リタちゃんは悪いことをした相手に対しては容赦ないぞ』

『自分を狙った盗賊は容赦なく殺そうとしちゃう子だから……』

 

 命を狙った以上は命を取られても文句はないと思う。言わせない。

 コウキさんも、別の星に拉致されるっていう、死んでいてもおかしくない状況にさせられたんだ。それを考えれば、相応の仕返しはやってもいいと思うよ。

 




壁|w・)やり返す機会は見逃さない、できる王様! ……違う?
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