異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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出雲そば

 

 ちょっと空を飛んで、出雲市の上空へ。出雲そばはどこで食べようかな?

 

「どこかおすすめのお店ある?」

 

『島根のことはわかんないっぴ』

『ネット老人がいますねえ』

『旅行で何度か行ったけど、店名まで覚えてない』

 

 おすすめもちょっとは出てるけど、あんまりこれ、というお店はない、のかな? じゃあ近くのお店にでも……。

 

『親戚が出雲そばのお店をやってるけど、どう?』

 

 そんなコメントが流れてきた。

 

「ん……。それ、どこ?」

『側にある大きい湖を挟んで反対側、松江市』

 

 湖は、上空からだとちゃんと見える。ここからだと東側に大きな湖があるね。スマホで地図を見てみたら、確かに湖の向こう側は松江市だ。そっちに行けばいってことだね。

 それじゃあ、早速。湖の方へと飛んで、さらに上空を通って、松江市へ。松江市のどこに行けばいいのかはちょっと分からなかったから、とりあえず駅まで行ってみた。

 松江駅。ちょっと小さい駅だけど、周りにはわりと大きい建物がちゃんとある。

 

『小さい……ですか?』

『だから東京駅とか大阪駅と比べるなとあれほど……』

『あっちがおかしいだけだから!』

 

 そういうもの、みたい。よく分からないけど。

 それよりも出雲そばだ。どこかな?

 

『松江駅から北の川を越えて、たくさん民家がある中の一つだよ。ちょっとお店の人に外に出ておいてもらうから』

『至れり尽くせり』

『お迎えがあるおそばやさん!』

 

 ちょっと迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちが。ちょっとだけ。

 言われた通りに川をこえて、地上を見ながらしばらく飛んで。少しして、それっぽい人が見えてきた。

 本当にただの民家に見えるけど、おそばの看板が出てる。そのお店の前で、中年ぐらいのおじさんがこっちに手を振っていた。

 

「あの人?」

『その人です!』

 

 ようやく出雲そばが食べられるね。

 手を振ってくれているおじさん、店主さんの目の前で下りる。店主さんはにこにこと優しそうな人だった。

 

「いらっしゃい。姪っ子から聞いて待っていたよ」

「ん」

 

『姪っ子? 姪っ子!?』

『案内してた視聴者、女の子!?』

『ほんと視聴者の幅が広がったよね』

『お前それ、真っ先に出会ってる真美ちゃんに失礼だぞw』

 

 店主さんに案内されて、お店の中へ。

 こぢんまりとしたお店だ。テーブル席がちょっとと、カウンター席。それだけ。お客さんは誰もいないけど、ちょうどランチタイムの営業が終わったところなんだとか。

 

「好きな席に座ってね」

「ん」

 

 じゃあ……。テーブル席。せっかくだから。

 

「割子そばと釜揚げそば、どっちがいいかな?」

「どう違うの?」

「あー……。簡単に言うと、冷たい方か温かい方か、だね」

「じゃあ、両方」

「はは。だろうね」

 

『だろうねwww』

『なるほど、この人も視聴者さんか!』

『内心うっきうきなんやろなあ』

 

 少し待つと、おそばが出てきた。まずは冷たい方。丸い器にちょっと黒っぽいおそばが入ってる。おそばの側には、つゆが入っている入れ物。それに薬味の入ったお皿。

 丸い器は三段になってるみたいで、それぞれにおそばが入ってるらしい。

 

「薬味はお好みでどうぞ」

「ん……」

 

 それじゃあ、いただきます。

 つゆをおそばにちょろちょろかけて、おそばを食べてみる。ちゅるちゅるとすする。んー……。おそばの独特な風味、だと思う。以前真美が作ってくれたおそばともまた違った風味だ。美味しい。

 薬味もちょろっとかけて、その上からつゆをかけて……。のりの食感もいい。

 一段目を食べ終わったら、二段目。これ、どうして何段にもなってるのかな?

 

「それぞれ違う食べ方をできるんだ。薬味なしで食べてみたり、特定の薬味だけで食べてみたり……。そういうため、かな?」

「おー……」

 

 それは、楽しそう。じゃあ違う薬味を試してみよう。

 そうして冷たいおそばを食べ終わったタイミングで、温かいおそばも持ってきてもらった。

 温かいゆで汁に入ったおそば、らしい。そばつゆを自分で入れて好みの濃さにするんだって。ちょっと楽しそう。

 じゃあ、まずは少なめで……。

 

「もぐもぐ……。おそばの風味が強い」

 

『冷たいそばも温かいそばも美味しそうだなあ』

『ざるそばが好き』

『そばつゆを自分で入れるのか。やってみたい』

 

 好みの味にできるのはとてもいいと思う。人によって好みって違うからね。

 私は……ちょっと濃いめで。味が濃い方が好きだから。

 

「ん……。こっちも美味しい」

「はは。喜んでもらえてよかったよ。姪っ子から聞いたけど、夜行列車に乗るんだって?」

「ん」

「じゃあ、出雲市駅の近くにあるお寿司屋さんでお寿司を買っておくのがおすすめだよ。あそこの寿司は美味しいから」

「おー……」

 

 お寿司。いいかもしれない。出発の駅の側にあるらしいし、是非買っていこう。

 店主さんとお話ししながら食べ続けて、完食。出雲そば、美味しかった。風味が違うだけでこんなに変わるものなんだね。

 

「それじゃあ、最後に……」

「ん」

 

『いつもの』

『写真ですね分かります!』

 

 写真、だね。店主さんとお店の前で一緒に写真を撮って、お店を後にした。

 戻る直前にお客さんが来て、ずるいぞとか怒られてたけど……。私は関係ない、よね?

 




壁|w・)作中で出ていませんが、普通のそばぐらいならすでに食べています。
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