異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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夜行列車探検

 

 ポテチを食べ終えて、次の場所に向かう。次はどこを見てみよう。んー……。シャワー室の方向に行ってみようかな?

 少し歩いて、次の車両。個室が並んでるのかなと思ったら、通路の片側が大部屋みたいになっていた。二段になっていて、ちょっとだけ仕切りがあるみたい。

 みんなで一緒に寝る部屋、みたいな感じだね。

 

「みんなお友だちとか?」

 

『違うぞ』

『ほぼほぼ初対面の人たちだ』

『そういう席なんだよ。その代わりにお安い』

 

 私が使ってる部屋は高いんだっけ。こうして個室じゃなくなると安くなるってことだね。

 

「お、おい……。あれってもしかして……」

「リタちゃんだ! すげえ、本物だ……。もしかしてここに泊まるのかな?」

「俺、配信見てる。シングルデラックスに泊まってるみたいだぞ」

 

 なんだかざわざわと騒がしくなってきた。お友だちじゃないわりに、みんなこそこそ私を見て話してる。やっぱりお友だちなんじゃないの?

 

『謎の連帯感というかなんというか』

『ついつい口から言葉が出て会話になるのはよくあること。多分』

『有名人を見かけた一般人だからね、仕方ないね』

 

 よく分からないけど、そういうものらしい。

 

「あ、あの……!」

 

 その声に顔を上げると、上の段からこっちを見てる人がいた。

 

「ここの隣……まだ誰も来てないです、けど……。見ていきます?」

「見る」

「よし……!」

 

 私が頷いたら、声をかけてきた人はガッツポーズをしていた。同時に、周りから激しいブーイング。みんな元気だね。

 

『裏切り者だー!』

『処せ! 処せ!』

『あいつ、この後このアウェーの状態で過ごすことになるの、分かってんのかなw』

 

 はしごみたいになってる階段があるから、上ってみる。うん。誰もいない。

 お布団はなくて、シーツだけがあるみたい。枕とかもないから、ここで寝ようと思ったらいろいろ持ち込まないといけないかも。荷物が増えそうだね。

 スペースの奥側には窓があって、ちゃんと景色は楽しめる……けど。立てないから、ちょっと辛いかもしれない。大変そう。

 

「ありがと」

「いえ……!」

 

 通路に戻って、奥に向かう。次の車両に行ってみよう。

 ところで。通っている間もずっと写真を撮られていたけど、本当に好きだね。

 

 

 

 次の車両はシングルという部屋が並んでるらしんだけど……。

 

「おー……。階段がある……」

 

 車両に入ったら、上と下に続く階段があった。階段そのものは多くないけど、一階と二階がちゃんとあるみたい。

 

『上と下で部屋の構造はほとんど変わらないけど、大きく違うのは窓かなあ』

『シングルはちゃんとした個室だからさっきの部屋よりは快適かな』

 

「へえ……」

 

 二階に上がって、ドアが開いてる部屋をのぞいてみる。確かに個室だけど……。私の部屋と比べると、とても狭い。椅子もなければ水道もない。ベッドと、荷物を置くちょっとだけのスペースがあるぐらい。

 

「狭い」

 

『シングルデラックスと比べたらどうしてもねw』

『寝て移動するだけと思えば十分さ』

 

 それは、そうなのかも? 部屋でくつろぐとか考えずに、寝るだけなら確かにこの程度でいいかもしれない。でも長距離移動だとちょっと辛いね。

 ドアから顔をのぞかせてくる人に手を振って、次は反対側の車両に向かう。そっちにあるのは、ソロという個室、らしい。シングルよりもさらに狭いのだとか。

 そうして見た感想は確かにとっても狭い、というもの。最初はシングルみたいに一階二階があるわけじゃないから実は広いのかなと思ったけど、部屋を上下に交差させてスペースを確保しているのだとか。

 車両にモーターというものがあって、そういう造りになっている、らしい。すごいね。

 他にも部屋はあるみたいだけど……。やっぱり自分の部屋でのんびりするのが一番、だね。そう思って戻ろうとして。

 

「ここ、好き」

 

 ちょっとした部屋みたいになってる場所。通路の両側に椅子とテーブル、窓があって、テーブルでいろいろ食べながら景色も見られる。なんだか素敵な場所だ。

 今は誰も使っていなかったから、せっかくだし使わせてもらうことにした。

 

「もぐもぐ」

 

 なんだか不思議な場所だね。こういうのも悪くないと思う。クッキーを広げて、もぐもぐ食べながら景色を眺める。もう真っ暗でほとんど何も見えないけど、たまに光が通り過ぎていったりしておもしろい。

 

「あとは自分の部屋でゆっくり、かな?」

 

『いやいや待ってリタちゃん、夜行列車には連結作業があるんや!』

『いや、出雲市駅からの場合は見れないのでは?』

『マジで!?』

 

 連結作業。なんだろう?

 詳しく聞いてみたら、夜行列車はそれぞれ二つの地域から発車して、岡山駅という場所で繋げてから東京に向かうらしい。

 逆に東京から戻ってくる時は、その岡山駅で切り離してからまた別々の場所に向かうのだとか。

 

「おー……。連結。見てみたい」

 

『余計なこと言うから……!』

『残念ながら、もう一方の電車が先着してから、リタちゃんが乗ってるその電車が到着して繋げるんだ。連結してからドアが開くから、見られないよ』

 

 んー……。それってつまり。

 

「岡山駅に転移したらいいってことだね」

 

『あ』

『なにそれずるい!』

『連結を見たかったワイ、出雲市駅発に乗ってしまって見れなかった思い出』

 

 魔法の有効活用、ということで。

 クッキーをささっと食べて、時間を確認。視聴者さんが言うには、岡山駅に着くのにもうあまり時間はないらしい。さすがに岡山を見て回ることはできそうにないかな。そもそも夜だからあまり見るものもないと思うけど。

 それじゃあ、岡山駅に転移しよう。連結作業、見れたらいいね。

 




壁|w・)片っ端からお部屋を書こうと思いましたが、リタの感想が同じになりそうなので省略です。
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