異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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元王族の住む場所

「それで? どうしたの?」

「ん……。スランドイルとタイテーニアに会いたい」

「え」

 

 アルティが驚いたみたいに目を丸くして、そして不思議そうに首を傾げた。私が二人に会いたい、と言ったのが信じられないのかもしれない。私もアルティの立場だったら耳を疑うと思う。

 

「えっと……。理由を聞いてもいい……?」

「殺すわけじゃないよ?」

「あ、よかった……」

 

『そっちを真っ先に疑ってきたかw』

『気が変わった、なんて言いながらぷちっとしても不思議じゃないしな』

『おまえらもうちょっとリタちゃんを信用してやれよw』

 

 そうだ。もっと言ってやってほしい。確かにあいつらのことは嫌いだけど、今更やっぱり殺そうなんて言わないよ。きっとアルティが悲しむだろうから。

 アルティがいなかったら、そもそも最初にぷちっとしたかもしれないけど。

 

「とりあえず、場所を変えよう」

 

 そう言ったアルティに連れられて向かったのは、アルティの私室。あまり広くない部屋で、本棚がたくさんある。ベッドはちょっと大きめで、ふかふかしてそう。あとは、よくある執務机に椅子、だね。たまにここでも仕事してるのだとか。

 

「忙しい?」

「あはは……。わりと?」

「ん……。ごめん」

「リタは悪くないから」

 

 それでも、いきなり王様にしてしまう形になったのは、やっぱりちょっと申し訳ないかなって。きっと大変だっただろうから。

 

「それで、あの二人に何か用?」

「ん……。とりあえず黙ってこれを食べてみてほしい」

 

 アルティにあめを渡す。渡したのはもちろん、サルミアッキ。いや、体感してもらった方が分かりやすいかなって。

 

『ちょwww』

『やりやがったw』

『純粋無垢なアルティちゃんになんてこと!』

 

 それ私が純粋無垢じゃないって言ってるようなものだよね。いや、私でも違うとは思うけど。

 アルティは怪訝そうにしながらも受け取って、そしてためらいなく口に入れた。

 

『思い切りの良さはやっぱり姉妹かw』

『リタちゃんから渡されたから、というのもありそう』

 

 それは……。えっと。うん。後で謝ろう。

 

「うっ……」

 

 案の定、というべきか。アルティが口をおさえてうずくまってしまった。すっごく涙目になってる。

 

「ごめん。吐き出していいよ」

「これ……毒……?」

「毒ではない、らしい」

 

『やっぱり毒判定されてるw』

『リタちゃんそこは言い切ろうよw』

 

 正直私も、未だに毒じゃないことが不思議だと思ってるから。

 小さな紙にあめを吐き出させる。こればっかりは仕方ないやつ、だね。

 

「どうだった?」

「すごく……その……。本当に毒じゃないよね?」

「多分」

「どうして多分なの?」

 

 とってもまずいから、としか言えない。むしろ毒の方が安心するまである。

 ともかく。

 

「このあめがまだいっぱいある」

「い、いらないからね!?」

「私はそこまで鬼じゃない」

「何も言わずに食べさせておいてそれを言うの?」

「…………」

 

『無言の目逸らし』

『一緒に食べてほしい、と言われると思ったのかなw』

『断固として拒否しそうw』

 

 だからそこまで鬼じゃないってば。

 

「残りのあめを、スランドイルとタイテーニアに食べさせようかなって。もちろんむりやり。吐き出させないように」

「わかったやろう」

「ん」

 

『食い気味に了承しちゃったぞこの子w』

『どんだけ嫌いやねん』

『殺すのはだめだけどこれぐらいならってやつかなあw』

 

 というわけで、アルティの案内のもと、二人が閉じ込められてる部屋に向かう。

 場所はちょっと離れた二階建ての家。なんでも、この二人のために作られた家らしい。ちょっと大きい家で、運動する部屋もあるんだとか。

 そこまで言うとちょっといい部屋だと思えるし、実際に一応は元王様だけあってある程度の質はあるらしいんだけど……。

 完全に閉じ込められてる。家の扉は魔法によってアルティしか開くことができず、ごはんは扉の下の隙間からお盆ごと入れられる仕組みになってるらしい。

 

「ドアの魔法、よく作ったね。大変だったでしょ」

「シルフ様が楽しそうにやってくれたよ?」

「ああ……」

 

『あのちんまい統括精霊様か』

『めちゃくちゃのりのりでやってそうw』

 

 私も簡単に想像できる。シルフ様なら、やる。それはもう嬉しそうに。

 ちなみに、アルティしか開けられないと聞いたけど、一応私も開けることができるみたいだった。血の繋がりか何かで判定してるのかな? それとも、もともと私だけ例外にされていた、とか?

 ともかく。私たちはスランドイルたちの部屋に入った。

 一階は、運動ができる部屋、かな? 地面がむきだしになってる。体を鍛えるために使いそうな道具はいくつかあるけど……。それだけ、だね。一階は何もないと言ってもいいかもしれない。

 奥の階段を上がって、二階へ。

 

 二階はシンプルな部屋だ。ベッドが二つに、テーブルに椅子に本棚。あとは、クローゼットとか。少し娯楽のものはあるけど、最低限の家具しかない、かな? ベッドもとっても固そう。

 スランドイルとタイテーニアは、椅子に座ってぼうっとしていた。入ってきたアルティを見て、ちょっと顔を輝かせて、次に私を見て、怒りの表情を浮かべた。

 

「貴様……! 何をしに来た!」

「仕返し」

「し……仕返し!? これ以上何をするというのだ!?」

「これ以上……?」

 

 周囲を見てみる。確かに家具は最低限……にちょっと色をつけたような感じだけど……。それでも、不自由なく暮らしてるんだから十分だと思う。

 




壁|w・)処刑されてないだけましだと思え(by一般エルフ)
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