異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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リタの弱点

 

 転移で魔法学園のある街に戻ってきた。今はもう夕方。そろそろ晩ご飯の時間で、師匠から念話も届いてる。お店の場所について。

 それに従ってたどり着いたお店は、なんだかちょっといいお店……のように見える場所だった。

 魔法学園の側にあるお店で、ちょっと大きい建物だ。なんだかお店の看板や窓もちょっとおしゃれな気がする。お店に出入りしている人も、貴族みたいな人たち……かな?

 ギルドの側の料理屋さんって聞いていたのに、予定が変わったのかもしれない。全然違うお店だ。私は別にいいんだけど。

 そんなお店の前に、師匠たちがいた。師匠とミトさん、エリーゼさん、フォリミアさん、学園長にギルドマスター、それに他大人数人。先生とか、ギルドの人だと思う。

 

『わりと大所帯』

『英雄の帰還だからな!』

『英雄……?』

『賢者(笑)』

『やめてやれよw』

 

 師匠たちの方に行くと、すぐに師匠が気づいて片手を上げた。

 

「待ってたぞ」

「ん。私が最後? ごめん」

「いや。なんか人数も増えたからな……。フードは外すなよ」

「ん」

 

 私が知らない人もそれなりにいる。それだけ師匠の交友関係は広かったんだと思う。師匠の知らない一面が見れて、ちょっと嬉しい。

 

『リタちゃんちょっと機嫌いい?』

『師匠大好きな子だから……』

『シッショのことをたくさん知れたらそれだけで喜びそう』

 

 言わなくていいよそんなことは。

 師匠と一緒にお店の中に入っていく。お店はやっぱりちょっといいお店みたいで、お店の中に高級そうな調度品とかも置かれていた。正直私は無駄だと思う。

 案内されたのは、個室……と言えばいいのかな? わりと広い部屋で、大きなテーブルがある。椅子もたくさん並んでいて、この人数でも全員座れそう。

 全員がそれぞれ椅子に座っていく。師匠の隣はもちろん私。それは譲らない。もう片方の隣は学園長さんが座った。いろいろ話したいこともあるんだと思う。

 私のもう片方の隣は、ミトさん。その向こう側にエリーゼさん、フォリミアさんと……。そんな感じだ。

 全員が座って、みんなに飲み物が配られたところで、学園長が立ち上がった。

 

「さて……。余計なことは言わないでおこう。賢者殿が帰還した。今日はその祝いだ。全員、好きなものを頼むといい。支払は心配しなくていい。賢者殿が支払うからな!」

「おい」

 

 みんなが和やかに笑ってる。悪くない雰囲気、だね。

 そうして料理がたくさん運ばれてきた。飲み物もいっぱい。大人たちはお酒を飲むみたい。

 ごはんは……大きいお肉の塊とか、なんだか、えっと……。繊細に飾られたもの? とか。いくつか食べてみたけど、ちょっと微妙な味。日本のごはんが食べたい。

 

『豪華だけど、見た目だけってやつかな』

『日本のご飯は世界一ィ!』

『その世界ですらないんですが』

 

 でもやっぱり日本のごはんが美味しいのは事実だと思う。

 

「あの、リタさん」

 

 ミトさんが話しかけてきた。なんだろう?

 

「その……。ありがとうございます。それと、ごめんなさい」

「ん? なにが?」

「その、私のせいで賢者様が……」

「あれはミトさんは関係なかったよ。ワームも関係ない。だから気にしなくていい」

「そう……?」

「ん」

 

 ミトさんはずっと気にしていただろうからね。自分のせいで師匠が死んじゃったって。実際は、タイミングよく……悪く? 変な星に召喚されてしまっただけだけど。

 それに。

 

「ミトさんは怒っていい」

「え?」

「師匠、帰ってきたのはちょっと前だった。本当ならもっと早く伝えにこれたのに、顔を合わせづらいとかで避けてたから」

 

『その点はわりとクソだと思います』

『まあ行きづらい気持ちは分からないでもないw』

 

 それはそうだけど、ミトさんぐらいにはちゃんと言っておいてあげてもよかったと思う。

 ミトさんはちょっと笑顔が引きつって、師匠を見て……。

 

「私は……何もできないので……」

「ん。代わりに殴っておく」

「お願いします」

 

『シッショ終了のお知らせ』

『因果応報とういことでw』

 

 殴るだけ、だよ。全力で身体強化はするけど。

 

「もぐもぐもぐもぐ」

 

 でもとりあえず、今はごはん。大きいお肉の塊も、切り分けたらちゃんと美味しい。もうちょっと香辛料というか、味付けを濃くしてほしいけど、悪くはないから。

 ジュースも美味しい。酸味が強すぎるけど、こういうものだと思う。この街は食べ物よりジュースの方が美味しいかもしれない。

 他のジュースはないかな? 師匠の目の前にあるジュースとか、おいしそう。

 

「もらうね」

「うん? あ、ちょっと待て……!」

 

 こくりと、一口。

 

『あ』

『おいこれってまさか』

『なんだなんだ?』

 

 んー……。なんだか、不思議な味……。味? 味は変かも? というか、なんだかふわふわして……。

 

「ひっく」

「うおおおおお!?」

 

 師匠が何かを叫んでいて、そこで私の記憶が途切れた。

 

 

 

 起きたら精霊の森で、私の部屋で。師匠がベッドの側で椅子に座っていた。

 

「起きたか」

「んー……。ちょっと頭いたい……」

「まあ、うん……。意外な弱点だよなあ……」

 

 弱点? 何のことだろう。よく、分からない。

 

「とりあえず、リタ」

「ん?」

「中身が分からない飲み物を飲むな。いいな?」

「毒ならどうにでもなるよ?」

「アルコールは毒判定じゃないんだよ……!」

 

 なんだかよく分からないけど、ちょっと師匠に怒られてしまった。禁止されていたお酒を飲んじゃったのかもしれない。よく分からないけど……。次から気をつけよう。

 

「マジで死ぬかと思った……」

 

 んー……。私、何をやったんだろうね……?

 




壁|w・)弱点(弱体化するとは言ってない)
何があったかは……皆様のご想像にお任せします。
もしかしたら、そのうち書いちゃったりもするかも……?
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