異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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アウトドアクラブの部室

 

 部室が集まってる建物。部室棟、なんて言われてるみたい。二階建ての建物で、日本で時折見かける……えっと……。そう、なんとかアパートみたい。

 

「たしか……ちんち……」

 

『ちんたいな!』

『賃貸アパート!』

『女の子がなんて言葉を言おうとしてるんだ!』

 

 賃貸アパート、だね。覚えた。もう大丈夫。

 竹中先生に案内されたのは、二階にある一室。ドアにはアウトドラクラブという表札がかかってる。ここにいるのかな?

 竹中先生がノックすると、はーい、という声が聞こえてきた。多分、世菜さんの声だ。

 

「竹中だ。お客さんだぞ」

「え……。竹中先生!? 今開けます!」

 

 慌てたような声と、どたばたと走る音、ついでに何か物が崩れるような音。どったんばったん大騒ぎ、だね。

 

「あー……。急いでいないからな……?」

 

 竹中先生も苦笑いだ。

 

『いきなり生徒指導の先生が来たらそりゃ慌てるわw』

『まず真っ先に何かやらかしたかなって思うからな』

『あれ? てことは今は配信見てないってことか』

『普通は学校で見るものじゃないので……』

『どこかの女子高生がおかしいんすよ。真美ちゃんって言うんですけどね』

『うん?』

『ひぇっ』

 

 真美はちゃんと勉強しているのか、ちょっと不安になったりもするけど、きっと大丈夫。私は真美を信じてるから。

 少しして、ドアが開いた。出てきたのは、制服姿の世菜さんだ。

 

「おまたせしまし……」

 

 そして私を見て固まった。

 

「遊びにきた」

 

 とりあえずそう言ってみたけど……。反応はない。呆然としてる。目の前で手を振ってみても反応がない。大丈夫かな?

 

『ふりふり』

『あんな至近距離でふりふりしてもらえるなんて……!』

『なお本人は意識がないもよう』

『大丈夫? 救急車呼ぶ?』

 

 必要かな? 必要なら、病院まで転移するけど。

 

「あー……。大丈夫か? その、気持ちは分かるが……。大丈夫か?」

「は、はい! 大丈夫でふ!」

 

『でふなんて初めて聞いたぞwww』

 

 本当に大丈夫なのか疑わしくなるね。

 とりあえず、部室に入れてもらえることになった。竹中先生に手を振って、部室の中へ。お邪魔します、と。

 

『ふりふりいいなあ』

『竹中先生が羨ましい』

『ちょっと生徒の保護者の一人として学校に苦情入れてくるわ』

『やめたれw』

『何も悪いことしてないだろw』

 

 学校に迷惑かけたらだめだよ。いや、私が一番迷惑かけてるみたいだけど。

 部室は……ちょっと小さめの部屋。一般的な家庭の部屋ぐらいの大きさ、かな? 中央にテーブルがあって、壁には棚がいくつか。本がたくさん並んでる。あとは、キャンプ道具らしきものもいっぱいだ。窓際の机にはパソコンもあった。

 

「ど、どうぞ……!」

 

 世菜さんが椅子を引いてくれたから、座っておく。普通のパイプ椅子で、えっと……。座る部分が斜めになってる。ちょっと気になる、かも。

 

「ぼろぼろ?」

「え? あ! ごめん、古い方のパイプ椅子だ! こっち使って!」

 

 世菜さんが慌てたように椅子を交換してくれた。いや、別にいいんだけど……。まあ、いっか。

 次のパイプ椅子はちゃんとしたものだった。快適。

 

『お金がないのかな?』

『部費少ないんか?』

『アウトドア用品で金使いそうだもんなあ』

『キャンプに一回行くたびに結構な額を使いそうだし』

 

 そんなコメントを見て、世菜さんは何とも言えない表情だ。確かに、師匠が買っていたおっきなテントも結構高いみたいだったから、なんでもお金がいるのかも。

 

「でもびっくりしちゃった。本当に来てくれるなんて思ってなかったから……」

「ん。誘われたし、来ておこうかなって」

 

 後回しにすると、気が付いたら卒業してる、なんてこともあり得ると思うから。ちゃんと今のうちに、だね。

 

「部長さんたちは?」

「今はミーティングというか……。部長が集まる話し合いに行ってるよ。もうすぐ帰ってくると思うけど」

「ん」

 

 じゃあ、それまでちょっと待ってようかな。その間何しよう。

 

「本とか見てもいい?」

「もちろん。あ、こっちのアルバムとかはキャンプの記録」

「へえ……」

 

 キャンプの記録。それはちょっと見てみたいかも。

 背表紙には、入れてある写真の期間とかが書かれてるみたい。それを見ると、だいたい半年で一冊使ってるみたいだね。それがたくさん並んでる。三十年ぐらい前からある。

 

『ほーん。結構歴史の長い部活なんやね』

『三十年……俺より年上か……』

『俺が大学生の頃か……』

『視聴者の年齢幅が分かるなw』

 

 三十年前。私はまだ生まれてもない頃だ。研究をしていた時間を考えるとまたちょっと話は変わってくるけど。

 一番最近のものを手に取ってみる。ぱらぱらめくると、私の写真もあった。前回のキャンプの記録らしい。

 

「私の写真」

「うん。いっぱい撮っちゃったから……。ごめんね?」

「別にいい」

 

 撮られたくない、というわけじゃないからね。

 他の記録もいろいろ見せてもらおう。どれから見ようかな……。

 




壁|w・)竹中先生の運命やいかに……。
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