異世界魔女の配信生活   作:龍翠

439 / 543
部室棟の裏で料理

 

 世菜さんと一緒にアルバムを見ていたら、廊下の方が騒がしくなってきた。ばたばたと誰かが走ってくる音がする。

 なんだろうと思ってそっちを見ていたら、ドアが勢いよく開かれた。

 

「う、うわ……! マジでいた!」

 

 部長さんだった。びっくりしてるみたいで、お目々がまん丸だ。

 

「写真部のやつが慌てた様子で会議に入ってきて……。いや、びっくりした。本当に」

「迷惑だった?」

「まさか!」

 

 でも、と部長さんはちょっと言いづらそうに後ろをちらちらと見てる。ドアがまだ開いたままで、いろんな人がこっちをのぞき見ていた。他の部活の人、かな?

 

「みんなリタちゃんに会いたいって来ちゃってて……」

「んー……。お話しぐらいなら」

「本当に!?」

 

 うわ……。たくさんの人が部屋の外にいるみたいだった。たくさんの顔があって、ちょっと怖い。

 

『あーね、気持ちは分かる』

『俺もリタちゃんが自分の学校の部活に来てるって知ったら絶対に見に行くわ』

『これは……騒ぎになりそうな予感!』

 

 そんな騒ぎはちょっと困る。そこまでいくと面倒そうだから。

 でも、やっぱりお話しは時間がかかるだろう、とうことで、今いるメンバーで集合写真を撮ることになった。とりあえずそれだけで満足してもえるみたい。よかった。

 

『それでも遭遇機会が未だない俺らからすれば羨ましいんですけどね?』

『俺もリタちゃんの写真を撮りたいよお!』

『リタちゃんの写真を持ってる俺、高みの見物』

『ギルティ』

『処す? 処す?』

『いいえ、殺します』

『ひぇっ……』

 

 みんな仲良くしないとだめだよ?

 部室棟の前に移動して、みんなで並ぶ。私は真ん中だ。さすがに人数が多いから、部活ごとで撮る。それでもいっぱい撮った気がする。

 

「ありがとうリタちゃん!」

「宝物にする!」

「ん……」

 

 宝物にするほどのものなのか、これが分からない。いや、好きにしてくれたらいいんだけど。

 そうして写真を撮り終えて、部室に戻ってきた。

 

「あれ? そういえば、もう一人は?」

「風邪で休んでるよ。メッセージが来てて、すごく残念がってる」

「そう」

 

 それは、うん。ちょっと残念だけど、仕方ない。

 

「よっし! それじゃあ、全員注目!」

「部長! 私とリタちゃんしかいません!」

「こまけえことは気にするな!」

 

 細かい、のかな? とりあえず私も部長さんを見ておこう。

 

「せっかくリタちゃんが来てくれたので! 部室棟の裏でキャンプ飯の練習をするぞ!」

「おー……!」

 

 キャンプ飯! つまり、ごはん!

 

『さすがだ部長、リタちゃんの好みをよく分かってる』

『ご飯を食べさせておけば満足してくれるイメージ』

『そんなことは……あるかも……?』

 

 否定はしないよ。

 許可を取ってくる、ということで部長さんが部屋を出て行った。世菜さんは、キャンプご飯の準備。ただ、急に決めたからあまり材料はないらしいけど……。

 

「いろいろ持ってる」

「使っていいの?」

「ん」

 

 調味料以外はお菓子ぐらいしかないけど、ね。

 世菜さんがいくつかの道具を持って、部室棟の裏へ向かう。私もそれについていった。

 部室棟の裏は、ちょっとした空き地だ。でもしっかりと整備されていて、地面には草とかがないようになってる。火をおこして料理をしても問題ないらしい。

 

「消火器もすぐそこにあるしね」

「安心」

「そう、安心!」

 

 てきぱきと、世菜さんが準備をしていく。たき火の準備と、たき火の上にお鍋とかを置けるように道具を組み立てていく。キャンプ道具、私も何か買おうかな。

 そうしていたら、部長さんが戻ってきた。生徒指導の竹中先生も一緒だ。

 

「許可もらったぞー。竹中先生の監督つきで」

「顧問の先生は掛け持ちで別の部を見てるからなあ……」

 

 そういうこと、らしい。

 ともかく、料理だ。何を作るのかな?

 

「今回はネットで見かけたご飯をつくるぞー!」

「おー!」

「おー」

 

 用意されたものは、部室の冷蔵庫に入っていたまん丸のカマンベールチーズと、ベーコンと、ウインナー。それにニンニクが少量に、オリーブオイル。結局私が出したものは何もなかった。

 

「道具はこれだ!」

 

 ちっちゃくてかわいいフライパン。スキレット、というらしい。少量の料理に最適、だって。

 スキレットにオリーブオイルを入れて、薄く切ったニンニクを炒めていく。部長さんがそれをしている間に、世菜さんがウインナーにベーコンを巻き始めた。ささっと巻いていく。慣れた手つきだ。ついでにカマンベールも切っていた。

 

「料理得意?」

「それなりに、かな? 家が飲食店だから、子供の時からお手伝いしてるんだ」

「へえ……」

 

 それはとてもすごいと思う。料理ができるというのは、それだけで尊敬できるから。

 

『飲食店の子供はみんな料理が上手なイメージ』

『さすがにそれは偏見だぞ』

『実家がそうだけど一切手伝わなかったワイがいます』

『子供は遊ぶべきさ』

 

 そうなのかな。よく分からない。

 ニンニクのいい香りがしてきたところで、チーズとベーコンを巻いたウインナーを投入。さらにオリーブオイルをたっぷりと。

 そうしてチーズが溶けてきたところで、完成ということになった。

 




壁|w・)キャンプごはんの動画はどれを見ても美味しそうでした……。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。