異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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リタの水着

 

 プールの平べったい建物に入る。駐車場は結構広くて、今もたくさんの車がとまってる。入り口はその駐車場の奥、だね。駐輪場、だっけ。そういうのもちゃんとあるみたい。

 建物に入ると、ちょっと広めの部屋。奥のカウンターが受付になっていて、そのカウンターの両側のドアから入って着替える部屋に入るみたい。

 支払いは、券売機、だっけ? 値段はちょっと分からないけど……。視聴者さんが言うには、ちょっと高め、だって。

 

『市民プールとかじゃないだろうしなあ』

『観光地のレジャー施設、それもいろいろ設備もあるだろうし、こんなもんだろ』

 

 ということらしい。私は比較対象がないから分からない。

 券売機でお金を払うと、出てきたのはカードが一枚。何に使うんだろう。

 

「リタちゃん、とりあえずなくしたらだめだよ」

「ん」

 

 そのまま着替える部屋に向かって……。入る前に、一度配信は止めておこう。

 

『なーんでー!?』

『誰にも言われずとも止めた、だと……!?』

『成長したんだね、リタちゃん……』

 

 意味の分からないコメントが流れていたけど無視しよう。

 部屋に入ったら、たくさんのロッカーが並んでいた。いっぱいある。

 

「リタちゃん、カードに番号が書いてあるでしょ?」

「ん」

「その番号のロッカーを使うんだよ」

「わかった」

 

 真美と一緒に、カードに書いてる番号のロッカーへ。そのロッカーには、カード、と書かれた部分と、数字が書かれたボタンがついていた。

 

「どうやって使うの?」

「えっとね……」

 

 最初にカードをかざすと、ロッカーが開くらしい。そうして着替えて、カードを入れたままロッカーを閉める。その後は、暗証番号を設定して、ロッカーを施錠、だって。

 戻ってきた時は、暗証番号でロッカーを開いて、帰る準備が終わったらカードをかざして施錠。カードは更衣室を出てすぐのカウンターで返却するのだとか。

 

「ちなみに、返却せずに帰っちゃったら警察さんが来ちゃうかも」

「おー……。精霊の森に来るかな?」

「無茶言わないであげてね!?」

 

 代わりに真美のお家に行っちゃうかもしれないから、ちゃんと返却するよ。

 水着に着替えて、入ってきたドアの逆側から部屋を出た。すると外に出る、というわけでもなくて、そこはシャワーとか休憩室とか、そういうのがある部屋。その部屋からまたドアがあって、屋内の温水プールか外のプールに行けるようになってるらしい。

 今回はもちろん外のプール、だね。そうして部屋を出たところで、配信再開だ。

 

『もどってきたー!』

『リタちゃんの水着だー!』

『かわいー!』

『水玉模様のワンピースな水着、いいですねえ』

 

「じろじろ見ないでほしい」

 

『配信してるのはリタちゃんなんですがそれは』

 

「そうだった」

 

 でも説明されるとちょっと困る。反応に困る。

 水着は……なんだかちょっとすーすーしていて、不安になる。結界を張ったままだとまた水の感触が分からなくなるから、とりあえず危険が迫ったら防ぐ結界を代わりにはっておいた。安心。

 

『なんかまた変な結界が出てきてる……』

『首相さんとかと取引してる道具と同じでは?』

 

 そういうこと、だね。今回は魔道具じゃないけど。

 

「真美。真美」

「どうしたの?」

「あつい」

「あははー」

 

 別の種類の結界だから、気温の暑い寒いも感じてしまう。日本ってこんなに暑いんだね。地球の人はこんな気温で暮らしてすごいと思う。

 

『いや、リタ、俺たちの世界も結界がなかったらそれなりに暑かったり寒かったりするからな?』

 

「なんと」

 

『この子マジで精霊の森以外に興味なさすぎだろw』

『なんなら気温に関しては精霊の森のことすら分かってないのではw』

 

 そんなことは……ない、と思う。多分。でも聞かれたら答えられないから変なことは言わないでおこう。

 

『真美ちゃんもワンピースタイプか』

『さては、あれじゃな? プロモーションに自信がないんだな?』

 

「リタちゃん、こいつら追い出そう」

「ん」

 

『まってまってごめんなさい冗談です!』

『すみませんでしたあああ!』

 

 失礼なことを言ったのは私でもなんとなく分かったよ。まあ、真美がもういいって言ったから何もしないけど。

 それじゃあ……。

 

「ごはん」

「いや、あの、プール……」

「ごはん」

「あ、はい」

 

 まずはごはん、だね。お昼ご飯だ。

 

『真っ先に休憩スペースの飲食コーナーに向かうとはw』

『まあリタちゃんだしね』

『すぐ側で美味しそうな香りを出しているのが悪いと思います!』

『マジでそれ。腹が減ってくる』

『なんでこいつらそんなこと分かるの?』

『現地民ではなかろうか』

 

 そうかもしれないし、どうでもいいと思う。とりあえずご飯だ。

 真美の手を握って、ご飯が食べられる場所に移動。もうすぐお昼だし、混雑する前に食べた方がいいと思う。私はそう思う。だからごはんだ。ごはん。

 

「り、リタちゃん、後でちょっとでもいいから泳ごうね……?」

「ん」

「まあ、うん……。だったらいっか……」

 

 ちょっとため息交じりだけど真美も納得してくれたから……。ごはんだ! 何があるか、とても楽しみ。ソースの香りもするから、焼きそばとかあるのかも?

 ともかく。お昼ご飯だ!

 




壁|w・)すぐ側にご飯が食べられる場所があるのに、後回しにするなんてあり得ない……!
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