異世界魔女の配信生活   作:龍翠

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精霊の森での川流れ

 

「ただいま」

 

 自分のお家に入ってそう言ったら、すでに師匠が待っていた。何故か浮き輪を持ってる。まだ空気を入れる前のやつだけど、間違いなく浮き輪だ。

 

「おかえり、リタ。買っておいたぞ」

「ん」

 

『まさか今から川遊びか?』

『この親子元気すぎるだろ』

『浮き輪で何をするつもりなんですか!?』

 

 ぷかぷか流されていくのはとても楽しかった。

 というわけで。

 

「精霊の森の川」

 

 転移してきた。隣では師匠が魔法でぱぱっと浮き輪を膨らませてる。わくわくだね。

 

「リタ、ちゃんと水着を着ろよ」

「ん……。すっぽんぽんでもいいよ?」

「すっぽんぽん言うな」

 

『すっぽんぽん』

『リタちゃんからそんな言葉が出てきたことにびっくりだよ!』

『リタちゃん、配信に出ちゃうからね?』

 

 そうだった。さすがにだめだよね。真美に怒られちゃうかもしれない。

 じゃあお着替えだけど……。それも映したらだめだと思うから、光球は一度川に沈めておこう。いってらっしゃい。

 

『わー!』

『本邦初公開、精霊の森の川底!』

『待って地味に深いんだけど』

『なんかでかい魚がいるー!?』

『待ってめちゃくちゃ殺意高い魚がいるんだけど!?』

『おい見ろよ奥の方、でっかいウルフが沈んでいて魚が食ってる……』

『すぷらったじゃねーか!?』

 

 なんだか阿鼻叫喚だけど、何に騒いでいるのかよく分からない。精霊の森の川ではよくある光景なのに。ウルフは多分水を飲もうとして、引きずり込まれちゃっただけだと思うよ。あまりないから、運が悪かったんだと思う。

 着替え終わったから光球を川から出す。そんな光球に師匠が苦笑いして言った。

 

「俺の頃の視聴者は知ってるはずだけどな」

 

『超古参のワイ、高みの見物してます』

『でもさすがに捕食までは見たことなかったっす』

『てかこれ大丈夫なんか? リタちゃん食べられない?』

 

「食べられる……?」

 

 師匠が私を見てきた。私は、水着に浮き輪装備。結界も完璧。

 

「食べるんじゃなくて?」

「師匠?」

「なんでもない」

 

『おいwww』

『でも言いたいことは分かるw』

『リタちゃんなら食べに来た魚を捕まえて後で焼いてそう』

 

「ん。やるつもりだけど」

 

『ですよね』

 

 さすがに生でかじったりはしないから、捕まえておくだけだけどね。もしこっちに来るお魚がいたら、後で食べるよ。

 

「じゃあ、いってくる」

「ああ。大丈夫だとは思うけど、気をつけてな」

「ん」

「ちなみにこの場合の気をつけろは、周囲の魚を全部捕獲したりしないように気をつけろって意味合いだぞ。襲われたからって虐殺すんなよ」

「分かってる」

 

『分かってるのか』

『やっぱりそういう扱いなんかw』

『まあリタちゃんに任せたらかたっぱしから魚を食べちゃいそうだし』

 

 その扱いはさすがにひどいと思います。

 それじゃあ、川にどぼんと。のんびり運ばれていこう。

 んー……。川の水は冷たくて、とても気持ちいい。

 

『どんぶらこ』

『ちょっと前に見た光景』

『なお背景』

『なお川の中』

 

「川の中」

 

 光球を川の中につけてみる。ほら、私は何もしてない。だって何もする必要もないから。

 

『なあんで魚が逃げていくんですかねえ!?』

『これはあれじゃな? 遺伝子レベルで危険な対象を刻みつけられてるってことじゃな?』

『なるほど!』

 

「なるほどじゃないよ」

 

 さすがにこんな川の中に頻繁に入ってたりしないから。普段は釣りでお魚を釣るし。

 お魚たちも当然精霊の森の基準にいるから、魔力を感じ取るぐらいはする。多分、私の魔力を感じ取って逃げてるんだと思う。

 そうしてしばらく流されていたら、大きな湖にたどり着いた。

 

「みずうみ」

 

『おー。こんな湖あったんか』

『めっちゃ広い』

『果てが……見えない、だと……!?』

『どれぐらいの広さあんの?』

 

「さあ……?」

 

 日本で言うところの、琵琶湖……は、さすがにないと思う。でもすごく大きい湖だよ。この森で一番大きい湖のはずだから。

 主みたいなのもいるし。

 

『なんか急に出てきたー!』

『でっかいお魚……いや龍!?』

 

「水竜だね。空で言うところのワイバーン」

 

 大きい蛇みたいに見えるけど、一応は竜扱い、らしい。基準はよく分からない。精霊様が言ってただけだから。

 

「食べるととても美味しい」

 

『あ』

『あ』

 

 というわけで、襲ってきたからすぱっと首を落として、回収。晩ご飯ができた。美味しくいただこう。また真美にも持っていって料理してもらおうかな。ステーキとか、美味しいかも。

 

『多分精霊の森でも生態系の上位にいたんだろうな』

『ワイバーンが空の王者なら、水竜は湖の王者か』

『特定の王者ごときが頂点捕食者に勝てるわけないだろうがいい加減にしろ!』

 

 流されるのも満足したから、そろそろ帰ろう。せっかくだから、新鮮なうちに食べないとね。アイテムボックスに入れるからずっと新鮮だけど。

 ささっと湖から出て、ささっと解体の魔法を使う。そうしてからアイテムボックスに入れて、お家へと転移した。

 




壁|w・)水竜は強敵でしたね。
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